
この記事の要点
- モルガン・スタンレーがビットコイン現物ETF「MSBT」の上場に向け申請
- 年間手数料0.14%は米国ビットコイン現物ETF中、最低水準
- 大手銀行による直接発行は業界初、8兆ドル資産管理チャネルが開放へ
- 年金基金・大学基金など機関投資家の採用拡大が見込まれる
まずは仮想通貨ETF(上場投資信託)を詳しく
モルガン・スタンレーのMSBT、手数料0.14%で承認待ち
2026年3月27日、米大手投資銀行モルガン・スタンレーが、自社が発行するビットコイン現物ETF「モルガン・スタンレー・ビットコイン・トラスト(MSBT)」の年間手数料を0.14%に設定したことが明らかになりました。
ブルームバーグETFアナリストのエリック・バルチュナス氏によると、この0.14%は、ブラックロックの「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」の約0.25%を下回る水準で、米国市場のビットコイン現物ETFとして最低手数料となります。
SEMI-SHOCK: Morgan Stanley's bitcoin ETF will charge 14bps, making it the cheapest spot bitcoin ETF on the market and 11bps cheaper than $IBIT. This means none of their advisors will feel conflicted using it and they have shot at getting outside assets. Smart. Launch prob in next… https://t.co/hxg3O1y6tR pic.twitter.com/BEiguHtXzo
— Eric Balchunas (@EricBalchunas) March 27, 2026
モルガン・スタンレーのビットコインETFは手数料が0.14%(14bps)と設定され、市場で最も安い現物ビットコインETFになります。
$IBITよりも0.11%安いため、同社のアドバイザーは利用にあたって利害の衝突を感じることもなく、外部資金の獲得チャンスもあります。賢い戦略です。おそらく2週間以内にローンチ予定です。
モルガン・スタンレーは8兆ドル(約1,270兆円)規模の資産管理プラットフォームを持つ大手銀行で、同社によるビットコイン現物ETFの直接発行は業界初となります。承認されれば、機関向けの配分チャネルが本格的に開かれる見込みです。
ニューヨーク証券取引所からは既に上場予告通知が届いており、最終的な規制承認を経て取引開始が間近となっています。
25兆円規模の需要を試算
最安値手数料が解放する8兆ドルの資産管理チャネル
自社ブランドETFが解放する社内8兆ドルの資金流入
MSBTの手数料設定には、外部投資家との単純な価格競争以上の狙いがあります。同社には数千人のファイナンシャル・アドバイザーが在籍しており、これまで外部のビットコインETFを顧客に勧める際には手数料の高さが内部の利益相反として問題視されてきました。
自社ブランドで業界最低水準の手数料を設定することで、アドバイザーがサードパーティの高コスト商品を推奨する必要がなくなり、結果として、自社の資産管理プラットフォーム内でビットコインETFを提案しやすくなる環境が整います。
こうした仕組みによる資金流入規模も試算されています。ストラテジー(旧マイクロストラテジー)のフォン・レCEOは、同社プラットフォームの資産の2%がビットコインに配分された場合、約1,600億ドル(約25.6兆円)規模の需要が生まれるとの予測を示しています。
仮に1,600億ドル規模の資金流入が実現すれば、既存の主要ビットコイン現物ETFを大幅に上回る規模となります。そのため、商品設計そのものよりも、どの資産管理チャネルを持つかが流入規模を左右するとの見方が強まっています。
資産運用会社から銀行へ、ETF発行体の歴史的転換
MSBTはビットコインを直接保有する信託構造を採用しています。カストディおよび主要ブローカー業務はコインベースが担い、運営管理・資金決済・名義書換業務はBNYメロンが受け持つとしています。
こうした業務委託の枠組みは既存の現物ETFと共通しており、最大の相違点は発行体の性質にあります。ブラックロックやフィデリティといった資産運用会社ではなく、大手商業銀行が自社で発行する初のビットコイン現物ETFとなる見通しです。
発行体が銀行である点が重要視されるのは、機関投資家の採用が長らく進んでいないという市場の実態があります。2024年以降、ビットコイン現物ETFにはリテール(個人)投資家や自己裁量型投資家を中心に500億ドル(約8兆円)超が流入しています。
一方、機関投資家向けの資産管理プラットフォームを通じた採用は、内部規定や手数料基準、ポートフォリオ構築方針などの理由で遅れが続いていました。
今回の銀行による直接発行は、こうした機関投資家市場へのアクセスを容易にする可能性があり、これまでの市場構造に対する歴史的な転換点になるとの見方が出ています
ブラックロック優位が崩れる、機関投資家市場の変化
今回の参入で最も直接的な影響を受けるのは、既存のビットコイン現物ETFを発行する資産運用会社です。ブラックロックのIBITは運用資産残高で市場をリードしてきましたが、モルガン・スタンレーのアドバイザーネットワークへのアクセスが失われる可能性があります。
機関投資家サイドでは、大手銀行が発行する商品であることで信用審査や内部投資委員会の承認ハードルが下がり、これまでETFへの配分を見送ってきた年金基金や大学基金などへの採用が広がるとの見方も示されています。
一方、MSBTが最終承認を得るには規制当局による最終審査が残っており、承認の時期次第では競合他社が追随値下げに動くシナリオも想定されます。
手数料競争が本格化した場合、ビットコインETF市場全体のコスト構造が押し下げられる局面が訪れる見通しです。
ウォール街の巨人がカストディへ本格参入
OnePay・モルガンが示す、伝統金融のデジタル資産転換
仮想通貨市場をめぐっては、ウォルマートが過半数株式を保有するフィンテック「OnePay(ワンペイ)」が2026年3月20日に対応銘柄を12銘柄に拡大するなど、伝統的な金融・小売業者による機関・個人双方へのデジタル資産整備が加速しています。
モルガン・スタンレーの参入は、資産管理プラットフォームを通じた機関マネーの流入経路をはじめて本格的に開く動きとして、既存のビットコインETFとは異なる市場構造の変化を示しています。
これまで主流だった個人投資家中心の資金流入から、銀行主導の機関資金流入へと軸足が移る可能性があります。最終承認の行方と、承認後にアドバイザーネットワークを通じた実際の資金流入がどのペースで進むかが今後の焦点となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=160.29 円)
仮想通貨ETF関連の注目記事はこちら
Source:エリック・バルチュナス氏X投稿
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







コメント