
この記事の要点
- BIS「ステーブルコインに資本規制が届いていない」130超の経済圏で分析
- 銀行を介さない資金移動が広がり、各国の資本規制や制度設計の見直しが課題に
まずはステーブルコインを詳しく
BIS「資本規制はステーブルコインに無力」
国際決済銀行(BIS)の研究者は2026年7月に公表した報告書で、130以上の経済圏を対象に、ドル連動型のステーブルコインが各国の資本規制の影響をほとんど受けずに流通しているとの見方を示しました。
BISはこの背景として、従来の資本規制が銀行を通じた資金移動を前提としており、銀行を介さないステーブルコイン取引には十分対応できていないと分析しています。
こうした状況を受け、通貨が不安定な新興国では、家計や企業が銀行を介さずにドル資産へ資金を移す動きを各国当局が抑えにくくなっているとBISは指摘しています。
報告書では、こうした実態を踏まえ、ステーブルコイン時代に対応した新たな制度設計が各国の規制当局に求められると結論付けています。
「ステーブルコインが預金を奪う」
銀行外のドル流出、従来規制の盲点を分析
銀行を通らない取引が規制を無効化
BISは、ドル連動型ステーブルコインと従来から利用されてきた外貨建て銀行預金について、経済の混乱期における資金移動を比較し、それぞれが資本規制からどのような影響を受けるのかを検証しました。
分析の結果、通貨安や金融危機などでドル資産への需要が高まる点は共通していた一方、外貨建て預金への資金流入は資本規制によって抑えられるのに対し、ステーブルコインへの流入は規制の有無による違いがほとんど確認されなかったとしています。
BISは、この違いについて、ステーブルコイン取引の一部が各国の資本規制の対象となる銀行システムを経由せずに行われていることが背景にあると分析しています。
その結果、通貨が不安定な新興国では、家計や企業が銀行口座を介さずにドル資産へ資金を移しやすくなり、各国当局が資本流出を管理する仕組みが機能しにくくなっていると指摘しています。
政策効果は維持も「ドル化」と同じ道を警戒
一方で、ステーブルコインの普及が金融政策の効果を直ちに弱めるかどうかについては、BISは現時点で明確な証拠は確認できなかったとしています。
ただし、外貨預金が普及した国ではインフレリスクが高まる傾向が確認されており、ステーブルコインの普及でも同様の影響が生じる可能性があると分析しています。
もっとも、預金のドル化に関する過去の知見だけではステーブルコインの影響を十分に説明できないとして、新たな資金移動の仕組みとして個別に検証を進める必要があるとも指摘しています。
中南米でステーブルコインがBTCを逆転
こうした分析は、新興国で実際にステーブルコインの利用が広がっている市場データとも一致しています。
仮想通貨取引所Bitso(ビットソ)の集計では、USDコイン(USDC)とテザー(USDT)が2025年のラテンアメリカにおける仮想通貨購入の40%を占め、ビットコイン(BTC)を初めて上回りました。
同社は、高インフレや自国通貨の下落を背景に、家計や企業が資産価値を維持する手段としてステーブルコインを利用する動きが広がっていると説明しています。
ステーブルコインの時価総額は2023年以降でおよそ3倍にまで拡大しており、BISが指摘する「規制の及びにくいドル資産」としての役割が市場でも定着しつつあることを示しています。
SCは決済を超えた存在に
各国がステーブルコイン制度の再設計に着手
ステーブルコインの普及を踏まえ、各国では金融システムへの影響を見据えた制度整備が進められています。
欧州では、欧州中央銀行(ECB)がステーブルコインによる預金流出への備えとしてデジタルユーロの導入を推進しており、民間発行のデジタル資産が普及するなかでも、ユーロの役割を維持する考えを示しています。
日本でも政府は2026年7月、経済財政運営の指針である「骨太の方針」にオンチェーン金融の推進を初めて盛り込み、ステーブルコインを活用した決済の普及を成長戦略の一つに位置付けました。
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Source:BIS報告書
サムネイル:AIによる生成画像





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