
この記事の要点
- Chainalysis報告:シンガポール仮想通貨経済が44兆円に到達
- 機関取引94%増、地域縮小の中で最大市場に
機関マネー流入でシンガポール市場が急拡大
ブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)は2026年9月30日、中央・東南アジアおよびオセアニア(CSAO)地域の仮想通貨(暗号資産)市場に関する最新レポートを公開しました。
レポートによると、シンガポールの仮想通貨経済規模は2025年7月〜2026年6月に2,840億ドル(約44.6兆円)へ達し、前年比55.4%増となりました。
成長を大きく押し上げたのが機関投資家向けプラットフォームで、取引量は前年比94%増の600億ドル(約9.4兆円)まで拡大しています。
CSAO地域全体の仮想通貨経済が同期間に6.8%縮小するなか、シンガポールは地域最大の市場となりました。
機関向けの取引はマーケットメイカーやOTC取引会社、機関ブローカーなどに集中しており、同国では決済や資金管理などを含む仮想通貨の利用拡大も報告されています。
イランでビットコイン需要が急増
地域全体が縮小するなかで進む利用形態の多様化
主要国で明暗、豪州とインドは共に縮小
Chainalysisのレポートによると、シンガポールに続く仮想通貨経済規模はオーストラリアが1,731億ドル(約27兆円)、インドが1,350億ドル(約21兆円)となりました。
オーストラリアは全体の取引規模が前年比5.6%縮小したものの、機関投資家向けプラットフォームの活動量は33.3%増の399.2億ドル(約6.3兆円)に達しています。
同国ではカストディアンやOTCデスク、マーケットメイキング会社への資金流入が増加しました。
インドの仮想通貨経済は同期間に14.7%縮小したものの、中央集権型取引所(CEX)への流入額は884億ドル(約14兆円)に達し、CSAO地域で最大を記録しました。
東南アジア3国でP2P送金540万件超
主要市場で全体規模が縮小する一方、フィリピン・タイ・ベトナムでは個人間の少額送金が目立っています。
3カ国では1万ドル未満のP2P送金が合計540万件に達し、世界全体の14.4%を占めたことがChainalysisの分析で確認されました。
送金額も小口が中心で、国内P2P送金の80%以上が1,000ドル未満となり、平均送金額は618ドル(約10万円)と、世界平均の1,210ドル(約19万円)を下回っています。
こうした送金利用がみられるフィリピンでは、仮想通貨取引所PDAXの創業者兼CEOであるニシェル・ガバ氏が「海外から受け取る送金の約5〜10%がすでにステーブルコインで決済されている」と説明しています。
シンガポールで法人越境決済も実用化
P2P送金とは別に、ステーブルコインでは国境をまたぐ資金移動が域内の主要な利用形態となっています。
Chainalysisによれば、分析対象となったすべてのCSAO市場でクロスボーダー取引額が国内取引額を上回り、地域全体では3.2倍に達しました。
マレーシアではクロスボーダー取引が国内取引の29.5倍となり、Hata(ハタ)のCEOであるデイビッド・ロー氏は、域内では国内決済網が発達しているため、ステーブルコインは国内よりも越境決済で利用価値が高いとの見方を示しています。
シンガポールでも法人間のクロスボーダーステーブルコイン決済が実用段階に入り、元UOBエグゼクティブ・ディレクターのスリヴァツァン・ティルマライ氏は、企業の財務部門や地域の加盟店が規制対象のステーブルコインを使った即時決済を進めていると述べています。
MAS、ステーブルコイン規制を法制化へ
シンガポールMAS主導で制度整備が加速
CSAO地域では、個人送金やクロスボーダー決済に加え、機関投資家向けプラットフォームの取引量も前年比40%増の1,523億ドル(約24兆円)に達しました。
シンガポール金融管理局(MAS)は、デジタル決済トークン(DPT)のライセンス制度やステーブルコインの規制枠組みを整えてきました。
こうした制度面の整備と並行して、シンガポールでは機関投資家や企業による仮想通貨の利用が広がっており、Chainalysisは投資や売買にとどまらず、決済や資金管理、市場インフラへ用途が拡大していると指摘しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.74 円)
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Source:Chainalysisレポート
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







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