米ドル/円の上放れはホンモノと認定! 円安トレンド加速に要注意。倍返しだ!
2015-05-22 2015-10-04
この見方が正しければ、3月から続いてきた米ドル全体の調整は、すでに終了した公算が大きく、これからメイントレンド、すなわち米ドル高の展開が継続されよう。
今回のドルインデックスの調整は、2月安値(93.25)が示したサポートゾーンの再確認といった意味合いも大きく、また、1月16日高値(93.26)と相俟って見ると、今回93.13前後における底打ちが整合性をもつ。
ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)
このサポートゾーンを下回ると、場合によっては200日線(現在、約91)の打診があってもおかしくないから、底割れの回避自体が重要であった。
一方、96前半から同後半が目先のレジスタンスゾーンで、上放れなしではなお下値リスクがくすぶるだろう。
ドルインデックスの上昇モメンタムが強まっていくには、米サイドの経済指標が再度好転し、米利上げ時期についての市場関係者の確信が必要であるから、なお時間がかかるだろう。
したがって、米ドル全体はこれからなお安値鍛錬の期間となる公算が大きいものの、底打ちしたという見方が強まり、米ドルの押し目買いといったストラテジーが総じて有効になるのでは…と思う。
■反発していたユーロは頭打ちか こういった判断は、ドルインデックスの対極として位置つけできるユーロ/米ドルの事情や動向からも確認できよう。
前回のコラムでは、ユーロ/米ドルが1.15ドルの節目打診の余地ありと指摘していたが、実際は1.1467ドルに留まり、また反落してきたことで、ユーロの早期頭打ちが示唆された。
【参考記事】
●ドル全体の調整はしばし続く可能性大だがドル/円は118円台死守ならやがて上放れ(2015年5月15日、陳満咲杜)
ユーロ/米ドル 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ユーロの頭打ちは、ファンダメンタルズとテクニカルの両方から「効き目」があったことに注意すれば、ユーロの早期頭打ち、またベア(下落)トレンドへの復帰といったシナリオを有力視できる。
ファンダメンタルズでは、ギリシャ問題よりも、ECB(欧州中央銀行)政策のほうがより重要かと思われる。
何しろ、ギリシャはユーロ圏の一国にすぎないが、ECBの方はユーロ圏全域の金融政策を司るから、現在実行されているQE(量的緩和)策に変更があれば、マーケットに大きなインパクトをもたらす。
■クーレECB理事の衝撃発言がユーロリバウンドを阻止 そして、5月19日(火)、衝撃的な発言が伝わり、ユーロが急落した。クーレECB理事が、何と「ECBは、夏の閑散期の前に、QEのペースを加速させる」と言い、QEの拡大を示唆したのだ。
実際は、この発言はマーケットに伝わった5月19日(火)の前日(すなわち18日)に、クーレ理事が英金融業者主催の催しで発したもので、一種の「インサイダー情報」になり得るといった問題も大きいが、ユーロのリバウンドを阻止するには絶妙なタイミングだった。
ECBがQEを決定して以来の高値は1.1534ドル前後(2月)にあり、1.15の節目に接近してきたユーロのリバウンド自体、ECB関係者の立場からみると、牽制しなければならない値動きだ。
また、ユーロ高の牽制が「口漏れ」といった形で行われるなら、あたかも市場自体の動向と受け取られやすいから、クーレ理事の「失言」は単純に額面どおりに受け取れない。言ってみれば、ECBに政策変更の余地ありと示唆し、ユーロ高を牽制する思惑があった。
テクニカルの視点では、筆者が5月19日(火)に書いた…