ドイツ最大級銀行グループ「スパルカッセン」2026年までに仮想通貨取引を提供へ=報道

ドイツ最大手銀行、政策転換で仮想通貨参入

ドイツ最大級の銀行グループ「スパルカッセン・フィナンツグルッペ」は2025年6月30日、約5,000万人の個人顧客を対象に、2026年夏までに仮想通貨(暗号資産)の取引サービスを提供する計画であることが明らかになりました。

ブルームバーグの報道によれば、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)といった主要な仮想通貨を銀行口座経由で直接売買できるサービスの提供が予定されています。

スパルカッセン・グループは、ドイツ国内に約370の貯蓄銀行を展開し、全国規模の広範な顧客基盤を構築しています。

同グループの顧客は、各自が利用する同行のスマートフォンアプリを通じて仮想通貨取引にアクセスできるようになる見込みです。現在、2026年夏のサービス開始を目指して開発が進められています。

なお、スパルカッセンはこれまで、価格変動の激しさなどを理由に仮想通貨サービスの提供に慎重な姿勢を示してきました。

同行の取締役会は2023年時点で「仮想通貨は非常に投機的」との見解を示し、関連サービスの導入を見送っていました。今回の方針転換は、同グループにとって重要な戦略変更と位置づけられます。

スパルカッセン、規制整備と仮想通貨需要増で方針転換

今回の方針転換の背景には、欧州連合(EU)による規制整備の進展と、個人投資家を中心とした仮想通貨ニーズの拡大があるとみられています。

EUのMiCA規制が銀行参入を後押し

EUでは2024年から2025年にかけて、仮想通貨の包括的な規制枠組み「MiCA(Markets in Crypto-Assets)法」が順次施行され、これにより統一的な法制度が整備されました。

こうしたルールの明確化を受けて、欧州の複数の金融機関では、従来リスクが高いとされていた仮想通貨事業への参入が本格化しています。

ドイツでは、協同組合系のフォルクスバンク(Volksbanken)が2024年末から一部地域で個人向け仮想通貨取引サービスの試験運用を開始しています。こうした先行事例が、スパルカッセンの参入方針を後押ししたとみられています。

約5,000万人にのぼる顧客基盤を持つスパルカッセンの参入は、欧州全体における仮想通貨の普及を一層加速させる契機になるとみられています。

投機性懸念も対応拡大の動き

ただし、仮想通貨市場の拡大が進む中でも、各国の金融当局は依然として慎重な姿勢を維持しています。

ドイツでは2024年、仮想通貨に関連する不審な取引報告が8,711件に上り、過去最多を更新したことが報告されています。マネーロンダリングなどのリスクに対する警戒感は依然として根強く残っています。

スパルカッセン関係者は現在も「仮想通貨は非常に投機的な資産だ」との立場を取っていますが、投資を希望する顧客には信頼性の高い取引環境を整備する方針です。

MiCA施行で広がる欧州大手銀行の仮想通貨参入

スパルカッセンの今回の動きは、MiCA規制の明確化を受けて加速する欧州の仮想通貨市場活性化を象徴する事例の一つとされています。

英仏の大手銀行も仮想通貨に参入

こうした流れの中で、他の欧州大手金融機関も対応を加速させています。

英スタンダードチャータード銀行は2025年、ビットコインやイーサリアムの機関投資家向けカストディ(保管)サービスを提供するため、ルクセンブルクでMiCAライセンスを取得しました。

また、フランスのBNPパリバやソシエテ・ジェネラル銀行も、仮想通貨のカストディ業務や資産のトークン化に向けた実証実験を実施しており、欧州の大手銀行によるデジタル資産分野への参入が進行しています。

さらに、さらに、米国の大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)は2025年6月、ルクセンブルク金融当局からMiCAに基づくサービス提供の認可を取得しました。これにより、EU加盟27カ国で統一規制の下に事業展開が可能となっています。

安全な仮想通貨取引環境の実現へ

こうした動きが追い風となり、欧州市場では仮想通貨の利用拡大が一段と進展するとの見通しが広がっています。

一方で、欧州証券市場監督局(ESMA)や金融活動作業部会(FATF)などの監督当局は、仮想通貨市場の急速な拡大が伝統的な金融市場に与えるリスクに対して懸念を表明しています。健全な市場運営を維持するためには、規制当局と業界の協調的な対応が不可欠とされています。

伝統的な銀行による仮想通貨分野への本格参入は、欧州におけるデジタル資産の信頼性と実用性の向上につながる動きとして、各方面から関心が集まっています。

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Source:ブルームバーグ報道
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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