
この記事の要点
- JPモルガンがETH上で2本目のトークン化MMF「JLTXX」を発表
- トークン化資産市場は約300億ドル規模に拡大し機関投資家採用が進展
JPモルガン、ETH上に新トークン化MMFを投入
米大手金融機関のJPモルガン・アセット・マネジメントは2026年5月13日、2本目のトークン化MMF「JLTXX」をイーサリアム(ETH)上で立ち上げたと発表しました。
同ファンドは米国登録の政府系MMF(マネー・マーケット・ファンド)に位置づけられ、機関投資家がイーサリアム上で米国債関連資産を保有・移転できる仕組みとして設計されています。
JPモルガンはローンチ時点で1億ドル(約158億円)を投入したほか、機関投資家向け暗号資産カストディ企業Anchorage Digital(アンカレッジ・デジタル)も参加していると説明しています。
イーサリアム上で米国債連動MMFを保有・移転できる環境が整備されたことで、パブリックブロックチェーンを機関投資家向け決済・資産管理インフラとして活用する動きが広がっています。
初のETHトークン化MMF「MONY」
JLTXXの設計、年0.16%と許可型システム
0.16%の低料率、ヴァンガード水準に迫る
JLTXXは、米国財務省短期証券(Tビル)や国債、オーバーナイト・レポ取引など、短期の米国債関連資産を中心に運用する米国登録MMFとされています。
提出書類によれば、目標NAV(基準価額/1口あたり純資産額)は1.00ドル(約158円)に維持され、ドル加重平均満期も60日以内に抑える運用となっています。
費用面では、手数料免除・払い戻し後の純費用比率が年率0.16%に設定されており、同免除措置は2028年6月30日まで継続される予定です。
この費用水準について、ブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス氏は「安定NAVのMMFとしては相当低い水準だ」と評価しました。
さらに同氏は「Vanguard(ヴァンガード)の11ベーシスポイントには及ばないが、大半のMMFより安い」との見方も示しています。
ウォール街でトークン化MMF競争が進むなか、低コスト設計は機関投資家の資金流入を後押しする要素として注目されています。
Kinexysが支える許可型システム
JLTXXでは低コスト設計に加え、機関投資家向けの許可型(パーミッション型)運用が採用されています。
この仕組みの設計・運用は、JPMorgan Chase Bank(ジェイピーモルガン・チェース・バンク)の内部組織「Kinexys Digital Assets(KDA)」が担っているとされています。
JLTXXはパブリックブロックチェーンであるイーサリアム上で運用される一方、利用対象は事前登録済みウォレットに限定されています。
また、購入・償還・移転は許可リストに登録されたアドレスのみが行える仕組みとなっており、機関投資家向けの許可型運用が採用されています。
SEC提出書類によれば、オンチェーン上のトークン残高はファンドシェアと1対1で対応する設計です。
一方、法的な所有権はトランスファーエージェント(投資家名義の管理代行機関)が管理する従来型の帳簿記録に基づいており、ブロックチェーン上の残高は確認用途として位置づけられています。
対応チェーンは記事執筆時点でイーサリアムのみではあるものの、将来的に他ブロックチェーンへ拡張する方針も登録書類に明記されています。
263銘柄のトークン化株を提供
トークン化資産競争、4.7兆円規模に拡大
JPモルガンやブラックロックが参入を進める背景には、トークン化資産市場そのものの急拡大があります。
JPモルガンの公表データによれば、パブリックブロックチェーン上でトークン化された伝統資産は2026年4月末時点で約300億ドル(約4兆7,400億円)に達したといいます。
オンチェーン商品のAUM(運用資産残高)も2024年初頭からほぼ3倍に拡大しており、Fidelity(フィデリティ)やFranklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)など他の大手機関もトークン化分野への展開を進めています。
イーサリアムはこうしたトークン化資産の主要基盤として採用が進んでおり、JPモルガンもKinexysを通じて将来的なマルチチェーン展開を示唆しています。
機関投資家向けトークン化市場の拡大が進むなか、今後はどのブロックチェーンが金融資産の主要基盤として採用を広げるかにも注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.84 円)
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Source:JPモルガン公式発表/SEC登録申請書類
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







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