トランプ発言で米中の問題は振り出しへ。 円高傾向…ユーロ/円の売りが良さそうか

■米中貿易交渉に変化 前回のコラムで、市場が注目する4つの材料について整理をしましたが、その中で、米中貿易交渉に関して変化がありました。
【参考記事】
●今、市場が注目する4つの材料を総点検! 英首相の飛び道具で英ポンドは再び暴落!?(9月19日、今井雅人)
 トランプ米大統領は、中国との貿易交渉の中で、まずは「部分合意から始めてもいい」というような趣旨の発言をしました。
 その発言を受けて、貿易交渉が前に進むのではないかと、市場に期待が広がっていたわけです。
 しかし、トランプ米大統領のことですから、また、何か言い出すのではないかと警戒していたところ、思ったとおりでした。やはり、中国との貿易交渉は「包括的な合意でなければダメだ」と言い出しました。発言を180度、ひっくり返したわけです。
米中交渉は「部分合意でもOK」的な発言から「包括的な合意でなければダメ」と、態度を180度ひっくり返したトランプ大統領。いつものことながら、市場は振り回される結果に (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
■結局、米中の問題は振り出しへ… 部分合意ができる場合、まずは、中国側が米国の農産物への関税を撤廃するなどして、輸入を大幅に増やすということで合意するという見方が大半でした。これは、それほど両国にとって困難なことではありません。
 交渉の核心は、中国の国有企業などに対しての補助金政策など、中国の国家政策に関することです。
 これは、中国側にとっては受け入れられない要求。包括的な合意ということになれば、この問題に踏み込まざるを得ないわけですから、合意はできないということになります。
 また、トランプ米大統領は中国の合意に関しては、「来年(2020年)秋に行われる大統領選に間に合わなくてもよい」とも発言しています。この問題は、振り出しに戻ってしまったのではないかとも思えます。
【参考記事】
●ECB後のユーロ安が一時的だった要因と、ここからの円安に否定的な見方をするワケ(9月13日、今井雅人)
■米ドル/円よりクロス円で円高が進む可能性 元々、米中貿易交渉がうまく進むのではないかという期待感から円安が進んできたわけであるので、これがまた暗礁に乗り上げるということになれば、当然、円高になっていきます。
 今、起きている円高傾向は、まさにそれを反映していると言えます。
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 今後の展開では、まだまだ円高になる可能性が出てきました。ただ、円高は米ドル/円よりも、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)で、より進むのではないかと考えています。
 特にユーロ/円では…

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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