米ドル買い戦略を継続! FOMCメンバーは 考え方をすり合わせ、強気方向に統一している
2021-08-12
最初に発言したのが、クラリダFRB(米連邦準備制度理事会)副議長です。彼は、8月4日(水)にこう発言しました。
「米経済が金融当局の予想どおりに推移した場合、当局は債券購入のテーパリング(段階的縮小)について年内に発表し、2023年には利上げを開始する」
クラリダ副議長はこのように見通しを示したのです。
【参考記事】
●クラリダFRB副議長の発言で、市場のハト派ムードは一変。米ドル/円は昨年高値超えると新しい上昇トレンド入りか(8月11日、志摩力男)
その次に発言したのは、ウォラーFRB理事です。彼は8月5日(木)、以下のように発言しました。
「8月6日(金)発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に強い数字が出ると期待している」
「明日(8月6日)の統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人に近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる。2009年の苦境を脱却するには7年の月日を要した」
「景気は回復するというのが、私の個人的な見通しだ。他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」
この発言で統計と言っているのは、非農業部門就業者数の前月からの増減数のことですが、翌日(8月6日)の米雇用統計は、94.3万人の増加と100万人まではいかないものの、かなり強い数字となりました。
【参考記事】
●NZ中銀は、8月政策会合で利上げの可能性。ニュージーランドドルは、対ユーロで長期的に買いが進む展開になるか(8月10日、バカラ村)
FOMCのメンバーは、考え方をすり合わせ、強気方向に統一してきている その後も、FOMCメンバーが次々と同じような内容の発言をしています。
ボスティック・アトランタ連銀総裁は、「第4四半期にテーパリングを開始できると想定している」としつつ、「雇用市場がこのところの堅調な改善ペースを維持すれば、さらに早期の開始も可能」との認識を示しました。
また、ボスティック・アトランタ連銀総裁とバーキン・リッチモンド連銀総裁はともに、インフレ率はFRBの2%目標をすでに達成しているとの認識を示しました。
さらに、ローゼングレン・ボストン連銀総裁は、「今秋にテーパンリングを開始する旨をFRBは9月に発表すべき」と主張するとともに、「過去2回のような米雇用統計が続けば、9月の会合までに私の見方では実質的な一段の進展基準に合致し、今秋のどこかの時点でのテーパリング開始を示唆することになると私は予想している」とも発言しています。
これらの人たちの中には、金融緩和の解除に慎重だった人も複数います。
つまり、FOMCのメンバーは、ここに来て、考え方をすり合わせ、強気方向に統一してきているということだと思います。
米長期金利が上昇。米ドル買い戦略を継続 こうしたメッセージを受けて、米国の長期金利(米10年債利回り)も低下傾向から反転し、上昇してきています。
米長期金利 日足(出所:TradingView)
それに合わせて、FX市場では米ドル高が進み始めています。
ドルインデックス 日足(出所:TradingView)
米金融政策が引き締め方向に変更になったと確信できれば、さらなる米長期金利の上昇、米ドル高の傾向が鮮明になってくると思います。
私は、こうした流れから米ドル高になる時がいつかやってくるとずっと主張してきましたが、ようやくそういう流れとなってきたのかもしれません。
【参考記事】
●米ドル/円の108円台はしっかり買いたい。FRBが注視する米雇用統計がよければ、米長期金利上昇から米ドル高の展開へ(8月5日、今井雅人)
●米ドル/円は米雇用統計まで、109円台で買って110円台で売りぬくことに努めるしかない(7月29日、今井雅人)
●米ドル/円をしっかり押し目買い。今の相場はカオス状態だが、目先の動きに動揺しないで(7月21日、今井雅人)
●ドル買いを基本にしながらも、細かいトレードのほうが上手くいきそう。市場は米国の本格的な景気回復を、完全には信用していない(7月15日、今井雅人)
●ドル/円、110円台半ばから前半を押し目買い。クロス円下落も株はしっかり。これはリスクオフなのか?(7月8日、今井雅人)
引き続き、米ドル/円やユーロ/米ドルを中心に米ドル買い戦略を継続したいと思います。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)