米ドル/円は米雇用統計まで、109円台で買って 110円台で売りぬくことに努めるしかない
2021-07-29
さて、日本では、いよいよ東京オリンピックが始まりました。序盤から日本人選手のメダルラッシュで日本全体が盛り上がっていて、それはそれでうれしいことです。
しかし、その一方で、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらなくなってきていることも、頭に入れておく必要があります。7月28日(水)、とうとう東京の新規感染者が3000人を超えてきて、過去最高となってしまいました。
高齢者のワクチン接種が進んでいることで、重症者の数はやや抑えられてはいますが、これだけ新規感染者が増えると本当に心配です。
緊急事態宣言下での感染拡大。国民の中に慣れが出てきてしまっているのでは… さらに問題なのは、この増加がまん延防止等重点措置の中で起きていることです。
東京には、7月12日(月)まで、まん延防止等重点措置が出されていましたが、そんな中で感染者の人数がどんどん増えてきていました。
さらに言うと、政府は感染拡大を防止するために、7月12日(月)から8月22日(日)まで、東京に対して4度目の緊急事態宣言を出しました。2週間という期間を考えると、7月28日(水)の新規感染者数は緊急事態宣言下での拡大ということになります。ここが問題です。
これから出てくる数字で、緊急事態宣言の効果が出てくるのかが明らかになることになりますが、今回は本当に感染が収まっていくのか、さらに感染者数が増えていくのではないかという点が非常に気がかりです。
というのも、今回はこれまでと比べて、国民の中に慣れが出てきてしまっているのではないかということです。また、オリンピックの高揚感で人々の気が緩まないかも心配です。
日本の株式市場の低調は、日本特有の事情 こうした懸念が材料視されて、日本の株式市場が下落しています。日経平均は2万8000円を割り込んできました。
日経平均 日足(出所:TradingView)
米国のNYダウが高値圏で高止まりしていることから考えると、この日本の株式市場の低調は、日本特有の事情ということになります。
NYダウ 日足(出所:TradingView)
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での円高が進んでいるのも、その影響だと思います。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
ただ、余程のことがなければ、これ以上、日本株がどんどん崩れていくことはないと個人的には考えています。
強い米雇用回復が見られなければ、なかなか新しい相場展開に向かうのは難しい そんな中で、次の注目材料はやはり、8月6日(金)発表の米国の雇用統計ではないでしょうか。
【参考記事】
●米雇用統計
●ドル/円、110円台半ばから前半を押し目買い。クロス円下落も株はしっかり。これはリスクオフなのか?(7月8日、今井雅人)
●米雇用統計は100万人増との見方も。今回は希望を持てるかも…と考えるワケは?(7月2日、今井雅人)
●底値が切り上がる米ドル/円を109円台前半で押し目買い。米雇用統計がとても重要に!(6月3日、今井雅人)
●失業手当の充実が、悪い雇用統計の原因か。より実態を反映しているのは強い米CPI(5月13日、今井雅人)
米国の長期金利も低迷している中、強い米雇用回復が見られなければ、なかなか新しい相場展開に向かうのは難しいと思います。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:TradingView)
米ドル/円は当面、109円台で買って、110円台で売りぬくということに努めるしかない その上で、米国の雇用統計までは、当面方向感が出ない相場展開になる可能性が高いので、それに合わせてトレードも考える必要があるでしょう。
たとえば、米ドル/円ですが、6月は上昇傾向でしたが、7月初めに111.66円の高値をつけてから反落し、その後は109円台から110円台でのレンジ相場に入っています。
新しい材料がないと、ここから抜け出すのは難しいと思います。
当面は109円台で買って、110円台で売りぬくということに努めるしかないかなと思います。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
個人的には、ユーロ/米ドルのショートを続けていますが、米国の長期金利が上昇してこないので、なかなかここからの下落は難しいです。
やはり、米国の雇用が回復してくることが必要条件になってくると考えています。
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)