豪ドル/円は、短期目標の90円に向け続伸! オセアニアがグローバルな景気回復を先取り
2021-02-25
まず、今週(2月22日~)もマーケットの注目を集めているのがビットコイン。
ビットコインは、対円で一時600万円台に到達した後、一気に500万円割れに急落するという乱高下を演じています。
ビットコイン/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 日足)
ビットコイン急落の要因は、イーロン・マスク氏。
イーロン・マスク氏が、ビットコインの価格について「高いように見える」とツイートしたことで不安定となったビットコインは、あっという間に500万円を割り込んで調整色を強めた展開です。
対米ドルでは5万ドルに達していたビットコインは、一度調整が入ると言われていましたので、イーロン・マスク氏のツイートは、単に調整のきっかけになっただけなのでしょうが、私のポートフォリオもビットコインの動きに呼応して収益が乱高下するため、ビットコインの値動きの荒さにはなかなか慣れないところ。
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■米金利上昇は米国の景気回復を反映か 一方、ビットコインの下落がテスラ株の調整を誘引し、米国株全体が調整局面入りする事を懸念する声が大きくなっていましたが、2月23日(火)の米国株は下げ渋り。
材料は、FRB(米連邦公開市場委員会)のパウエル議長が「量的緩和を縮小する時期からは、ほど遠い」との認識を示したこと。
そして、もうひとつは、米10年国債利回りの上昇が、米国株の急落を誘引していないことです。
2月24日(水)のNY市場の米10年国債利回りは、一時1.43%水準へ上昇しています。
米10年国債利回り 日足(出所:TradingView)
この米10年国債利回りの上昇が、米国株調整のきっかけになるのではと懸念されていましたが、今のところ、米国株への悪影響はありません。
米国の都市部では、賃貸料が上昇。ロサンゼルスの友人のオフィスの賃貸料も急上昇しているそうです。
米国の都市部を中心に、じわじわとインフレが進んでおり、この物価高を考慮すると、米10年国債利回りの2.00%程度までの上昇は、大丈夫なのかもしれません。
ただ、問題はそのスピードであり、利回りが一気に2.00%に急騰すると米国株は急落する可能性が高くなりますが、段階的な上昇は問題ではないようです。
どちらにせよ、急騰さえしなければ、現在の米金利の上昇は米景気回復の反映と捉えている参加者が多く、10年国債利回りの上昇とともに米国株は続伸。2月24日(水)のNYダウは、史上最高値を更新しています。
米ドル/円は、米10年国債利回りの上昇に呼応して値を上げており、一時106円台を回復。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
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■10年国債利回り上昇で、ニュージーランドドル堅調 一方、10年国債利回りが米国以上に上昇している国があります。それは、オセアニア!
前述のとおり、米10年国債利回りは、1.40%台へと急騰しましたが、豪州の10年国債利回りは1.73%水準、加えて、ニュージーランドの10年国債利回りは1.87%水準と、米国債利回りを上回っています。
豪10年国債利回り 日足(出所:TradingView)
ニュージーランド10年国債利回り 日足(出所:TradingView)
ニュージーランドの10年国債利回り上昇の要因は、2月24日(水)に発表されたRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])金融政策決定会合。
政策金利は、予想通り据え置き。
RBNZの声明も、ハト派的な内容だったことから、ニュージーランド/米ドルは一時0.7315ドルまで下落しました。しかし、RBNZは2022年の夏ごろに慎重に利上げを開始すると見込んでいる参加者も多く、ニュージーランドの10年国債利回りは続伸。
この10年国債利回りの反発とともに、ニュージーランドドルも上昇を開始し、RBNZの発表時の水準を上回りました。
ニュージーランドの10年国債利回りの上昇は止まらず、本稿執筆時点では1.87%へと急騰し、節目の2.00%に向けて続伸中。呼応して、ニュージーランドドル/米ドルは0.74ドル台ミドルまで上昇しています。
ニュージーランドドル/米ドル 日足(出所:TradingView)
■豪ドル/円は短期目標の90円に向けて続伸中 ニュージーランドの10年国債利回り上昇を受け、豪州の10年国債利回りも1.73%へと続伸。
豪ドル/円は、前回のコラムで指摘させていただいた、50%戻し水準をあっさりブレイクし、先週(2月15日~)から2円程度、上昇しています。
【参考記事】
●ビットコイン急騰の背景にあるものとは? 為替は、豪ドル/円が中期で100円へ上昇中(2月18日、西原宏一)
豪ドル/円 月足(出所:TradingView)
このニュージーランドの利回り急騰が、多少時間はかかると想定していた豪ドル/円の82円台ミドルのレジスタンスを突破させる展開を招き、豪ドル/円は、短期目標の90円に向け続伸しています。
金利上昇は、景気回復を反映した動き。そして、金利上昇は、感染者ゼロのオセアニアから。
グローバルな景気回復を先取りしたニュージーランドドル/円、そして、90円に向けて続伸する豪ドル/円の行方に、引き続き、注目です。