
OCC規則未確定で対応困難
米国の主要銀行業界団体4団体が、ステーブルコイン規制の包括的な法律「GENIUS法」に関連する複数の規則制定通知(NPRM)について、パブリックコメント期間の延長を求める共同書簡を4月21日に提出した。
書簡は、米国銀行協会(ABA)、銀行政策研究所(BPI)、消費者銀行協会(CBA)、独立コミュニティ銀行協会(ICBA)の連名で、財務省(Treasury)、連邦預金保険公社(FDIC)、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)、外国資産管理局(OFAC)の4機関宛てに提出されている。なお、GENIUS法は2025年7月にドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が署名し成立した法律で、成立から18ヶ月以内、または最終規則公布から120日以内のいずれか早い時点で施行される。
今回、コメント期間の延長対象として挙げられたのは3つのNPRMだ。まず財務省による「州レベルの規制体制が連邦規制枠組みと実質的に類似しているかを判断するための基本原則」に関するNPRMで、4月3日に連邦官報に掲載され、現在のコメント締め切りは6月2日となっている。
次にFDICによる「FDIC監督下の認可決済ステーブルコイン発行者(PPSI)および預金取扱金融機関に対する要件・基準」に関するNPRMで、4月10日掲載、コメント締め切りは6月9日だ。
さらにFinCEN・OFAC共同の「PPSIに対するAML/CFTプログラムおよびサンクション・コンプライアンス・プログラム要件」に関するNPRMも同じく4月10日に掲載されており、締め切りは6月9日となっている。
業界団体は、これらのコメント期間について、通貨監督庁(OCC)によるGENIUS法実施に関する最終規則の公表から60日後まで延長するよう求めている。
業界団体が延長を主張する最大の理由は、3つのNPRMがいずれもOCCの規則案に強く依存しているにもかかわらず、そのOCC規則がいまだ最終化されていない点だ。OCCのGENIUS法実施に関する規則案は2026年3月2日に連邦官報に掲載され、パブリックコメント期間は5月1日まで受け付け中だ。
財務省のNPRMは、州レベルの規制体制を比較する「連邦規制枠組み」の定義にOCCの規制・解釈を明示的に含んでおり、財務省自身も「OCC規則が最終段階で変更される可能性があり、その変更を反映して自らの最終規則を修正する可能性がある」と認めている。
FDICも自らのNPRM内で「OCC規則案との整合を図った」と明記し、「全PPSIへの規制一貫性促進のため、主要連邦規制当局間でどの程度さらなる整合を図るべきか」についてコメントを募集している。FinCEN/OFACのNPRMについても、GENIUS法に基づく包括的規制枠組みの「一部」と位置づけられており、全体像なしに単独では評価が困難だと指摘されている。
書簡ではさらに、GENIUS法関連NPRMの規模と複雑さ、そして各規則の相互依存性が強調された。今回の3つのNPRMに加え、連邦準備制度理事会(FRB)、全国信用組合局(NCUA)、FinCENによる顧客識別プログラム(CIP)関連の追加規則制定も予定されており、GENIUS法の実施は「異例の規模と複雑さを持つ規制作業の総体」を形成しているという。
業界団体は「締め切りが分散した断片的なコメントプロセスでは、各機関が掲げる規制一貫性という目標そのものが損なわれる」と警告。また、GENIUS法第5条(h)(2)項が主要連邦PPSI規制当局間の調整を単に奨励するのではなく、義務として規定している点も指摘した。
なお、ABAはGENIUS法への対応と並行して、ステーブルコインの利回り(イールド)の法的位置づけに影響しうる暗号資産市場構造法案をめぐる政策論争にも関与している。
4月13日には、ステーブルコインの利回り禁止が銀行に与える影響は軽微だとするホワイトハウスの報告に対して異議を唱えた。
米上院では、下院で「CLARITY法」として可決された暗号資産市場構造法案の審議について、ノースカロライナ州のトム・ティリス(Thom Tillis)上院議員が上院銀行委員会のティム・スコット(Tim Scott)委員長に対し5月の審議入りを勧めたと報じられており、本会議での採決はさらに先になる可能性が出ている。 GENIUS法は、米国における決済用ステーブルコインの発行・規制に包括的な連邦枠組みを導入するための法律だ。同法に基づき、現在複数の連邦規制当局が並行してNPRMを進めており、その実施規則群の整合性が業界の重大な関心事となっている。
参考:書簡
画像:PIXTA
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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