4月日銀追加緩和説は、なぜ盛り上がる? しかし、その可能性は低いとみる理由は?
2015-04-16 2015-10-04
【参考記事】
●かなり弱い数字が出た雇用統計だったのにさほど悪くないと解釈されている理由とは?(4月9日、今井雅人)
その後の相場展開をみると、やはり、米ドル相場も、円相場も上がったり、下がったりという展開が続いています。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
リフレ派(※)の代表格である自民党の山本幸三議員が、「日銀は、追加緩和をするなら4月30日が良いタイミング」と発言したことで、市場に追加緩和への期待感が高まり、一時的に円安に振れる状況もありました。
(※編集部注:「リフレ派」とは、緩やかなインフレを継続させることで、経済の安定をはかる金融政策などを推進する人々のこと)
しかし、逆に内閣府官房参与で安倍総理の経済政策ブレーンである浜田エール大学名誉教授が、「購買力平価で見ると、米ドル/円は105円程度が妥当であり、現在は円安に行き過ぎている」との見解を示しました。
この発言を受けて、円高が進行する局面もありました。
なかなか方向が定まらないので、こうした発言に右往左往してしまっているという状況になっているのだと思います。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■4月日銀追加緩和説は、なぜ盛り上がっているのか? さて、前回のコラムでもお話ししましたが、私は、4月30日(木)に、日銀が追加緩和をする可能性は非常に低いと考えています。
【参考記事】
●かなり弱い数字が出た雇用統計だったのにさほど悪くないと解釈されている理由とは?(4月9日、今井雅人)
そもそも、4月追加緩和説が盛り上がっている理由は、2つあります。まず、1つ目を見ていきましょう。
前回の追加緩和は、2014年の10月31日でした。この日は、半年に一度の「経済物価情勢の展望」(展望レポート)を日銀が発表する目的での金融政策決定会合でしたが、そこで物価見通しを下方修正し、それをもって追加緩和を実施するのだというストーリーを作り出しました。
【参考記事】
●金融市場に衝撃が走った3つの要因とは?ドル/円は年内に120円まで上昇の可能性(204年11月6日、今井雅人)
次の「展望レポート」が出るのが、4月30日(木)。
現在の消費者物価指数の推移を見ると、直近は、消費税の引き上げ分の影響を除くとゼロとなっていて、黒田日銀総裁は、短期的にはマイナスになる可能性もあることを認めています。
そうなると、4月30日(木)の展望レポートは、また下方修正される可能性が出てきているわけです。それと同時に、また追加緩和をするという見方があるということです。
■某大手国内証券会社による予想で海外勢の思惑高まる… 2つ目は、前回のコラムもご紹介した、某大手国内証券会社の予想です。
【参考記事】
●かなり弱い数字が出た雇用統計だったのにさほど悪くないと解釈されている理由とは?(4月9日、今井雅人)
この会社は、2014年10月の追加緩和を予想した数少ない会社であり、その会社が、「4月30日(木)に追加緩和をする可能性が高い」という予想をしたことで、海外勢を中心とした思惑が高まっています。
しかし、最近の黒田日銀総裁の発言を聞いていると、「短期的には、物価は上昇しないかもしれないが、長期的には上昇基調になっていて、特に問題は感じていない」という発言をしています。
また、日銀の月次金融レポートを見ても、同様の記述が見受けられます。こういう言い方をしていて、また追加緩和をするということに、私は違和感を覚えます。
また、4月15日(水)の日経新聞には…