
この記事の要点
- CFTCセリグ委員長、2026年3月4日に永久先物の4月承認見通しを表明
- 仮想通貨デリバティブ市場の制度化に向けた米国政策の新展開
- 日次850億ドル規模の市場、米国規制下への移行可能性が浮上
- 海外取引所中心の市場構造が変化する可能性
850億ドル市場、米国回帰の可能性
CFTC(米商品先物取引委員会)のマイケル・セリグ委員長は2026年3月4日、仮想通貨の永久先物(パーペチュアル・フューチャーズ)について、今年4月にも承認する見通しを示しました。
実現すれば、これまで海外取引所に集中してきた仮想通貨(暗号資産)先物市場の一部が米国の規制下で取引される可能性があり、市場構造の変化につながる動きとして注目を集めています。
この発言はMilken Institute(ミルケン・インスティテュート)が開催したイベントでの登壇時に明らかにされたもので、米国当局が仮想通貨先物(デリバティブ)市場の制度整備を本格化させる動きの一つとみられています。
現在、同市場の取引の大半は海外の暗号資産取引所に集中しており、グローバルの日次取引量は約850億ドル(約13.3兆円)規模に達していることが報じられています。
特にBinance(バイナンス)やOKX(オーケーエックス)、Deribit(デリビット)といったオフショア取引所が市場の中心となっており、仮想通貨デリバティブ取引の流動性の多くを占めています。
一方、米国規制下での取引は大きく限定されており、米国市場における仮想通貨デリバティブの取引量は日次取引量の約1.6%、未決済建玉の約0.3%にとどまっているといいます。
セリグ委員長はこうした格差に言及し、米国の規制下で透明性の高い市場インフラを整備する必要性を強調しました。
米CFTC、新諮問委が発足
永久先物の制度化で何が変わるか、米国オンショアの焦点
1月声明が示す「真の永久先物」制度化の狙い
セリグCFTC委員長は2026年1月に発表した声明の中で、永久先物を「価格発見とリスク管理のための重要な金融ツール」と位置付けています。
同声明では、透明性のある市場インフラと実行可能な規制枠組みを整備する必要があると説明しています。
セリグ委員長は仮想通貨デリバティブ市場について、過去の規制当局が十分な制度整備を行えなかった分野としたうえで「米国の金融市場の枠組みの中で永久先物を取り扱える制度を整備する必要がある」との認識を示しています。
真の永久先物との違い、Coinbase商品で見る現状
米国市場では現在、永久先物に類似した商品として「パーペチュアル・スタイル先物」が提供されています。
大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)の派生商品部門Coinbase Derivativesは、「US Perpetual-Style Futures」と呼ばれる商品を上場しています。
この商品はスポット価格に連動するよう設計された長期満期の先物契約であり、永久先物に近い値動きを再現する構造です。公開データによると、ビットコイン(BTC)契約の未決済建玉は約1億3,700万ドル、日次取引量は約13億5,000万ドル規模となっています。
満期なしの永久先物、スポット連動を保つ仕組み
一方、これらの「パーペチュアル・スタイル」商品と、セリグ委員長が承認を目指す「真の永久先物」には構造的な違いがあります。
前者は満期が設定された先物契約をベースに永久先物に近い価格挙動を再現する設計です。これに対し後者は満期が存在せず、ファンディングレート(資金調達率)の仕組みによってスポット価格との連動を維持する構造となっています。
このファンディングレート方式は仮想通貨デリバティブ市場で広く採用されています。バイナンスやオーケーエックスなどのオフショア取引所では永久先物が主要な取引商品となっており、市場の流動性形成を支える中心的な商品として機能しています。
担保(コラテラル)の仕組みにも違いがあります。米国規制下の「パーペチュアル・スタイル」商品では、主に米ドル現金や米国債が担保として使用されています。
これに対しオフショア市場の永久先物では、USDT(テザー)やUSDC(USDコイン)といったステーブルコインに加え、ビットコインやイーサリアム(ETH)などの仮想通貨が証拠金として広く利用されており、クロスマージン機能も提供されています。
クリアリングを伴う永久先物、米国市場の想定モデル
セリグ委員長が示した「真の永久先物」が米国で認可された場合、米国内の取引所は標準化された規制枠組みの下でこれらの商品を上場できるようになります。
取引はDCM(指定契約市場)を通じて提供され、清算は米国のクリアリングハウスを通じて行われる仕組みが想定されています。
さらに、FCM(先物取次業者)を通じた取引アクセスが整備されることで、機関投資家が米国規制下で仮想通貨デリバティブ市場に参加しやすくなる環境が整うとセリグ氏は説明しています。
仮想通貨と予測市場を視野に制度刷新へ
米国政策が転換点へ、仮想通貨を金融枠組みに取り込み
CFTC(米商品先物取引委員会)が仮想通貨の永久先物承認を検討している背景には、米国で仮想通貨市場の制度整備が加速している状況があります。
米国政府はデジタル資産市場を金融システムの中でどのように位置付けるかをめぐる議論を進めており、規制枠組みの整備が政策課題の一つとなっています。
ホワイトハウスは数百兆円規模の資金が仮想通貨市場への参入を待機しているとの認識を示しており、その制度的な鍵を握るとされるCLARITY法案の動向にも注目が集まっています。
またCFTCは、デジタル資産分野に関する新たな諮問委員会の設置を進めるなど、仮想通貨市場への対応体制を強化しています。CFTCはこうした取り組みを通じて、米国の金融市場の枠組みの中で仮想通貨取引を制度的に取り込む方向性を示しています。
セリグ委員長が示した2026年4月というスケジュールが実現した場合、仮想通貨デリバティブ市場の流動性の地理的分布にも変化が生じるとみられています。
グローバルで日次850億ドル規模とされる市場の中で、米国の規制下での取引がどの程度拡大するかが今後の焦点となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.76 円)
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Source:2026 Future of Finance
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