西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達 には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!?

 米国出張から戻ってきました。
 過去2週間の間に相場は大きく変貌しているようです。
 今週から、またよろしくお願いします!
■日米首脳会談の結果を受けて、米ドル/円は上昇 先月(9月)26日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で漸進的な利上げが確認されたこと、加えて、注目の日米首脳会談では、貿易交渉中の日本車に対する追加関税は回避、為替への言及もなしという結果を受け、米ドル/円は上昇。
【参考記事】
●加ドル/円窓開け急騰! クロス円が強い! 日経平均27年ぶり高値達成でドル/円は…(10月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
 加えて、10月3日(水)のNY市場では米金利が急騰し、総じて米ドル高へ。
 米10年国債利回りは、一時3.18%まで急騰。2011年以来の高水準となりました。
米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 この背景ですが、米国経済への楽観的な見方が強まったとの解説が多いのですが、マーケットのウワサによれば、この米金利の上昇は、中国による米国債の売りが効いているとのこと。
 2018年4月は、ロシアの米国債の売りが話題になりましたが、今度は中国。
【参考記事】
●米金利急騰により短期的には米ドル高だが米国株の調整が米ドル/円下落を誘うか?(4月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
 米10年国債利回りの急騰により、米ドル/円は、一時114.55円まで急伸しました。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 ユーロ/米ドルも節目であり、かつ、オプションが集中していた1.1500ドルをブレイクし、下値余地が拡大。英ポンド/米ドルも1.3000ドルを割り込み、一時1.2922ドルまで下落しました。
ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
 豪ドル/米ドルも、調整は0.7313ドルまでで、その後は反落。
豪ドル/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
 米金利の急騰に連れて、総じて米ドルは堅調な動きとなりました。
■現在の円安局面は、日銀も金融政策の正常化に動きやすい マーケットでは、米ドル/円は120円まで上昇するという見方も増えてきており、2018年初頭のマーケットのセンチメントに。
 ただ、ヘッジファンドを中心に、米ドル/円のさらなる急騰には警戒感が出始めています。
 10月3日(水)のNY市場では、米ドル/円のダウンサイドに対してのオプションのインタレストが増えてきている模様。つまり、円高に対するヘッジの必要性を感じているようです。
 その背景は、トランプ大統領の為替に対するツイートへの警戒感。
 前述のように、米金利の急騰に追随し、米ドル/円が114円台に乗せたことから、マーケットでは、米ドル/円が120円まで上昇するという見方も増えています。
米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
 ただ、それは、貿易不均衡の是正を公約に掲げるトランプ政権からの批判を招きかねないため、今回の米ドル/円の急騰には、マーケット関係者から懸念の声も上がっているのです。
 見方を変えれば、現時点では日銀の金融政策は正常化した方が良いのではないかというのがコンセンサスなので、現在の円安局面では、日銀も金融政策の正常化に動きやすいと言えます。
 表現を変えれば、こういう円安局面こそ日銀は、(円高を招きかねない)金融政策の正常化に動くチャンスであると言えます。
 では、米金利の急騰に対して、どの通貨ペアで…
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反発は一時的!? 「米中貿易戦争」を背景に 中期での豪ドル軟調は変わらないと見る!

■米中貿易戦争はさらにエスカレート みなさん、こんにちは。
 今週(9月17日~)も米中貿易戦争は収まるどころか、エスカレートするばかり。
【参考記事】
●トランプ政権の対中通商政策で右往左往。米ドル/円が112円台まで上昇した理由は?(9月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
 トランプ政権は、中国製品2000億ドル相当へ10%の関税を課すと発表。
 これに対して、中国が報復。米国製品600億ドル相当を対象に、最大10%の関税を9月24日(月)から課すことを決定しました。
 7月頃までは、この事態に対し、「米中貿易戦争」という表現は誇張され過ぎており、「米中貿易摩擦」が正しいとの報道も見受けられました。
 しかし、今月(9月)に入ってからの米国と中国のパンチの応酬を見ていると、「米中貿易戦争」という表現こそがふさわしいという展開になっています。
 ただ、政治から金融市場に視点を移すと、米中貿易戦争がエスカレートしているにもかかわらず、上海総合指数は下げ渋り、反発傾向にあります。
上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)
 前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、日足のデマーク(※)インディケーターが上海総合指数の反発を示唆。
(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
【参考記事】
●デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!(9月13日、西原宏一)
 そのサインどおりに上海総合指数は、2016年1月の2638ポイントをかろうじてサポートし、本稿執筆時点では2700ポイント台を回復しています。
 先週(9月10日~)からの報道では、中国にとって、なんらグッドニュースが出たわけではありませんが、今週(9月17日~)に入ってからの、一連の米中貿易戦争の報道が予想されたものであったため、悪材料が織り込み済みとなり、上海総合指数が反発に転じたと想定されます。
上海総合指数 週足(出所:Bloomberg)
 こうした加熱するマーケットに対し、デマークインディケーターが発するシグナルは有効であるケースが多いのですが、それは、今回も同様だったという結果に。
■中国株反発で、オセアニア通貨も大きく買い戻し 上海総合指数の反発に呼応し、豪ドルも反発。
 豪ドル/米ドルは、0.7085ドルの安値から0.7275ドルまで反発。
豪ドル/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
 豪ドル/円は、78.68円から81.66円まで急反発。
豪ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
 ユーロ/豪ドルは、1.6354豪ドルから1.6053豪ドルまでとあっという間に300pips豪ドル買いが進みました。
ユーロ/豪ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 4時間足)
 以下は、2018年9月13日(木)~20日(木)までの、対米ドルの騰落率です。
(出所:BloombergのデータよりザイFX!編集部が作成)
 先週(9月10日~)から今週(9月17日~)にかけて、NZドルや豪ドルが大きく買い戻されているのがわかります。
 ただ、問題は、この動きが継続するかどうかです。
 目先の中国株の反発とは裏腹に…
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反発は一時的!? 「米中貿易戦争」を背景に 中期での豪ドル軟調は変わらないと見る!

■米中貿易戦争はさらにエスカレート みなさん、こんにちは。
 今週(9月17日~)も米中貿易戦争は収まるどころか、エスカレートするばかり。
【参考記事】
●トランプ政権の対中通商政策で右往左往。米ドル/円が112円台まで上昇した理由は?(9月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
 トランプ政権は、中国製品2000億ドル相当へ10%の関税を課すと発表。
 これに対して、中国が報復。米国製品600億ドル相当を対象に、最大10%の関税を9月24日(月)から課すことを決定しました。
 7月頃までは、この事態に対し、「米中貿易戦争」という表現は誇張され過ぎており、「米中貿易摩擦」が正しいとの報道も見受けられました。
 しかし、今月(9月)に入ってからの米国と中国のパンチの応酬を見ていると、「米中貿易戦争」という表現こそがふさわしいという展開になっています。
 ただ、政治から金融市場に視点を移すと、米中貿易戦争がエスカレートしているにもかかわらず、上海総合指数は下げ渋り、反発傾向にあります。
上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)
 前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、日足のデマーク(※)インディケーターが上海総合指数の反発を示唆。
(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)
【参考記事】
●デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!(9月13日、西原宏一)
 そのサインどおりに上海総合指数は、2016年1月の2638ポイントをかろうじてサポートし、本稿執筆時点では2700ポイント台を回復しています。
 先週(9月10日~)からの報道では、中国にとって、なんらグッドニュースが出たわけではありませんが、今週(9月17日~)に入ってからの、一連の米中貿易戦争の報道が予想されたものであったため、悪材料が織り込み済みとなり、上海総合指数が反発に転じたと想定されます。
上海総合指数 週足(出所:Bloomberg)
 こうした加熱するマーケットに対し、デマークインディケーターが発するシグナルは有効であるケースが多いのですが、それは、今回も同様だったという結果に。
■中国株反発で、オセアニア通貨も大きく買い戻し 上海総合指数の反発に呼応し、豪ドルも反発。
 豪ドル/米ドルは、0.7085ドルの安値から0.7275ドルまで反発。
豪ドル/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
 豪ドル/円は、78.68円から81.66円まで急反発。
豪ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
 ユーロ/豪ドルは、1.6354豪ドルから1.6053豪ドルまでとあっという間に300pips豪ドル買いが進みました。
ユーロ/豪ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 4時間足)
 以下は、2018年9月13日(木)~20日(木)までの、対米ドルの騰落率です。
(出所:BloombergのデータよりザイFX!編集部が作成)
 先週(9月10日~)から今週(9月17日~)にかけて、NZドルや豪ドルが大きく買い戻されているのがわかります。
 ただ、問題は、この動きが継続するかどうかです。
 目先の中国株の反発とは裏腹に…
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デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!

■米中貿易摩擦で中国は70万人の雇用喪失!? みなさん、こんにちは。
 当コラムで集中してご紹介してきた豪ドルですが、今週(9月10日~)も中期的には続落を示唆するような報道が目立ちます。
【参考記事】
●トルコショック収束も世界的な政治混乱は続く…。 豪州の政情不安で豪ドルが下落!(8月23日、西原宏一)
●9月入りで相場のセンチメントに変化…!? 米国株調整入りなら豪ドル下値余地拡大!(9月6日、西原宏一)
 まず、JPモルガンのレポート。
 JPモルガンのレポートによれば、米中貿易摩擦によって中国は70万人の雇用を失うとのこと。摩擦が激化すれば、もちろん影響はそれ以上に…。
 この予測は、米政権が2000億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を実施することに加え、中国人民元がさらに5%下落するとの前提となっています。
 中国の雇用喪失は中国株の下落を誘引します。
 弱気相場入りしている上海総合指数は、2700ポイントを割り込んで、大きな反発もないまま2650ポイントレベルで推移。
上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)
■過去10年中でも今は豪ドルと中国株の相関性が極めて高い そして現在は、豪ドルと中国株との相関性がここ10年余りの中で、極めて高まっている時期に当たります。
豪ドル/米ドル&上海総合指数 週足(出所:Bloomberg)
 そのため、米国との貿易摩擦に中国がどう対応するかで豪ドル相場が左右されるリスクを浮き彫りにしているとバンク・オブ・ニューヨーク・メロンが指摘しています。
チーフ通貨ストラテジストのサイモン・デリック氏は今週の顧客向けリポートで、「新たな発表がなされた場合、人民元と共に中国市場がどのような反応を示すかが、豪ドルを考える際の重要な問いだ」と論じ、「豪ドルにとって極めて重要な数週間」となる可能性があるとコメントした。
出所:Bloomberg
 もともと豪ドル、とくに豪ドル/円は、米国株との相関性が高く、米国株が上昇すると豪ドル/円も正の相関を示し、上昇する傾向がありました。いわゆる、リスクオンといわれる相場です。
 ところが今年(2018年)は米国株が大きく反発しても豪ドルはまったく反応せず、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンが指摘するように、中国株の下落とともに大きく値を下げてきました。
 結果、上海総合指数が3000ポイントの節目を割り込み、下落相場入りしてじり安に推移する中、豪ドルは主要通貨に対して全面安となっています。
 以下の画像は、米ドルに対する主要通貨の年初来騰落率を示しています。
(出所:BlooombergのデータよりザイFX!編集部が作成)
 スウェーデンクローナを除くと、豪ドルは対米ドルでもっとも値を崩した通貨になっています。
 しかし、大きな戻りもなく…
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デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!

■米中貿易摩擦で中国は70万人の雇用喪失!? みなさん、こんにちは。
 当コラムで集中してご紹介してきた豪ドルですが、今週(9月10日~)も中期的には続落を示唆するような報道が目立ちます。
【参考記事】
●トルコショック収束も世界的な政治混乱は続く…。 豪州の政情不安で豪ドルが下落!(8月23日、西原宏一)
●9月入りで相場のセンチメントに変化…!? 米国株調整入りなら豪ドル下値余地拡大!(9月6日、西原宏一)
 まず、JPモルガンのレポート。
 JPモルガンのレポートによれば、米中貿易摩擦によって中国は70万人の雇用を失うとのこと。摩擦が激化すれば、もちろん影響はそれ以上に…。
 この予測は、米政権が2000億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を実施することに加え、中国人民元がさらに5%下落するとの前提となっています。
 中国の雇用喪失は中国株の下落を誘引します。
 弱気相場入りしている上海総合指数は、2700ポイントを割り込んで、大きな反発もないまま2650ポイントレベルで推移。
上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)
■過去10年中でも今は豪ドルと中国株の相関性が極めて高い そして現在は、豪ドルと中国株との相関性がここ10年余りの中で、極めて高まっている時期に当たります。
豪ドル/米ドル&上海総合指数 週足(出所:Bloomberg)
 そのため、米国との貿易摩擦に中国がどう対応するかで豪ドル相場が左右されるリスクを浮き彫りにしているとバンク・オブ・ニューヨーク・メロンが指摘しています。
チーフ通貨ストラテジストのサイモン・デリック氏は今週の顧客向けリポートで、「新たな発表がなされた場合、人民元と共に中国市場がどのような反応を示すかが、豪ドルを考える際の重要な問いだ」と論じ、「豪ドルにとって極めて重要な数週間」となる可能性があるとコメントした。
出所:Bloomberg
 もともと豪ドル、とくに豪ドル/円は、米国株との相関性が高く、米国株が上昇すると豪ドル/円も正の相関を示し、上昇する傾向がありました。いわゆる、リスクオンといわれる相場です。
 ところが今年(2018年)は米国株が大きく反発しても豪ドルはまったく反応せず、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンが指摘するように、中国株の下落とともに大きく値を下げてきました。
 結果、上海総合指数が3000ポイントの節目を割り込み、下落相場入りしてじり安に推移する中、豪ドルは主要通貨に対して全面安となっています。
 以下の画像は、米ドルに対する主要通貨の年初来騰落率を示しています。
(出所:BlooombergのデータよりザイFX!編集部が作成)
 スウェーデンクローナを除くと、豪ドルは対米ドルでもっとも値を崩した通貨になっています。
 しかし、大きな戻りもなく…
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9月入りで相場のセンチメントに変化…!? 米国株調整入りなら豪ドル下値余地拡大!

■レイバーデイ明けで相場のセンチメント変化に注意 みなさん、こんにちは。
 早いもので、今年(2018年)も9月に入りました。
 カレンダー上ではレイバーデイが終わると、マーケットのセンチメントが様変わりすることもあると言われています。
 レイバーデイが終わるということは、サマーバケーションの終了。
 同時に、米国の学校は9月から新年度入りするわけで、日本の4月のように、学生のみならず、マーケット参加者は心機一転という時期に入るわけです。
 そんな中、今週(9月3日~)、米大手銀行が、「米国株の下落に備えよ」というレポートを出している模様。
米国株の下落に備えよ-ゴールドマンとシティが警戒促す
米国株に対する投資家の楽観が強まる時は、ウォール街からの警告も高まる。
投資家の楽観が年初来最大の下落局面を示唆する水準に達したことから、シティグループは新たな相場下落が待ち構えている可能性があると警戒を促した。一方、ゴールドマン・サックスの強気・弱気相場指数は、バリュエーション(株価評価)の高さや労働市場の引き締まりを追い風に、警戒水準に達した。
出所:Bloomberg
 これは、強気相場が終わったことを意味するわけではないようですが、8月には米国株の続伸を受けて、多くのストラテジストが米国株の2018年度末の予想を引き上げていることもあり、レイバーデイ明けの米国株の動向には要注意です。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
■米国株が反落すれば、膠着した米ドル/円が動き出すか 振り返れば、これまで上海総合指数が急落しても、米国株には何の影響もありませんでした。
 むしろ、米中貿易戦争の勝者は米国であるという意味で、上海総合指数が続落すれば、米国株が続伸するという展開。
 それが、前述の記事にありますように、レイバーデイ明けは、米国株も調整に入る可能性も…。実際、あれだけ底堅く推移してきたナスダック総合指数が、今週(9月3日~)は軟調に推移しています。
ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)
 米国株が反落すれば、米中間選挙を控えて、マーケットのボラティリティが急騰し、膠着している米ドル/円相場が、動意づく可能性が高まります。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
為替トレーダー、米中間選挙のヘッジ開始を-BofAストラテジスト
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは、北米の夏が終わりに近づく今こそ、米中間選挙に備え計画を立てるよう、投資家にアドバイスした。
BofAは、11月にかけてドル・円オプション3カ月物のインプライド・ボラティリティー(IV、予想変動率)を保有することを推奨している。11月の中間選挙では、民主党が下院で、また上院でも共和党から過半数を奪回しようとする見通しだ。
出所:Bloomberg
 レイバーデイ明けのマーケットのセンチメントの変化には、留意したいところです。
■年初来騰落率プラスのメキシコペソも負け組入り目前 一方、新興国通貨は、今週も続落…。そんな新興国通貨の中で、年初来の対米ドル騰落率が、今なおプラスで推移している通貨が、ただ1つあります。
 それは、メキシコペソ。
米ドル/メキシコペソ 週足(出所:Bloomberg)
 しかし、メキシコペソも、今や負け組入り目前。
 新興市場が次々と危機に揺さぶられ、続落する中、感染被害を受けている展開です。
 そして、資源国通貨である豪ドルの…
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トランプ政権が米ドル安に向けて動く!? 欧州通貨上昇。米ドル一人勝ち相場終焉か

■パウエル講演はハト派との意見多数! 総じて米ドル安に 今月(8月)24日(金)に、マーケットが注目していたジャクソンホールでのFRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長の講演が終了しました。
 メディアによって捉え方に相違があるのですが、総じて見ると、「利上げの打ち止め時期が近づいた」といったようなハト派な意見が多数。
【参考記事】
●FRB議長が利上げの終盤を印象づけた!? 新興国から流出した資金が向かう先は…?(8月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
 つまり、「来年(2019年)の利上げサイクル終焉」という見方が増え始め、米金利は低下。
 特に、このコラムで何度か取り上げさせていただいた、米10年国債利回りは、じり安に推移し、3.00%台をなかなか回復できません。
 結果、マーケットは、パウエル議長の講演終了後、総じて米ドル安に。
【参考記事】
●中期的にはリスクオフ継続で円高進行中! 銅価格20%強急落が意味するものとは…!?(8月16日、西原宏一)
米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
■トランプ政権が米ドル安に向けて行動を起こす? そして、今週(8月27日~)のマーケットでは、もう1つの要因が大きくのしかかって、欧州通貨中心に米ドル安が急速に進行しました。
 下記の記事は、8月9日(木)のブルームバーグの報道記事ですが、あまりに唐突であり、一部の金融関係者の1つの見方として報道されていました。
 しかし、ここにきて他の米大手金融機関も同じような懸念を持っていることを表明し始めたため、ご紹介します。
トランプ政権がドル安に向け行動を起こす可能性も想定-JPモルガン
米国が幾つかの国・地域との間で通商対立を繰り広げる中で、弱いドルを望むトランプ大統領がその実現に向け行動する可能性があるとの見方をエコノミストは真剣に受け止め始めている。
JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は今週の調査リポートで、「現政権が時々、ドル安選好をほのめかしたり、中国による為替操作と受け止められるものに反対を表明したりする点を特に踏まえると、当社の基本シナリオではないものの、一段と介入主義的な通貨政策への転換の可能性を排除することはできない」と指摘した。
出所:Bloomberg
 トランプ大統領が、再三、中国と欧州に対して、為替について不満を述べていることは、たしかです。
 ここに円が入っていないのは、安倍首相が総裁選を控えているため、円に関してのコメントを控えているのではとの見方も…。

 どちらにせよ、8月15日(水)を境に、ユーロ/米ドルを筆頭に、対欧州通貨で米ドル安が進んでいます(ユーロ/米ドル、ドルインデックスは、8月15日(水)を変化日として方向を転じています)。
ユーロ/米ドル 日足(出所:Bloomberg)
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
 以下は、ジャクソンホールで経済シンポジウムが…
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トルコショック収束も世界的な政治混乱は 続く…。 豪州の政情不安で豪ドルが下落!

■トルコショック収束も、世界的な政治混乱は続く みなさん、こんにちは。
 先週(8月13日~)までマーケットの話題をさらっていたトルコショックも、いったん収束。
【参考記事】
●中期的にはリスクオフ継続で円高進行中! 銅価格20%強急落が意味するものとは…!?(8月16日、西原宏一)
●日銀はステルステーパリングをしている!? 歴史的珍事! ゴールドが異例の売り越しに(8月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
 金融市場は沈静化を見せ、大きく値を下げていたユーロ/円も128円台を回復しています。
ユーロ/円 日足(出所:Bloomberg)
 ただ、グローバルには政治的混乱の報道が相次いでいます。
 たとえば、米国の3大ネットワークとCNNでは、トランプ大統領批判がヒートアップ。
トランプ氏が口止め料を指示、元弁護士が有罪答弁
ドナルド・トランプ米大統領の元個人弁護士マイケル・コーエン氏は21日、ニューヨークの連邦裁判所で2件の選挙資金法違反を含む8つの罪について有罪を認めた。
出所:Wall Street Journal
 この報道に基づいて、米民主党は「弾劾だ」との流れに、なんとかもっていこうとしていますが、マーケットの反応は、いまひとつ。
 米メディアの報道が加熱するのとは裏腹に、この報道が米大統領の地位を致命的に脅かすわけではなさそうです。
■豪州の政情不安で豪ドル下落 一方、豪州では、政局の混乱が金利の低下を招き、通貨安(豪ドル安)の流れに傾斜。
 豪州のターンブル首相が窮地に陥っています。
 8月21日(火)に実施された自由党の党首選では、「48対35」でターンブル首相が勝利しました。
 ただ、この選挙自体、突然行われたものであり、党内ではターンブル首相に対する不満が高まっています。
 そして、本日(8月23日)日本時間未明、ターンブル政権の主要閣僚3人が辞任を表明。
 呼応して、豪ドル/米ドルへの売り圧力が高まり、8月23日(木)のマーケットでは、豪ドル/米ドルが0.7354ドルから0.7285ドルまで反落。豪ドル/円は、81.31円から80.73円まで下落しています。
豪ドル/米ドル 1時間足(出所:Bloomberg)
豪ドル/円 1時間足(出所:Bloomberg)
 トルコ情勢が、いったん収束したことから…
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中期的にはリスクオフ継続で円高進行中! 銅価格20%強急落が意味するものとは…!?

■米国とトルコの関係は改善されず不透明なまま… 米国との関係悪化もあり、先週(8月6日~)末からトルコリラが急落し、世界的な経済不安に発展しています。
【参考記事】
●トランプ砲がトルコショックに追い打ち! 米国株が崩れると、リスクオフ加速も…!?(8月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
 8月15日(水)には、カタールがトルコに150億ドルの直接投資を約束したという報道をきっかけに、暴落していたトルコリラが、いったん反発。
トルコリラ/円 4時間足(出所:Bloomberg)
 しかし、米国政府は仮に米国人牧師が釈放されても、対トルコ鉄鋼輸入関税については廃止しないと表明しており、米国とトルコの関係は改善されず、事態は不透明なままです。
 加えて、このコラムでも何度かご紹介していますが、弱気相場入している上海総合指数の下落が止まりません。
【参考記事】
●17年間も続いたサポートを割れる寸前! 豪ドルはなぜヤバい?米中貿易戦争が影響?(6月21日、西原宏一)
●2018年前半の為替相場を振り返ろう! 「ローリング・ベア」で弱気相場が継続する?(6月28日、西原宏一)
 以下は、上海総合指数の週足チャートです。弱気相場入してから、下落が収まらず、本稿執筆時点では2700ポイント台前半で推移しています。
上海総合指数 週足(出所:Bloomberg)
■銅が20%強急落し、中国経済減速を示唆 一方、トルコは、いったん沈静化するも、今度は南アフリカランドが大幅下落。
 南アフリカ中銀のクガニャゴ総裁が、「成長見通しは気がかりだ」とコメントしたことが、足を引っ張った形です。
 新興国経済、そして通貨は、軒並み低調な展開となっています。
南アフリカランド/円 日足(出所:Bloomberg)
 商品市場に目を向けると、金属相場は大幅安。
 パラジウムが、一時7%超下落しました。
NYパラジウム先物 日足(出所:Bloomberg)
 そして、注目は銅。
 銅は、英語で「Copper(コッパー)」。
 銅は、家庭から工場まで、家電や自動車、送電線にまで幅広く使われれおり、景気に先行して動くとされ、「Ph.D.Copper(ドクターコッパー)」と呼ばれます。
 銅価格の推移は、世界経済、特に、最大消費国である中国の景気の先行きを表すと言われています。
 その銅は、直近高値から20%強急落し、弱気相場入り。
NY銅先物 日足(出所:Bloomberg)
 上海総合指数に続き、「Ph.D. Copper」も中国経済の減速を示唆した形になります。
 米国株が好調であり、米国経済の底堅さからグローバルに景気がいいのかと錯覚してしまいがちですが、銅価格の下落が示すように、中国経済の減速が、さらに鮮明となり、世界的な景気見通しが不透明に…。
 結果、「株安、債券高、コモディティ(商品)安、米ドル高、円高」とピースが揃いつつあり、リスクオフ相場入りした公算が高まっています。
 そのため、今週(8月13日~)前半は、当コラムでご紹介させていただいていた、ユーロ/円や豪ドル/円、NZドル/円といったクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が、一時暴落しました。
【参考記事】
●米ドル/円はじり安の展開へ! 日銀の条件付き長期金利上昇容認以降、円高が進行!(8月9日、西原宏一)
 ただ、マーケットは…
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米ドル/円はじり安の展開へ! 日銀の条件 付き長期金利上昇容認以降、円高が進行!

■ビットコイン急落のワケとは? みなさん、こんにちは。
 まず最初に、久しぶりにビットコインについて。
 8月8日(水)、ビットコイン/米ドルは、7000ドル台から一気に6400ドル割れまで急落しました。
ビットコイン/米ドル 4時間足(出所:TradingViewによるBTCUSDチャート)
 背景にあったのは、米SEC(証券取引委員会)にCBOE(シカゴ・オプション取引所)などが申請していたETFの認可判断を延期したことです。
 当初、8月10日(金)に予定されていたこの発表は、「ETFriday」として期待を集め、ビットコインは買われていました。
 しかし、ETFridayへの期待が剥落して、急落を誘ったようです。
ビットコイン/米ドル 4時間足(出所:TradingViewによるBTCUSDチャート)
 米SECは、新たな日取りを9月30日(木)と発表しています。ここで気になるのが、日程の部分。
 10月11日(木)には、インドネシア・バリでG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)が開催されます。
 このG20までに、仮想通貨に対する国際基準を明確にするよう、FATF(マネ―ロンダリング対策などを行なう国際組織)は求めているようです。
 国際的な枠組みが決まる直前に、米SECがETFを認可するかといわれると疑問が残ります。
 今後、ビットコインは、9月30日(木)のETF期待で再び買われる可能性もありますが、認可への過剰な期待には警戒が必要です。
 2018年初頭にビットコインが急落して8カ月ほど経過していますが、ビットコインが再び堅調に推移するには、まだ時間がかかりそうです。
ビットコイン/米ドル 週足(出所:TradingViewによるBTCUSDチャート)
 前回のコラムで、ご紹介させていただいたように…