月: 2015年5月

株価の「5月急落説」が考えにくいワケは? ユーロ/ドルはなぜ、まだ上昇余地がある? ブログ

株価の「5月急落説」が考えにくいワケは? ユーロ/ドルはなぜ、まだ上昇余地がある?

■ユーロ/米ドルはもう少し上昇余地があると考えたい 前回のコラムの中で、米ドル/円は、ポジションがあまり溜まっていないので、下落リスク(米ドル安・円高)はそれほどないが、ユーロ/米ドルはポジションが、まだかなりショートなので、もう少し上昇(ユーロ高・米ドル安)するかもしれないという予想をしました。

【参考記事】

●日経平均2万円達成で官製相場も終盤に!? 調整済みのドル/円よりユーロ/ドルに注意(5月7日、今井雅人)

 直近の動きを見てみると、大体そのような動きになっていると思います。

米ドル/円 日足 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 直近のIMM(国際通貨先物市場)のポジションの様子を見ても、あまりショートポジションが減っていません。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)

 であれば、もう少し上昇の余地はあると考えておいた方が良いのではないかと考えています。

■GPIFなどが米ドル/円の利益確定売りを飲み込んだか そこで、1つ疑問があります。

 IMMの米ドル/円ポジションを見ると、2015年に入って米ドル買い・円売りポジションが、段階的に減ってきていたにもかかわらず、相場は崩れませんでした。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

 つまり、投機筋が、米ドル/円の買いポジションを減らすために米ドル/円を売っても、米ドル/円は下がらなかったということになります。

 それは、どうしてでしょうか?

 おそらく、米ドル/円が120円を達成したことで、投機筋の中に高値警戒感が出てきて、1回利益を確定しようという動きが出たのでしょうが、その間も、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のような公的資金から断続的に米ドル買い・円売りが出てきたので、利益確定の米ドル売りを飲み込んでしまったのだと思います。

■ユーロ/米ドルはショートカバーの影響で上昇 一方、ユーロ/米ドルは、売り材料が満載だったため、投機筋は全力で売りを仕掛けてきたのですが、どうも分が悪くなってきました。

 そのため、ユーロ/米ドルの買い戻しを少しずつ出しているのですが、米ドル/円であったような実需の米ドル買いが出てこないため、相場もショートカバーの影響で上がってしまうという状態になっています。

ユーロ/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)

 おそらく、市場では、このようなことが起きてきたのではないかと私は考えています。

 そう考えれば、ユーロ/米ドルは、まだ上昇する余地があるという見方もできるということではないでしょうか。

 さて、金融市場全体に目を…
豪ドル/米ドルの大局は下落トレンドだが、 本格的な調整反発となる可能性に注意! ブログ

豪ドル/米ドルの大局は下落トレンドだが、 本格的な調整反発となる可能性に注意!

■月足の「高値圏での乱高下」が後々の下落を示唆 今回は豪ドル/米ドルの分析を行なう。まず、月足チャートからご覧いただきたい。

 月足チャートを見ると、豪ドル/米ドルは一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」を割り込み、その時点で「売りシグナル」を発したと考える。 

豪ドル/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 上のチャートでは、一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」の傾きを緩やかにして、実際の相場に合わせ調整している。

 豪ドル/米ドルは高値圏で「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」を形成していたと考える。

 そして、ボックス相場「紫の破線」の下限を割り込み、さらなる「売りシグナル」を発したと考える。「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」は、「高値圏での乱高下」と考えることができる。

 「高値圏での乱高下」は、後々の下落を示唆するケースが多々ある。

このボックス相場「紫の破線」の下限を割り込んだことで、大きく下落する可能性を示唆していると考える。

■ボックス相場下抜け後も乱高下を続ける 豪ドル/米ドルは0.9400ドルを割り込み発せられた「売りシグナル」に従い、0.88ドル台にまで下落したが、0.88ドル台から急反発して、0.97ドル台にまでリバウンド(反転上昇)した。  

豪ドル/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 しかし、2013年12月18日(木)のFOMCで、「テーパリング(量的緩和策の縮小)実施」が発表されたことを材料に、豪ドルは再度大きく下落し、0.86ドル台の安値をつけている。

 しかし、0.86ドル台の安値から今度は大きく急騰し、戻り高値は0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)をつけている。

 戻り高値の0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)から、再び大きく下落している。

 豪ドル/米ドルは、「ピンクの破線」で示した「上値0.9800ドル程度-下値0.8600ドル程度」のボックス相場を形成していた、と考える。 

豪ドル/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 このボックス相場「ピンクの破線」の下限を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 この「売りシグナル」に従い、豪ドル/米ドルは、大きく下落した。それで、一番右のレジスタンス・ライン「緑の破線」を表示した。

 月足チャートには、ボックス相場「赤の破線」とボックス相場「ピンクの破線」を表示している。これは、後で掲載する週足チャートに表示したボックス相場と同じものだ。

 0.8600ドル近辺を下に抜けたことで、ボックス相場「ピンクの破線」下限を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 ボックス相場「ピンクの破線」下限を割り込んだ時点で、新安値を更新したので、「売りシグナル」を発した、と考えることもできる。

 この「売りシグナル」に従い、相場は下落して今のところ、0.75ドル台の安値をつけている。

 すでに大きく下落したが、まだ底打ちしたとは言えない、と考えている。

 安値を更新する場合は、その時点で、さらなる「売りシグナル」点灯になる状況が続いている、と考える。

■週足では、ボックス相場を上抜けし、ターゲットを達成 次に、週足チャートをご覧いただきたい。

 豪ドル/米ドルは、0.6000ドル近辺から、1.1000ドル近辺に大きく上昇したが、その上昇過程では、サポート・ライン「緑の破線」に従っていたと考える。 

豪ドル/米ドル 週足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 豪ドル/米ドルは、「赤の破線」で示した「下値0.8000ドル-上値0.9400ドルのボックス相場」を上に抜けたことで、「買いシグナル」を発して上昇した。

 そして、ボックス相場のセオリーどおりに、ボックスの値幅分(1400ポイント)上昇してターゲットを達成したと考える。

 「赤の破線」で示したボックス相場を上抜けしてからは…
<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計がどうあれドル/円底割れ回避か。</i> 消去法での円売り、ユーロ売りが再び進む ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計がどうあれドル/円底割れ回避か。</i> 消去法での円売り、ユーロ売りが再び進む

■米雇用統計がどうあれ、米ドル/円は底割れ回避か ドルインデックスが反落を続ける中、米ドル/円が保ち合いを維持しているがゆえに、ユーロ/円、英ポンド/円の強さが目立つ。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 特に英ポンド/円は、英選挙情勢を反映し、英ポンド/米ドルの切り返しとリンクした形で2月高値を突破し、前回のコラムで指摘した187円の上値ターゲットに一段と近づいてきた。

【参考記事】

●ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか(2015年5月1日、陳満咲杜)

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 選挙の最終結果、また、本日(5月8日)の米雇用統計次第で、市場がまた波乱となってもおかしくないが、円買い基調は当面遠のいたと言える。

 もっとも、たびたび指摘してきたように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)経由の影響を考えると、ドルインデックスがブル(上昇)基調を保った上でスピード調整を行っている間は、米ドル/円の底堅さにつながりやすいから、今はまさにそのような市況だと思う。

 本日(5月8日)の米雇用統計の影響を考慮しても、基本的には米ドル/円は底割れを回避でき、上放れの公算が高いとみる。

米ドル/円 日足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■ドルインデックスの反落はあくまでスピード調整 言うまでもないが、ドルインデックスのメイン基調も重要だ。

 3月高値を起点とした反落波の値幅が拡大されている足元では、米ドル高のトレンドがすでに転換されたのでは…といった見方も浮上しているが、米金融政策が規定路線どおり進んでいる以上、米ドル高トレンドの早期終焉といったシナリオ自体、かなりリスクの高い判断だと思う。

 言い換えれば、3月高値からの反落は、あくまで米ドル高に対するスピード調整と見なした方が無難だ。

ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM)

 今晩(5月8日)の米雇用統計次第で、利上げ時期に関する思惑はまたくすぶるが、利上げ路線が変わらない限り、それは時間の問題であり、FRB(米連邦準備制度理事会)の出口政策は、すでに実施されているという事実も変わらない。

 また、足元まで米ドル全体の反落の値幅が拡大している原因は、米ドル自体の問題のみではなく、諸外貨サイドの要素も重なったところが大きい。

 ユーロサイドでは、ギリシャ問題の先送りや… 
人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか ブログ

人生最大の売りチャンスで独国債急落! 独国債利回り急騰でユーロは上値追いか

■ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入る みなさん、こんにちは。

 2015年のマーケットの主役は、相変わらずユーロ圏ですが、ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入っています。

ユーロVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)

 先週のコラムでご紹介した英ポンド/円は、182円台と高値圏で推移していますが、英総選挙を直前に控え、いったん調整気味。

【参考記事】

●英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、ここに来て、英ポンドは注目を集めている?(4月30日、西原宏一)

英ポンド/円 日足(出所:米国FXCM)

 その間隙をぬって、ユーロ/円が135円を超える上昇を見せています。ユーロ/米ドルも1.13ドル台へ。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

■ビル・グロス氏の発言きっかけにドイツ国債利回りが急騰 このところ、ドイツ10年国債利回りが急騰しています。

 これは、4月21日(火)のビル・グロス氏(※)による下記のコメントがきっかけ。


「人生最大のドイツ国債売りのチャンス」

 彼のコメント以降、ECB(欧州中央銀行)がQE(量的緩和策)を実施しているにもかかわらず、ドイツ10年国債利回りは急騰しています。

【参考記事】

●すさまじいECBのQE開始でユーロ急落! ユーロ/円は120円に向けて続落か(3月12日、西原宏一)

(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、米国の債券運用会社「パシフィック・インベストメント・マネジメント・ カンパニー(PIMCO)の共同創業者で、「債券王」との異名を持つ世界的に有名なファンドマネージャー。2014年にPIMCO社を退社し、現在は、米 国の資産運用会社「ジャナス・キャピタル・グループ」に所属している)

ドイツ10年国債利回り(ドイツ長期金利) 日足(出所:CQG)

 ドイツ10年国債利回りは、本稿執筆時点までの段階で一時、0.58%と、4月下旬のボトムから50ベーシスポイントもの急騰(※)。

 呼応して、米国10年国債利回りも、2.2%台と3月上旬以来の水準まで上昇しています。

(※編集部注:その後、ドイツ10年国債利回りはさらに爆上げ。5月7日(木)の欧州時間に一時、0.79%付近まで上昇している模様)

米10年国債利回り(米長期金利) 日足(出所:CQG)

 グローバルな国債利回りの急騰に連れて、株式相場も反落。

 欧州や米国など、他の株式相場の下落に連れて、日経平均も急落しており、本稿執筆時点では、1万9290円と1万9300円を割り込んでいる展開。

 この動きは「セル・イン・メイ(Sell in May)」と…
豪ドル/円はもう一段上昇もあり得るが、 95円台近辺で買うのはやめた方がよい! ブログ

豪ドル/円はもう一段上昇もあり得るが、 95円台近辺で買うのはやめた方がよい!

■豪ドル/円は月足でボックス相場を形成中 今回は豪ドル/円の分析を行なう。まずは、月足チャートをご覧いただきたい。

 月足チャートを見ると、右端のサポート・ライン「緑の破線」に沿った上昇が続いた結果、「紫の破線」で示した「下値72円-上値90円のボックス相場」を上に抜けて、「買いシグナル」を点灯させて上昇したことがわかる。

豪ドル/円 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 この「買いシグナル」で、豪ドル/円は、105円台の高値をつけているが、105円台から86円台にまで大きく急落している。

 86円台からは、再び大きく反発(上昇)して、今のところ、102円台後半の高値をつけている。

 俯瞰すると、豪ドル/円は、「赤の破線」で示したボックス相場を形成中と考える。

 現在の豪ドル/円は、このボックス相場「赤の破線」に注目するべき、と考えている。

 直近の値動きで、右端のサポート・ライン「緑の破線」を割り込んだようにも見える。

 明確に、割り込む場合は「売りシグナル」だが、現時点では微妙で、「売りシグナル」とは判断できない状況だ。相場が、このまま反転上昇する場合は、右端のサポート・ライン「緑の破線」の傾きを緩やかにして、修正することになるからだ。

 この月足チャートでは、右端のサポート・ライン「緑の破線」の傾きを少し緩やかにして、修正している。

■最近の動きは2007年、2008年ごろの値動きに似ている 参考に、2007年、2008年ころの値動きに「ピンクの破線」でボックス相場を表示した。

豪ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 この頃は、ボックス相場「ピンクの破線」の内側で、サポート・ライン「緑の破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を何回か発したのだが、その都度、反発(上昇)している。

 そして、最終的には、ボックス相場「ピンクの破線」を下に抜けて、「売りシグナル」を発した。

 最近の値動きが、この頃に似ている、と感じている。つまり、時間が経過すると、現在のボックス相場「赤の破線」を割り込むことで明確な「売りシグナル」を発することになるのではないか、と考えている。

■週足では2009年半ばから2012年までボックス相場 続いて、週足チャートをご覧いただきたい。豪ドル/円は2009年半ばから2012年までの期間、「緑の破線」で示した「下値72円-上値90円の18円幅のボックス相場」を作った。 

豪ドル/円 週足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 2013年の初めに、このボックス相場を上に抜けたことで「買いシグナル」を発して、上昇を始めた。

 ボックス相場のセオリーに従うならば、ボックス相場上抜けの場合は、上限からボックス相場の値幅分上昇したところがターゲットになる。

 このケースでは、上限が90.00円、ボックス相場の値幅が18円だから、ターゲットは、108円になる。

 しかし、すでにターゲットを達成した可能性があることに留意する必要がある。

 この時点での高値は、105円台半ば(105.40-50円)程度だ。

 ターゲットは108円程度なので、まだ2円ほど余地がある、と考える人もいることだろう。

 しかし、チャート分析でのターゲットは、そのような厳密なものではなく、「だいたいこのくらい」といった「いいかげんなもの、大まかなもの」だ。

 豪ドル/円は105円台の高値から下落に転じ、「紫の破線」で示したボックス相場を形成していた、と考える。 

豪ドル/円 週足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 そして、ボックス相場「紫の破線」の上限を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。

 月足チャートに表示したボックス相場「赤の破線」を、週足チャートにも、同じように、「赤の破線」で表示した。

 繰り返しになるが、現在は、「赤の破線」で示した大きなボックス相場を形成中であり、このボックス相場「赤の破線」に注目するべき、と考えている。

 直近の値動きで、サポート・ライン「青の破線」を割り込んだようにも見えた。しかし現時点では微妙で、「売りシグナル」とは判断できない、と考える。

 サポート・ライン「青の破線」の傾きを、少し緩やかにして、修正した。

 次に、日足チャートをご覧いただき…
日経平均2万円達成で官製相場も終盤に!? 調整済みのドル/円よりユーロ/ドルに注意 ブログ

日経平均2万円達成で官製相場も終盤に!? 調整済みのドル/円よりユーロ/ドルに注意

■米国の早期利上げ期待低下で米ドル高に変化 GW(ゴールデンウィーク)も終わり、日本も、また本格的な活動が始まります。日本がお休みであった1週間の間に、世界の金融市場ではこれまでのトレンドを調整する動きが出てきています。

 まず、その1つの要因となっているのは、前回のコラムでもご紹介したとおり、米国の利上げが先に伸びる可能性が高まったことで、利上げを前提とした米ドル高という期待感が低下してきたことがあると思います。

【参考記事】

●大義名分なき追加緩和を見送った日銀!米FOMC利上げは6月ではなく9月頃か(4月30日、今井雅人)

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

■まずは、米雇用統計に注目したい! 最近の米国の経済指標は、まだら模様で、そのことが早期利上げ期待を低下させています。ですから、今後も、これからの米国の経済指標をよく見ておく必要があるでしょう。

 目先の注目は、明日5月8日(金)に発表される米国の雇用統計4月分。非農業部門雇用者数変化が前月比23万人増加、失業率5.4%となると予想されています。

 この動向をよく見ておきたいと思います。

米雇用統計(失業率&非農業部門雇用者数変化の推移)(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

■イエレン発言で米国株下落&長期金利上昇 一方で、それとは少し違った観点ですが、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が興味深いことを発言しています。

 昨日、5月6日(水)の講演での発言ですが、「現時点で株式市場のバリュエーションが、総じてかなり高くなっていることに留意してほしい」と警告を発したほか、「債券の安全資産のリターンに比べれば、株式のリターンはさほど高くない。債券のリターンも非常に低い。しかし、ここに危険性が潜んでいる可能性がある」との懸念を表明。

 また、「債券利回りは、FOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが始まったところで、急激に上昇する可能性がある」ことにも言及しました。

 つまり今の米国の株価は高過ぎるし、長期金利は低過ぎるという警告をしたワケです。

 この発言を受けて、米国の長期金利が急上昇、株価も軟調に推移しています。

米国10年債利回り(長期金利) 1時間足(出所:CQG)

米国株(US30) 4時間足(出所:米国FXCM)

 利上げの時期が先送りになったのに、こういう動きになるのは、一見逆の動きのように見えますが、それだけ、市場が一方向に歪み過ぎているので、実際に利上げが始まる前に調整しておきたいというイエレンFRB議長の意思表示に反応しているということだと思います。

 また、ドイツを始め、欧州の長期金利も…
<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。</i> ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>ユーロ/ドルの下落トレンド転換判断は早計。</i> ドル/円はいよいよ三角保ち合い上放れか

■ドルインデックスの反落は、トレンド転換なのか? 米ドル安・円安の同時進行、といった市況が鮮明になりつつある。

 米ドル全体のパフォーマンスを示すドルインデックスの反落は大きく、3月安値を下回ると下落は加速。昨日(4月30日)はメインサポートラインにトライしていたほどだ。

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 ドルインデックスの反落は、米第1四半期GDPが芳しくなかったことにより加速したが、テクニカルの視点では、大きなサインがあった、4月27日(月)の筆者のツイートをもって説明したい。

 要するに、4月13日(月)高値99.99を「ヘッド」と見なし、4月6日(月)と4月27日(月)安値を連結した「ネックライン」を下回ったから、「ヘッド&ショルダーズ(※)」の下放れが成立し、一段と下落余地が拡大したわけだ。ちなみに、この下放れの下値計算値は、すでに達成されている。

 ここに来て、2014年5月安値を起点とした大型米ドル高トレンドが、一服しただけではなく、すでに転換したのではないかという見方もある。トレンド転換の可能性を測る「1-2-3」の法則に沿って、ドルインデックス日足におけるポイントを表示すると、以下のチャートのようになる。

【「1-2-3の法則」に関する参考記事】

●「1-2-3の法則」に基づくトレードの例(「材料はどうにでも解釈できる。そんなことより相場の本音を聞け!」(陳満咲杜)より)

●「1-2-3の法則」とは?(「中川問題は関係ない!? 為替相場で円安が進んでいる本当の理由」(陳満咲杜)より)

(※編集部注:「ヘッド&ショルダーズ」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。典型的なものは3つの山がある形で、これを人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダーズ」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)

ドルインデックス 日足(4月29日作成、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 具体的な解釈は筆者のブログに記載しているので、ここでは省略するが、米ドル高トレンドが転換されるなら、ユーロをはじめ、諸外貨のベア(下落)トレンドも修正されるはずであり、ユーロ危機はすでに終焉したと思われることになるが、果たしてそうなるだろうか。

■ユーロ/米ドルの反騰はスピード調整と解釈するのが妥当 ユーロ/米ドルのGMMAチャートで見ると、2014年5月高値から一貫してベアトレンドを推進してきたユーロは、初めてレジスタンスゾーンを示す長期線グループ(ピンク)を上回っているが、メインレジスタンスライン(緑)にはほど遠い位置にあることがわかる。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:アイネット証券)

 となると、3月安値を起点とした切返しをトレンド転換と認定するには性急で、売られすぎだった状況に対するスピード調整、といった位置づけが妥当であることが示唆される。

 この見方は、月足でみると…