中国がデジタル人民元ウォレットアプリのダウンロード開始
中国人民銀行(PBOC)は1月4日、2月の冬季オリンピックを前にして、電子人民元(e-CNY)と呼ばれる中央銀行デジタル通貨(CBDC)のためのウォレットアプリケーション(パイロット版)をリリースしました。中国国内のiOSおよびAndroidのアプリストアからダウンロードすることができます。
テストで1億4000万人が口座開設、利用額は620億元に
PBOCデジタル通貨研究所(PBOC Digital Currency Research Institute)の所長ムー・チャンチュン(Mu Changchun)氏は昨年11月、テストに参加した約1億4,000万人が10月時点で、デジタル人民元口座を開設しており、累計取引額は利用開始以来620億人民元(約1兆1,000億円)に達したと発表しています。
PBOCの易綱(イ・ガン)総裁は同じ11月、中国は引き続きCBDCの開発を進め、既存の決済ツールとの相互運用性を高めるなど、その設計と利用法を改善すると述べていました。今後は10都市のAndroid , iOSのアプリストアから直接デジタル人民元のパイロット版をダウンロードすることができるようになります。
中国メディアの報道によると、北京冬季オリンピック終了後、CBDCはとしてデジタル人民元の完全運用が開始されます。
北京のほか上海、深センなど10都市でCBDCウオレットアプリのダウンロード開始
サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP/南華早報)によると、新規ユーザーの登録は、パイロット版のユーザーであればe-CNY サービスを提供する大手銀行の支援を受けて、選択されたユーザーが利用できると通知されています。
これまでのところ北京は、2月に迫った北京冬季オリンピックにデジタル人民元のリリースと利用を実現するよう注力しています。中国政府によると、外国人観光客はデジタル人民元を利用して、宿泊施設や交通機関などの支払いを行うことになります。また会場周辺には、ATMが設置され、米ドルを含めて外国通貨をデジタル人民元の交換することができます。
冬季オリンピックのデジタル人民元利用の是非で米中口論
中国はマクドナルドを含む米国の企業に対して、オリンピック開催前にデジタル人民元を受け入れるよう強く求めてきました。フィナンシャル・タイムズによると、マクドナルドは北京オリンピックを見越して、中国国内の多くのレストランで、デジタル人民元のトライアルを拡大せざるを得ない状態に立っていました。
CNBCをめぐっては米中両国が厳しく対立してきました。例えば、冬季オリンピックでは中国市民だけではなく外国人訪問客もCBDCを利用してもらうというのが、中国政府の公式の方針です。これに対して米国のマーシャ・ブラックバーン、ロジャー・ウィッカー上院議員らは、米国選手にCBDCを使わないよう米国オリンピック委員会に求めていました。中国外務省の趙立堅スポークスマンは「米国の政治家は、オリンピック憲章の精神に基づき、スポーツを政治的な問題にして、デジタル通貨をトラブルにすることをやめるべきだ」と反論しています。
参考
・China's Digital Yuan Wallet App Now in iOS and Android App Stores
・China’s digital yuan app now available on Chinese Android, iOS
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