イーサリアムの大きな方針としてレイヤー2を主軸にする方向性

イーサリアムの大きな方針としてレイヤー2を主軸にする方向性

現在、イーサリアム(Ethereum)のアプリケーションもユーザー数も増加の一途をたどっており、これまで以上にスケーリングの技術が求められています。下記のコラムでは現在、成熟しつつあるろロールアップ(Rollup)と呼ばれるレイヤー2の技術について紹介しました。

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イーサリアムを少しでも使っている人なら、このRollupを単なるレイヤー2の一技術と考え、自分には関係がないと思わないほうが良いでしょう。その理由は、イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がこのRollupという技術は極めて重要で、これを主軸においてイーサリアムを開発すべきだという趣旨の提案をしているからです。

Rollupを中心にイーサリアムを開発していく方向性

2020年10月にイーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン氏が「A rollup-centric ethereum roadmap」という新しい提案を公開しました。RollupとはEthereumのレイヤー2の技術の1つであり、2020年の時点で実用化が始まっています。

実用化しているRollupの1つであるOptimismは、Optimistic Virtual Machine (OVM)と呼ばれるバーチャルマシンで、EVMが実現できる状態遷移のほぼすべてを再現できるとしています。この現状から、イーサリアムの開発もRollupを前提にするべきではないかという考えを示したものが「A rollup-centric ethereum roadmap」です。

PoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行を含む大型アップデートのEthereum 2.0は、フェーズ0・1・2と段階的に開発されます。そしてフェーズ2まではスマートコントラクトが使えず、それまでは実質的にユーザーが使える機能を持たないブロックチェーンです。

2021年はレイヤー2飛躍的に利用される年に?

Ethereum2.0はフェーズ2からスマートコントラクトが使用できるようにバーチャルマシンの実装を始めますが、バーチャルマシンとシャーディングを組み合わせる実装は難易度が高いとされています。このことから、バーチャルマシンを持たないがシャーディングだけは可能とされるEthereum 2.0のフェーズ1でRollupを使えば、レイヤー2上でバーチャルマシンを使えるのではないか、というのが提案の骨子です。

つまり各シャードはデータの保存だけを行い、Beacon chainでファイナライズをして、コントラクトの実行をRollup上で行うというものです。ブテリン氏は、イーサリアムエコシステムは短期及び中期的にはRollupに全面的に取り組む可能性が高いと述べており、もし本格的にこのロードマップが稼働すると、Ethereum2.0はフェーズ2を必要とせずに実用化される可能性すらあります。

ブテリン氏は、フェーズ1のShard Chainがローンチされた時点でRollupを利用できるようになるとユーザーはRollupの体験に適応し、フェーズ2のシャーディングとバーチャルマシンがローンチしたとしてもRollupだけで十分だったということもあり得ると述べています。

2020年11月時点の段階では、Ethereum 2.0はこのようなRollupを視野に入れた開発も検討しながらも、基本的にはフェーズ2までリリースするのが大きな方向性となります。しかしRollupを中心とした開発がうまくいった場合、Ethereum2.0は現在構想されているものとは異なる進化を遂げるかもしれません。

ここまでRollupが施術的に成熟しつつあること、またブテリン氏もRollup中心のイーサリアムのロードマップを示していることから、2021年はレイヤー2が飛躍的に使われるのではないかと筆者は予想しています。

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参照元:CoinChoice

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