ロシア下院、仮想通貨を「財産」認定|5業種ライセンス制で市場再編へ

この記事の要点

  • ロシア下院が2026年4月21日、仮想通貨規制法案を可決
  • 仮想通貨を法的に「財産」と初認定し制度化へ前進
  • 国内決済は禁止維持、国際貿易決済のみ利用を解禁
  • 2026年7月発効予定、5業種ライセンス制で市場再編

ロシア下院、仮想通貨規制法案を可決

2026年4月22日、ロシアの下院(国家院)が仮想通貨を包括的に規制する法案「デジタル通貨及びデジタル権利に関する法律」を第1読会で可決したことが明らかになりました。

採決は前日の4月21日に行われ、340名のうち327名が賛成し、政府提出の法案が圧倒的多数で初の関門を通過しています。

国営メディア「TASS」の報道によると、法案は仮想通貨を法的に「財産」として認める一方、国内決済での使用は引き続き全面禁止とし、国際貿易の決済手段としての利用に限って解禁する方針です。

仮想通貨を法的財産として認める措置は、破産手続きや離婚訴訟での資産認定に直結し、これまで曖昧だった保有者の法的地位が初めて明確化されます。

ロシアでは2,000万人を超える仮想通貨ユーザーがいるとされ、グレーのまま放置されてきた取引が制度の枠内に組み込まれることになります。

法案が成立した場合、2026年7月1日に主要規定が発効する予定で、ロシアの仮想通貨市場は、取引所・ブローカー・運用会社・保管機関・両替業者の5区分によるライセンス制度のもとで運営される見通しです。

5業種ライセンス制で再編されるロシア市場

個人投資家は年30万ルーブル上限に

ロシア中銀は今回の法案に先立つ2025年12月に仮想通貨規制案を正式発表しており、適格と非適格の2区分に応じた取引制限を打ち出していました。

今回の法案はこの中銀案を踏襲した内容とみられ、非適格投資家には事前テスト合格と年間30万ルーブル(約64万円)までの購入上限が課されます。

さらに、取引対象となる仮想通貨も厳格に絞り込まれます。直近2年平均で時価総額が5兆ルーブル(約10.6兆円)を超え、かつ日次取引高が1兆ルーブル(約2.1兆円)を超えた銘柄のみがロシア中銀の認可対象となる見通しです。

現時点でこの基準を満たす銘柄は、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)ソラナ(SOL)に限られると伝えられています。

また、仲介を経ない直接取引(P2P取引)についても段階的に締め付けが進みます。2027年7月1日までは形式上は合法とされ、それ以前から無登録業者への支払いブロッキングやブラックリスト登録といった執行措置が始まる見込みです。

同日以降は無登録の仮想通貨流通自体が刑事罰の対象となり、懲役や強制労働を含む処分が科されます。

マイナーと事業者に会計義務と中銀監督

こうした規制は事業者側にも広く課されます。マイニング事業者にはロシア国内インフラの使用に加え、採掘した仮想通貨の正式な会計処理が義務付けられています。

ライセンスを取得した全ての事業者はロシア中央銀行の監督下に置かれ、取引上限の設定やコンプライアンス要件の遵守が求められることになります。デジタル資産の保管については新たなデジタル保管機関制度が設けられ、引き出し先は承認を受けた海外機関に限定される仕組みです。

自己保管のウォレットへの送金は認められていません。そのため、これまで自己管理で資産を保有してきたロシア国内の利用者は、ライセンス事業者を介した取引・保管への切り替えが求められます。

ロシアは2024年7月に国際貿易決済での仮想通貨利用を容認する法律を可決しており、すでに中国・インドとの原油取引でビットコインなどが決済に使われていることが報じられています。

今回の法案は、こうした個別運用をライセンス制度のもとで一元管理する枠組みへと格上げするものとみられています。

ロシア銀行協会、仮想通貨規制の緩和求める

こうした制度設計に対しては、第1読会の通過率は高かったものの、議会内の各委員会からは修正を求める声が相次いでいます。

報道によると、競争保護委員会は過度な規制が市場発展を妨げる懸念を示し、金融市場委員会は非カストディウォレットの取り扱いと個人資産の法的保護の明確化を求めました。

一方、ロシア銀行協会も同協会名で意見書を提出しており、海外の非カストディアル・ウォレットへの送金許可やステーブルコインの規制対象化を盛り込むよう要請しました。

同協会は銀行による仮想通貨とロシア独自のデジタル金融資産(DFA)との交換許可も求めており、承認銘柄をBTC・ETH・SOL以外にも拡大するよう主張しています。

法案は今後、第2・第3読会を経て上院(連邦院)の承認と大統領署名へと進みます。修正案の提出期限は第2読会前の2週間以内で、上院および大統領による署名はそれぞれ14日以内に行われる見通しです。

ロシアが選んだ仮想通貨「解禁と禁止」の線引き

今回の法案では、仮想通貨を法的財産として認めながら国内決済を禁じ、国際決済のみ解禁するという二重構造が打ち出されています。

ロシアでは2022年にプーチン大統領が仮想通貨の国内決済利用を禁じる法案に署名しており、ルーブルを唯一の法定通貨とする原則はこれまで維持されてきました。

一方、欧米による経済制裁を背景に国際決済網からの切り離しが進んだことで、人民元・ルピー・ステーブルコインを介した貿易決済がすでに広がっていると報じられています。

こうした状況を踏まえ、輸出入を担う企業にとっては、既存の運用が今回の法案でライセンス制度のもとに整理され、法的後ろ盾を得る見通しです。

また、個人投資家にも年30万ルーブルの上限と事前テストが課されることで、国内市場は実質的に管理された制度圏内へと移行します。

アクセコフ金融市場委員長は、仮想通貨を「ロシア国民の日常生活においてありふれた現象にする」と発言しており、ロシア政府は灰色市場を制度の枠内に取り込みつつ、ルーブルの法定通貨としての地位を維持する方針です。

今後は、第2読会以降の修正の幅と、ロシア中銀が提示する認可銘柄の最終リストが、市場の方向性を左右する焦点となります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ルーブル=2.12 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:TASS報道
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

コメント

タイトルとURLをコピーしました