
先物市場で9億ドル超の清算、BTCは11万ドル割れ
2025年8月25日、仮想通貨(暗号資産)市場でビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など主要銘柄の価格が軒並み急落しました。
CoinGlassのデータによると、過去24時間の清算額は9億ドル(約1,320億円)を超えました。その影響でビットコインは110,000ドル(約1,620万円)を割り込み、7月初旬以来の安値水準に落ち込んでいます。
画像:CoinGlass
また、イーサリアムは前日比で約8%下落し、一時4,375ドル(約64万円)付近まで急落しました。ドージコイン(DOGE)やソラナ(SOL)など他の主要アルトコインも10%前後の大幅安となりました。
今回の急落の要因については、24日に発生した大口投資家による24,000 BTC(約27億ドル/約3,980億円相当)の大量売却が引き金になったとの指摘があります。
加えて、米国の利下げ観測を巡る先行き不透明感などのマクロ経済要因も重なり、投資家心理が悪化したとみられています。
JUST IN: A Bitcoin whale sold 24,000 BTC worth over $2.7 billion, causing today’s -$4,000 crash in minutes.
They still hold 152,874 BTC worth more than $17 BILLION.
h/t @SaniExp pic.twitter.com/m4aM9JwlAO
— Bitcoin Archive (@BTC_Archive) August 24, 2025
速報:あるビットコインの大口保有者が24,000 BTCを売却し、わずか数分で本日のビットコイン価格を4,000ドル下落させました。
現在も同保有者は152,874 BTC(170億ドル相当)を保有しています。
ビットコイン調整は最終上昇の布石
仮想通貨市場で連鎖清算拡大、9億ドル超清算の真相
大口売却と利下げ観測不透明感
今回の急落について、仮想通貨ファンドBitBull Capital(ビットブル・キャピタル)のジョー・ディパスクワーレCEOは「週末の大口売りが初期の下落を招いたものの、市場全体の流動性低下やマクロ環境への警戒感が背景にある」と分析しています。
加えて同氏は「利下げ期待の後退と株式市場の不安定さのなかで大量の売りが出れば、仮想通貨は下振れしやすい」と述べ、単一の売り手ではなくマクロの不確実性に対し市場フローが過敏化していると強調しました。
8月22日のジャクソンホール会議では、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言直後に安心感が広がりました。しかしその後、一部のFRB高官が早期利下げに慎重な姿勢を示し、利下げ観測に疑念が生じたとの見方があります。
こうした金融政策の不透明感や長期金利の先高観が、リスク資産である仮想通貨の弱気転換を促し、投資家のポジション解消を招いた可能性が指摘されています。
ロングポジション清算が下落幅を拡大
先物市場のデータでは、市場構造の影響も示されています。CoinGlassのデータによると、直近24時間の清算総額9億300万ドルのうち、約8億2,000万ドル(約1,200億円)は価格上昇を見込んだロングの清算が占めていました。
清算額の上位はイーサリアムが約3億2,000万ドル(約471億円)、ビットコインが約2億1,000万ドル(約310億円)となっており、アルトコインではドージコイン、ソラナ、チェーンリンク(LINK)などでも大規模なロスカットが発生したと報告されています。
急激な価格変動によるレバレッジ取引の強制決済集中は、市場全体に追加的な売り圧力をもたらし、悪循環を招くとの見方があります。今回もロングポジションの大量清算が下落幅を拡大させたとみられています。
2030年までにBTC100万ドル到達も
投資家心理を揺らす経済指標と仮想通貨相場
FRB会合前に控える重要経済指標発表
8月26日現在、仮想通貨市場は前日の急落を受けて神経質な展開が続いており、市場関係者の注目は今後発表される米国の経済指標と金融政策の動向に向けられています。
8月29日にはインフレ関連の重要指標である7月の個人消費支出(PCE)価格指数が公表される予定で、市場では前年同月比+2.9%と、前月からの上昇が見込まれています。
また8月26日には、米コンファレンス・ボードの8月消費者信頼感指数が発表される予定です。こちらは前月からの低下が予想されています。
これらの結果次第では、9月中旬のFRB定例会合で議論される政策金利見通しに影響を与える可能性があるため、投資家は警戒を強めています。
大口投資家の押し目買い期待と市場の先行き
一方で、今回の下落を長期的な強気相場に向けた「一時的な調整」とみる見方もあります。
米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)の共同創業者マイケル・セイラー氏は8月24日、自身のX(旧Twitter)で「ビットコインは安売り中だ」と投稿し、価格下落局面を新たなビットコイン取得の好機と見なす姿勢を示しました。
同社は継続的にビットコインを買い増しており、市場では「機関投資家による押し目買いが下支えとなる」との期待も広がっています。
また、複数の著名アナリストも強気目線を崩しておらず、ビットコインが再び最高値圏に向かう可能性を指摘しています。
今回の大規模清算と急落は、短期の不安を浮き彫りにしました。一方で、長期的な市場成長の可能性や機関投資家の買い支えを示す動きも確認され、今後の市場はマクロ経済環境と投資家心理の両面に左右される局面が続く見通しです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.33 円)
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Source:CoinGlass
サムネイル:AIによる生成画像






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