ドル/円は一時、122円台半ばへ急反落! ドル高をけん制した米当局の目的とは?
2015-06-11 2015-10-04
6月5日(金)の米雇用統計は好結果に終わり、米ドル/円は、一時、125.86円まで上昇しました。
ただ、米雇用統計の発表直後に米ドル/円は1円急伸しましたが、それ以降は、上値を伸ばせない展開に。
その理由は、前回のコラムでご紹介した125.00円のオプション(※)から供給される米ドル売りが上値を抑えていることがまず挙げられます。
そして、もうひとつは、日米当局からの米ドル高や円安けん制コメントに対する警戒感。
(※編集部注:オプションには「バニラ」と「エキゾチック」の2種類のオプションがあります。為替のニュースなどでよく出てくる「バリアオプション」は、エキゾチックオプションのひとつで、権利行使価格に一度でも到達してしまえば、そのオプションは消えてしまうというような特殊なルールが加えられています。一方、バニラオプションは通常のオプションになるので権利行使価格に到達しても消えてしまうようなことはありません。上記の125.00円のオプションは「バニラオプション」であるため、米ドル/円が125.00円を上抜けても、消えてしまうようなことはないというのが西原さんの見解です)
【参考記事】
●ドル/円は125円到達も調整は長引きそう。中国株下落でなぜユーロは上昇するのか?(6月4日、西原宏一)
今週、6月9日(火)に公開した「FXほっとLINEで作戦会議」でご紹介したとおり、米経済指標が好結果に終わると、マーケットでは、米ドル高けん制コメントに対する警戒感が高まります。
【参考記事】
●好調な米雇用統計で9月利上げ期待上昇! 米経済指標が好調なほど、ドル安に注意?(6月9日、西原宏一)
■米経済指標が好調なほど、米ドル高けん制発言を警戒 なぜ、米ドル高けん制コメントが高まるのかを最初からまとめていくと、今月、6月5日(金)に発表された米雇用統計の数字が極めて好調だったことから、FRB(米連邦準備制度理事会)による、2015年9月利上げへの期待感が高まりました。
ただ、現状は、米国の利上げとは違う要因で、米ドル高が進んでいます。
それは、日本では、日銀による異次元緩和と、「くじら」と称される公的機関からの「米ドル買い・円売り」。そして、欧州ではECB(欧州中央銀行)のQE(量的緩和策)による「ユーロ売り・米ドル買い」ということです。
このマーケット環境に、米国の9月利上げの材料が重なると、米ドル高が加速することが予想されます。
米ドルVS世界の通貨 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
これを放置しておくと、米ドル高の加速が米企業の業績を悪化させ、好調を維持している米国経済に暗い影を落とす懸念が出てきます。
そのため、6月5日(金)の米雇用統計の好結果が、米当局からの米ドル高けん制コメントに対する警戒感を高めることになったのです。
そして、マーケットの懸念どおり、まず、週明け、6月8日(月)には、「オバマ大統領は強いドルは問題だと言った-フランス当局者」とさっそく米ドル高けん制コメント。
もちろん、このコメントは米国の当局者から否定されましたが、多くのマーケット参加者が懸念したとおり、米ドル高けん制コメントがいきなり飛び出したことから、米ドル/円は124円台に沈みました。
米ドル/円 2時間足(出所:米国FXCM)
「オバマショック」で124円台に押し戻された米ドル/円ですが…