西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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炭鉱のカナリアが米国株急落を再度警告! 2019年の米ドル/円は105円台に下落か

■2018年の米ドル/円の値幅は10円未満… みなさん、こんにちは。
 早いもので、本年(2018年)も間もなく終了。
 振り返ってみれば、2018年の為替相場は極めて値動きの少ない展開に終始しました。
 特に、今年(2018年)の米ドル円の値幅は、本稿執筆時で、わずか9.9円。
 年間の値幅が10円にも満たない、稀にみる膠着相場で1年を終えそうです。
米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■2016年の大相場が低ボラティリティを演出 この低ボラティリティを演出したのが、2016年の大相場。
 2016年の為替相場は、6月のBrexit(英国のEU離脱)という歴史的サプライズとなった英国国民投票の結果を受けて、英ポンドが急落。英ポンド/円は2015年の高値から75円も急落しました。
 連れて、米ドル円も急落しました。
 ところが同年11月には、こちらも米大統領選でトランプ氏が勝利をおさめるというサプライズの結果を受け、米ドル円は急騰。
 年末までの1カ月強で約18円も急騰するといった大相場を演じました。
【参考記事】
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(1) 英国がEU離脱! 英ポンドは二度死ぬ!?
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(2) トランプ氏当選でまさかのリスクオン到来!
 さすがに、これだけ短期間にBrexitとトランプ米大統領の誕生という歴史的に重要なイベントで乱高下した為替相場はその後、方向性に欠け、ボラティリティが低下。
 為替市場全体のボラティリティの低下に伴い、米ドル/円の値幅も徐々に狭くなり、2018年の米ドル/円は、年間の値幅が10円にも到達しないという、稀にみる膠着相場に陥っています。
米ドル/円 月足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
■2019年の米ドル/円相場は大きな動きを予想 こうした値動きの乏しいマーケットは、多くのトレーダーの収益を圧迫します。
 しかし、唯一の例外は、オプショントレーダー。
 金融機関のオプショントレーダーは、方向性だけではなく、ボラティリティに対してトレードを行います。
 つまり、今年(2018年)の米ドル/円のように、相場がレンジに陥り始めると、彼らは「さらに米ドル/円相場が膠着すること」にリスクを傾けます。
 結果、今年(2018年)の米ドル/円のように、終始相場が動かなくなると、膠着することに賭けた彼らの収益力は極めて高いものになります。
米ドル/円 月足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
 しかし、オプショントレーダーにとって収益力の高い、膠着相場が長期に渡って続くことはありません。
 それは、2016年に大きな値幅を伴い、多くの為替トレーダーに多大な収益をもたらした相場が長く続かなかったことと同様です。
 つまり、彼らは、膠着相場を見込んでオプションを売っているわけですが、実際に少しずつマーケットが動意を見せ始めると、売ったオプションを一気に買い戻さないといけないことになります。
 結果、オプションの買い戻し、巻き戻しの動きが始まると、為替市場では突如、ボラティリティが急騰し、米ドル/円も一転して明確な方向性を見せ始めることになります。
 こうした流れから、過去2年間の膠着相場を経て、2019年の米ドル/円相場は大きく変動することが予想されます。
■米ドル/円相場のカギを握るのはFOMC では、米ドル/円が大きく調整するきっかけは何かを探ってみます。
 そのカギを握るのが、FOMC(米連邦公開市場委員会)。
 過去数年間に渡って米ドルの底堅さを演出してきたのは、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げです。
 その利上げが、まだ継続中であるというのが、11月中旬までのマーケットのコンセンサスであり、その意味において、米ドルはさらに続伸するのではないかという意見が大半でした。
 逆説的にいえば、FRBが政策金利を中立と判断した局面で、米ドルは続伸する理由を失い、ピークアウトするとも言えます。
 そして、今年(2018年)最後のイベントとして、マーケットの注目を集めたFOMCの結果が、日本時間本日(12月20日)未明に公表されました。
 まず、FF金利(※)誘導目標を2.25-2.50%のレンジへ引き上げました。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
 そして、2019年の利上げ見通しは、前回予測の3回から2回に減少。
【参考記事】
●ハト派色強いFOMCなら米ドル/円は売り! 「黄色いベスト運動」で欧州が景気減速!?(12月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
2019年12月FOMCで公開されたドットチャート(出所:FRB)
 これは、ほぼ大方のマーケットの予想通りです。
 ただ、一部のマーケット参加者は、もう少しハト派的なものを期待していたため、一時米ドルは買い戻される展開に。
 次に、注目のパウエル議長の…
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保守党の不信任投票を乗り切ったメイ首相。 再び問題山積みのBrexit交渉最前線へ…

■与党・保守党が党首不信任投票を実施 今月(12月)11日(火)に予定されていた、下院によるEU(欧州連合)離脱案の英議会採決が最大のイベントと言われていました。
 報道によれば、英議会ではEU離脱案が採決で否決されるとの見方が大勢でしたが、そのまま「合意なき離脱」にはなるわけではなく、来年(2019年)3月29日(金)のEU離脱交渉期限の先延ばしの可能性も?などとウワサされてました。
 ところが、その議会の採決自体が延期と発表されました。その要因は、EUと合意した離脱案が大差で否決されるとの公算が高まったためです。
 今後の採決時期についてのコメントもなく、事態は不透明に…。
 さらに、英国のメイ首相を取り巻く環境を悪化させる報道が、与党・保守党から発表されます。
英与党・保守党は12日、同党を率いるメイ首相への信任を問う投票を実施すると英BBC放送が報じた。
出所:Bloomberg
 これを受け、メイ英首相は、与党・保守党の党首不信任投票に首相として戦うと表明。
 メイ首相は12月12日(水)、首相官邸前での記者会見で、「自分の持てるすべてで、この不信任投票を受けて立つ」と声明を読み上げました。
 不信任投票は、日本時間12月13日(木)午前3時。
■不信任投票の結果、メイ首相の党首再任が決定 こうした中、仮に不信任案が可決してメイ首相を退陣させたとしても、この混乱状態で誰が後任になるのかが疑問…。
 しかも不信任案が通ってしまうと、EU離脱強行派が党首になる可能性も浮上し、「合意なき離脱」の公算も高まるため、事態はさらに混迷を深めます。
 そして、本日(12月13日)日本時間未明に発表された英保守党の不信任投票の結果は、支持200票、不支持117票で、メイ党首が再任されました。
与党・保守党の不信任投票を乗り切り、再任されたメイ首相。再びBrexit交渉の最前線に立つことになるが… (C)WPA Pool/Getty Images
 ここで、英保守党の不信任投票の手順を確認したいと思います。
(1) 保守党下院議員の15%(48人)が書簡で要求すると手続き開始
(2) 1922年委員会のブレイディ委員長宛てに書簡が送られ、同委員長だけが書簡の数を把握
(3) メイ首相には書簡が必要数に達した段階で伝えられ、その後、発表される
(4) 不信任投票は保守党の下院議員だけが参加する無記名投票で、数日以内に実施可能
(5) メイ首相が過半数に信任されれば、向こう1年間は投票は実施されない
(6) 過半数が不信任なら党首を辞任(党首選にも立候補できない)
 この手順の中にもありますように、メイ首相が過半数に信任されれば、今後1年間はそのような投票は行われないということのようです。
 今回は、過半数が信任ということでしたので、結果、保守党はメイ首相に対する不信任投票の申し立てを向こう1年間できないということになり、メイ首相は、しばらく首相の席に留まる可能性が高まりました。
 これを受けて、事態はいったん沈静化しています。
 英ポンド/米ドルは、1.26ドル台まで回復。
英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
 振り返ってみれば、メイ首相は…
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保守党の不信任投票を乗り切ったメイ首相。 再び問題山積みのBrexit交渉最前線へ…

■与党・保守党が党首不信任投票を実施 今月(12月)11日(火)に予定されていた、下院によるEU(欧州連合)離脱案の英議会採決が最大のイベントと言われていました。
 報道によれば、英議会ではEU離脱案が採決で否決されるとの見方が大勢でしたが、そのまま「合意なき離脱」にはなるわけではなく、来年(2019年)3月29日(金)のEU離脱交渉期限の先延ばしの可能性も?などとウワサされてました。
 ところが、その議会の採決自体が延期と発表されました。その要因は、EUと合意した離脱案が大差で否決されるとの公算が高まったためです。
 今後の採決時期についてのコメントもなく、事態は不透明に…。
 さらに、英国のメイ首相を取り巻く環境を悪化させる報道が、与党・保守党から発表されます。
英与党・保守党は12日、同党を率いるメイ首相への信任を問う投票を実施すると英BBC放送が報じた。
出所:Bloomberg
 これを受け、メイ英首相は、与党・保守党の党首不信任投票に首相として戦うと表明。
 メイ首相は12月12日(水)、首相官邸前での記者会見で、「自分の持てるすべてで、この不信任投票を受けて立つ」と声明を読み上げました。
 不信任投票は、日本時間12月13日(木)午前3時。
■不信任投票の結果、メイ首相の党首再任が決定 こうした中、仮に不信任案が可決してメイ首相を退陣させたとしても、この混乱状態で誰が後任になるのかが疑問…。
 しかも不信任案が通ってしまうと、EU離脱強行派が党首になる可能性も浮上し、「合意なき離脱」の公算も高まるため、事態はさらに混迷を深めます。
 そして、本日(12月13日)日本時間未明に発表された英保守党の不信任投票の結果は、支持200票、不支持117票で、メイ党首が再任されました。
与党・保守党の不信任投票を乗り切り、再任されたメイ首相。再びBrexit交渉の最前線に立つことになるが… (C)WPA Pool/Getty Images
 ここで、英保守党の不信任投票の手順を確認したいと思います。
(1) 保守党下院議員の15%(48人)が書簡で要求すると手続き開始
(2) 1922年委員会のブレイディ委員長宛てに書簡が送られ、同委員長だけが書簡の数を把握
(3) メイ首相には書簡が必要数に達した段階で伝えられ、その後、発表される
(4) 不信任投票は保守党の下院議員だけが参加する無記名投票で、数日以内に実施可能
(5) メイ首相が過半数に信任されれば、向こう1年間は投票は実施されない
(6) 過半数が不信任なら党首を辞任(党首選にも立候補できない)
 この手順の中にもありますように、メイ首相が過半数に信任されれば、今後1年間はそのような投票は行われないということのようです。
 今回は、過半数が信任ということでしたので、結果、保守党はメイ首相に対する不信任投票の申し立てを向こう1年間できないということになり、メイ首相は、しばらく首相の席に留まる可能性が高まりました。
 これを受けて、事態はいったん沈静化しています。
 英ポンド/米ドルは、1.26ドル台まで回復。
英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
 振り返ってみれば、メイ首相は…
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FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?

■パウエルFRB議長などのハト派発言で米ドル反落 みなさん、こんにちは。
 前回のコラムで、FRB(米連邦準備制度理事会)が「中立金利」とした時点から米ドルは反落するということと、その可能性が近づいていることをご紹介させていただきましたが、日本時間本日(11月29日)未明に行われた講演において、パウエル議長が極めてハト派的なコメントをしたため、米ドルが反落しています。
【参考記事】
●米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
 パウエル議長の過去の発言を確認すると、10月3日(水)の講演では「中立金利には程遠い」とコメントしていました。
 そして、同じ人物が、わずか2カ月弱経過した11月28日(水)の講演では、「中立金利をわずかに下回る」と発言しています。
10月3日の講演では「中立金利には程遠い」と発言していたパウエル議長だが、11月28日の講演では「中立金利をわずかに下回る」と発言し、内容がガラリと様変わりした (C)Bloomberg/Getty Images News
 パウエル議長の講演内容が様変わりしたのは、もちろん原油の急落の影響もありますが、このところの米国の住宅市況の低迷も大きく影響していると想定されます。
【参考記事】
●衝撃的な原油価格急落が金融危機を招く!? ドル安進行を見込んで米ドル/円は戻り売り(11月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
米中古住宅販売件数の推移(出所:Bloomberg)
米新築住宅販売件数の推移(出所:Bloomberg)
■原油急落はトランプ大統領のコメントとは関係ない 余談になりますが、マーケットには、あたかもトランプ大統領が何度も不満を表明し、原油価格を下げさせたことでFRBの「利上げを止めた」かのような論調もあります。
 しかし、米国の大統領が不満を表明する程度で原油が急落することはありません。
 したがって、原油価格の動向にトランプ大統領のコメントが影響することはありません(トランプ大統領が石油の備蓄を放逐すれば話は別ですが…)。
WTI原油先物 日足(出所:Bloomberg)
 むしろパウエル議長が粛々と利上げを続けてきたことで、インフレ抑制に効果が出てきたということでしょうか?
 この「中立金利をわずかに下回る」という…
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FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?

■パウエルFRB議長などのハト派発言で米ドル反落 みなさん、こんにちは。
 前回のコラムで、FRB(米連邦準備制度理事会)が「中立金利」とした時点から米ドルは反落するということと、その可能性が近づいていることをご紹介させていただきましたが、日本時間本日(11月29日)未明に行われた講演において、パウエル議長が極めてハト派的なコメントをしたため、米ドルが反落しています。
【参考記事】
●米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
 パウエル議長の過去の発言を確認すると、10月3日(水)の講演では「中立金利には程遠い」とコメントしていました。
 そして、同じ人物が、わずか2カ月弱経過した11月28日(水)の講演では、「中立金利をわずかに下回る」と発言しています。
10月3日の講演では「中立金利には程遠い」と発言していたパウエル議長だが、11月28日の講演では「中立金利をわずかに下回る」と発言し、内容がガラリと様変わりした (C)Bloomberg/Getty Images News
 パウエル議長の講演内容が様変わりしたのは、もちろん原油の急落の影響もありますが、このところの米国の住宅市況の低迷も大きく影響していると想定されます。
【参考記事】
●衝撃的な原油価格急落が金融危機を招く!? ドル安進行を見込んで米ドル/円は戻り売り(11月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
米中古住宅販売件数の推移(出所:Bloomberg)
米新築住宅販売件数の推移(出所:Bloomberg)
■原油急落はトランプ大統領のコメントとは関係ない 余談になりますが、マーケットには、あたかもトランプ大統領が何度も不満を表明し、原油価格を下げさせたことでFRBの「利上げを止めた」かのような論調もあります。
 しかし、米国の大統領が不満を表明する程度で原油が急落することはありません。
 したがって、原油価格の動向にトランプ大統領のコメントが影響することはありません。
WTI原油先物 日足(出所:Bloomberg)
 むしろパウエル議長が粛々と利上げを続けてきたことで、インフレ抑制に効果が出てきたということでしょうか?
 この「中立金利をわずかに下回る」という…
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米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年に かけて、米ドル弱気派が急増するワケは?

■年末も米ドル高がコンセンサスだが… みなさん、こんにちは。
 早いもので、今年(2018年)もあと1カ月強。
 2018年初旬は米ドル安で始まった相場も、米ドル金利の上昇もあり、春先からはユーロ/米ドルを中心に米ドル高に。
 市場参加者の間では、12月のFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ予測もあり、年末も米ドル高というのがコンセンサスになりつつあります。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 ただ、2008年以降、長期に渡る米ドルの上昇を受け、BIS(国際決済銀行)が算出している名目実効為替レートは、かなりの高値圏に達しています。
BIS算出の名目実効為替レート 日足(出所:Bloomberg)
 このBISが算出している名目実効為替レートは、通常ご紹介させていただいているドルインデックスと同様に、米ドルがどのくらい強いのかを表しています。
 この数値によれば、現在の米ドルは、2002年以降の高値圏に到達していることが示されています。
 2000年前半といえば、ユーロ/米ドルが0.8230ドルの安値に到達した局面であり、このことから現在の米ドルは、かなりの高値圏に突入しているのではないかと想定しています。
ユーロ/米ドル 月足(出所:Bloomberg)
 ただ、長期に渡って米ドル高を牽引してきたFRBの利上げが、まだ継続中であるというのがコンセンサスであり、その意味において、米ドルはさらに続伸するのではないかという意見が大半。
 逆説的にいえば、FRBが金利を中立とした局面で、米ドルはピークアウトするとも言えます。
■FRBが「中立金利」とした時点から米ドルは下落 その点については、クラリダFRB副議長が興味深いコメントをしています。
 11月16日(金)に、クラリダFRB副議長が米CNBCテレビのインタビューで下記のようなコメントをしたことで、2019年のFRBの利上げ予測が後退してきています。
「世界的な減速を示唆する証拠はある」
 政策金利については、
「(景気を過熱も冷やしもしない)中立金利に近づいている」
 メルマガ「FXトレード戦略指令!」では何度かご紹介させていただいてますが、FRBが「中立金利」とした時点から、米ドルは下がると想定しています。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 もちろん、今回はクラリダFRB副議長が「近づいている」と言っているだけで、他のFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーの意見とは相違するのでしょうが、FRB副議長が中立金利に近づいているというコメントしたことに注目しています。
 来年(2019年)にかけて…
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米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年に かけて、米ドル弱気派が急増するワケは?

■年末も米ドル高がコンセンサスだが… みなさん、こんにちは。
 早いもので、今年(2018年)もあと1カ月強。
 2018年初旬は米ドル安で始まった相場も、米ドル金利の上昇もあり、春先からはユーロ/米ドルを中心に米ドル高に。
 市場参加者の間では、12月のFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ予測もあり、年末も米ドル高というのがコンセンサスになりつつあります。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 ただ、2008年以降、長期に渡る米ドルの上昇を受け、BIS(国際決済銀行)が算出している名目実効為替レートは、かなりの高値圏に達しています。
BIS算出の名目実効為替レート 日足(出所:Bloomberg)
 このBISが算出している名目実効為替レートは、通常ご紹介させていただいているドルインデックスと同様に、米ドルがどのくらい強いのかを表しています。
 この数値によれば、現在の米ドルは、2002年以降の高値圏に到達していることが示されています。
 2000年前半といえば、ユーロ/米ドルが0.8230ドルの安値に到達した局面であり、このことから現在の米ドルは、かなりの高値圏に突入しているのではないかと想定しています。
ユーロ/米ドル 月足(出所:Bloomberg)
 ただ、長期に渡って米ドル高を牽引してきたFRBの利上げが、まだ継続中であるというのがコンセンサスであり、その意味において、米ドルはさらに続伸するのではないかという意見が大半。
 逆説的にいえば、FRBが金利を中立とした局面で、米ドルはピークアウトするとも言えます。
■FRBが「中立金利」とした時点から米ドルは下落 その点については、クラリダFRB副議長が興味深いコメントをしています。
 11月16日(金)に、クラリダFRB副議長が米CNBCテレビのインタビューで下記のようなコメントをしたことで、2019年のFRBの利上げ予測が後退してきています。
「世界的な減速を示唆する証拠はある」
 政策金利については、
「(景気を過熱も冷やしもしない)中立金利に近づいている」
 メルマガ「FXトレード戦略指令!」では何度かご紹介させていただいてますが、FRBが「中立金利」とした時点から、米ドルは下がると想定しています。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 もちろん、今回はクラリダFRB副議長が「近づいている」と言っているだけで、他のFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーの意見とは相違するのでしょうが、FRB副議長が中立金利に近づいているというコメントしたことに注目しています。
 来年(2019年)にかけて…
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米中間選挙後の米国株は下落トレンドに。 米ドル/円の上値は115円レベルで限定的か

■米中間選挙後、米国株は下落トレンドに回帰 前回のコラムで、米中間選挙後の株の反発は、一時的なものになる可能性もあるため、その後の相場を探るには、先週(11月5日~)後半の米国株の引け値が重要であるとご紹介させていただきました。結局、米中間選挙後の米国株は反落しています。
【参考記事】
●予想どおりの米中間選挙後、米国株急騰! Brexit楽観報道で英ポンドの反発に要警戒(11月8日、西原宏一)
 では、ここで前回のコラムで注目していた、米中間選挙前後の米国株の動きを確認してみます。以下は、NYダウの日足チャートです。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
 NYダウの値動きを確認すると、10月3日(水)に2万6951ドルの高値に到達した後、米中間選挙を目前にしてヘッジファンドの思惑どおり急落。
【参考記事】
●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり!米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)
 そして、米中間選挙が実施される1週間前から利益確定の株の買い戻しが入り始めます。しかし、米中間選挙後の反発も短命で、結局、NYダウは、再び下落トレンドに回帰しています。
■米国株をけん引していたアップルも反落 この米国株の動きをけん引したのが、アップルです。
 過去数年、米国株を押し上げてきたのは、GAFA(※)を中心としたハイテク株。
(※編集部注:「GAFA」とは、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字)
 しかし、ケンブリッジ・アナリティカの問題で失速したFacebookを筆頭に、Twitter、NVIDIA、テスラと軒並みハイテク株は失速。
【参考記事】
●Facebook株急落で市場に不透明感…。株安・円高継続で、ドル/円は100円の過程(3月22日、西原宏一)
 その中で、1社健闘していたのがアップルでした。
 ただ、そのアップルも反落へ…。
アップルに顔認証センサーを供給する米ルメンタム・ホールディングスが「大口顧客から出荷を大幅に減らすよう要請を受けた」として、2018年10~12月期の業績見通しを下方修正した。大口顧客はアップルを指すとみられ「iPhone(アイフォーン)」の新モデルの販売不振が警戒された。
出所:日本経済新聞
アップル株 日足(出所:Bloomberg)
 米国株の反落につれ、日経平均も上値の重い展開で、本稿執筆時点の日経平均は2万1750円で軟調推移。
 呼応して早晩、118円と言われていた米ドル/円相場も、じわじわと上値を切り下げてきている展開です。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 ただ、今回は…
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米中間選挙後の米国株は下落トレンドに。 米ドル/円の上値は115円レベルで限定的か

■米中間選挙後、米国株は下落トレンドに回帰 前回のコラムで、米中間選挙後の株の反発は、一時的なものになる可能性もあるため、その後の相場を探るには、先週(11月5日~)後半の米国株の引け値が重要であるとご紹介させていただきました。結局、米中間選挙後の米国株は反落しています。
【参考記事】
●予想どおりの米中間選挙後、米国株急騰! Brexit楽観報道で英ポンドの反発に要警戒(11月8日、西原宏一)
 では、ここで前回のコラムで注目していた、米中間選挙前後の米国株の動きを確認してみます。以下は、NYダウの日足チャートです。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
 NYダウの値動きを確認すると、10月3日(水)に2万6951ドルの高値に到達した後、米中間選挙を目前にしてヘッジファンドの思惑どおり急落。
【参考記事】
●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり!米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)
 そして、米中間選挙が実施される1週間前から利益確定の株の買い戻しが入り始めます。しかし、米中間選挙後の反発も短命で、結局、NYダウは、再び下落トレンドに回帰しています。
■米国株をけん引していたアップルも反落 この米国株の動きをけん引したのが、アップルです。
 過去数年、米国株を押し上げてきたのは、GAFA(※)を中心としたハイテク株。
(※編集部注:「GAFA」とは、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字)
 しかし、ケンブリッジ・アナリティカの問題で失速したFacebookを筆頭に、Twitter、NVIDIA、テスラと軒並みハイテク株は失速。
【参考記事】
●Facebook株急落で市場に不透明感…。株安・円高継続で、ドル/円は100円の過程(3月22日、西原宏一)
 その中で、1社健闘していたのがアップルでした。
 ただ、そのアップルも反落へ…。
アップルに顔認証センサーを供給する米ルメンタム・ホールディングスが「大口顧客から出荷を大幅に減らすよう要請を受けた」として、2018年10~12月期の業績見通しを下方修正した。大口顧客はアップルを指すとみられ「iPhone(アイフォーン)」の新モデルの販売不振が警戒された。
出所:日本経済新聞
アップル株 日足(出所:Bloomberg)
 米国株の反落につれ、日経平均も上値の重い展開で、本稿執筆時点の日経平均は2万1750円で軟調推移。
 呼応して早晩、118円と言われていた米ドル/円相場も、じわじわと上値を切り下げてきている展開です。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 ただ、今回は…
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予想どおりの米中間選挙後、米国株急騰! Brexit楽観報道で英ポンドの反発に要警戒

■米中間選挙は上院・共和党、下院・民主党で予想どおり みなさん、こんにちは。
 注目の米中間選挙は、コンセンサス通りの結果(上院は共和党、下院は民主党の勝利)で終了しました。
【参考記事】●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)
 この結果を受け、民主・共和両党から勝利宣言が出される展開。
 トランプ大統領は、上院で共和党が過半数よりも、さらに議席を増やしたことを「歴史を書き換えた」と自画自賛しています。

米中間選挙の結果を受けて、トランプ大統領は、上院で共和党が過半数よりも、さらに議席を増やしたことを自画自賛 (C)Mark Wilson/Getty Images
 一方、下院を奪回した民主党では、下院議長に就任する可能性が高いペロシ議員が、ホワイトハウスとの対決姿勢を鮮明にしています。
 個人的には、トランプ大統領は、うまく中間選挙を乗り切ったととらえていますが、日本のメディアは「ねじれ」を取り上げ、ネガティブな表現が多いのに少々ビックリ。
■米国株の急反発がトレンドになるかを見極め 話題をマーケットに戻すと、過去のコラムで何度かご紹介させいていただいたように、米系ヘッジファンドは米中間選挙前、つまり、10月の「米国株の調整」を予測し、ヘッジをかけていた模様。
 結果は彼らの想定どおり、米国株は中間選挙前に急落しました。
【参考記事】●米国株急落はヘッジファンドの思惑どおり! 米中間選挙のシナリオと相場の反応を予想(11月1日、西原宏一)
 では、米中間選挙後の相場はどうなるのか?
 米中間選挙後という意味では、本稿執筆時点では、まだ1日しかたっていませんが、11月7日(水)の米国株は急騰。
 NYダウは2.13%、ナスダック総合指数は2.64%と大幅に反発しています。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)
 これは、前述のヘッジファンド勢の利益確定の意味合いもあるため、当然の反発とも言えます。
 この米国株の反発が、ショートポジションの利益確定の買い戻しだけではなく、トレンドになり得るのかどうかは、今週(11月5日~)後半の米国株の動向を確認したいところ。
 為替市場に視点を移すと、10月は株下落による…