オープンシー、ロイヤリティ強制ツールについて新たな方針発表

ロイヤリティ強制ツールの分散性・客観性向上目指す

NFTプラットフォームのオープンシー(OpenSea)が、NFTクリエイターへのロイヤリティ報酬制度について新たな方針を12月9日に発表した。

オープンシーは、NFTの購入者からロイヤリティを強制的に徴収するツールの導入を2023年の1月2日まで延期し、それまでに同ツールの分散性や客観性を向上させるような調整を行うとのことだ。

これまでの流れ

オープンシーではNFTクリエイターが自らのNFTに0~10%のロイヤリティを設定し販売することが可能になっており、そのNFTが売買されるごとにロイヤリティが得られる仕組みとなっている。

ただし、このロイヤリティの仕組みはオープンシーの内部で実行されているもの(オフチェーン処理)であるため、NFTが外部のマーケットプレイスに持ち出されるとロイヤリティは適用されなくなる。この場合はその外部プラットフォームのロイヤリティ制度が適用されることになり、プラットフォームによってはロイヤリティを払うか否かを購入者が任意に選択できる場合もある。

今年に入り、マジックエデン(MagicEden)やルックスレア(LooksRare)のように販売額をなるべく低く抑えるために任意ロイヤリティを採用するプラットフォームが増加した。その結果、ロイヤリティを払わない購入者が増加し、NFTクリエイターのロイヤリティ報酬が減少することとなった。

なおオープンシーによると、トップ20のNFTコレクションのうちロイヤリティを受け取っているNFTの割合は今年10月から11月の一か月間で20%減少しているとのこと。

このような事態を受け、クリエイターのロイヤリティ収入を重視するオープンシーは、11月6日にロイヤリティをオンチェーンで強制的に徴収できるツール「オペレーター・フィルター(Operator Filter)」の実装を発表した。これはロイヤリティの支払いを回避するようなNFTプラットフォームをブロックリストに追加することで、購入者に対して強制的にロイヤリティの支払いを実行させるツールとなっている。

しかし、この発表に対してコミュニティからの批判が相次いだ。批判内容は「ツールの導入によってNFT本来の分散性が失われること」や「ロイヤリティを設定したい場合にツールの利用が絶対条件になること」や「これまでに作成されたNFTに対するロイヤリティの適用が不明確であること」などであった。

当初オープンシーは11月8日以降に作成されたNFTに対して「オペレーター・フィルター」の適用を予定していたが、このようなコミュニティからの反発を受け、改めて12月8日までの期間をロイヤリティについての方針検討期間とし、ツールの導入を延期することを11月8日に発表していた。

今後の方針

そして今回、オープンシーは「オペレーター・フィルター」の導入をさらに延期し2023年1月2日とすることを発表した。オープンシーはコミュニティの意見を重視し、1月2日までに「オペレーター・フィルター」の管理権限をオープンシー、ニフティ・ゲートウェイ(Nifty Gateway)、ゾラ(Zora)、マニフォールド(Manifold)などのNFTプラットフォームが参加する組織「クリエイター・オーナーシップ・リサーチ・インスティテュート(CORI)」に移行し、マルチシグ管理を適用することで、ツールの分散性を確保するとしている。

さらに1月2日以降に作成されたNFTであっても、これまで通りに「オペレーター・フィルター」を使用せずにロイヤリティを設定できるようにするとのことだ。またツールの客観性を確保すべく、1月2日以降に作成されたコントラクトにはロイヤリティの標準規格である「EIP2981」を実装するとのことだ。

オープンシーはツイッターにて以下のようにコメントしている。 「数ヶ月前からクリエイターへのロイヤリティを尊重しないマーケットプレイスが急速に台頭し、クリエイターにとって有効な報酬が著しく減少しています。クリエイターへのロイヤリティを維持することは、この業界にとって存続の必須条件です。私たちの第一の目標は、クリエイターへのロイヤリティを尊重する方向に業界をシフトさせることです」

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参考:OpenSea
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Ket4up

参照元:ニュース – あたらしい経済

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