陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

マイナス金利導入後の残像に翻弄される <i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>市場。ドル/円は102円さえ割らない可能性も</i> ブログ

マイナス金利導入後の残像に翻弄される <i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>市場。ドル/円は102円さえ割らない可能性も</i>

■日銀会合結果待ちの間も、思惑で荒れた相場に 相場は荒れている。本記事を執筆しながら日銀会合結果を待っている間も、米ドル/円の乱高下は続き、今朝(7月29日の朝)から「ランダム」な値動きを繰り返しているようにみえる。 

米ドル/円 5分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 5分足)

 一時103円の節目まで急落した値動きについては誤発注の観測も出ているが、基本的には日銀政策の不透明性に対するマーケットの神経質さと警戒心の表れだったと思う。

 無理もない。やれ「ヘリマネ」だ、やれ「もっと緩和しろ」だと、いろいろ外部から期待、あるいは圧力がかけられる一方で、日銀は進むも退くも「地獄」の難局に陥っているように見えるからだ。

 「戦力の逐次投入はしない」と豪語し、またサプライズ演出に腐心してきた黒田日銀総裁にとって、こういったタイミングで政策を決定しなければならないというのは、まったくおもしろくないことだろう。というか、「得意技」をまったく発揮できない上、何をやってもマーケットの期待に応えられない恐れが大きい。

 もっとも、日銀は日本の中央銀行として独立性を保たなければならない。すでにアベノミクスのツールと化した日銀の緩和政策に対する批判は根強く、これから、これをさらに推進していくとしても、できれば政府との距離を置いているといった「演出」をしたいところである。

 ところが、安倍さんのやれ20兆、やれ30兆といった財政出動示唆が大きな圧力となり、ここでやらなければ、財政政策との連携を果たせない。悩む、揉める…ということだろうか、執筆中の現時点(12時40分)では、日銀会合の決定がまだ伝わっていない。異常だ。

 その分、マーケットはさらに焦り、また憶測が飛ぶ。午前中の、TOPIX先物の一時売買停止は、マーケットの緊張感を象徴する出来事だと思う。

■日銀結果に失望した市場は、激しい円高になるのか? そして、今(12時44分)、やっと出た日銀政策決定は、マネタリーベース80兆円維持、ETF購入6兆円へ増額という内容だった。

 前述のように、事前にマイナス金利の拡大ばかりか、「ヘリマネ」といった過激な観測さえあったから、この程度の内容では、とても市場の期待に応えられるものではない。果たしてマーケットの予想どおり、失望による激しい円高になるだろうか。

 現時点(12時50分すぎ)のマーケットを見ると、言われるほど円高の進行が進んでいない。米ドル/円は102.65円程度、ユーロ/円は113.75円程度なので、どちらかというと、正常な値動きの範囲に留まっているように見える。

米ドル/円 5分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 5分足) 

ユーロ/円 5分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 5分足)

 では、マーケットが「意外に」冷静だったということだろうか。それとも事前予想自体が間違いで、また、市場関係者の大半が、実は一部の過激な観測をまったく信じていなかったのだろうか。

 マーケットの変動メカニズムは極めて複雑で…
ハイパーインフレもたらすヘリマネの恐怖。 もしかしたら「悪い円安」がすでに進行中!? ブログ

ハイパーインフレもたらすヘリマネの恐怖。 もしかしたら「悪い円安」がすでに進行中!?

■日銀、政府両サイドからの円安要因で米ドル/円上昇 円の変動率が拡大している。「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」への期待が膨らみ、円売りが一段と加速したかと思いきや、今度は黒田日銀総裁の発言で、一転して円買いとなるなど、マーケットは神経質な反応を見せている。

 米ドル/円は昨日(7月21日)、一時107.49円を打診した。6月23日(木)高値106.91円をブレイクしたのは一昨日(7月20日)だった。円売りの原動力となったのは、政府と日銀の両サイドから出されたメッセージだと思われる。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 政府サイドについては、財政支出の総額が従来の10兆円から20兆円、あるいは30兆円に増額されるかもしれないとの報道があり、日銀サイドでは、バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長の訪日で、「ヘリマネ」政策を実施するのではないかと疑われた。いずれの思惑も円売りに作用するから、107.49円の打診はその結果として納得できる。

 さらに、ソフトバングによる英ARMの買収といったニュースも流れ、M&Aに絡む資金フローの連想から円が売られやすかったと思われる。

 この間の急速な円安進行は、英EU離脱がもたらした「パニック相場」への単純な反動というよりも、新たな円売り材料の出現に反応した結果と言える。

■黒田さんの「ヘリマネ」否定で反落した米ドル/円だが… ところで、昨日(7月21日)、米ドル/円は反落してきた。

 日経新聞による「20~30兆円規模」の財政支出案が報道されたものの、黒田日銀総裁が英BBCのインタビューにおいて、「ヘリマネ」を明白に否定したことを受け、マーケットが一斉に円売りポジションを手仕舞い、円の反騰をもたらしたのだ。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 無理もない。財政出動より「ヘリマネ」の方が、円売り材料として「核爆弾」級の「最終兵器」となり、極めて強烈なインパクトを持つ。黒田さんの話にマーケットはより反応しやすく、また、反応せざるを得なかった。

 だからこそ、逆に言うと、米ドル/円がこの間、ほぼ調整なしで一直線に107.49円まで反騰したこと自体が行きすぎだったとも言える。期待先行の結果であったから、少なくとも短期スパンにおいて、それは再び修正されやすかった。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 なにしろ、「ヘリマネ」は「核爆弾」級の「最終兵器」だから、安易に使われることはなく、また、使われた時こそ、本当に生死の境をさまよう時ではないかと推測される。

 巷では「ヘリマネ」、「ヘリマネ」というものの… 
アベノミクスの失敗を隠蔽する経済刺激策 を出しても“冷めたピザ”はまずいまま! ブログ

アベノミクスの失敗を隠蔽する経済刺激策 を出しても“冷めたピザ”はまずいまま!

■カーニー総裁の言葉を額面どおりに受け取るのは甘い! 昨日(7月14日)、英中銀が「意外」にも政策金利を据え置きとした。これに関して、サプライズと感じる市場関係者が多かったと思うが、筆者はそうでなかった。なにしろ、あのカーニー英中銀総裁は、市場の期待を裏切ってきた人物として有名だから、今回の決定はむしろ自然な成り行きだと思う。

 要するに、カーニー総裁の言葉を額面どおりに受け取る方ご自身が甘い、ということである。

 過去に公開した、カーニー総裁に触れたコラムのタイトルにある「“頼りにならない彼氏”の裏切りに英ポンド怒りの急落!」の最後の一文字、すなわち「落」を「騰」とチェンジすれば、昨日(7月14日)の英ポンドの上昇をうまく説明できるだろう。

【参考記事】

●“頼りにならない彼氏”の裏切りに英ポンド怒りの急落! 続く米雇用統計は果たして!?(2015年11月6日、陳満咲杜) 

英ポンド/円 30分足 相場の方向こそまったく違うが、本質はいっしょといったケースは枚挙に暇がない。

■アベノミクスの失敗を隠蔽するための経済刺激策 ところで、今週(7月11日~)のマーケットに「異変」があるとすれば、それはほかならぬ、円売りの再開であろう。 

世界の通貨VS円 4時間足 参議院選与党の勝利により、安倍政権がより安定したこと、また、大型財政出動の可能性が示唆されたことにより、株高・円安がもたらされた。

 さらに、政府の経済刺激策と相まって、日銀が一段と量的緩和及びマイナス金利政策を推進していく可能性が大きいと言われ、バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長の訪日もあって、いわゆる「ヘリコプター・マネー」政策の可能性もささやかれた。一部市場関係者はアベノミクス第2弾とも呼ばんばかりの勢いで、大型株高・円安相場の再来に期待を寄せている模様だ。

 結論から申し上げると、こういった見方、仮に結果としては正しいとしても、アベノミクス第2弾云々ということが間違っていると思う。

 何しろ、どうみてもアベノミクスは実質的に金融政策頼みであり、しかも日銀のマイナス金利導入は結局、「逆噴射」の事態を招くことになったのだ。アベノミクスは失敗だったという認識が、むしろ世界的には常識であった。

 そして、アベノミクスが失敗だったからこそ、ここへきて、あわてて大型財政出動が打ち出され、赤字国債の再発行も含めて、いつか来た道へ逆戻り、というわけだ。

 換言すれば、今回の経済刺激策は、アベノミクスの失敗を隠蔽するために考案されたもので、最初から戦略に組み込まれたものではなかった。こういった場当たり的な判断がよい結果につながるはずもなく、また失敗する宿命にあると思う。

 こういった結論を得るのは難しくもなく… 
<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>ドイツ銀行破綻ならEU版リーマンショックに!</i> 英ポンド/円は史上最安値を更新する!? ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>ドイツ銀行破綻ならEU版リーマンショックに!</i> 英ポンド/円は史上最安値を更新する!?

■Brexit後、確実なのは「不確実性が高まっていること」 英EU(欧州連合)離脱を国民投票で決定したものの、英国内においても、国際社会においても混乱が続く。

 が、1つだけはっきりしていることがある。それはほかならぬ、不確実性がこれまでになく高まっていること、そして、これから連鎖反応が引き起こされることだ。

 こういったポイントを押さえれば、Brexit(英国のEU離脱)後の世界を予想するのもそう難しくないかと思う。筆者は6月26日(日)に、以下の文章をもって同予想を試みた。

■Brixit後の相場

 英EU離脱を受け、金曜(24日)世界金融市場が大揺れした。日経平均の急落、世界主要国においてワーストNo1になったことも別にサプライズではなかった、何しろ円の急伸、特に対ポンドの急伸が凄まじかったからだ。いつものように、日本株が衝撃に一番弱く、円がリスク回避先として「過剰」に反応しがちで、今回も然りだ。

 これからの相場、はっきり申し上げられるところがあれば、それは誰も正確に予想できないこと、この一点である。なぜなら、変動要素が多すぎるからだ。EU圏の問題で2008年リーマンショック時の性質と違うといった論点もあるが、賛成できないところがある。要するに、英EU離脱自体よりもその連鎖反応のほうが怖いわけだ。


 ひとつはEU全体の存続が疑問視され、リスクオフの流れが地政学の次元に発展する恐れがある。この場合、ポンド建て、ユーロ建ての株式はもちろん、債券マーケットの崩壊もあり得る。根本的なところ、流動性がなくなるリスクが大きいから、EU発の景気後退、深刻化されていく可能性がある。実際、ドイツ銀行がすでに破産寸前と言われ、EU全域銀行株の暴落がその危険性を暗示していると思われる。


 次は昨年から所謂チャイナリスクが警戒されてきた。ロンドンは人民元国際化の先陣として布局されてきただけに、EUの離脱が中国にとっても大きな打撃だ。英国をかけ橋とし、EUに投資する中国企業が多かっただけに、今回のEU離脱、このままチャイナリスクを増大させる一因としても無視できない。EUの混乱に中国を加えれば、米も独善的になれない。ウォール街は早くも7月FRB利下げが噂される。


 となると、円が引き続き買われやすく、また日本株も更なる下落の余地を拓くでしょう。2008年リーマンショックより今回円高が「行き過ぎ」だといったテクニカル的な視点を無視できないが、確信を持てない。EUの混乱にしても、中国のクラッシュにしても、これからであれば、警戒しておいたほうが無難だ。


 肝心のポンド、メリルリンチさんの指摘では、第2四半期の終値が1.4以下に沈む場合、今後数年ポンドが売られる運命にあるという。現在のレートを鑑み、むしろ1.4以上にキープするのが難しいかと思われる。従って、ポンド/円において、早ければ年内でも史上最安値(つまり対ポンド、円が史上最高値)を記録する、といった可能性を念頭におきたい。ちなみに、ポンド/円の史上最安値は2011年9月の116.76である。英国旅行でもいかがでしょうか、奥様。

■ドイツ銀行は「リーマンブラザーズの二の舞」? 実際、先週日曜日(6月26日)に予想した問題が、今週(6月27日~)に入って次々と鮮明化してきた。まず、ドイツ銀行の問題だ。ソロス氏が空売りを仕掛けていたとされるこの銀行、株価がどんどん下がっていき、にわか「リーマンショック前夜」の様相を呈している。

ドイツ銀行株 1時間足(クリックで拡大)(出所:CQG)

 ドイツ銀行が抱える最大の問題は過剰なレバレッジだとされ、あのリーマンブラザーズ破綻前の状況と似かよってきた。

 また、資産を売却しようとしても、信用市場の流動性が低下しているためうまくいかない。一段の資金調達なしでは難局を乗り切れず、また、それによって一段と難局に陥るといった悪循環にさらされるから、ドイツ銀行はあのリーマンブラザーズの二の舞かとささやかされ始めている。

 より深刻なのは、今回、英EU離脱がもたらしたリスクオフの流れで、EU全域の銀行株が売られ、ドイツ銀行の問題が氷山の一角と言われることだ。こうなると、仮にドイツ銀行が破綻した場合、その連鎖的インパクトは計り知れず、EU全域の信用市場に破滅的な結果をもたらす恐れが決して低くはないとみる。EU版リーマンショックの再来が危惧される。

■政治面はもっと混乱! EU解体の危機も もちろん、これから想定される混乱は、経済面よりも、政治面においてより大きいだろう。

 スコットランドのEU残留表明は、事実上の独立宣言に近く、オランダやイタリアのEU離脱がささやかれることもEU解体の危機を露呈している。こういった経済、政治の両面においての混乱や危機を回避していくのは決してたやすいことではなく、仮に成功するとしても、かなり時間がかかるだろう。

■中国人民元安、第二幕開幕!? もう1つ的中したのが、中国人民元の問題だ。

 昨日(6月30日)、ロイターが、中国人民銀行(中央銀行)が中国人民元を6.8人民元まで安くするよう、誘導する用意があると報道。この報道により、オフショア市場における中国人民元は10分間で400pipsも急落した。 

米ドル/中国人民元(USD/CNH) 1時間足(出所:CQG)

 その後、中国人民銀行はすぐ否定する声明を発表したが、経験上、中国人民銀行がすばやく反応すればするほど、情報はホンモノである可能性が高いから、いよいよ中国人民元安の第二幕が開き始めたとみるほうがよいだろう。

 要するに、2016年は波乱の年で、7年サイクルごとに発生する世界景気後退の現実味が英EU離脱によって一段と高まってきたわけだ。

 このような本格的な景気後退があれば、米利上げどころか利下げもあり得るうえ、日銀がいくら量的緩和やマイナス金利を拡大しても焼け石に水、失敗に終わるだろう。

 その上、アベノミクスの失敗が一段と証左され、その反動はまだまだ続く。すでにそれが今までの株価と円相場に織り込まれていると考えるのは甘すぎるだろう。

■英ポンドは戦後最安値更新が視野に! 肝心の英ポンド/円はというと、逆張りのミセス・ワタナベたちは、あの2008年のように再度やられるリスクが大きいだろう。なぜなら、英国の量的緩和がすでに規定路線として浮上している以上、英ポンド安の進行は避けられず、戦後最安値の更新が視野に入っているからだ。 

英ポンド/円 月足(クリックで拡大)(出所:CQG)

 詳細はまた次回。
英国のEU離脱でポンド暴落もこれ以上の 下落には別材料が必要か。ドル/円も然り ブログ

英国のEU離脱でポンド暴落もこれ以上の 下落には別材料が必要か。ドル/円も然り

■英国EU離脱へ! 英ポンドは31年ぶりの安値更新 世界中で懸念されてきた英国のEU離脱問題が現実になっている。英ポンドは急落し、英ポンド/米ドルは1985年以来、すなわち31年ぶりの安値を更新、円は急騰し、米ドル/円は一時99円台を記録した。 

英ポンド/米ドル 月足(出所:CQG) 

米ドル/円 1時間足(出所:ヒロセ通商)

 ミセス・ワタナベたちが好む英ポンド/円に至っては、昨日(6月23日)高値160円から一時27円も急落し、底なしの様子をみせている。 

英ポンド/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)

 となると、本日(6月24日)は大儲けになったはずだが…実情は必ずしもそうではないようだ。なぜなら、ミセス・ワタナベたちは逆張りが大好きなので、EU残留に賭け、どうやら英ポンドのロングポジションに傾いていたようだったからだ。それについては先日、ブルームバーグが記事を出し、懸念を示していたほどだった。

 筆者も懸念していた。そして、6月19日(日)に、このようなレポートを書いた。以下はその本文である。

 来週英EU離脱に関する国民投票の結果が金曜(24日)未明に判断される見通しで、東京市場が事実上同結果を最初に反映するマーケットとなる。その結果、恐れらく世界金融マーケット全体に波及していくでしょう。

 ウォール街は同結果次第、金融相場の激動を予測、幾分危機を「煽る」疑いがある。GSはポンドが最低10%の変動ありと指摘、また在留する場合、ポンドが5%上昇すると推測している模様。

 メリルリンチはより詳細の予測を発表している。離脱する場合、円やスイスフラン以外、ドルが急伸する可能性が高いと指摘、米利上げ観測が一段と後退するものの、リスクヘッジの需要が高まり、資金がドルに流れ込むというロジックだ。同行のロジックが正しければ、クロス円における急落がもっとも警戒されるべきかと思われる。

 何しろ、報道によると、ミセス・ワタナベらがポンドの逆張り(即ちロング)に傾いている模様だ。ポンド/円がすでに急落してきただけに、多くの日本の個人投資家はポンドが十分安くなっていると「勘違い」している可能性が大きい、と指摘する声も多い。現実になれば、かなり大きな「ギャップ」をつけて(ポンド/円の場合、3円~5円もあり得るか)相場がスタートされてもおかしくなかろう。

 反面、残留する場合、ドル全体が軟調に動く可能性があるものの、総じて緩やかな傾向にあると同行が予測する。なぜなら、米追加利上げ観測がまた高まりやすいからだ。総合的に見ると、ウォール街は総じてドル高(対円除く)トレンドの継続に賭けているようだ。

 1992年ポンド危機の再来と危惧する声も多いが、当時の状況とかなり違うといった認識が主流のようだ。何しろ、当時はまだ「アナログの時代」だったので、情報の伝達にしても、取引の形態にしても今日と大きな差がある。それにしても、相場の本質が変わらないから、一時的にせよ、流動性が深刻に低下する市況を覚悟しなければならない。となると、以下の2つのポイントが想定される。

 一つは離脱した場合でも、一時的な混乱があるものの一時間後ほどで通常の取引(スプレッドの正常化)に戻るでしょう。

 もうひとつはやや悲観的であるが、ミセス・ワタナベらのポジションが公に晒される以上、英投票の結果と関係なく、ロングポジションが喰われる可能性が高い。換言すれば、結果次第円高の度合いが違ってくるが、結果を問わず一時的な円高の進行を覚悟しておいたほうが無難だ。即ち、仮にミセス・ワタナベらの賭けが正しいとしても、相場は彼らを振り落としてから同結果を反映する可能性がある。相場は理外の理、果たして今回の市況はいかに。

 最後に、日本当局が為替介入を暗示しているが、このタイミングでやれるわけがないから、無視しましょう、はい。

 この事前予想では、投票結果の発表時刻を間違ったので、結果的にギャップをつけてからの急落ではなかったが、スプレッドの拡大が長く続かなかったことは合っているようだ。もちろん、ミセス・ワタナベの悲劇は容易に推測できたことだから、結論が正しかったとしても大した予測ではなかったはずだ。

 ただし、ミセス・ワタナベたちは皆が損しているとは思わない。なぜなら、少なくとも昨日(6月23日)まではその賭けが正しかったから、利益を確定した方も多かったのでは…と推測できるからだ。

 逆にいうと、本日(6月24日)もロングポジションを保有した者は、“逆張り”だけではなく“欲張り”すぎたから失敗したわけだ。また、仮に損したとしても、「ドテン」して英ポンド売り(つまり順張り)すれば、損失を容易にカバーできたとも推測される。果たしてどうだっただろうか。

 ところで、今回の英ポンドの急落は、ある意味では…
織り込み済みか。英国がEUを離脱しても 英ポンド暴落、欧州株暴落はない!? ブログ

織り込み済みか。英国がEUを離脱しても 英ポンド暴落、欧州株暴落はない!?

■FOMCも日銀も政策据え置きを決定 FOMC(米連邦公開市場委員会)も日銀も、政策の据え置きを決定した。FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ見送りは市場の予想どおり、日銀の様子見もおおむね市場関係者の読みどおりだと言える。

 何しろ、英国のEU(欧州連合)離脱に関する国民投票の結果が出る前に政策を発動するのはリスクが大きく、日銀はすでに少なくなっているカードを温存する必要があった。

 FOMCは今回利上げを見送った理由に、いわゆる「Brexit」(ブレグジット、英国のEU離脱)のリスクを取り上げていたから、日銀は拙速な判断を下すわけにはいかない。

 ただし、FRBは「Brexit」のリスクなしでも今回の利上げは難しかったと思われるが、日銀の場合はより現実的な脅威であると受け取れる。

 なぜなら、市場にはリスクオフのムードが高まっているため、仮に今回量的緩和、あるいはマイナス金利を拡大させたとしても、その政策効果が浸透するとは限らず、場合によっては2016年1月末のように、「黒田バズーカ」の逆噴射を招くリスクが大きかったからだ。 

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

 ただし、こういった読みが正しかったとしても、円高トレンドが進行している間、唯一、円高進行のスピードを調整できるのは日銀政策である。それが見送りされた以上、円高モメンタムが加速したことも想定の範囲内だった。

■円高が一段と進行し、典型的なリスク回避ムードに となると、円高の一段の進行は自然の成り行き。米ドル/円の105円の節目割れや103円台のトライが、ユーロ/円、英ポンド/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が軒並み急落することと相まって、典型的なリスク回避ムードが高まった。

世界の通貨vs円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)

 その上、金(ゴールド)が一時、2年ぶりの高値をつけた。これはこれからの世界金融市場の波乱を暗示するサインと受け止められる。 

金(ゴールド)価格 週足(出所:CQG)

 波乱のきっかけは今回の「Brexit」もあり得るし、また、筆者がたびたび指摘してきた中国発の混乱(いわゆる李万ショック(※))の可能性も、なお大きいかと思う。

【参考記事】

●2015年は中国で「李万姉妹」事件発生!?経済危機警戒、リスク資産から手を引け!(2015年8月21日、陳満咲杜)

●2016年は2008年リーマンショックの再現か。ドル/円は100円台まで下落の可能性も!(2015年12月25日、陳満咲杜)

(※編集部注:「李万ショック」とは、今後、中国で発生すると思われるショックを「リーマンショック」になぞらえた陳満咲杜氏の造語)

 ところで、「Brexit」は前代未聞だから、金融市場が… 
引退したソロスが動くほど今後の相場は おもしろい!? リーマン級ショックも想定内! ブログ

引退したソロスが動くほど今後の相場は おもしろい!? リーマン級ショックも想定内!

■ドルインデックス急落は5月の行きすぎの反動 前回(6月3日)のコラムでは米ドル全体の頭打ちを想定していた。実際にそのとおり、ドルインデックスは急落し、先週(5月30日~)の96の節目手前から、一時93.50割れまで反落してきた。

【参考記事】

●なぜ、ドル高になりきれない? 世にも怖い「キンチョウ」の夏の「冷やし中華」とは?(2016年6月3日、陳満咲杜) 

ドルインデックス 日足(出所:CQG)

 5月米雇用統計が市場予想より大幅に悪化していたことが直接の引き金となったが、注意すべきなのは、米追加利上げ観測によって、米ドルの切り返しが5月いっぱい先行していたということだ。

 要するに、同観測を過大に織り込んでいたために、その反動も大きかったのである。換言すれば、利上げ観測自体が行きすぎだったので、米雇用統計が仮に良かったとしても、米ドルが先行して上昇していた分、足元の米ドル高は限定的だったはずだ。このことは前回のコラムの趣旨であり、また、現時点でも変わらないと思う。

■米国株高なのに米ドル安・円高になっている理由とは? 米ドル/円に関しては、前回のコラムで指摘したとおり、4月末高値111.88円を超えない限り、米ドル/円の下落構造は維持され、米ドル安・円高の底打ちといった安易な推測は現実的ではなかろう。

【参考記事】

●なぜ、ドル高になりきれない? 世にも怖い「キンチョウ」の夏の「冷やし中華」とは?(2016年6月3日、陳満咲杜)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 実際、米国株が歴史的に高い水準をキープしているだけに、リスクオフの米ドル安・円高は理屈上、解釈されにくいが、米国を除いた主要中央銀行による量的緩和の流れにおいて問題を考えれば、「理外の理」がおわかりいただけるかもしれない。 

S&P500指数 週足(出所:CQG)

 今週(6月6日~)、S&P500指数が10カ月ぶりの高い水準を記録した一方、商品指数も同じく10カ月ぶりの高いレベルに到達している。

CRB商品指数 週足(出所:CQG)

 その上、ジャンク債が今年(2016年)、9%も高くなり、金(ゴールド)、原油と円が揃って上昇してきた。こういった市況は、もはや単純にリスクオン・オフをもって説明できなくなっており、市場における高い流動性が唯一の背景として解釈されやすい。

 何しろ、EU(欧州連合)、日銀をはじめ、主要地域、国の史上最大規模の量的緩和は資金の氾濫をもたらし、過剰流動性が原因で各資産が「理屈なし」に買われている。どうやら、唯一の理屈があるとしたら、やはり、「米追加利上げ観測の後退が市場のコンセンサスとなっているため、米ドルだけが買われにくい」ということである。

 しかし、世界経済成長自体は明るい見通しになっていない。EU、日本はもちろん、比較的成長率の高い米国でも5月雇用統計で見られたように、景気回復の失速が現実味を増している。

 こういった流れを汲むと、市場関係者の多くが… 
なぜ、ドル高になりきれない? 世にも怖い 「キンチョウ」の夏の「冷やし中華」とは? ブログ

なぜ、ドル高になりきれない? 世にも怖い 「キンチョウ」の夏の「冷やし中華」とは?

■米ドル/円の反落目立つ、ユーロ/円は3年以上ぶりの安値 ドルインデックスが中段保ち合いの様相を呈している中、米ドル/円の反落が目立ってきた。 

ドルインデックス 日足(出所:CQG) 

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 米ドル/円は今週月曜(5月30日)の高値111.45円から一貫して下落、安倍総理の消費増税先送り表明と共に円高が早送りされた模様で、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も「総崩れ」となり、ユーロ/円に至っては昨日(6月2日)、121.05円の安値を記録、2013年4月以来の低い水準まで落ち込んだ。 

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

 円高トレンドの継続自体は筆者の予想どおりで、別に驚きでもなんでもない。それと同じく、安倍首相の消費増税先送りも当然の結果で、むしろ、このタイミングで増税を推進していく方がおかしい。

 なぜなら、増税はそれ自体がアベノミクス成功の証しとなるはずだからだ。アベノミクスは明らかに失敗しているのに、増税できるはずがない。

 このあたりをサプライズとか、驚きとか言う見方自体、おかしいと言わざるを得ない。景気そのものを少し検証すれば誰でもわかるように、アベノミクス云々は幻想にすぎず、まったく効果を上げられなかったからだ。

■2017年の日本はG7で唯一マイナス成長を予想されている IMF(国際通貨基金)の推計によると、2016年の日本の実質経済成長率は0.5%程度で、危機に苦しんでいるEU(欧州連合)圏の3分の1にすぎない。

 さらに、来年(2017年)の予想では、日本はマイナス0.1%となっている。G7の中で唯一マイナスの予想をされたほど、日本景気の見通しは厳しい。マイナス金利を導入したにもかかわらず、この程度の成績しか残していない安倍政権は、少なくとも経済面において不合格であることは言うまでもない。

 もっとも、アベノミクスの本質は金融政策であり、また、それが事実上の財政ファイナンスと化しただけで、最も肝心の成長政策は何ら実らなかった。

 金融政策にしても、財政政策にしても、時間稼ぎが目的で、時間稼ぎの目的は成長を喚起、軌道に乗せることだが、いつの間にか金融政策のみが目的となり、また、その一時的な効果に戸惑わされたのも事実だ。

 一時の円安・株高は官製相場の結果にすぎなかったが、安倍政権はそれを自らの功績と自画自賛。昨年(2015年)夏以降、同効果が大きく剥落してくると、今度はリーマンショック前夜などと言い出して、自らの責任をごまかしているのも見苦しい。

 消費増税見送り自体がやむえないとしても、頑として失敗を認めず、アベノミクスが成功していると言い張りながらの公約違反は当然、国際的には評価されず、国内でも冷たい視線で見られ、信頼が失われつつあると言わざるを得ない。

■増税見送りで日銀政策終了が疑われた 日銀と同様に、今回は政府も「有言不実行」になったから、市場の評価もまさに厳しいものに。

 円高の再開は理屈上、いろいろと解釈されるが、最もわかりやすい話では、消費増税が見送りとなるなら、日銀金融政策もそろそろ終止符が打たれるのでは…といった疑心暗鬼がマーケットに共有されたのではないだろうか。

 言い換えれば、増税見送りがアベノミクス失敗の証拠であれば、アベノミクスの核心、または唯一の実体部分である金融政策も出口が模索されるのでは…と市場が疑い始めたということだ。

 日銀内部でも金融政策の限界を危惧する声が大きくなっている。日銀の佐藤審議委員が6月2日(木)、「2年で2%実現のコミットメントは再考を要する時期に来ている」、「マイナス金利政策は緩和効果をもたらすどころか、むしろ引き締め的」とインタビューに答え、黒田日銀総裁路線に明白な反対姿勢を表明した。

 張本人の黒田さんさえ、もっとも増税推進派であり、また、かねてから量的緩和と財政規律の整合性を主張してきただけに、増税が見送りとなった今は「やる気」が失われたのでは…と推測されるほどだ。

 要するに何のために量的緩和やマイナス金利を推進してきたか、という目的が失われている状況では、いわゆる規定路線でも走れなくなるリスクが大きいと言わざるを得ない。

 こういった状況を見透かしていたように、円高トレンドが再開し、米ドル/円の5月いっぱいの上昇幅が帳消しになってもおかしくないだろう。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 そもそも111円台までの切り返しは、米追加利上げ… 
米ドル全面高を過信するのはなぜ危険? 米利上げ観測自体が急になくなるかも!? ブログ

米ドル全面高を過信するのはなぜ危険? 米利上げ観測自体が急になくなるかも!?

■市場センチメント急変、米ドル全面高は続くのか? 米7月追加利上げの観測が高まりつつある。それにともない、米ドル全面高の市況となっているのは当然の成り行きとみなされる。

 しかし、テクニカルの視点では、ドルインデックスの下げが一服するという可能性が強かっただけに、こういった流れに後付けの形で利上げ観測が再燃するのは、サプライズというよりもむしろ、よく見られるパターンの1つだと思われる。 

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:CQG)

 もっとも、こういった市場センチメントの変化は急速に行われ、ドルインデックスの切り返しも急速に行われてきたから、これからの継続性が問われるだろう。

 米金融政策に関して、つい最近まで、「6月追加利上げはなし、年内2回」といった見方が主流であったが、先週(5月16日~)にかけて一転して「早ければ6月利上げもあり得る」といった観測が急速に高まってきた。

 米経済指標の改善云々より、米連銀理事のタカ派発言が市場センチメントを修正させた原因として挙げられやすいだろう。では、一部FRB幹部の強気スタンスは、どこに根拠があるのだろうか。

■一部FRB幹部の強気スタンスの根拠は? 先週(2016年5月20日)のコラムで既述のように、FRB(米連邦準備制度理事会)は景気云々よりも金融市場の安定やチャイナリスクを懸念していたから、この2つの要素がもっとも大きい。そして、両要素はコインの両面のように、実は同じであることを強調しておきたい。

【参考記事】

●急に高まった6月米利上げ説は正しい?そろそろ米ドル売り・円買いの好機到来か(2016年5月20日、陳満咲杜)

 言い換えれば、昨年(2015年)夏場から秋口にかけて発生した世界金融市場の混乱の発端が中国であった以上、チャイナリスクの存在は、これからも撹乱要素として見すごせない。

 一方、中国株にしても、中国人民元の動向にしても、不安定な状況が続いているものの、昨年(2015年)のバブル崩壊時の水準に比べると、足元ではかなり低いレベルにあるから、これから続落してもそのインパクトは低下していくに違いない。

 ゆえに、チャイナリスクは当面くすぶるが、その影響力は逓減しているから、これが原油や米国株の大幅リバウンドにつながったと言える。

 原油と米国株の反騰が、一部FRB幹部の強気につながったとしても別に不思議はないのではないだろうか。言い換えれば、理屈ではいろいろ難しく語れるが、結局、金融市場次第、ということである。

 となると、これから市場センチメントにしても… 
急に高まった6月米利上げ説は正しい? そろそろ米ドル売り・円買いの好機到来か ブログ

急に高まった6月米利上げ説は正しい? そろそろ米ドル売り・円買いの好機到来か

■FOMC後、米ドルの切り返しが一段と加速 米6月追加利上げ観測が高まってきた。FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が市場の想定よりタカ派だったとされ、米ドルの切り返しが一段と加速した。

ドルインデックス 日足(出所:CQG)

 前回(5月13日)のコラムでも強調していたように、ドルインデックスが反騰しやすい段階にあるから、こういった後付けの材料があっても自然な成り行きだとみる。

【参考記事】

●麻生財務相に当コラムを読んでほしい! 介入しなければ円高、すればもっと円高に!!(2016年5月13日、陳満咲杜)

 ただし、こういった材料を過大に解釈すべきではないと思う。なにしろ、市場の想定自体が定かではない上、非常に流動的だったから、あてにならないというか、単純にこれ以前のコンセンサスに対する修正が効いたという側面が大きい。

 言い換えれば、この前の4月米雇用統計が悪かったので、市場の米利上げ見通しが落ち込みすぎだった、ということだ。目下、この程度の修正は許容範囲であり、さらに米ドル全面高がガンガン進むとは限らない。

 その上、何よりも注意していただきたいのは、FRB(米連邦準備制度理事会)理事たちのスタンスを確信すべきではないということだ。金利据え置きを強く主張したあと、たった2週間足らずで、一転利上げを主張するようになった方もいるので、気をつけたい。

 今回の議事録の内容はタカ派とみられる人物たちが公の場で散々言ってきたことであり、別にサプライズではない。単純に議事録という正式な文書で確認されただけの話だ。このことはすでに現在の相場に織り込まれた公算が大きいと思う。

■前回利上げを見送った2つの理由は解消されていない 続いて、何より重要なのは、イエレンFRB議長のスタンスだ。ハト派とされる議長が今後、どう判断するかは誰も断言できないが、安易にタカ派スタンスに転換できないことだけは確かだ。何しろ、これ以前に追加利上げを見送った2つの理由は、しっかり残っているからだ。

 1つは不安定な世界金融市場だ。

 確かに昨年(2015年)8月のショックから米国株は大きく立ち直っているが、事の発端の地、すなわち、中国の状況はなお危惧されている。人民元安のトレンドが再開される兆しがくすぶり、上海株は不安定な値動きが続いているから、いつ暴落してもおかしくない情勢だ。

 上海株(上海総合指数)は2016年年初来安値の2638ポイントから4月の3000ポイント超までいったん切り返しを果たしていたものの、執筆中の現時点では、また、2800ポイント前後に下げてきた。

上海総合指数 日足 (出所:CQG)

 昨年(2015年)高値からすでに45%安の下落率を記録したものの、この記録は近々塗り替えられそうだ。

 それに伴い、人民元安の進行があれば、昨年(2015年)8月のように、再度世界金融市場に打撃を与えるだろう。欧州や日本など米国以外の主要国の株価は、昨年(2015年)のショックから立ち直ったとは言えず、混乱があれば、たちまちベア(下落)トレンドへ復帰することが容易に推測されるから、米国株のみ堅調、というわけにはいかない。

 もう1つは、米ドル高自体が利上げの障害に…