グレイスケールが新規採掘されたビットコイン(BTC)のほぼ全量を買い占めた意味は?

グレイスケールが新規採掘されたビットコイン(BTC)のほぼ全量を買い占めた意味は?

暗号資産(仮想通貨)市場では2020年初めごろから、投資家やトレーダーが一貫して、ビットコイン(BTC)を貯めこんでいます。ビットコイン保有者の気分は高揚している中、投資信託運用会社のグレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)の最近の動きは異常なほど目立っています。

同社はビットコインが3度目の半減期を迎えた5月12日以降、新たにマイニング(採掘)されたビットコインのほとんどすべてを買い集め、市場取引に回る分はないという異常な状況を生み出しています。同社の購買力の原動力は、機関投資家の買い出動の表れです。

過去3カ月新規採掘されたBTCの3分の1、半減期後はほぼ全量買付

グレイスケール・インベストメンツは過去3カ月、新たにマイニング(採掘)されたビットコインの33%を単独で購入しました。Redditによると、同社は現物のビットコインを担保にして運用するBTC信託商品「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(Grayscale Bitcoin Trust/GBTC)」を機関投資家に売却して、2月7日から5月17日の間にほぼ6万枚のBTCを増やしました。GBTCの形で保存されているBTCの枚数はこの期間に、28万3192枚から34万3954枚に増えています。

5月のグレイスケールのビットコイン購入はさらに活発になりました。17日までのBTC増分は、過去3カ月の全購入量の34%を占めました。同社は第1四半期(Q1)決算報告(4月16日)の中で、流通しているBTC全量の1.7%を保有していること、Q1の運用資産は22億ドルを超え、Q1だけで四半期の最高額である5億370万ドルの運用資産を増やしたと発表しています。その内BTC信託のインフロー(流入量)つまり運用資産は、3億8,900万ドルでした。

グレイスケールは機関投資家のBTCをGBTCの形で預かるだけ

グレイスケールの保有するビットコインはコンベース(Coinbase)がカストディ(保管)しています。グレイスケールの(GBTCの形で提供される)商品は、その90%以上が機関投資家からの資金そのものです。GBTCは適格投資家に限定されて売買され、2次的な取引は投資家すべてに開放されます。

コインメトリクス(Coin Metrix)共同創業者のニック・カーター(Nic Carter)氏は「GBTCに対する需要は、GBTCプレミアム(価格乖離)にベッティングする機関投資家のそれである。プレミアムに対する需要が変わらないということは、ブローカーが所有するBTCに対して、一般消費者の中に強い(購入)意欲のある証拠である」と語ります。

市場取引の出回るBTCは少なく、長期保有者が手放す現物が頼り

アナリストのPlanBは「市場には購入できるビットコイン(BTC)の量はそれほど残っていない。バイヤーは、ホドラーが手放してくれるBTCを入手しなくてはならない状況だ」と、市場の実態を明らかにしています。同氏の結論は、「マイナーからの流出こそ、金(ゴールド)と同様に世の中にある唯一実際のフローである」ということです。

仮想通貨市場におけるビットコイン価格の変動は、GBTCのプレミアムと深い関係があるとされ、今回のようにプレミアム(現物市場価格との乖離)が高いことは、ビットコインなど仮想通貨市場の強気相場の現出との強い相関関係の表れと見ることができます。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

参考
Grayscale’s Bitcoin accumulation might not be as price-positive as you think
Institutional Investors Are Scooping Up All the Newly Minted BTC, Leaving Not Much Left to Buy

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参照元:CoinChoice

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