西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

予想どおりの米中間選挙後、米国株急騰! Brexit楽観報道で英ポンドの反発に要警戒 ブログ

予想どおりの米中間選挙後、米国株急騰! Brexit楽観報道で英ポンドの反発に要警戒

■米中間選挙は上院・共和党、下院・民主党で予想どおり みなさん、こんにちは。

 注目の米中間選挙は、コンセンサス通りの結果(上院は共和党、下院は民主党の勝利)で終了しました。

【参考記事】

●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)

 この結果を受け、民主・共和両党から勝利宣言が出される展開。

 トランプ大統領は、上院で共和党が過半数よりも、さらに議席を増やしたことを「歴史を書き換えた」と自画自賛しています。


米中間選挙の結果を受けて、トランプ大統領は、上院で共和党が過半数よりも、さらに議席を増やしたことを自画自賛 (C)Mark Wilson/Getty Images

 一方、下院を奪回した民主党では、下院議長に就任する可能性が高いペロシ議員が、ホワイトハウスとの対決姿勢を鮮明にしています。

 個人的には、トランプ大統領は、うまく中間選挙を乗り切ったととらえていますが、日本のメディアは「ねじれ」を取り上げ、ネガティブな表現が多いのに少々ビックリ。

■米国株の急反発がトレンドになるかを見極め 話題をマーケットに戻すと、過去のコラムで何度かご紹介させいていただいたように、米系ヘッジファンドは米中間選挙前、つまり、10月の「米国株の調整」を予測し、ヘッジをかけていた模様。

 結果は彼らの想定どおり、米国株は中間選挙前に急落しました。

【参考記事】

●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)

 では、米中間選挙後の相場はどうなるのか?

 米中間選挙後という意味では、本稿執筆時点では、まだ1日しかたっていませんが、11月7日(水)の米国株は急騰。

 NYダウは2.13%、ナスダック総合指数は2.64%と大幅に反発しています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 これは、前述のヘッジファンド勢の利益確定の意味合いもあるため、当然の反発とも言えます。

 この米国株の反発が、ショートポジションの利益確定の買い戻しだけではなく、トレンドになり得るのかどうかは、今週(11月5日~)後半の米国株の動向を確認したいところ。

 為替市場に視点を移すと、10月は株下落による…
米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想 ブログ

米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想

■米中間選挙を控える中、米国株は急落 みなさん、こんにちは。

 こちらのコラムでも何度かご紹介させていただきましたが、多くのヘッジファンドの思惑どおり、米中間選挙前の米国株は急落。

【参考記事】

●中国経済悪化の影響が欧州にまで波及…!? リスクオフ継続で、ユーロ/円続落に警戒!(10月25日、西原宏一)

 NYダウは、今年(2018年)1月26日(金)に到達した高値である2万6616ドルをブレイク。しかし、マーケットがブルに傾いた局面で急反落しました。

NYダウ 週足(出所:Bloomberg)

 つまり、ブルトラップにダブルトップで急落した展開。

 日経平均も、同様です。

 今年(2018年)1月23日(火)に到達した2万4129円という高値を10月2日(火)に、ご丁寧に上抜いて、2万4448円まで到達。

 今回こそ、2万5000円、3万円への道が開けたとマーケットが想定した局面で、こちらもブルトラップになって暴落しました。

日経平均 週足(出所:Bloomberg)

 日経平均の下落は凄まじく、10月26日(月)には2万971円まで急落。

 下落幅は、驚愕の3477円です。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 株の下落に呼応して、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も反落。

 ここまではヘッジファンドの思惑のとおり。

 本稿執筆時点のマーケットは、急激な下落の反動で、株やクロス円は反発過程にあります。

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

■上院、下院ともに共和党勝利の確率が上昇中 そして、来週(11月5日~)、6日(火)には注目の米中間選挙を控えています。

 米中間選挙前は、多くのヘッジファンドの思惑のとおり、「株、クロス円」は急落しました。

 それでは、米中間選挙後は、アノマリーどおりに米国株は反発し、リスク許容度が改善して、クロス円も反発するのでしょうか?

 米中間選挙は、大統領が所属する政党が負けるというのがコンセンサス。そのため、事前の世論調査では、民主党が下院で、共和党が上院で過半数を取ると見られているようです。

【参考記事】

●米中間選挙で金融市場はどう動くのか? さらなる株安で米利上げが止まる可能性も!?

 ただ、最近のメディアの報道では、共和党の勢いが増してきており、上院、下院とも、共和党が勝利する確率が徐々に上がってきているようです。

最近のメディア報道では、共和党の勢いが増してきているという。上院、下院ともに共和党が勝利する確率が徐々に上がってきているようなのだが、果たして… (C)Mark Wilson/Getty Images

■失速する民主党……いったい何が? つまり、民主党の失速……。

 では、民主党に何が起こっているのか?

 まず、サンダース報道官の入店拒否報道。

料理店が報道官を入店拒否 「トランプ政権で働いているから」

サンダース米大統領報道官は23日、米バージニア州レキシントンのレストランを前夜訪れた際、女性経営者がトランプ大統領の下で働いていることを理由に入店を断ったとの一幕を明かした。

出所:CNN

 考え方が違っても、入店を拒否するというのは、明らかにやりすぎではないかというのが一般的な印象ではないでしょうか?

 加えて、意外だったのは、この報道について民主党から自粛のコメントが出ないこと。

 こうしたことは、民主党支持者を減らす結果につながっていると想定されます。

 現在、ツイッターのハッシュタグで…
米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想 ブログ

米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想

■米中間選挙を控える中、米国株は急落 みなさん、こんにちは。

 こちらのコラムでも何度かご紹介させていただきましたが、多くのヘッジファンドの思惑どおり、米中間選挙前の米国株は急落。

【参考記事】

●中国経済悪化の影響が欧州にまで波及…!? リスクオフ継続で、ユーロ/円続落に警戒!(10月25日、西原宏一)

 NYダウは、今年(2018年)1月26日(金)に到達した高値である2万6616ドルをブレイク。しかし、マーケットがブルに傾いた局面で急反落しました。

NYダウ 週足(出所:Bloomberg)

 つまり、ブルトラップにダブルトップで急落した展開。

 日経平均も、同様です。

 今年(2018年)1月23日(火)に到達した2万4129円という高値を10月2日(火)に、ご丁寧に上抜いて、2万4448円まで到達。

 今回こそ、2万5000円、3万円への道が開けたとマーケットが想定した局面で、こちらもブルトラップになって暴落しました。

日経平均 週足(出所:Bloomberg)

 日経平均の下落は凄まじく、10月26日(月)には2万971円まで急落。

 下落幅は、驚愕の3477円です。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 株の下落に呼応して、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も反落。

 ここまではヘッジファンドの思惑のとおり。

 本稿執筆時点のマーケットは、急激な下落の反動で、株やクロス円は反発過程にあります。

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

■上院、下院ともに共和党勝利の確率が上昇中 そして、来週(11月5日~)、6日(火)には注目の米中間選挙を控えています。

 米中間選挙前は、多くのヘッジファンドの思惑のとおり、「株、クロス円」は急落しました。

 それでは、米中間選挙後は、アノマリーどおりに米国株は反発し、リスク許容度が改善して、クロス円も反発するのでしょうか?

 米中間選挙は、大統領が所属する政党が負けるというのがコンセンサス。そのため、事前の世論調査では、民主党が下院で、共和党が上院で過半数を取ると見られているようです。

【参考記事】

●米中間選挙で金融市場はどう動くのか? さらなる株安で米利上げが止まる可能性も!?

 ただ、最近のメディアの報道では、共和党の勢いが増してきており、上院、下院とも、共和党が勝利する確率が徐々に上がってきているようです。

最近のメディア報道では、共和党の勢いが増してきているという。上院、下院ともに共和党が勝利する確率が徐々に上がってきているようなのだが、果たして… (C)Mark Wilson/Getty Images

■失速する民主党……いったい何が? つまり、民主党の失速……。

 では、民主党に何が起こっているのか?

 まず、サンダース報道官の入店拒否報道。

料理店が報道官を入店拒否 「トランプ政権で働いているから」

サンダース米大統領報道官は23日、米バージニア州レキシントンのレストランを前夜訪れた際、女性経営者がトランプ大統領の下で働いていることを理由に入店を断ったとの一幕を明かした。

出所:CNN

 考え方が違っても、入店を拒否するというのは、明らかにやりすぎではないかというのが一般的な印象ではないでしょうか?

 加えて、意外だったのは、この報道について民主党から自粛のコメントが出ないこと。

 こうしたことは、民主党支持者を減らす結果につながっていると想定されます。

 現在、ツイッターのハッシュタグで…
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中国経済悪化の影響が欧州にまで波及…!? リスクオフ継続で、ユーロ/円続落に警戒!

■上海総合指数の下落が止まらない みなさん、こんにちは。

 このコラムで何度かご紹介させていただいたように、上海総合指数の下落は止まらず。

【参考記事】

●「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!(10月11日、西原宏一)

●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(10月18日、西原宏一)

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 中国当局が市場支援のための政策措置を取るとの報道から一時、中国株は反発する局面もあったのですが、上値は限定的です。

■市場関係者の中国株への見方は依然として弱気 市場関係者の中国株に対する意見も、引き続き、弱気なものが目立ちます。

 たとえば、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの中国株戦略責任者は、「上海総合指数は2日続伸となっているが、上海総合指数のパフォーマンスは世界で最も低いもののひとつであり、現在の急回復はセンチメントの回復による短期的なもの。結果反発は長続きはしないだろう」とコメント。

 前回のコラムでご紹介させていただいたように、米中貿易戦争は収まるどころか深刻化しており、なかなか中国株が反発するメドは立ちません。

【参考記事】

●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(10月18日、西原宏一)

 先週(10月15日~)までは、この中国株の続落が、米国株に大きな影響を与えませんでした。

 米中貿易戦争の勝利者は米国であるため、中国株の下落は米国株に悪影響を与えないというわけです。

 ただ、中国株の続落が他の主要株価指数にまったく悪影響を与えないという考え方には、筆者も含め多くのマーケット参加者は違和感を持ち続けていました。

 つまり、中国株と米国株のデカップリングに矛盾を感じていたわけです。

■今週に入って米国株は急落 ただ、その矛盾は今週(10月22日~)、解消されることに。

 今週(10月22日~)初めから、米国株は軟調に推移していましたが、24日(水)の米国株は急落。

 S&P500は3.09%、ナスダック総合指数は4.43%も急落しました。

S&P500 日足(出所:Bloomberg)

ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 そして、NYダウは前日比608ドル安に。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 S&P500とNYダウは年初来の上げをすべて喪失してしまいました。

 米国株急落は…
中国経済悪化の影響が欧州にまで波及…!? リスクオフ継続で、ユーロ/円続落に警戒! ブログ

中国経済悪化の影響が欧州にまで波及…!? リスクオフ継続で、ユーロ/円続落に警戒!

■上海総合指数の下落が止まらない みなさん、こんにちは。

 このコラムで何度かご紹介させていただいたように、上海総合指数の下落は止まらず。

【参考記事】

●「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!(10月11日、西原宏一)

●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(10月18日、西原宏一)

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 中国当局が市場支援のための政策措置を取るとの報道から一時、中国株は反発する局面もあったのですが、上値は限定的です。

■市場関係者の中国株への見方は依然として弱気 市場関係者の中国株に対する意見も、引き続き、弱気なものが目立ちます。

 たとえば、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの中国株戦略責任者は、「上海総合指数は2日続伸となっているが、上海総合指数のパフォーマンスは世界で最も低いもののひとつであり、現在の急回復はセンチメントの回復による短期的なもの。結果反発は長続きはしないだろう」とコメント。

 前回のコラムでご紹介させていただいたように、米中貿易戦争は収まるどころか深刻化しており、なかなか中国株が反発するメドは立ちません。

【参考記事】

●米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(10月18日、西原宏一)

 先週(10月15日~)までは、この中国株の続落が、米国株に大きな影響を与えませんでした。

 米中貿易戦争の勝利者は米国であるため、中国株の下落は米国株に悪影響を与えないというわけです。

 ただ、中国株の続落が他の主要株価指数にまったく悪影響を与えないという考え方には、筆者も含め多くのマーケット参加者は違和感を持ち続けていました。

 つまり、中国株と米国株のデカップリングに矛盾を感じていたわけです。

■今週に入って米国株は急落 ただ、その矛盾は今週(10月22日~)、解消されることに。

 今週(10月22日~)初めから、米国株は軟調に推移していましたが、24日(水)の米国株は急落。

 S&P500は3.09%、ナスダック総合指数は4.43%も急落しました。

S&P500 日足(出所:Bloomberg)

ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 そして、NYダウは前日比608ドル安に。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 S&P500とNYダウは年初来の上げをすべて喪失してしまいました。

 米国株急落は…
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■ペンス副大統領は中国との冷戦を宣言!? みなさん、こんにちは。

 今月(10月)4日(木)、ワシントンのハドソン研究所で行われた米副大統領のペンス氏の演説ですが、内容が想定以上に強烈だったためか、その後も、盛んにマスメディアで取り上げられているので、このコラムでもご紹介させていただきます。

中国との冷戦を宣言したペンス副大統領

米国世論も操る「悪の帝国」と戦え!

ペンス副大統領が10月4日、ワシントンのハドソン(Hudson Institute)研究所でトランプ(Donald Trump)政権の対中政策に関し講演しました。

副大統領は中国を「米国に挑戦する国」と決めつけたうえ、「大統領と米国人は後ろに引かない」と国民に訴えました。中国とはともに天をいただかないと言い切ったのです。

出所:日経ビジネス

  要所をまとめると、下記のようになります。

  ペンス米副大統領が、民主主義に干渉と中国を厳しく非難。

 「疑いの余地はない。中国は米国の民主主義に干渉している」

 「アジア、アフリカに借金漬け外交をしている」

 「自国民を抑圧する方向に政策転換している」

  結果、米中貿易戦争は「貿易」を超えて、かなり深刻な問題に…。

■米中貿易戦争は収まるどころか深刻化… マーケットには、米中貿易戦争は米中間選挙まで、という意見もありますが、私が米中間選挙は関係なく、それを越えても米中問題は深刻化すると考えていたのは、ペンス氏の意見と同じような見方を、米国の友人もしているためです。

 こうした報道で、上海総合指数は下落が収まらない状態が続いています。

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 さらに、トランプ大統領の発言も中国株の下値余地を拡大させています。

 10月17日(水)のNY市場で話題になったのが、トランプ大統領が中国企業を批判して、郵便条約から脱退するとコメントしたことでした。

トランプ米政権は17日、国際郵便のルールを定める万国郵便条約から脱退する方針を発表した。

出所:ワシントン共同

 米国の友人によると、たとえば、インターネットオークションeBayを使って、「ある雑貨」を購入するとします。

 中国の商品は、3000円と安いのですが、送料が高ければ意味がありません。しかし、中国からへ米国の商品の送料は、なぜか500円程度と極めてチープ。200円ぐらいのときもあるそうです。

 逆に日本からだと、もともとの商品価格自体も高いのですが、送料が2000円~3000円になってしまいます。

 これでは価格的に勝負にならないため、どうしても中国製品を選ぶとのこと。

 友人も、なぜ中国からの商品の送料がこれほど安いのだろう?と思っていたようですが、今回の報道を見ると、なぜか不当に安い送料が適用されているようです。

 これを指摘したのが、トランプ政権。

 前述のペンス副大統領のコメントにもあるように、米国の中国に対する攻勢は、収まるどころか加速している状態となっています。

 この報道を受け、本日(10月18日)の上海総合指数は、急落しています。以下は、上海総合指数の週足チャートです。

上海総合指数 週足(出所:Bloomberg)

 2016年1月に到達した安値である2638ポイントが強烈なサポートとして機能していました。しかし、国家隊と呼ばれる当局からの株の買い支えがウワサされていたわりには、このサポートをあっさりブレイク。

【参考記事】

●デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!(9月13日、西原宏一)

●トランプ政権の対中通商政策で右往左往。米ドル/円が112円台まで上昇した理由は?(9月17日、西原宏一&大橋ひろこ)

 下落幅は拡大し、本邦執筆時点で上海総合指数は2504ポイントまで下値を拡大しています。上海総合指数のみならず、このところの中国株は、軒並み下落幅を拡大しています。

 中国経済の減速が大きく影響するのは…
米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む! ブログ

米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!

■ペンス副大統領は中国との冷戦を宣言!? みなさん、こんにちは。

 今月(10月)4日(木)、ワシントンのハドソン研究所で行われた米副大統領のペンス氏の演説ですが、内容が想定以上に強烈だったためか、その後も、盛んにマスメディアで取り上げられているので、このコラムでもご紹介させていただきます。

中国との冷戦を宣言したペンス副大統領

米国世論も操る「悪の帝国」と戦え!

ペンス副大統領が10月4日、ワシントンのハドソン(Hudson Institute)研究所でトランプ(Donald Trump)政権の対中政策に関し講演しました。

副大統領は中国を「米国に挑戦する国」と決めつけたうえ、「大統領と米国人は後ろに引かない」と国民に訴えました。中国とはともに天をいただかないと言い切ったのです。

出所:日経ビジネス

  要所をまとめると、下記のようになります。

  ペンス米副大統領が、民主主義に干渉と中国を厳しく非難。

 「疑いの余地はない。中国は米国の民主主義に干渉している」

 「アジア、アフリカに借金漬け外交をしている」

 「自国民を抑圧する方向に政策転換している」

  結果、米中貿易戦争は「貿易」を超えて、かなり深刻な問題に…。

■米中貿易戦争は収まるどころか深刻化… マーケットには、米中貿易戦争は米中間選挙まで、という意見もありますが、私が米中間選挙は関係なく、それを越えても米中問題は深刻化すると考えていたのは、ペンス氏の意見と同じような見方を、米国の友人もしているためです。

 こうした報道で、上海総合指数は下落が収まらない状態が続いています。

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 さらに、トランプ大統領の発言も中国株の下値余地を拡大させています。

 10月17日(水)のNY市場で話題になったのが、トランプ大統領が中国企業を批判して、郵便条約から脱退するとコメントしたことでした。

トランプ米政権は17日、国際郵便のルールを定める万国郵便条約から脱退する方針を発表した。

出所:ワシントン共同

 米国の友人によると、たとえば、インターネットオークションeBayを使って、「ある雑貨」を購入するとします。

 中国の商品は、3000円と安いのですが、送料が高ければ意味がありません。しかし、中国からへ米国の商品の送料は、なぜか500円程度と極めてチープ。200円ぐらいのときもあるそうです。

 逆に日本からだと、もともとの商品価格自体も高いのですが、送料が2000円~3000円になってしまいます。

 これでは価格的に勝負にならないため、どうしても中国製品を選ぶとのこと。

 友人も、なぜ中国からの商品の送料がこれほど安いのだろう?と思っていたようですが、今回の報道を見ると、なぜか不当に安い送料が適用されているようです。

 これを指摘したのが、トランプ政権。

 前述のペンス副大統領のコメントにもあるように、米国の中国に対する攻勢は、収まるどころか加速している状態となっています。

 この報道を受け、本日(10月18日)の上海総合指数は、急落しています。以下は、上海総合指数の週足チャートです。

上海総合指数 週足(出所:Bloomberg)

 2016年1月に到達した安値である2638ポイントが強烈なサポートとして機能していました。しかし、国家隊と呼ばれる当局からの株の買い支えがウワサされていたわりには、このサポートをあっさりブレイク。

【参考記事】

●デマークチャートでダブル13が点灯! 豪ドルと中国株に短期反発の兆しアリ!(9月13日、西原宏一)

●トランプ政権の対中通商政策で右往左往。米ドル/円が112円台まで上昇した理由は?(9月17日、西原宏一&大橋ひろこ)

 下落幅は拡大し、本邦執筆時点で上海総合指数は2504ポイントまで下値を拡大しています。上海総合指数のみならず、このところの中国株は、軒並み下落幅を拡大しています。

 中国経済の減速が大きく影響するのは…
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「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!

■ラッセル2000の下落が予言していたのは…? みなさん、こんにちは。

 今週(10月8日~)トレーダーの間で話題になっていたのが、ラッセル2000の下落。

【参考記事】

●米失業率48年ぶり低水準で米金利急騰! でも、米ドル/円が上がらないワケとは…!?(10月8日、西原宏一&大橋ひろこ)

ラッセル2000 日足(出所:Bloomberg)

 この中小型株の軟調な展開が、早晩、ほかの米国株の急落を誘引するのではないか?との憶測が拡大していたわけです。以下は、10月5日(金)にブルームバーグが配信した記事の一部を抜粋したものです。

米中小型株の軟調、米景気減速伝える炭鉱のカナリアか

10月に入って米中小型株の株価指数であるラッセル2000が下げ足を速め、8月末の高値から一時5.7%下落した。

S&P500で割ったレシオも6月をピークに、2日には一時8%余り低下。GDPとの相関も高い同レシオの下落は、これから年末にかけての米景気減速を示している可能性もある。

出所:Bloomberg

■底堅さを見せていたNYダウが急落 日経平均の日足チャートも、個人的にチェックしているデマーク(※)インディケーターがカウントダウンを点灯し、反落を示唆。

(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)

 NYダウも、ダブルトップを示唆しています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 これに、前述のラッセル2000の動向から考えると、なぜ、米国株が大幅に調整しないのか?の方が違和感があったほど、先週(10月1日~)までの米国株は底堅い動きを見せていました。

 それが、10月10日(水)のNY市場でマーケットは一変し、米国株は急落。NYダウは前日比831ドル安となり、3.15%急落。ナスダック総合指数はさらにひどく、4.08%暴落しました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)

■米国株の急落に特に大きな要因はない 米国株は、ラッセル2000やデマークインディケーターが示唆しているように、調整局面入り。

 この、10月10日(水)の米国株の急落に関しては、特に大きな要因はありません。

 これまでの米金利の急騰、米中貿易戦争の激化などが要因に挙げられています。

【参考記事】

●114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!?(10月4日、西原宏一)

 逆に言えば、株の調整要因は数多く挙げられていたものの、米国株に対する強気な見方が多いために調整が遅れていたことが、かえって調整の値幅を大きくした展開。

 米国株の急落を受け、本稿執筆時点の日経平均は、前日比900円安の2万2600円レベルで推移しています。

 呼応して、米ドル/円は112.05円、豪ドル/円は79.20円、ユーロ/円は129.55円と円全面高。

世界の通貨VS円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)

 米ドル/円は、前回のコラムでご紹介させていただいた…
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「炭鉱のカナリア」が米国株急落を警告!? 米ドル/円、クロス円の続落に警戒必要!

■ラッセル2000の下落が予言していたのは…? みなさん、こんにちは。

 今週(10月8日~)トレーダーの間で話題になっていたのが、ラッセル2000の下落。

【参考記事】

●米失業率48年ぶり低水準で米金利急騰! でも、米ドル/円が上がらないワケとは…!?(10月8日、西原宏一&大橋ひろこ)

ラッセル2000 日足(出所:Bloomberg)

 この中小型株の軟調な展開が、早晩、ほかの米国株の急落を誘引するのではないか?との憶測が拡大していたわけです。以下は、10月5日(金)にブルームバーグが配信した記事の一部を抜粋したものです。

米中小型株の軟調、米景気減速伝える炭鉱のカナリアか

10月に入って米中小型株の株価指数であるラッセル2000が下げ足を速め、8月末の高値から一時5.7%下落した。

S&P500で割ったレシオも6月をピークに、2日には一時8%余り低下。GDPとの相関も高い同レシオの下落は、これから年末にかけての米景気減速を示している可能性もある。

出所:Bloomberg

■底堅さを見せていたNYダウが急落 日経平均の日足チャートも、個人的にチェックしているデマーク(※)インディケーターがカウントダウンを点灯し、反落を示唆。

(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)

 NYダウも、ダブルトップを示唆しています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 これに、前述のラッセル2000の動向から考えると、なぜ、米国株が大幅に調整しないのか?の方が違和感があったほど、先週(10月1日~)までの米国株は底堅い動きを見せていました。

 それが、10月10日(水)のNY市場でマーケットは一変し、米国株は急落。NYダウは前日比831ドル安となり、3.15%急落。ナスダック総合指数はさらにひどく、4.08%暴落しました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)

■米国株の急落に特に大きな要因はない 米国株は、ラッセル2000やデマークインディケーターが示唆しているように、調整局面入り。

 この、10月10日(水)の米国株の急落に関しては、特に大きな要因はありません。

 これまでの米金利の急騰、米中貿易戦争の激化などが要因に挙げられています。

【参考記事】

●114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!?(10月4日、西原宏一)

 逆に言えば、株の調整要因は数多く挙げられていたものの、米国株に対する強気な見方が多いために調整が遅れていたことが、かえって調整の値幅を大きくした展開。

 米国株の急落を受け、本稿執筆時点の日経平均は、前日比900円安の2万2600円レベルで推移しています。

 呼応して、米ドル/円は112.05円、豪ドル/円は79.20円、ユーロ/円は129.55円と円全面高。

世界の通貨VS円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足)

 米ドル/円は、前回のコラムでご紹介させていただいた…
114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達 には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!? ブログ

114円台に乗せた米ドル/円だが120円到達 には懸念あり! 英ポンド/円は下値警戒!?

 米国出張から戻ってきました。

 過去2週間の間に相場は大きく変貌しているようです。

 今週から、またよろしくお願いします!

■日米首脳会談の結果を受けて、米ドル/円は上昇 先月(9月)26日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で漸進的な利上げが確認されたこと、加えて、注目の日米首脳会談では、貿易交渉中の日本車に対する追加関税は回避、為替への言及もなしという結果を受け、米ドル/円は上昇。

【参考記事】

●加ドル/円窓開け急騰! クロス円が強い! 日経平均27年ぶり高値達成でドル/円は…(10月1日、西原宏一&大橋ひろこ)

 加えて、10月3日(水)のNY市場では米金利が急騰し、総じて米ドル高へ。

 米10年国債利回りは、一時3.18%まで急騰。2011年以来の高水準となりました。

米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 この背景ですが、米国経済への楽観的な見方が強まったとの解説が多いのですが、マーケットのウワサによれば、この米金利の上昇は、中国による米国債の売りが効いているとのこと。

 2018年4月は、ロシアの米国債の売りが話題になりましたが、今度は中国。

【参考記事】

●米金利急騰により短期的には米ドル高だが米国株の調整が米ドル/円下落を誘うか?(4月23日、西原宏一&大橋ひろこ)

 米10年国債利回りの急騰により、米ドル/円は、一時114.55円まで急伸しました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 ユーロ/米ドルも節目であり、かつ、オプションが集中していた1.1500ドルをブレイクし、下値余地が拡大。英ポンド/米ドルも1.3000ドルを割り込み、一時1.2922ドルまで下落しました。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 豪ドル/米ドルも、調整は0.7313ドルまでで、その後は反落。

豪ドル/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)

 米金利の急騰に連れて、総じて米ドルは堅調な動きとなりました。

■現在の円安局面は、日銀も金融政策の正常化に動きやすい マーケットでは、米ドル/円は120円まで上昇するという見方も増えてきており、2018年初頭のマーケットのセンチメントに。

 ただ、ヘッジファンドを中心に、米ドル/円のさらなる急騰には警戒感が出始めています。

 10月3日(水)のNY市場では、米ドル/円のダウンサイドに対してのオプションのインタレストが増えてきている模様。つまり、円高に対するヘッジの必要性を感じているようです。

 その背景は、トランプ大統領の為替に対するツイートへの警戒感。

 前述のように、米金利の急騰に追随し、米ドル/円が114円台に乗せたことから、マーケットでは、米ドル/円が120円まで上昇するという見方も増えています。

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

 ただ、それは、貿易不均衡の是正を公約に掲げるトランプ政権からの批判を招きかねないため、今回の米ドル/円の急騰には、マーケット関係者から懸念の声も上がっているのです。

 見方を変えれば、現時点では日銀の金融政策は正常化した方が良いのではないかというのがコンセンサスなので、現在の円安局面では、日銀も金融政策の正常化に動きやすいと言えます。

 表現を変えれば、こういう円安局面こそ日銀は、(円高を招きかねない)金融政策の正常化に動くチャンスであると言えます。

 では、米金利の急騰に対して、どの通貨ペアで…