西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

月足終値で1.40ドル割れなら31年ぶり! 英ポンドを暴落させたボリスショックとは? ブログ

月足終値で1.40ドル割れなら31年ぶり! 英ポンドを暴落させたボリスショックとは?

■2016年注目通貨ペアの英ポンド/円が下落再開! みなさん、こんにちは。

 年初のコラムでご紹介したように、今年(2016年)の最注目通貨ペアの1つが英ポンド/円。

【参考記事】

●2カ月で16円暴落!ポンド/円は想定どおり急落! 株安・円高のカギはNYダウが握る(1月7日、西原宏一)

 その英ポンド/円は昨年(2015年)11月19日(木)の高値188.82円から一気に163.99円まで急落。約25円急落したことで、いったん調整に入っていたのですが、再び下げ足を早めています。

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 そして今週(2月22日~)、英ポンド/円を長期にわたってサポートしてきた200週移動平均線が位置している162.95円を下抜けたことから下落が加速し、一気に154.73円まで急落。再びマーケットの注目を集めています。

【参考記事】

●ポンド急落の原因はロンドン市長にあり!? 6月国民投票で英国はEUを離脱するのか?(2月23日、西原宏一&松崎美子)

英ポンド/円 週足(出所:CQG)

■英ポンド下落の要因はロンドン市長のEU離脱支持 その英ポンド急落の要因は、ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏(以下、ジョンソン氏)が、EU(欧州連合)からの離脱か残留かを問う国民投票で、「離脱」派を支持する考えを表明したことでした。

EU離脱派を支持する考えを表明した、ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏 (C) Getty Images News

ロンドンのボリス・ジョンソン市長(51)が、英国が6月に行う欧州連合(EU)からの離脱か残留かを問う国民投票で、「離脱」派を支持する考えを表明した。与党・保守党の盟友で、人気が高いジョンソン氏のEU離脱支持は、残留を訴えるキャメロン首相に痛手となりそうだ。

ジョンソン氏は21日、報道陣に「根本的なEU改革ができるとは誰も本気でいえない」と述べ、「ずいぶん頭を悩ませたが、他の余地はない」と決意を語った。

出所:朝日新聞

 このロンドン市長のコメントで一気に急落して始まった今週(2月22日~)の英ポンドですが、通常こうした相場展開は、「ヘッドラインリスク」と言われ、他の要人が逆の意見のコメントをすると一気に反発することが多く、警戒すべきところです。

 しかし、週明けのアジア市場で急落した英ポンドは、ロンドン市場が始まっても売り圧力が収まらず、英ポンド/米ドルは重要なサポートである、1.4000ドルを一気に下抜けてきました。

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 ここまで英ポンドが下落したのは、ジョンソン氏という人物が、イギリス国内での支持率がもっとも高い政治家であり、次期首相の最有力候補であるため、単なる「ヘッドラインリスク」としては片づけられないということのようです。

 ロンドン在住の松崎美子さんの言葉を借りれば、「私の近所の人たちもみんなボリスが大好きだし、影響力は非常に大きい」とのこと。

【参考記事】

●ポンド急落の原因はロンドン市長にあり!? 6月国民投票で英国はEUを離脱するのか?(2月23日、西原宏一&松崎美子)

  一方、EU残留を支持するのは、もちろんキャメロン首相。ジョンソン氏はキャメロン首相の…
日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか? ブログ

日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか?

■黒田総裁の切り札「マイナス金利」の評判は芳しくない 黒田日銀総裁が切り札として投入した「マイナス金利」ですが、マーケットの評判は芳しくありません…。

【参考記事】

●日銀のマイナス金利導入で相場大荒れ! 米ドル/円は急上昇→急反落→ジリ上げ

黒田総裁が切り札として繰り出した「マイナス金利」だったが、マーケットの評判は芳しくない…。マイナス金利導入が急激な「株安・円高」を誘引したとの報道も多くなっている (C)Bloomberg

 過去のコラムでも触れましたが、1月29日(金)という時期に発表されたこともあり、多くの運用担当者は、2016年度の運用計画を大幅に見直す必要に迫られ、会議の連続…。

【参考記事】

●日銀のマイナス金利の効果は賛否両論。円安・株高は中長期マネーがカギを握る(2月4日、西原宏一)

 また、外資系銀行はECB(欧州中央銀行)がすでにマイナス金利を導入しているため問題ないようですが、邦銀、とくに地方銀行はマイナス金利を入力できるよう、システム面での対応を急遽迫られています。

 加えて、こうした金融機関の労力にも関わらず、「マイナス金利導入」が急激な「株安・円高」を誘引したとの報道が多く、「マイナス金利」の評判をさらに落とす結果になっています。

■ヘッジファンドの狙い撃ちで「急速な株安・円高」を誘引 ただ、米ドル/円の115円からの急落は、2月の日経225オプションのSQ(※)を利用して、ヘッジファンドに狙い撃ちされたと言われています。

(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)

【参考記事】

●3月株価暴落をジム・ロジャーズが警鐘!NYダウ下落なら本格的なリスクオフ相場に(2月16日、西原宏一&松崎美子)

 2月12日(金)は日経225オプションのSQ。

 SQ前日はマーケットが荒れる傾向にあるのですが、今回のSQ前日は日本市場は建国記念の日の祝日で休場、中国も春節(旧正月)で休場であったため、流動性が枯渇する中、ヘッジファンド勢に狙い撃ちされ、急速な株安・円高を誘引したと言われています。

 実際、今回、日経平均のSQ値は1万5156円という安値で終わっています。そしてSQ値が安値で決まったあとは、日経平均と米ドル/円が反発しました。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 ただ、今回の「急速な株安・円高」の流れは、「日銀のマイナス金利導入」後に起こっていることも確かであるため、当局も対応に追われています。

 前回のコラムでご紹介したように「介入」を示唆するコメントも多数。

【参考記事】

●行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー完成のドル/円は105円台へ下落の公算(2月12日、西原宏一)

 加えて、本邦年金と思われる大口の日本株の買いが持ち込まれ、前述のヘッジファンド勢の買い戻しも加わり、「日経平均と米ドル/円」はなんとか値を戻しています。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

  こうしたセンチメントの悪化を改善するには、本邦当局の単独介入という一時的な措置ではなく…
<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー</i> 完成のドル/円は105円台へ下落の公算 ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー</i> 完成のドル/円は105円台へ下落の公算

■「ドイツ銀行」の経営難でリスクオフ加速 みなさん、こんにちは。

 2016年年初からの急激な「株安・円高」の流れに呼応し、マーケットの予想どおり、G7(先進7カ国)は協調してマーケットに介入。

 ECB(欧州中央銀行)は3月の緩和予告、FOMC(米連邦公開市場委員会)はハト派のコメント、そして、日銀は「マイナス金利」を導入しました。

【参考記事】

●第2のリーマン懸念!? ドイツ銀行ショック!? 円高・株安はさらに加速してしまうのか?(2月9日、西原宏一&松崎美子)

 一時は黒田総裁のシナリオどおり、米ドル/円は一気に121円台まで急騰。日経平均も大幅反発。

【参考記事】

●日銀のマイナス金利導入で相場大荒れ! 米ドル/円は急上昇→急反落→ジリ上げ

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 あとは、投資先を失った中長期資金が、少しずつリスクアセットに投入されるのを待つという流れだったのですが…グローバルマーケットでは「ドイツ銀行の経営難」という、さらなる要因が追加され、再びリスクオフが加速。

【参考記事】

●第2のリーマン懸念!? ドイツ銀行ショック!? 円高・株安はさらに加速してしまうのか?(2月9日、西原宏一&松崎美子)

ドイツ銀、過去最大8500億円の赤字に 15年決算見通し

【ベルリン=共同】ドイツ銀行は20日、2015年通年決算の純損益が67億ユーロ(約8500億円)の赤字になる見通しだと発表した。DPA通信によると、年間での赤字は金融危機当時の2008年以来で、過去最大の赤字幅となる。

昨年10月に事業再編計画を発表。中南米や北欧など10カ国で業務を取りやめ、40億ユーロの資産を売却し、グループの約2万9千人の社員を減らす。赤字見通しは人員削減のコストなどがかさんだためとしている。

短期金利の国際的指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作に絡み、昨年4月に罰金約25億ドル(約2900億円)を支払うことで米司法省や米英金融当局と合意したことも影響したとみられる。

ドイツ銀は15年決算を28日に発表する。

出所:日経新聞

 この報道でドイツ銀行のみならず、欧州株が急落。

ドイツ銀行株価 日足(出所:CQG)

独DAX指数 日足(出所:CQG)

 加えて、日銀の「マイナス金利効果」を帳消しにしたのが、米国の利上げ予測の後退…。

 マーケットの予測は、米国は今年(2016年)あと1回すら利上げできないというものにすでに変わっており、対ユーロでも急速に米ドル安に傾いています。

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

  この米ドル安の流れの中、本邦当局が死守しようとしていた…
日銀のマイナス金利の効果は賛否両論。 円安・株高は中長期マネーがカギを握る ブログ

日銀のマイナス金利の効果は賛否両論。 円安・株高は中長期マネーがカギを握る

■日銀がマイナス金利導入で米ドル/円は短時間で暴騰 みなさん、こんにちは。

 前回のコラムでご紹介したように、2016年年初からの急激な「株安・円高」は、日経平均先物の1万6000円割れ、そして米ドル/円の116.00円割れまで進行したあと、いったん収束しました。

【参考記事】

●2016年前半相場のカギを握る日銀会合。 一番重要なのは追加緩和の有無ではない!(1月28日、西原宏一)

 しかし、TPP(環太平洋連携協定)の立役者であった甘利経済再生相が1月28日(木)に突然辞任。これにより再びマーケットは不透明感を増し、日本株と米ドル/円は不安定な展開に。

 この報道を受けた翌日(1月29日)の日銀金融政策決定会合の結果公表で、黒田総裁は驚きの「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を発動し、マーケットの話題は黒田日銀に集中しました。

【参考記事】

●日銀のマイナス金利導入で相場大荒れ!米ドル/円は急上昇→急反落→ジリ上げ

●日本経済新聞が事前に報道! 日銀のマイナス金利導入は察知されていたのか?

●日銀のマイナス金利は引下げ余地大きい。ドル/円は押し目買い目線で125円方向へ(2月2日、西原宏一&松崎美子)

 「甘利ショック」も一気に霧散し、米ドル/円と日経平均は短時間で暴騰します。

米ドル/円 30分足(出所:CQG)

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

■日銀のマイナス金利導入の効果については賛否両論 今回の日銀のマイナス金利導入の効果については賛否両論です。

 まず、これまでと違って追い込まれてからの緩和策の発表であること。

 次に、下記の第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストが指摘するように、低金利誘導が金融機関の経営を圧迫すること。

例えば、銀行は預金を集めて、その資金を貸出や国債運用に回している。

全国銀行の場合、2014年度の決算では資金運用収益9.8兆円のうち、2.5兆円は有価証券利息・配当金である。これらの収益から預金利息などを支払い、人件費・物件費を差し引き、経常利益を得ている。この利益が人為的な運用収益の下押しで削り込まれることになる。

しばしば日銀がマイナス金利を導入すると、銀行の預金利回りはマイナスになるのかと疑問が湧くが、それはないだろう。なぜならば、預金の保有残高が一定期間ごとにマイナスに目減りする仕組みをつくると、預金者は損失を嫌がって、現金保有に金融資産をシフトさせるからだ。

銀行は、現金シフトを警戒して、預金金利をマイナスにはしないだろうから、結果的にマイナス金利政策のしわ寄せを食ってしまう。

これが金融仲介機能に悪影響を与えることは間違いない。

つまり人為的な低金利誘導が、過度に金融機関の経営を圧迫する可能性があることだ。

(出所:ロイター)

 確かに、この発表を受けて金融関連の株は軒並み急落。

 そして、マーケットの反応もこれまでと違って乱高下。

 日銀のマイナス金利発表当日(1月29日)、米ドル/円は118.50円レベルから一気に121.69円まで急騰。

 短期的に日足の200日移動平均線と一目均衡表・雲の上限に止められた格好となりました。

米ドル/円 日足(出所:CQG)

  しかし、今週(2月1日~)に入って、米ドル/円は上げ幅をすべて…
2016年前半相場のカギを握る日銀会合。 一番重要なのは追加緩和の有無ではない! ブログ

2016年前半相場のカギを握る日銀会合。 一番重要なのは追加緩和の有無ではない!

■急激な「株安・資源安・円高」はいったん収束 みなさん、こんにちは。

 2016年スタートとともに始まった急激な「株安・資源安(原油安)・円高」相場ですが、日銀のQQE3(量的・質的金融緩和第3弾)期待の高まりとともに、いったん収束(前回コラム参照)。

【参考記事】

●ドル/円は一時115円台! 日銀の追加緩和期待高まるが中期の株安・円高は変わらず(1月21日、西原宏一)

 市場参加者の間には、今回のリスクオフ相場に対して、G7(先進7カ国)が協調してマーケットを沈静化させるのでは…という観測(期待?)がありました。

■ドラギ発言が黒田総裁のQQE3を連想させることに… そして、その期待どおり、1月21日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会で、ドラギ総裁は3月の追加緩和を宣言しました。

【参考記事】

●バズーカ発射へと追い込まれる黒田総裁。追加緩和実施ならドル/円はどこまで上昇?(1月26日、西原宏一&松崎美子)

 彼の突然の追加緩和宣言が、FOMC(米連邦公開市場委員会)のハト派的なトーン、そして、何よりも1月29日(金)に予定されている黒田日銀によるQQE3を連想させ、「株・原油・米ドル/円」を一気に反発に転じさせることに成功しています。

NYダウ 4時間足(出所:CQG)

NY原油先物 4時間足(出所:CQG)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 今月(1月)に入ってのマーケットは各国の経済指標が重要ではなく、この急激な「株安・資源安」が止まるのかどうかに焦点が当たっています。

 この意味においては、ドラギ総裁はさすがの手腕で、2カ月先の緩和予告という(今のところ)口先だけで、グローバルな株価の下落を食い止めています。

 連携して、1月26日(火)~27日(水)にかけて開催されたFOMCは極めてハト派的なトーンに終始。

 そのバトンを渡されて、世界中が注目している日銀金融政策決定会合の結果公表が、明日(1月29日)予定されています。

■マジノ線は米ドル/円が115円、日経平均は1万6000円 ドラギ総裁の追加緩和宣言に呼応して、マーケットは素直に、リスクオフの修正に入り、株は反発、米ドル/円も一時、119円台まで回復しています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 ここで米ドル/円の動向をテクニカル分析で確認してみます。

 まず、米ドル/円は2014年10月15日(水)からのサポートが2016年年初に崩れてから円高相場がスタートしています。

米ドル/円 週足(出所:CQG)

 次に注目されるのが75週移動平均線です。

 2012年来、3年間にわたって米ドル/円をサポートしてきた75週移動平均線。こちらも、2016年年初にブレイクされてから米ドル/円の下落に弾みがつき、一時は115.98円まで急落。

 米ドル/円のマジノ線(115.00円)に向けて急速に接近。

(※編集部注:「マジノ線」とは第二次世界大戦前にフランスがドイツとの国境に築いた難攻不落と言われた要塞のこと)

 このリスクオフな相場展開の中、ドラギ総裁のコメントが黒田総裁の決断を連想させ、マジノ線ブレイクは回避されています。

米ドル/円 週足(出所:CQG)

 日経平均のマジノ線である1万6000円も同様にサポートされた格好。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

  あとは、日銀の黒田総裁が1月29日(金)にどう動くのかが…
ドル/円は一時115円台! 日銀の追加緩和 期待高まるが中期の株安・円高は変わらず ブログ

ドル/円は一時115円台! 日銀の追加緩和 期待高まるが中期の株安・円高は変わらず

■英ポンド/円はわずか2カ月で25円弱の暴落 今週(1月18日~)前半も、2016年年初から続く急激な株安、円高が進行。

 クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落を先導する英ポンド/円は歯止めがかからず、一時163.99円まで暴落。これで、2015年11月の戻り高値からわずか2カ月でなんと25円弱暴落。

【参考記事】

●2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!?英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ(2015年12月24日、西原宏一)

●2カ月で16円暴落!ポンド/円は想定どおり急落! 株安・円高のカギはNYダウが握る(1月7日、西原宏一)

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 英ポンド/円の下落に歩調を合わせ、米ドル/円も節目の116.50円を割り込むと一時、115.98円まで急落。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

■円高加速は香港ハンセン指数の急落がきっかけ 加えて、今回の円高加速のきっかけは香港ハンセン指数。1月20日(水)のアジア市場では、香港ハンセン指数がいきなり3.7%もの急落を演じ、それが日経平均に飛び火しました。

香港ハンセン指数 30分足(出所:CQG)

 さらには、下記の甘利大臣の賄賂問題が報道され、マーケットのセンチメントが悪化したことも挙げられます。

「私は甘利大臣に賄賂を渡した!」

甘利明TPP担当大臣(66)と公設秘書に、政治資金規正法とあっせん利得処罰法違反の疑いがあることが週刊文春の取材でわかった。千葉県内の建設会社の総務担当者が週刊文春の取材に応じ、メモや録音を基に金銭の授受を証言した。

出所:週刊文春

賄賂問題が報じられた甘利明・経済再生担当大臣。この報道もあってマーケットのセンチメントはさらに悪化し日経平均も急落することとなった… (C)Bloomberg

 日経平均は、2014年10月31日(金)の黒田バズーカ2で開けた窓の下限で重要なサポートである1万6500円が決壊。日経平均先物は一気に1万6000円を割り込む暴落となりました

【参考記事】

●日銀とGPIFのダブルバズーカ炸裂で、ドル/円は120円へ向け上昇の可能性濃厚(2014年1月21日、西原宏一)

日経平均 週足(出所:株マップ.com)

 連れて、米ドル/円も一時、115円台への急落劇を演じています。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

  その暴落を反転させたのが、下記の日銀によるQQE3(量的・質的金融緩和第3弾)に関する…
ソロスも警告! リーマンショックが再来!? 株安・円高の行方占う2つのポイントとは? ブログ

ソロスも警告! リーマンショックが再来!? 株安・円高の行方占う2つのポイントとは?

■英ポンド/円筆頭にクロス円の下落が加速 多くの市場参加者が懸念したとおり、2016年は「株安・円高」でスタート。

【参考記事】

●今年の10大リスクが早速炸裂!?中国株暴落、中東大荒れ、2016年相場は波乱の幕開け(1月5日、西原宏一&松崎美子)

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 当コラムで注目している英ポンド/円は大きな戻しもなく、続落。執筆時点での英ポンド/円は安値更新中で、一時、168.84円まで急落しています。

【参考記事】

●2カ月で16円暴落!ポンド/円は想定どおり急落! 株安・円高のカギはNYダウが握る(1月7日、西原宏一)

 英ポンド/円は昨年(2015年)11月19日(木)に188.82円の高値をつけて反落していますので、わずか2カ月弱で20円の大暴落。

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 豪ドル/円も昨年(2015年)12月4日(金)に90.74円の高値に到達して以来反落に転じており、その下落幅は1カ月半でなんと10円。

豪ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)

 クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の急落が米ドル/円の下落も誘引し、米ドルに対しても円高が加速。1月11日(月)の米ドル/円は一時、116.68円まで急落しています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■米大統領選挙の年は年初5営業日の株の動向に注目 今年(2016年)の大発会(1月4日)の日経平均は、582円という急落で幕開け。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 年明けの大発会で急落劇が演じられると、それは株の下落を暗示していることが多いと言われています。たとえば、バブル崩壊の1990年や大手金融機関が破綻に追い込まれた1998年が挙げられます。

 日経平均のみならず、今年(2016年)は米国株も大幅下落でスタート。

NYダウ 日足(出所:CQG)

 米大統領選の年は年初5営業日の株の動向が年間の株価の動向を左右する確率が88%に達するというデータも報道されており、2016年は日経平均、米国株とも前途多難なセンチメントでスタート。

 相場環境もリスクオフ要因には事欠きません。「原油価格の低迷…
2カ月で16円暴落!ポンド/円は想定どおり 急落! 株安・円高のカギはNYダウが握る ブログ

2カ月で16円暴落!ポンド/円は想定どおり 急落! 株安・円高のカギはNYダウが握る

 明けましておめでとうございます。

 本年もよろしくお願いします。

■英ポンド/円は2カ月弱で16円暴落、米ドル/円は120円割れ 前回のコラムで2016年注目の通貨ペアと取り上げさせていただいた英ポンド/円が年末年始に急落。

【参考記事】

●2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!? 英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ(2015年12月24日、西原宏一)

英ポンド/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)

 昨年(2015年)11月19日(木)に英ポンド/円は188.82円に到達後、本日(1月7日)に一時172.20円まで急落。わずか2カ月弱にして16円も暴落しています。

英ポンド/円 週足 (出所:CQG)

 この背景は変わらず、英ポンドの「Brexit(英国のEU離脱)」懸念(前回のコラム参照)と株の下落による円高です。

【参考記事】

●2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!? 英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ(2015年12月24日、西原宏一)

 2016年の相場がスタートして、まだ1週間しか経ってないのですが、中東問題の混乱に加え、北朝鮮の核実験報道、中国人民元安の加速が中国株の急落を誘引するなど、リスクオフ要因には事欠かず、円高要因も多数ある状況…。

【参考記事】

●今年の10大リスクが早速炸裂!?中国株暴落、中東大荒れ、2016年相場は波乱の幕開け(1月5日、西原宏一&松崎美子)

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

 米ドル/円は2016年の年明けから重要なサポートだった120.00円を割り込むと、一時117.67円まで下落し、対米ドルでも円高が急速に進行しています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

  そして、昨年(2015年)6月24日(水)の195.89円から下落した英ポンド/円は…
2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!? 英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ ブログ

2016年は英国のEU離脱懸念が高まる!? 英ポンド/円は下落余地拡大で170円へ

 2015年も残すところ、あとわずかとなりました。

 本年も大変、お世話になりました。来年もよろしくお願いします。

■2015年の米ドル/円は「黒田ライン」で伸び悩む 前回のコラムでも取り上げましたが、今年(2015年)は、9年半ぶりの米利上げがテーマとなり、米ドルが底堅く推移するも、米ドル/円は上値が125円台で抑えられ、115~125円台という狭いレンジで終了。

【参考記事】

●米国が約9年半ぶりに利上げを実施! でも、なぜ米ドルは急騰しなかったのか?(12月17日、西原宏一)

 結局、米国の利上げの行方に関わらず、米ドル/円は「黒田ライン」として意識された125円近辺で上値を抑えられた展開に終始しました。

【参考記事】

●ザイFX!で2015年を振り返ろう!(2) 「黒田ライン」意識で伸び悩んだ米ドル/円

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

 振り返ってみれば、今年(2015年)の米ドル/円の始値は、119.73円ですので、9年半ぶりの米利上げがテーマであったにもかかわらず、米ドルは対円で、ほとんど上昇していないことになります。

 アベノミクスを背景に、2012年~2014年と続伸してきた米ドル/円ですが、今年(2015年)は伸びきらず…。

【参考記事】

●【2013年相場見通し】日経平均とドル/円が注目の的。ドル/円の上値メドは90円に!(2012年12月27日、西原宏一)

●アベノミクス第2章の2014年は緩やかな円安相場となり、ドル/円は年末に115円へ(2013年12月26日、西原宏一)

●米ドル高継続でドル/円は130円が目標! でも2015年1月のトレードは慎重に入るべき(2014年12月25日、西原宏一)

 米ドル/円は、昨年(2014年)10月からのサポートラインである120.00円レベルを割り込むと、反落懸念が高まりますので要注意です。

【参考記事】

●米国が約9年半ぶりに利上げを実施! でも、なぜ米ドルは急騰しなかったのか?(12月17日、西原宏一)

米ドル/円 週足(出所:CQG)

■2016年は米ドル高と円高がともに進行か 一方、中期的見通しでは、ユーロを筆頭に他通貨では、米追加利上げを背景に米ドルが緩やかに上昇するというマーケットのコンセンサスは変わらないため、2016年は米ドル高、円高という予測も増えてきています。

 そうなると、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のボラティリティが上がりそうです。

世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)

  前述のように、市場参加者の視点がクロス円取引に移行する中…
米国が約9年半ぶりに利上げを実施! でも、なぜ米ドルは急騰しなかったのか? ブログ

米国が約9年半ぶりに利上げを実施! でも、なぜ米ドルは急騰しなかったのか?

■米国が9年半ぶりに利上げを実施! みなさん、こんにちは。

 日本時間12月17日(木)未明に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、予想どおり、0.25%の利上げが決定され、FF金利のターゲットは0.25-0.50%に引き上げられました。

米国政策金利(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)

 FOMC後に公表された声明では、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレンFRB議長が今後の利上げが段階的かつ小幅になると示唆。

 この声明が多くの投資家に好感され、12月17日(木)の東京市場では、本稿執筆時点で日経平均は340円高、米ドル/円は、一時、122.65円まで反発しています。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 今年(2015年)最後のビッグイベントである、FOMCでの利上げが無事達成されたことで、株式相場が反発。呼応して米ドル上昇という流れであるわけですが、その上昇幅は小幅なものに…。

■FOMCより、ECB理事会のほうがインパクトを与えた これは、12月3日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会を受けての相場の逆流がまだ根底にあるからだと思われます。

【参考記事】

●米利上げは100%織り込んだ! 注目は…!? ドル/円120円割れは日銀にとって好都合?(12月15日、西原宏一&松崎美子)

 ECB理事会で決定された追加緩和が想定以下であったため、それ以降、流れが反転しており、「株安、ユーロ高、米ドル安、円高、資源国通貨高」という相場展開が続いていました。

 それが、今回のFOMCの結果を受け、リスクオン相場に戻りつつあるのですが、ユーロ/米ドルの下落も1.08ドル台前半までと限定的。

ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)

 原油も依然軟調な展開で、12月16日(水)の原油相場は、米原油在庫がこの時期としては1930年以来の高水準に増加したことをきっかけに大幅下落。

NY原油先物 1時間足(出所:CQG)

 米ドル/円は122円台ミドルまで戻した程度で上昇幅は小幅…。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 イエレンFRB議長は慎重に言葉を選び、9年半ぶりの米利上げが、株や新興国通貨の下落に結びつかないようにしたことは高く評価されているのですが、FOMCが決定したのは緩和ではなく、利上げであるため、株の継続的な上昇には直接つながりません。

 一方、今回の利上げ開始は、マーケットが十分織り込んでいたため、米ドルの急騰につながるわけではありません。

 結果、ECB理事会以降のユーロ/米ドル中心のポジション調整が、年末まで続く公算が高いのではないでしょうか?

 今年(2015年)の為替市場を振り返ってみると、主役は何と言っても…