dHealth Network:ブロックチェーン活用した「臓器ドナーカード」開発へ
世界初の「デジタル臓器ドナーカード」を開発
ヘルスケア分野に特化したブロックチェーンネットワークを構築している「dHealth Network」は2023年6月3日に、ブロックチェーンを基盤とした世界初の”デジタル臓器ドナーカード”を開発することを発表しました。
デジタル臓器ドナーカードの構築には、主要な臓器提供団体である「OrganX」や「Paris Transplant Group」が協力しているとのことで、ブロックチェーン技術を活用することによってカード所有者のプライバシーを保護し、いつでもどこでも必要な時にその意思決定にアクセスできるようにすることを目指していると説明されています。
@dHealth_Network , @OrganX_Official , and the @ParisTxGroup to cooperate on building a digital organ donor card.
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— dHealth (@dHealth_Network) June 2, 2023
dHealth_Network・OrganX・Paris Transplant Groupが、デジタル臓器ドナーカードの構築に向けて協力することになりました。
OrganXとは?
OrganXは「生物医学研究と最先端のデジタルヘルス技術を組み合わせることによって臓器ケアの進歩を加速させること」を目的とする独立した多臓器ヘルステクノロジーNPO(非営利団体)です。
OrganXは「移植システムをデジタル化して、AIやブロックチェーンを活用した世界初の固形臓器移植を実現すること」を目指しているとのことで、慢性臓器疾患・不全・移植の診断・治療・追跡を改善するために、多くの企業や研究プロジェクトと提携しているとも説明されています。
Paris Transplant Groupとは?
Paris Transplant Groupは、多学科メンバーからなる移植専門のチームで、免疫学者・臨床検査医・研究者・腎臓専門医・心臓専門医・神経科医・病理学者・統計学者・公衆衛生専門家などが集まっていると説明されています。
臓器提供に関する現在の問題点
dHealth財団の公式発表では「臓器提供は患者の生存や生活向上のための唯一の選択肢であるものの、臓器ドナーと待機患者の間には大きな隔たりがある」と指摘されています。
米国には10万人以上の待機患者がいるとのことですが、臓器提供者が不足していることによってそのうちの17人が毎日亡くなっていると報告されています。
通常、臓器提供をするかどうかは事前指示書や臓器提供カードで決定されるものの、今のところ大半の人はそのどちらも有していないとのことで、持っていたともしても紙媒体であることが多いため、必要な時に手に入らない可能性があるとのことです。
スイスでは「臓器ドナーカードをデジタル化する試み」が実施されたことがあるとのことですが、プライバシーの問題から中止せざるを得ない状態になったと報告されています。
ブロックチェーン技術でプライバシー保護・偽造防止
今回発表された「ブロックチェーン技術を用いた臓器ドナーカード」は、個人のプライバシーを保護しつつ、臓器提供に関する個人の意思決定にグローバルにアクセスできるようにし、その意思決定を偽造できないようにすることを目的としています。
臓器ドナーカードは、従来の医療ITシステムと並行して存在できるシンプルなデータセットになっているとのことで、このカードは標準化されていて、透明性と公平性を実現するための最初のステップになると説明されています。
ドナーカードを利用するかどうかは個々のユーザーが自分で決めることが可能で、利用する場合にはユーザー自身もメリットを得ることができるとされています。
今回発表されたデジタル臓器ドナーカードの最初のリリースは、2023年夏を予定していると報告されています。
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