
リップル、アフリカでステーブルコインRLUSD供給開始へ
米リップル社(Ripple)は2025年9月4日、米ドルに連動する独自ステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」をアフリカの金融機関向け市場で利用可能にすると発表しました。
発表によると、リップル社はアフリカ地域の主要フィンテック企業であるChipper Cash、VALR、Yellow Cardと提携し、RLUSDを供給する計画です。これにより、地域の国際送金や機関投資家向け決済の利便性向上を図るとしています。
RLUSDは2024年末にローンチされた企業向けステーブルコインで、ニューヨーク州金融当局から認可を受けた信託会社によって発行されるなど、信頼性と安全性を重視した設計となっています。
また、RLUSDはローンチから約1年足らずで時価総額が7億ドル(約1,030億円)を超える規模に達したことも報告されており、需要の高まりを示しています。
こうした実績を踏まえ、リップル社は今回のアフリカ展開を通じて安定したデジタル米ドルへのアクセスを広げるとともに、ブロックチェーン活用の普及を加速させる方針です。
USDT・USDCを上回る「A評価」に
RLUSDのアフリカ展開で広がる決済ユースケース
RLUSDが企業金融で担う新たな役割
RLUSDは企業向けのさまざまな金融ユースケースで活用が進んでおり、リップル社ステーブルコイン部門のジャック・マクドナルド氏は「RLUSDは決済からトークン化、さらには仮想通貨と伝統的市場の取引における担保にまで急速に定着した」と述べています。
リップル社は2025年4月に、RLUSDを国際送金ソリューション「Ripple Payments」に統合しており、マクドナルド氏は「アフリカを含む世界中の顧客に、複数のステーブルコインを活用したクロスボーダー決済を提供できるようになった」と説明しています。
提携フィンテック各社が語るRLUSD導入の意義
今回アフリカ展開に協力するChipper Cash社のハム・セルンジョジCEOは「できる限り早くRLUSDをクライアントに提供したいと考えていた」と述べた上で、RLUSDがアフリカおよび世界の市場で機関投資家のブロックチェーン活用を後押しする独自の位置づけにあると強調しました。
また、アフリカ最大級の仮想通貨取引所であるVALRのファルザム・エフサニCEOは「当社は、コンプライアンスを満たす高品質なデジタル資産へのアクセスの提供に注力しており、RLUSDの上場は信頼できるステーブルコインの選択肢を拡充する戦略の一環だ」と述べています。
さらに、Yellow Cardのクリス・モーリスCEOも「この上場は、アフリカおよび新興市場全体で最も信頼性が高く、コンプライアンスに適合した送金インフラを提供するという当社のコミットメントをさらに強化するものだ」と期待を示しています。
アフリカの送金課題を解決するRLUSD活用
RLUSDの提供開始により、異なる法定通貨間の国際送金でも、RLUSDを橋渡し通貨として用いることで即時決済が可能になります。これにより、従来は高額で時間を要した送金コストおよび処理時間の大幅な削減が期待されています。
世界銀行の調査によると、200ドルを送金する際の手数料は世界全体平均で約6.8%とされていますが、サブサハラ・アフリカ地域では平均8.5%と、世界でも特に高い水準にあります。
この状況を踏まえ、リップル社はRLUSDとブロックチェーン技術の活用によって、より効率的かつ透明性の高い送金インフラの構築を目指すとしています。
ケニアで始動したRLUSD異常気象保険実験
RLUSDの主なユースケースは、クロスボーダー送金の即時決済、リテールや送金事業者の流動性確保、DeFi(分散型金融)との統合、法定通貨と仮想通貨の橋渡し(オン/オフランプ)の円滑化、さらに商品・証券・国債など実世界資産のトークン取引における担保提供が挙げられます。
東アフリカのケニアでは、リップル社とMercy Corps Venturesが協働し、RLUSDを活用した異常気象リスク対応プログラムを開始しました。
第1弾では、干ばつ時に農家への保険金をRLUSDでエスクロー口座に預託し、衛星データで干ばつが確認されるとスマートコントラクトを通じて自動送金する仕組みを採用しています。
さらに第2弾の実証では、パラメトリック型の豪雨保険ソリューションを計画しており、極端な降雨が発生した際には迅速な補償を実施する予定です。
アフリカ全土での仮想通貨決済へ
Ripple、提携でRLUSDとXRPの実需を強化
GeminiがXRP還元カードをリップル社と共同発行
こうした取り組みを踏まえ、リップル社はRLUSDのエコシステム拡大に向け、2025年後半も提携戦略を通じたサービスを積極的に展開しています。
その一例として、米国の大手仮想通貨取引所Gemini(ジェミナイ)は8月25日、リップル社との提携により「XRP報酬還元クレジットカード(Gemini Credit Card:XRP Edition)」の発行を開始したと発表しました。
このカードは、利用額に応じて最大4%分のXRPが即時に付与される仕組みで、マスターカードのブランドを通じ、米国およびプエルトリコのユーザーに提供されています。
Geminiは従来、複数の仮想通貨でキャッシュバックを得られるクレジットカードを提供してきましたが、今回新たにXRP還元に特化したカードをリップル社と共同開発しています。
RLUSDの基軸通貨採用と市場拡大
さらにGeminiは同発表の中で、RLUSDの利用範囲拡大にも言及しました。RLUSDは今年5月にGeminiに上場済みでしたが、今回の提携により、米国ユーザー向け現物取引ペアの基軸通貨としてRLUSDを新たに追加したと報告しています。
これにより、ユーザーは米ドルと他通貨の交換手数料や手間を抑え、RLUSDを介したシームレスな資金移動が可能になります。
リップル社にとっても、主要取引所でRLUSDが基軸通貨として採用されることは、同ステーブルコインの実需拡大に直結する重要な一歩となります。
RLUSD拡大目指すリップルのグローバル戦略
こうした提携を通じて、リップル社はRLUSDとXRPのユースケース拡大と利用者基盤の強化を図っており、2025年内にはRLUSDを世界で利用されるステーブルコイン上位5銘柄に押し上げることを目標に掲げています。
今後も、グローバルな企業や金融機関との協業を通じ、同社のソリューションはより幅広い市場へ展開される見通しです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.07 円)
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Source:Ripple公式発表
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