月別アーカイブ: 2015年5月

上放れ後の逆張りは無謀。ドル/円で踏み 上げられて、血祭りとなったミセスワタナベ

■米ドル全面高! 米ドル/円急伸の理由は? 米ドル全面高が続いている。ドルインデックスは97.75まで切り返し、ユーロ/米ドルは1.08ドルの節目に再接近した。 
ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM) 
ユーロ/米ドル 日足(出所:米国FXCM)
 そして、何より注目されるのは米ドル/円だろう。2007年高値124.16円を更新し、2011年安値(戦後最安値)から事実上一本調子の上昇を続けてきただけに、円売りトレンドの雄大さに感心させられたところだ。 
米ドル/円 月足(出所:米国FXCM)
 米ドル/円の上昇スピードが非常に早かったので、日経平均の上昇に伴った外国人投資家の円売りヘッジとか、日本の個人投資家(いわゆるミセスワタナベ)の米ドル売りが踏み上げされた結果だとか、いろんな解釈が聞こえてくる。
 テクニカルの視点では、単純にこの前の保ち合いが長かったので、いったん上放れが確認されると、モメンタムが強まり、相場のスピードが速くなったということだろう。これは自然な成り行きだ。
 こういった長い保ち合いを経てから上放れを果たし、その後、一本調子の上昇をもたらす局面は、今まで何度もあった。単純に言えば、その繰り返しである。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
■逆張りして踏み上げられたミセスワタナベが上昇を加速 この意味では、米ドル/円の上放れとその後のターゲット測定は難しいものではなく、また、少なくとも高値更新後はトレンドフォローを基本的なスタンスにすべきであろう。
 筆者のブログで5月21日(木)に開示したチャートはこの見方を証左し、まだ達成されていない125.70円のターゲットも、これから達成される公算が大きいと思う。 
米ドル/円 日足(5月21日作成、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 筆者自身、米ドル/円の上放れ自体や上昇スピードにサプライズはないが、気になるのは日本のFX会社の統計に見られる、最近の個人投資家の逆張り傾向だ。米ドル/円の上放れにつれて、ミセスワタナベは全体として順張りではなく、逆張り傾向を強めた模様で、その踏み上げによって米ドル/円の上昇が加速した、といった見方も多い。
 筆者の記憶が正しければ、個人投資家は全体として逆張りの傾向が強いが、米ドル/円に限って言えば、日本の個人投資家が積極的な売りを仕掛けてくるのは珍しい。
 最近の米ドル売り・円買いの仕掛けは、値ごろ感によるところが大きいか、さすがに2007年高値は超えないだろう、あるいは調整なしでは超えないだろうといった「相場観」によるところも大きいのではないだろうか。
 いずれにせよ、上放れが確認された後の逆張りは無謀すぎて、相場の基本に反する行為だから、踏み上げられるのも当然。踏み上げの土台になったこと自体、米ドルの急騰につながった側面を否めないと思う。
【ミセスワタナベに関する参考記事】
●「ミセス・ワタナベ」のルーツを探れ(1) 実は90年代半ばに英国で生まれた言葉?
●「ミセス・ワタナベ」のルーツを探れ(2) なぜ佐藤、鈴木ではなくワタナベなのか?
 ところで、ミセスワタナベによる大規模な米ドル売り…

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買いが買いを呼び、ドル/円は125円目前! 相場上昇の裏に外国人投資家の存在あり

■予想以上のスピードで米ドル/円はレンジを上抜け! 変化は突然やってくるものです。そういう実感を持った1週間でした。
 私は、米ドル/円の先行きに関して、「当面はレンジ相場が続いて、その後、米ドル高に向かっていく」というイメージを持っていました。
【参考記事】
●ECB理事が一部ヘッジファンドを優遇!?今回のユーロ急落の裏にあった真相とは?(5月21日、今井雅人)
 しかし、予想以上のスピードで米ドル/円は、レンジを上に抜けてしまいました。何が起きたのでしょうか?
 これまでの動きを見ていると、日本の公的年金だけではなく、機関投資家なども120円台に買い注文を入れていました。その一部は成立したのですが、結果的には、そういう買い注文が支えとなって、反転していったようです。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 思ったより、買いたい人が多くいたということになります。
■米ドル/円上昇の裏に外国人投資家の存在も… それに加えて、外国人の動きも見受けられました。
 日経平均が上昇していく中で、外国人投資家も積極的に日本株に投資をしてきているのは周知の事実ですが、外国人の中には、円を借りて日本株を買っている人もいます。
日経平均 日足(出所:株マップ.com)
 そういう形であれば、為替レートの影響を受けないので、株が上昇したことによるキャピタルゲインを丸々受け取れることになります。
 一方で、自国の通貨を円に換えて日本株を買っている外国人投資家もいました。こういう人は、円安になると為替で損をしてしまい、せっかく株で儲けても為替の損でかなり利益を失ってしまうということが起きていました。
 こういう人たちも、これ以上の為替での損を防ぐためにヘッジ取引をしてきています。つまり、米ドル/円を買っているということです。
 こうした動きが、相場をジリジリ上げていきました。
■米ドル/円は、「買いが買いを呼ぶ」状況に! そんな中、先週末5月22日(金)の講演で米国のイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、「年内に利上げを始めるのが適切」との発言をしたことによって、「2015年は利上げがないのではないか」という一部の意見が否定され、これも米ドルを買う材料となりました。
 このような状況の中で、米ドル/円はさらに上値を試す動きとなったのですが、5月26日(火)に、年初来高値として重要な目先のメドとなっていた3月10日(火)の122.04円を上抜けてしまうと、一気に「買いが買いを呼ぶ」状況になってしまいました。
米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
 また、同時に1990年4月17日の高値160.27円と1998年8月11日の高値147.64円を結んだかなり長期のレジスタンスラインが位置していた122円台半ばの水準も一気に上抜ける動きになると、本日5月28日(木)には、これもまた長期チャートでの戻りメドとなっていた2007年6月22日の高値124.14円までも突破。
 一時、124.30円まで米ドル高・円安が進むという展開になっています。
米ドル/円 月足(出所:米国FXCM)
 さて、ここからの展開が問題となって…

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<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>125円に急接近のドル/円は128円も視野に!</i> なぜ、ドル高・円安は突然加速したのか?

■米ドル/円は年初来高値を越えて124円台まで急騰 みなさん、こんにちは。
 先週のコラムでご紹介したとおり、118円台でボトムアウトした米ドル/円は、今週(5月25日~)、円安に加速がつき、年初来高値をあっさり超えて、124円台まで急騰しています。
【参考記事】
●「子くじら」の出現で、米ドル/円は122.50円への上昇濃厚! 上抜ければ125円も視野に(5月21日、西原宏一)
米ドル/円 1時間足(出所:米国FXCM)
 米ドル/円上昇の背景にあるのが、まず当コラムでも何度かご紹介させていただいた、本邦公的機関からの「円売り・株買い」。
【参考記事】
●ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円へ上昇するのが濃厚と考える理由とは?(4月23日、西原宏一)
●「子くじら」の出現で、米ドル/円は122.50円への上昇濃厚! 上抜ければ125円も視野に(5月21日、西原宏一)
 彼らからの「米ドル買い・円売り」は変わらず、コンスタントにマーケットに持ち込まれており、米ドル/円を下支えする展開。
■なぜ、米ドル高・円安は急速に進んだのか? 加えて、今回の米ドル高・円安を演出したのは、ファンドの日本株購入に伴うヘッジとしての円売りでした(※)。
(※編集部注:日本株を単純に買うだけでなく、同時に円売りを行って、円安に対するヘッジをかけようとすることを指している)
 まず、以下のチャートをご覧ください。 
日経平均 週足(出所:米国FXCM)
 これは日経平均の週足ですが、ファンド勢の来日がウワサされるたびに、日本株は急騰しています。
 今回も、2015年4月にファンド勢の来日がウワサされ、5月の日本株の反騰がウワサされていました。
 有名なところでは、テレビ東京の取材を受けて、地上波でも報道された資産運用会社のブラックロック。
 そのブラックロックを率いるのが、「全能の神」といわれる、会長兼CEOのラリー・フィンク氏。彼のインタビューによると、
「日本株は割高ではない」
「5%上昇は視野にある」
「アベノミクス成功なら長期上昇へ」
 と日本株に対して強気のコメント。
 そして、今週(5月25日~)に入って、ブラックロックの日本株大量保有が判明。
 ブラックロックは実際に日本株への投資を進めている模様。これは他のファンドも追随する可能性があることを示唆し、今週(5月25日~)も日本株は堅調に推移。
日経平均 日足(出所:米国FXCM)
 そして、海外勢が日本株に投資すると、為替でもヘッジの円売りが出るのが一般的。
米ドル/円 日足(出所:米国FXCM)
 ただ、先月(4月)は、米ドル/円が120円台に乗せると、浜田宏一内閣官房参与を筆頭に、本邦当局から円安牽制コメントが頻繁に出されたため、欧米のファンド勢は為替のヘッジが遅れていました。
 しかし、今週(5月25日~)は違って…

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ボックス相場上抜けで高値更新のドル/円、 上値のメドは124円台前半なのだが…

■米ドル/円はすでに3年以上、上昇トレンドが続いている 今回は、米ドル/円の分析を行なう。まずは、月足チャートをご覧いただきたい。
 月足チャートを見ると、2007年6月の高値124円台から始まった米ドル/円の下落トレンドを示すレジスタンス・ライン「一番右の緑の破線」を、2012年2月に上に抜けたことが読み取れる。 
米ドル/円 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 換言すれば、この「一番右の緑の破線」を中長期のレジスタンス・ラインととらえるならば、2012年2月に下落トレンドから上昇トレンドに転換した、と言える。
 2012年2月にトレンド転換したと考えるならば、もうすでに3年以上も「米ドル高・円安トレンド」が続いていることに留意する必要がある。
 ところが2012年の時点では、米ドル/円は2012年3月以降、下落に転じ、絶対水準で80.00円を割り込み、70円台で推移したことから、2012年は円高傾向の印象が強い状態となった。
 そして、2012年の時点では、確かに米ドル/円が安値75.32円を下に抜けると、つまり新値を更新すると(=歴史的最安値を更新すると)、「円高トレンド」が継続していると判断すべき状態だった、と考える。
 しかし、2012年11月の衆院解散の決定をきっかけに、米ドル/円は急上昇を始めた。政権交代が起これば(民主党政権から自民党政権に交代すれば)、金融緩和策が採られる、といった思惑が働いた、と考える。そして、この急上昇で、「米ドル/円のトレンドは、下落から上昇に転換した」ことが確認できた。
 再掲載した、下の月足チャートには、新たな中長期のレジスタンス・ライン「ピンクの破線」を表示している。  
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 個人的には、「このライン『ピンクの破線』は、時間が経過するとなくなる(=引く必要がなくなる)のではないか?」と考えていた。
 上述のとおりに、「2012年2月に『上昇トレンド』に転換した」と考えるので、このライン「ピンクの破線」は引かなくてもよい、と考える。
 つまり、「緑の破線」が中長期のレジスタンス・ラインであり、この「緑の破線」を上に抜けた時(2012年2月)に、トレンド転換が起こった、と考えるので、この「ピンクの破線」は必要ない、とも言える。
 ただし、相場を読む際に、便宜上、このライン「ピンクの破線」を表示しておいた方が都合が良い、と考える。
 この「ピンクの破線」を上に抜ける場合が、「買いシグナル」だった、と考えるからだ。
■急勾配すぎるサポートラインを緩やかにした結果… 月足チャートに、「紫の破線」でサポート・ラインを表示した。
 一昨年(2013年)の5月以降の値動きに注目すれば、サポート・ラインの引き方次第だが、このサポート・ライン「紫の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考えることができる。  
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 もともと、このサポート・ライン「紫の破線」は、過去のサポートラインと比べて、その傾きが急勾配すぎると考えていた。
 だから、このサポート・ライン「紫の破線」の傾きが緩やかになるような値動きを、今後するのだろうと予測していた。
 2014年8月下旬の値動きで、米ドル/円は急上昇を始めた。105円台ミドルを上に抜けて高値を更新したことで、サポート・ライン「紫の破線」の傾きを緩やかにする必要がある、と考える。
 それで、新たなサポート・ライン「赤の破線」を表示した。
 この新たなサポート・ライン「赤の破線」を引く場合は、従来のサポート・ライン「紫の破線」は、引かなくてもよい、と考える。
 従来のサポート・ライン「紫の破線」を引かない場合は、大局では、「売りシグナル」が発せられていないことになる(比較的小さな調整はあるとしても、大局では上昇が続いている)。
 また、月足チャートには超長期のレジスタンス・ライン「青の破線」を表示した。  
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 105円台ミドルを上に抜けたことで、このレジスタンス・ライン「青の破線」を上に抜け、「買いシグナル」を発した、と考える。
 続いて、週足チャートを…

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米ドル/円の上放れはホンモノと認定! 円安トレンド加速に要注意。倍返しだ!

■米ドル全体の調整はすでに終了した公算大 米ドル全体は下げ一服、至ってブル(上昇)基調回復の兆しを見せている。ドルインデックスは93の節目割れを回避して、96の節目手前にリバウンド、早くも底打ちの可能性を示唆している。
 この見方が正しければ、3月から続いてきた米ドル全体の調整は、すでに終了した公算が大きく、これからメイントレンド、すなわち米ドル高の展開が継続されよう。
 今回のドルインデックスの調整は、2月安値(93.25)が示したサポートゾーンの再確認といった意味合いも大きく、また、1月16日高値(93.26)と相俟って見ると、今回93.13前後における底打ちが整合性をもつ。
ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 このサポートゾーンを下回ると、場合によっては200日線(現在、約91)の打診があってもおかしくないから、底割れの回避自体が重要であった。
 一方、96前半から同後半が目先のレジスタンスゾーンで、上放れなしではなお下値リスクがくすぶるだろう。
 ドルインデックスの上昇モメンタムが強まっていくには、米サイドの経済指標が再度好転し、米利上げ時期についての市場関係者の確信が必要であるから、なお時間がかかるだろう。
 したがって、米ドル全体はこれからなお安値鍛錬の期間となる公算が大きいものの、底打ちしたという見方が強まり、米ドルの押し目買いといったストラテジーが総じて有効になるのでは…と思う。
■反発していたユーロは頭打ちか こういった判断は、ドルインデックスの対極として位置つけできるユーロ/米ドルの事情や動向からも確認できよう。
 前回のコラムでは、ユーロ/米ドルが1.15ドルの節目打診の余地ありと指摘していたが、実際は1.1467ドルに留まり、また反落してきたことで、ユーロの早期頭打ちが示唆された。
【参考記事】
●ドル全体の調整はしばし続く可能性大だがドル/円は118円台死守ならやがて上放れ(2015年5月15日、陳満咲杜)
ユーロ/米ドル 日足 
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足) 
 ユーロの頭打ちは、ファンダメンタルズとテクニカルの両方から「効き目」があったことに注意すれば、ユーロの早期頭打ち、またベア(下落)トレンドへの復帰といったシナリオを有力視できる。 
 ファンダメンタルズでは、ギリシャ問題よりも、ECB(欧州中央銀行)政策のほうがより重要かと思われる。
 何しろ、ギリシャはユーロ圏の一国にすぎないが、ECBの方はユーロ圏全域の金融政策を司るから、現在実行されているQE(量的緩和)策に変更があれば、マーケットに大きなインパクトをもたらす。
■クーレECB理事の衝撃発言がユーロリバウンドを阻止 そして、5月19日(火)、衝撃的な発言が伝わり、ユーロが急落した。クーレECB理事が、何と「ECBは、夏の閑散期の前に、QEのペースを加速させる」と言い、QEの拡大を示唆したのだ。
 実際は、この発言はマーケットに伝わった5月19日(火)の前日(すなわち18日)に、クーレ理事が英金融業者主催の催しで発したもので、一種の「インサイダー情報」になり得るといった問題も大きいが、ユーロのリバウンドを阻止するには絶妙なタイミングだった。
 ECBがQEを決定して以来の高値は1.1534ドル前後(2月)にあり、1.15の節目に接近してきたユーロのリバウンド自体、ECB関係者の立場からみると、牽制しなければならない値動きだ。
 また、ユーロ高の牽制が「口漏れ」といった形で行われるなら、あたかも市場自体の動向と受け取られやすいから、クーレ理事の「失言」は単純に額面どおりに受け取れない。言ってみれば、ECBに政策変更の余地ありと示唆し、ユーロ高を牽制する思惑があった。
 テクニカルの視点では、筆者が5月19日(火)に書いた…

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ECB理事が一部ヘッジファンドを優遇!? 今回のユーロ急落の裏にあった真相とは?

■クーレECB理事の発言でユーロ/米ドルが急落! 今週(5月18日~)は、ポジション調整がまだまだ終わっていないユーロ/米ドルが5月19日(火)の欧州時間に急落。市場参加者をあわてさせることになりました。
 事の発端は、クーレECB(欧州中央銀行)理事の発言。
 「ECBは、夏の閑散なマーケットになる前に、現在の量的緩和(QE)のペースを加速させる」とのヘッドラインは、ユーロ/米ドルを200ポイント以上急落させることになりました。
 アジア時間のユーロ/米ドルの高値が1.1326ドル。翌5月20日(水)には、一時1.1062ドルまで売り込まれる事態となっています。
ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
■ごく限られたパーティ参加者がユーロを売り込んだ!? ところで、この発言。
 実は、前日の5月18日(月)に英バークレイホテルで行われたディナーパーティーでのものでした。
 今や為替市場の方向性を作るとまで言われている英大手ヘッジファンドのブレバン・ハワードが主催したものでしたが、招待されたのは大手ファンドマネージャーなど、いわゆる「ごく限られた面々」。
 その場で発言されたクーレECB理事の「QE加速宣言」は、何と12時間以上経った翌日の朝9時に、ECBから公式に公表されたわけです。
 ブレバン・ハワードをはじめとする「ごく限られた」市場参加者がユーロ/米ドルを売り込んだのは言うまでもなく、一部からは、「発言が公になった後も、畳み掛けるように大量のユーロ/米ドルを売り浴びせた」との声も聞かれています。
 ECBからは、発言の公表が遅れた理由として「内部処理上のエラー」とのアナウンスが出てはいるものの、言葉通りに受け止める向きが少ないのは言うまでもないでしょう。
公式発表が出るかなり前に、一部の大手ファンドマネージャーなどに対してだけ「QE加速宣言」をしていたクーレECB理事。何の目的があって、そのようなことをしたのだろうか? (C)Bloomberg
■ポジションの整理が一巡しない限り、再び上値を試す動きに この一件で、ECB関係者による市場とのコミュニケーション手段の整合性を問われることになってはいますが、市場が大きく動いてしまったことも紛れもない事実。
 こういった不測のリスクとも常に面合わせしていることを認識しておきたいものです。
 ただ、冷静になって考えてみると、クーレECB理事の発言の意図は、「QEそのものを拡大する」ことではなく、あくまでも、夏休みの間のオペレーション的な問題として買取額を減額せざるを得ない中で、その分を5月、6月に前倒しするということに他ならず、結局は同じことになると考えるのが妥当でしょう。
 ユーロ/米ドルは、一時的な急落となりましたが、私としては、まだまだポジションの整理が一巡しない限りは、再び上値を試す動きとなるのではないかと考えています。
【参考記事】
●株価の「5月急落説」が考えにくいワケは?ユーロ/ドルはなぜ、まだ上昇余地がある?(5月14日、今井雅人)
ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
 目先は乱高下となってはいるものの、市場に与えたプチショックが終われば、再び底堅くなってくるでしょう。
 一方、米ドル/円ですが…

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「子くじら」の出現で、米ドル/円は122.50円 への上昇濃厚! 上抜ければ125円も視野に

■米ドル/円はレジスタンスの122円に再び接近 みなさん、こんにちは。
 4月23日(木)のコラムでご紹介した米ドル/円ですが、大方のコンセンサスどおり、118円台でボトムアウトし、じり高で推移。これまでの高値は5月21日(水)につけた、121.48円。
【参考記事】
●ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円へ上昇するのが濃厚と考える理由とは?(4月23日、西原宏一)
 米ドル/円は、じわじわとレジスタンスである122.00円に再び接近してきました。
米ドル/円 日足(出所:米国FXCM)
■米ドル/円の118円台では「くじら」がサポート 米ドル/円は、2015年4月~5月にかけて、何週にもわたり、118.00円割れをトライしたのですが、執拗な米ドル買い需要にサポートされました。
 特に、4月30日(木)に日経平均が1日で500円強という急落劇を演じた局面でも、米ドル/円は118.00円を割り込めず、安値は118.50円どまり。
日経平均 日足(出所:株マップ.com)
米ドル/円 日足(出所:米国FXCM)
 118円台で米ドル/円が底堅い動きを見せていた背景には、マーケットのウワサどおり、くじら(日本銀行、ゆうちょ銀行、3共済、かんぽ生命、GPIF)の存在が挙げられます。
 そのくじらに関しては、「巨大くじら」であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)からのリスク資産買いがそろそろ一定額を終えて、彼らからの米ドル買い需要が細ってきているという報道も見受けられます。
 しかし、ここにきて脚光を浴びているのが…

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反発していたユーロ/米ドルだが短期の サポートラインを割り込み「売りシグナル」

■ユーロ/米ドルは月足で高値圏での乱高下だったが… 今回は、ユーロ/米ドルの分析を行なう。まずは月足チャートをご覧いただきたい。 
ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 月足チャートで見ると、ユーロ/米ドルは、0.8500ドル近辺(安値は、0.8200ドル近辺)から、1.6000ドル近辺まで大きく上昇している。
 1.6000ドルの高値をつけて以降は、安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンで大きく上下動を繰り返した。
 この「安値1.2000ドル程度-高値1.6000ドル程度のゾーンでの大きな上下動」は、個人的には、「高値圏での乱高下」だと、判断している。
 いつもではないのだが(必ずではないのだが)、一般的に、「高値圏での乱高下」は、「売りのシグナル」である。
 つまり、この大きな上下動は、いずれネック・ライン(下限)を下に割り込むことを示唆しているのだろう、と推測していた。
 このネック・ライン(下限)は、1.2000ドル近辺のことで、ネック・ライン(下限)を割り込む場合は、その後で、大きく下落する、と考える。 
 上述のように考えていたところ、1.2000ドルを割り込んだ。
 重要な節目(=チャート・ポイント)である1.2000ドルを割り込んだことで、「売りシグナル」を発した、と考える。
 サポート・ライン「緑の破線」は、その傾きを緩やかにして、2013年7月の安値1.27ドル台ミドルに合わせている。
 月足チャートを見てのとおりに、ユーロ/米ドルは、このサポート・ライン「緑の破線」を割り込んでいる。 
ユーロ/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 このサポート・ライン「緑の破線」を割り込んだ時点で、まず「売りシグナル」を発した、と考える。
 月足チャートに長期のサポート・ライン「赤の破線」を表示した。
 見てのとおり、ユーロ/米ドルはこの長期のサポート・ライン「赤の破線」を割り込み、その時点でさらなる「売りシグナル」を発した、と考える。
 高値1.4000ドル近辺からの下落に合わせて、レジスタンス・ライン「緑の破線」を加筆した。
 中長期のチャート(この月足チャート)で判断するならば、「赤の破線」を割り込んで発せられたこの「売りシグナル」のターゲットは、「紫の破線」で表示した1.18ドル台の水平線と考える。
 そして、月足チャートを見てのとおりに、上述のターゲットは、達成した、と考える。
■月足のウェッジを下抜けし、さらなる売りシグナル点灯 チャートに、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」を表示した。2008年以降のユーロ/米ドルが、下落トレンド(下落傾向)にあることを示している、と考える。 
ユーロ/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 また、1.18ドル台に「紫の破線」で水平線を表示した。
 これらの2本の「紫の破線」に注目すると、ユーロ/米ドルは、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成した、と考える。
 2015年年初の値動きで、重要なチャート・ポイント1.2000ドルを割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
 そして、1.18ドル台の水平線「紫の破線」を、割り込み、「三角保ち合い(ウェッジ)」を下に抜けて、さらなる「売りシグナル」を発した、と考える。
■下落のターゲットは1.0000ドル近辺か 続いて、もう1つ別の月足チャートをご覧いただきたい。このチャートには、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」の平行線を表示した。  
ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 そして、長期のレジスタンス・ライン「紫の破線」とその平行線「紫の破線」の値幅を示すために、「緑の破線(両端矢印)」を表示した。
 この月足チャートを俯瞰すると、中長期のサポート・ライン「赤の破線」を割り込んで「売りシグナル」を発し、1.18ドル台の水平線「紫の破線」を割り込んでさらに「売りシグナル」を発した、と考える。これらの「売りシグナル」のターゲットは、パリティ(1.0000ドル)近辺と考えることができる。
■「ヘッド&ショルダー」のターゲットも1.0000ドル 続いて、3つ目の月足チャートをご覧いただきたい。
 ユーロ/米ドルの中長期のチャートの形状から、「ヘッド&ショルダー(※)」の可能性を考えていた。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされてい る。典型的なものは3つの山がある形で、これを人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼 ぶこともある)  
ユーロ/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
 当初は、3つの山で「ヘッド&ショルダー」を想定したのだが、3つの山では「ヘッド&ショルダー」を完成せずに、1.20ドル台から1.4000ドル近辺まで上昇した。
 しかし、1.4000ドル近辺から反転下落し、4つ目の山を作った、と考ええる。
 そして、1.2000ドル近辺(正確には、1.18ドル台ミドル)のネック・ラインを下に抜けて、4つの山の「ヘッド&ショルダー」を完成した、と考える。
 ネック・ライン(1.18ドル台ミドルの水平線)「紫の破線」を割り込んだ時点で、「ヘッド&ショルダー」を完成させて、「売りシグナル」を発した、と考える。
 この「ヘッド&ショルダー」のターゲットは、すでに述べたとおりに、パリティ(1.0000ドル)近辺、と考える。
 続いて、週足チャートをご覧いただき…

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ドル全体の調整はしばし続く可能性大だが ドル/円は118円台死守ならやがて上放れ

■足元の米ドルの調整は、今後の米ドル高の基盤固め 米サイドの経済指標が引き続き軟調で、米ドル全面安が進んでいる。一部市場関係者は年内米利上げなしの可能性にも言及しており、これが米ドルの圧迫要素として効いている格好だ。 
米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
(※米ドルの強さを見やすくするため、このチャートには“逆転通貨ペア”が含まれています。これにより、この一覧チャートでは、米ドルが上がるとすべてのチャートが上昇する形になっています。)
 もっとも、これまで米早期利上げに対する期待感が過大で、米経済成長見通しに関する見方も楽観的すぎたところがあった。3月までの米ドル全面高はオーバーボートの疑いが大きかっただけに、足元の市場センチメントの修正は、健全化の一環として受け止められる。
 言い換えれば、足元まで続く米ドルの反落は、これからの米ドル高の基盤を固める上で、むしろ必要であり、これが米ドル高トレンドの健全化につながるとみられる。
■米ドルの調整はもう少し続く可能性大 目先の焦点は、当然のように調整のメドに集まる。
 ドルインデックスで見ると、2月安値93.25を一時下回ったから、92.25~92.50といった下値ターゲットの打診を覚悟しておきたい。
ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM)
 この下値ターゲットの根拠については、昨日(5月14日)、筆者のブログにて開示しているから、ここでは重複して説明しないが、要するに米ドルの調整は、もう少し続く可能性が大きいということだ。
■ユーロ/米ドルの売りはまだ時期尚早か となると、ドルインデックスの対極として、ユーロ/米ドルの反騰も目先なお上値余地ありという結論が得られやすい。1.14ドルの節目をブレイクしたユーロ/米ドルは、1.15ドルの節目がらみまで反騰余地を拡大してもおかしくないだろう。
ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
 メインストラテジーのユーロ売りは、なお時期尚早の感があり、より良いタイミングを待たなければならないだろう。
 実際、ユーロの切り返しはドイツ国債利回りの急上昇とリンクしており、ユーロクロスの底固さも、その整合性を示している。 
ユーロVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 4時間足)
 ユーロ/英ポンド、ユーロ/豪ドルなど、ユーロクロスが揃って底割れ回避の兆しを示し、これがユーロの反騰につながっている。そして、もっとも注目されているのはユーロ/円であろう。
 ユーロ/円は今週(5月11日~)、続伸し、2月高値に接近している。この値動きは、筆者が5月1日(金)のコラムにて指摘ずみで、想定内であり、今さら特筆するところはないが、ユーロ/円を中心としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の状況を再検証し、円全体のトレンドを探ってみたい。
【参考記事】
●ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか(2015年5月1日、陳満咲杜)
 主要クロス円の中では、英ポンド/円の騰勢が…

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ドイツ国債利回り再上昇でユーロ高継続。 反発中のユーロ/円に注目する理由とは?

■英ポンド/円は節目の190円に急接近 みなさん、こんにちは。
 前々回の当コラムでご紹介させていただいた英ポンド/円ですが、英国の総選挙前後から上げ幅を拡大して、一時、188.60円まで急騰。
【参考記事】
●英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、ここに来て、英ポンドは注目を集めている?(4月30日、西原宏一)
●ポンド/円取引が熱い熱い熱い熱い! 急上昇中のポンドを取引するならここだ!
 5月に入って、英ポンド/円はすでに9円弱高騰しており、節目の190円に急接近。
英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
 そして、先週のコラムで取り上げたユーロですが、ユーロ/英ポンドの影響で下落する局面もありましたが、今週(5月11日~)に入って再び上値追いが続き、ユーロ/円も英ポンド/円の上昇に遅れながらも、135円台を回復しました。
【参考記事】
●人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか(5月7日、西原宏一)
ユーロ/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
■ドイツ国債利回り再び上昇で、ユーロ高に こちらも先週のコラムでご紹介させていただいた、ドイツ10年物国債ですが、いったん0.80%付近まで利回りが急騰した後は、あっという間に反落。
【参考記事】
●人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか(5月7日、西原宏一)
 しかし、今週(5月11日~)に入っても、ECB(欧州中央銀行)トレードの調整が続き、ドイツ10年物国債利回りは、13日(水)に再び0.74%まで上昇してきました。
ドイツ10年物国債利回り(ドイツ長期金利) 1時間足(出所:CQG)
 ドイツ10年物国債利回り急騰から、独DAXは反落。そして、ユーロ/米ドルは1.14ドル台まで回復しています。
ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
 ECBが大量に資金を供給していることから、ドイツ10年物国債にはいずれ買いが戻ってくるというのがコンセンサス。
 ただ、今年(2015年)に入って、急激に展開されたデフレトレード(独国債ロング、独DAXロング、ユーロショート)によるポジションのアンワインド(巻き戻し)がもうしばらく続きそうです。
  こうしたユーロ反発の中、注目は英ポンド/円と…

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