仮想通貨規制強化の影響か、市場の取引総額が20%以上の大幅ダウン
アメリカをはじめ世界中で暗号資産(仮想通貨)に対する規制強化が進む中、主要な取引所における5月の取引総額は縮小を続けました。仮想通貨価格が横ばいになり、ボラティリティが2023年当初と同レベルになってから、2ヶ月連続での縮小になります。
取引総額が2ケタレベルで減少
デジタル資産データを提供するCCData(CCデータ)によれば、バイナンス(Binance)やオーケーエックス(OKX)など、主要なプラットフォームにおける現物取引とデリバティブの合計取引総額は、15.7%減少して2兆4,100億ドル(約335兆4,700億円)となりました。
中でも5月の現物取引総額は、4,950億ドル(約68兆9,000億円)まで21.8%も減少しています。この下落レベルは、2019年3月以来の下げ幅です。一方デリバティブも6ヶ月ぶりの大幅な下落で、取引総額は1兆9,500億ドル(約271兆4,400億円)にとどまっています。
取引所最大手のバイナンスも、テザー(USD)ペアでの現物取引手数料無料サービスを停止した影響か、市場シェアが43%にまで縮小しました。それでもコインベース(Coinbase)やクラーケン(Kraken)、ビットフィネックス(Bitfinex)よりは活発に取り引きが行われています。
CCDataはバイナンスのシェアと取引総額の縮小が、市場全般を弱体化させ、特にアメリカを中心に規制当局による調査の拡大を招くと予測しています。
市場の弱体化はすでに5月に現れており、ビットコイン(BTC)価格は4月に記録した31,000ドルの突破に失敗しています。さらに何度か25,800ドルという底値も記録し、現在は30,000ドル以下で上下しています。
未登録の証券を提供したとして、アメリカ証券取引委員会(SEC)がバイナンスとコインベースを提訴したことで、6月も取引総額の縮小が続き、市場の流動性に影響する可能性もあります。
市場心理と投資家の戦略
現物取引は仮想通貨市場で、ある特定の銘柄に対する純粋な需要を示します。現物取引のバイヤーは通常、同じプラットフォームで扱えるとしても、マージン取引には参加しません。
取引総額が急速に減少すると、直近の市場コンディションを見たバイヤーが取引をためらうことになり、市場における潜在的な需要が変化する可能性があります。つまり、投資家の間で不安な心理が高まり、それが全体的な取引の流れと市場の流動性に影響することが考えられるのです。
その一方で、デリバティブの投資家は市場の投機性を重視しており、仮想通貨のボラティリティから利益を得ようとします。
5月に現物取引の取引総額が急激に減少した一方で、デリバティブの契約数はゆっくりと縮小しました。これは潜在的な仮想通貨バイヤーが、中央集権型取引所から距離を置いていたにもかかわらず、
比較的高いデリバティブ・プラットフォームの流動性から、通貨価格の変動による利益を狙って、投資を続けていたことを示している可能性があります。
参考
・Regulators Put the Squeeze on Crypto Trading, Volumes Plummet
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