ユーロ/米ドルは、1.1200ドルを抜けるかが ポイントに。米国の3月利上げはほぼ確実、 金利上昇を背景に米ドル高へ戻る可能性

FOMCは全体的に予想どおりの結果に FOMC(米連邦公開市場委員会)の話から始めたいと思います。
 1月25日(火)、1月26日(水)と米国のFOMCが開催されました。
 今回は、利上げをいつから開始するのか? 量的緩和政策を今後どうしていくのか? について、より具体的な言及があるのではないかと市場の関心は非常に高まっていました。
 まず、経済に対しては「経済活動と雇用の指標は引き続き強さを増している」と強気の見解を見せています。
 足元のオミクロン株感染拡大の影響はあるものの、基本的には経済は強いという見通しを示しています。
 次に、金融政策に関してですが、利上げについては、今回は政策金利であるFF金利(※)を据え置いたものの、「インフレ率が2%をはるかに上回っており、労働市場も強いことから、FF金利の目標レンジを引き上げることがまもなく適切になると予測している」と言っています。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
 これで、3月FOMCでの利上げはほぼ確実になりました。
 次に量的緩和については、「毎月の資産購入ペースを引き続き減らし、3月上旬に終了することを決定した」として、テーパリングは3月に完了するとしています。これもほぼ予想通りでした。
 また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、会合後に開かれた定例記者会見の中で、「インフレリスクは引き続き上向き」「バランスシートはかなりの量を縮小する必要がある」と発言しました。
 全体的に、予想どおりの結果ではありました。
株価の下落がそれほどでもなく、円高にはならず、米ドル高になる展開に 発表を受けての金融市場の反応ですが、NYダウは発表後下落しましたが、下落幅はそれほどでもありませんでした。
NYダウ 15分足(出所:TradingView)
 次に米長期金利(米10年債利回り)ですが、1.7%台後半から1.8%台後半に上昇しています。
米長期金利(米10年債利回り) 15分足(出所:TradingView)
 問題のFX市場ですが、株価の下落が最終的にはそれほどでもなかったので、円高にはならず、全体的に米ドル高になる展開となりました。
米ドルVS世界の通貨 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 15分足)
米国の利上げのペースをほぼ市場は織り込んだのでは。リスクオフへの警戒は弱めてよさそう 実は、FOMC開催前の数日間に、米国の株式市場は乱高下をしました。
 NYダウは1日のうちに急落して、一気に戻すという動きを2日連続でしています。
NYダウ 日足(出所:TradingView)
 こういう動きは、それまでの流れの終わりを示すことがよくあります。
 金融引き締めに対する警戒感は、ある程度市場が消化して会合に臨んだということで、FOMCの後もリスクオフの動きはほとんどなかったということではないかと思います。
 その上で、今後の動きですが、今回の反応を見ていて感じることは、現時点で決まっている米国の利上げのペースは、ほぼ市場は織り込んだのではないかということです。
 今後利上げのペースを速めるようなことがなければ、リスクオフへの警戒はいったん弱めてもいいのではないかと思います。
米ドル/円は113円台半ばが当面の底になった可能性。買い方向でよさそう そうなってくると、米長期金利の上昇を背景とした米ドル高の方向に戻るという可能性が高まったといえるのではないでしょうか。
 米ドル/円は2度、113円台半ばを挑戦しましたが、2回とも持ちこたえました。
 ちょうど一目均衡表雲のあたりでもあったので、ここが当面の底になった可能性が高いと思います。
 また一気に116円を目指すような展開にはならないと思いますが、下値はしっかりしていますので、買い方向でいいと思います。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 また、ユーロ/米ドルは1.1200ドルが視野に入ってきました。ここを抜けるかがポイントです。抜ければさらなる下落が期待できます。注目しておきましょう。
ユーロ/米ドル 週足(出所:TradingView)

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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