今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

何が原因で想定より早く円高が進行した? ドル/円の目先サポートレベルは105.195円 ブログ

何が原因で想定より早く円高が進行した? ドル/円の目先サポートレベルは105.195円

■予想よりも早くレンジが崩れてしまった 前回のコラムでは、依然としてレンジ相場が続くのではないかという見方をしていましたが、結果は、かなり円高が進行しています。

【参考記事】

●イエレン議長発言で米ドル高ムード一変もドル/円、111円台へ下落はあまり想定せず(3月31日、今井雅人)

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

 2016年年初より、「2016年は円高・株安の1年」という予想をしていましたので、方向性としては間違ってはいないのですが、当面は材料難でレンジ相場が続くと考えていたので、自分が考えていたより早くレンジ相場が崩れてしまうことになってしまいました。

【参考記事】

●急激な円高は一服か。けれど2016年は強気相場にならない。1月に日銀追加緩和も…(今井雅人)

■円高・株安が進んだきっかけは日銀短観の結果 きっかけは、何だったのか。

 3月29日(火)のイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の利上げに対しての慎重な発言が米ドル安をもたらしたということの影響が、先週、3月31日(木)に当コラムを公開した段階での私の予想より大きかったということかもしれません。

 しかし、それ以上に影響が大きかったのは、4月1日(金)に発表された日銀短観の結果ではなかったかと思っています。

 短観の内容はひと言で言えば、非常に悪いです。

 最近の景況も軒並み悪化していますが、それ以上に先行きの景況感の悪化が著しくなりました。

 たとえば、製造業で見ると、大企業は前回に比べマイナス3、中堅企業でマイナス7、中小企業でマイナス2。非製造業で見ると、大企業は前回に比べマイナス5、中堅企業でマイナス8、中小企業でマイナス7となっています。

■アベノミクス始まって以来! 日経平均7日間続落… これが日本株に効きました。

 日銀短観発表の当日(4月1日)、日経平均は555円安となり、その後も軟調に推移しています。

日経平均株価 日足(出所:株マップ.com)

 昨日4月6日(水)まで7日間続落という、アベノミクス始まって以来の不名誉な記録が達成されました。

 これが、リスクオフの状況を作り出し、為替市場でも円高傾向が鮮明となってきたのだと思っています。

 その結果として、米ドル/円だけでなく、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)においても円全面高となってきているということでしょう。

 さて、ここからの動きでありますが…
イエレン議長発言で米ドル高ムード一変も ドル/円、111円台へ下落はあまり想定せず ブログ

イエレン議長発言で米ドル高ムード一変も ドル/円、111円台へ下落はあまり想定せず

■イエレンFRB議長の発言でムードが変わった 相場がこう着状態に入ると、猫の目のように好材料、悪材料が交替に出てきて、右往左往する展開になるのはよく見られる光景ですが、最近もそんな状況になってきています。

 ここのところ、少し米ドル高に向かっていたのですが、3月29日(火)のイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言で、すっかりそのムードが変わってしまいました。

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 イエレン議長の発言要旨は以下のとおりです。

「必要に応じ、刺激策講じる余地はかなりある」

「利上げにおける慎重な姿勢は特に正当化される」

「コアインフレ加速、持続可能性の判断時期尚早」

「世界的な動向からの影響波及は全般に限定的」

「FOMC(米連邦公開市場委員会)は今後数年、緩やかな利上げを想定している」

 つまり、まだ利上げを焦る必要はないということを言っているわけです。

 この発言で、2016年4月に利上げをするのではないか、という市場の淡い期待は打ち砕かれる形となりました。

■米国の株価にはややプラス、為替市場では米ドル安に さらに、シカゴ連銀のエバンス総裁は、低インフレを踏まえると、2016年4月の利上げのハードルは高いが、労働市場の改善が続けば6月の利上げはありうる、との認識を示しています。

 この発言も、4月利上げ期待をしぼませました。

 こうしたことは、米国の株価にはややプラスに働いているようです。また、為替市場では米ドル安方向に反応しています。

NYダウ 1時間足(出所:CQG)

米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)

■特殊な円売りでクロス円でも円安が進んだか 米ドル/円に関して言えば、利上げ期待の米ドル高と期末関連の円売りで、114円近くまで米ドル高・円安が進行していました。

 欧米のヘッジファンドなどはさらなる円安を期待して、115円、120円などのドルコールオプションを買う動きを活発化させていました。

 また、一部で言われていたのは、日本の商社が海外の資源ビジネスでかなりの損失を出した分の減損処理をするために、期末にかけて円売りをしているのではないかという観測も見られました。

 おそらくこうした特殊な円売りが出ていることで、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でも円安が進んだのではないかと思っています。

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

 こうした動きの中…
先週は「せいぜい2回」だった米利上げが 今週は「最低でも2回」へ急速に変化! ブログ

先週は「せいぜい2回」だった米利上げが 今週は「最低でも2回」へ急速に変化!

■FOMCを経て、年内2回の利上げを織り込んだ ちょうど前回のコラムでは、3月16日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が政策金利を発表したばかりとあって、その決定を踏まえた市場センチメントの変化をお伝えしました。

【参考記事】

●米利上げ回数は4回から2回へ下方修正。どうして利上げ見通しは引き下げられた?(3月17日、今井雅人)

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 FOMCメンバーが示した四半期ごとの「経済・金利見通し」での予測によると、2016年末時点のFF金利(※)誘導目標は中央値で0.875%になり、これは前回の1.375%から50bp(ベーシスポイント)引き下げられたことになります。市場は、はっきりと目に見える形での金利水準を前にして、「年内2回の利上げ」を織込むことになりました。

(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)

 しかも、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が定例記者会見で「リスク」について強調したこともあり、わかりやすく言えば、「できてもせいぜい2回の利上げ」との認識が植えつけられました。

■ハト派からの発言が相次いでセンチメント変化 ところが、今週(3月21日~)に入って、その認識を修正させられる結果となっています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 日本が休場となった週明け3月21日(月)には、昨年のFOMC投票メンバーの中では中立的存在として、その発言が常に注目されていたロックハート米アトランタ連銀総裁が、「利上げは早ければ4月FOMCで正当化される」との見解を表明しました。

 翌22日(火)には、ハト派で知られているエバンズ米シカゴ連銀総裁が「2016年2回の利上げはまったく不合理ではない」と、こちらも驚きの発言となりました。

 FOMCのハト派といえば、「年内利上げなどもってのほか」との認識だったはずですが、そのハト派からこういった発言が飛び出すという事実は、やはり、何らかの意図を感じざるを得ません。

■「せいぜい2回」から「最低でも2回」へ急速に変化 さらに、翌23日(水)には、2016年のFOMC投票メンバーであるブラード米セントルイス連銀総裁が「FOMCは4月に行動する可能性がある。インフレのオーバーシュートを招く可能性がある」との見解を表明しました。

 一連の発言を受けて、市場は、これまでの「できてもせいぜい2回の利上げ」から、「最低でも2回の利上げ」というセンチメントへ急速に変化してきています。

 「経済・金利見通し」の「ドットチャート」が、あたかも「フォワードガイダンス」のような扱いとなってきていることに対する当局の警戒感、つまり、「もっと曖昧にしておきたい」といった意思が、ブラード米セントルイス連銀総裁が、「この見通しへの参加の棄権も考えた」と嫌悪感を隠さなかったところからも、ひしひしと伝わってきます。

 本日、3月24日(木)は…
米利上げ回数は4回から2回へ下方修正。 どうして利上げ見通しは引き下げられた? ブログ

米利上げ回数は4回から2回へ下方修正。 どうして利上げ見通しは引き下げられた?

■FOMCで利上げは年4回から2回へ下方修正 3月15日(火)~16日(水)、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。

 政策金利は予想どおり、FF金利(※)の誘導目標を0.25%-0.50%とすることで据え置きとなりましたが、年内の利上げ見通しを下方修正していることが明らかになりました。

(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)

 FOMCメンバーが示した四半期ごとの「経済・金利見通し」での予測によると、2016年末時点のFF金利誘導目標は中央値で0.875%と、前回の1.375%から50bp(ベーシスポイント)引き下げられましたが、これは年内2回の利上げを示唆しています。

 2015年12月時点の予想では4回の利上げが示唆されていたわけですから、見通しが下方修正されたということになります。

【参考記事】

●ドル/円120円~121円台はなぜ買いなの? 安易な新興国通貨への投資は止めよう!(2015年12月17日、今井雅人)

●日銀追加緩和は今回なくても近々あるか!? 米ドル高相場にならないと思う理由とは?(1月28日、今井雅人)

■米利上げ見通しが、下方修正された理由とは? その理由として、声明文では「グローバル経済および金融情勢がリスクをもたらし続けている」との懸念に言及しています。

 イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長も定例記者会見で、「今回の会合では、適切な政策軌道に関する大半の参加者の予測に変化が見られた。米国を除く世界的な成長見通しが若干鈍化したことや、スプレッド拡大という形で信用状況がタイト化していることをおもに反映している」との見解を示しました。

■米国だけが金利引き上げをしようとしている状態 先日、ECB(欧州中央銀行)が大規模な追加金融緩和を決定しました。日銀も2016年1月の会合でマイナス金利の導入を決定しています。

【参考記事】

●日銀マイナス金利導入の影響は終わり! 少しレンジディールに徹する時期にきた(2月4日、今井雅人)

 世界の主要国が金融緩和をしている一方で、米国だけが金利を引き上げていくことは避けた方が良いという考えになっているのではないかと思います。

■現在はまだトレンドが出るような時期ではない こうしたFOMCの結果を受けて、主要通貨全体に対して米ドル安が進み、米ドル/円も112円台前半になってきています(※)。

(※編集部注:2016年3月17日(木)午後には、111円台まで下落した)

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 しかし、原油先物市場、中国の株式市場などを見ても、低位ながら、落ち着いた動きを見せており、リスクオフという相場展開にはなっていません。むしろ、レンジ相場に入り込んでいる状況が長期化していると考えておくべきでしょう。

NY原油 日足(出所:CQG)

上海総合指数 日足(出所:CQG)

 ですから、まだ外国為替市場においても、その他の金融市場においても、トレンドが出るような時期ではないという、前回コラムまでの見方は、そのまま維持しておきたいと思います。

【参考記事】

●各国の金融政策スタンスがバラバラに…。NZドルは予想外の利下げで急落!(3月10日、今井雅人)

 株価の方は、FOMCの結果を受けて…
各国の金融政策スタンスがバラバラに…。 NZドルは予想外の利下げで急落! ブログ

各国の金融政策スタンスがバラバラに…。 NZドルは予想外の利下げで急落!

■今後もはっきりしない相場展開が続く 前回のコラムで、4つのチャートが二番底をつけていることを紹介しました。その上で、相場の局面が変わってきた可能性があることを指摘しました。

【参考記事】

●4つのチャートがダブルボトムつけて反転! 相場は次の局面へ。当面は方向感喪失か(3月3日、今井雅人)

 その後の展開はといえば、やはり、方向感のないレンジ相場に入り込んでいます。おそらく今後もこのような、はっきりしない相場展開が続いていくのではないでしょうか。

■原油価格はジリジリ上昇しているが… そんな中、唯一、WTI原油先物価格(NY原油)だけがジリジリと上昇しています。

NY原油 日足(出所:CQG)

 1月28日(木)の高値34.82ドルを完全に上抜けたことでダブルボトムを完成。3月9日(水)には、一時38.51ドルまで値を上げています。

 ちょっと予想していたよりは上昇幅が大きいのですが、2016年の年初の水準に戻った程度であるので、それほど驚くことではないと思います。

 ひょっとすると、40ドル程度まで上昇する可能性はあるかもしれませんが、上がってもその程度ではないでしょうか。

■カナダには、近い将来の利上げ期待高まる ところで、市場が次の方向を見つけようとしている中、最近、各国の金融政策がまた注目を集めてきています。

 3月9日(水)、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が政策金利を0.5%に据え置くことを決定しました。

 それだけでは特段何ということはないのですが、声明文の中で、「物価上昇が期待していたように広く拡大してきている」という認識を示したことで、近い将来の利上げ期待が市場に広がりました。

 その結果、加ドルは、発表を受けて大幅に上昇する展開となりました。

 加ドル/円は、本日(3月10日)のアジア時間も上昇しており、一時85.72円まで値を上げています。

加ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:加ドル/円 1時間足)

■予想外の利下げでNZドルが急落! 一方で、本日早朝に、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が、予想外にも0.25%の利下げを実施しました。最近、資源価格が落ち着いてきたことを受けて、豪ドルやNZドルも上昇してきていたところだったために、この利下げは驚きでした。

 当然、NZドルは急落しています。NZドル/円は、一時75.02円まで急落しました。

NZドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 1時間足)

■ECBでは何らかの金融緩和策決定か 本日は、ECB(欧州中央銀行)の定例理事会が開催されます。

 これまでのドラギECB総裁の発言からすると、何らかの金融緩和策を決定すると思っています。

 恐らくユーロ売りにはなるとは思うのですが、こちらはニュージーランドと違って、多くの人が緩和を予想しているので、それほど大きくは反応しないのではないかと考えています。

 逆に(ないとは思いますが)、緩和策を講じなかったときは、一気にユーロ買いになると思っています。

ユーロVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)

 また、3月15日(火)には日銀の…
4つのチャートがダブルボトムつけて反転! 相場は次の局面へ。当面は方向感喪失か ブログ

4つのチャートがダブルボトムつけて反転! 相場は次の局面へ。当面は方向感喪失か

■次の流れができるまでの調整局面 相場には大きなトレンドの中に、中期的なトレンドや短期的なトレンドが含まれています。中期的なトレンドは、その時によって違いますが、大体1-3カ月程度ということが多いです。

 2016年は、年初から2月中旬くらいまでにかけては、株安・円高・原油安という流れになっていました。

 しかし、その間に円買いポジションや株のショートポジションなどが溜まってきて、息切れを起こしています。そうなると、局面が変わってきます。

 現在は、次の流れができるまでの間の調整局面、あるいは踊り場と言っても良いかもしれません。

■原油価格は、やや上昇。だがさらなる上昇は期待できない 原油先物価格は、サウジアラビアやロシアが当面、増産はしないという合意をし、それをイランなども歓迎したことで少し局面が変わりました。

 この合意自体は、実効性があるのか疑問を感じていますが、それでも、相場が下に伸びきっていた時に発表されたため、それなりの効果がありました。

 その後、原油先物価格は、やや上昇しています。

NY原油 日足(出所:CQG)

 しかし、中国の景気状況が低迷し、世界の原油需要が落ち込んでいるという、そもそもの状況が変わっているわけではありませんので、さらなる上昇は、あまり期待できるような状態ではないと思います。

■株式市場も、やや自立反転へ 株式市場も、一時のチャイナショックから立ち直り、やや自律反転してきています。

 先週(2月25日)、中国の株式市場が急落する局面がありましたが、その時も日本を始め、他の国の株式市場はそれほど下落しなかったあたりから局面が変わったと思います。

日経平均:日足(出所:株マップ.com)

 つまり、ポジションが、ややショート方向に傾いたために、下落しなかったか、値ごろ感から潜在的な買いが出てきたかのどちらかだと思います。

 やはり、株の下落局面にも変化が起きたということではないでしょうか。

■米ドル/円は、ジリジリと円安方向に修正 為替市場も、円高傾向に変化が出てきました。

 米ドル/円も、110円台まで米ドル安・円高が進んだ局面がありましたが、その後は動きが鈍くなり、ジリジリと円安方向に修正がかかっています。

 IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ても、急速に米ドル売りポジションが増えており、やはり、マーケットはショートになっていたのでしょう。そのショートの買い戻しが起きていると考えられます。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)

 中国の株式市場ですが…
ポンド/円は150円近辺まで下落余地あり! EU離脱問題で揺れる英国と欧州に注目! ブログ

ポンド/円は150円近辺まで下落余地あり! EU離脱問題で揺れる英国と欧州に注目!

■円高・株安を基本認識としたトレード戦略 前回までのコラムの中で、中国経済の問題、原油安の影響、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による官製相場の終焉などを背景に、円高・株安になるという見通しを、一貫して説明してきたと思います。

【参考記事】

●中国景気減速による試練はまだまだ続く!もみ合いのあとはジリジリと円高・株安へ(2月18日、今井雅人)

●マイナス金利導入はなぜタイミングが悪かった?介入がもしあれば絶好の売り場(2月12日、今井雅人)

 そういう状況認識のもと、2016年に入ってからは、円高・株安を基本認識としてトレード戦略を練ってきました。

 具体的に言うと、日本株の売り・円買いというのを基本としながら、スピードが速すぎるときは、少しだけ逆に張ってみるというプランです。

■ユーロ/円の売りで、それなりの利益を出せた 為替相場としては、米ドル/円、ユーロ/円のどちらかで取引をしてきましたが、ここ1週間(2月18日~)は、ユーロ/円のショートを続けてきました。

 正直、この1週間は少しもみ合いになるかもしれないと感じていましたが、結果的には全体的に円高になったので、それなりの利益を出すことはできました。

ユーロ/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)

 ただ、この先、一気に円高に向かうというイメージではないので、いったん手仕舞いをして、また売りのチャンスを待つという姿勢で相場を見ています。

■英ポンドの下落には手が出せなかった… ところで、ここ最近の動きを見ていると、米ドル/円やユーロ/円よりも、はるかに下落傾向が鮮明な通貨ペアがありました。

 英ポンド/円です。

英ポンド/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)

 残念ながら、これには手が出ませんでした。

■6月にはEU離脱を問う二者択一の国民投票実施 英国では今年(2016年)、重要なイベントが予定されています。

 それは、6月23日(木)に実施されるEU(欧州連合)に残るかどうかを問う国民投票です。

 国民投票の質問は、「英国はEUのメンバーに留まるべきか、EUから離脱すべきか」の二者択一。

 キャメロン英首相は、「改革後のEUに留まることで、英国はより安全で、より強靭で、より豊かになり、離脱すれば経済や安全保障にとって脅威になる」と国民に残留への支持を訴えています。

 しかし、状況はそれほど単純ではない…
中国景気減速による試練はまだまだ続く! もみ合いのあとはジリジリと円高・株安へ ブログ

中国景気減速による試練はまだまだ続く! もみ合いのあとはジリジリと円高・株安へ

■行き過ぎ感からの反転で、本格回復する環境ではない 日銀のマイナス金利採用以降、急激な円高・株安の荒波となりましたが、その後、短期的な行き過ぎ感から、相場は自律反転し、現在に至っています。

 まず、結論から言うと、最近の戻しは、あくまでもポジション調整に過ぎないということです。ショックが一時的に終わり、本格的に回復していくような環境には、まったくありません。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

■中国景気減速の打撃は、新興国も日本もまだまだ続く… 先日、中国の1月貿易統計が発表されましたが、前年同月比で見ると、貿易全体は14.3%のマイナス、輸出は11.2%のマイナス、輸入は18.8%のマイナスとなっています。1年前と比べると、激しい落ち込みです。

 中国の貿易が縮小することは世界経済、特に新興国へのマイナス影響が大きいということは、以前にも紹介しました。

【参考記事】

●ドル/円120円~121円台はなぜ買いなの? 安易な新興国通貨への投資は止めよう!(2015年12月17日、今井雅人)

●急激な円高は一服か。けれど2016年は強気相場にならない。1月に日銀追加緩和も…(1月7日、今井雅人)

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●日銀マイナス金利導入の影響は終わり!少しレンジディールに徹する時期にきた(2月4日、今井雅人)

 たとえば、米格付会社大手のS&Pがブラジルの格付けをジャンク級の領域で、さらに一段階引き下げるという事態に陥っています。

 新興国の試練はまだまだ続きます。金利が高いからといって安易に新興国通貨を買うことは避けるべきでしょう。

 さらに日本にとっても、中国は最大の貿易国でありますから、中国経済が減速すれば、企業業績にもマイナスの影響が出ることは自明の理です。

 株価にも当然マイナス。中国が2016年に景気回復に向かうことはほとんどありえないでしょうから、その影響はかなり長い期間に渡って続くということになってくると思います。

■状況が悪化すれば米国だって再び金融緩和に舵を切る 米国でも利上げの継続に黄色信号がついています。

 FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバーも世界経済の先行きに懸念を示しています。信用リスクに関しての懸念が広がることも警戒しているということが、議事録や関係者の発言からも見て取れます。

 こうした状況を勘案すれば、次の利上げは、かなり先送りになりそうな気配だと思えます。

 極端なことを言えば、状況がさらに悪化すれば、政策を大きく転換して、再び金融緩和に舵を切ることだってありえなくはないと考えています。

 欧州の銀行の収益悪化も…
マイナス金利導入はなぜタイミングが 悪かった?介入がもしあれば絶好の売り場 ブログ

マイナス金利導入はなぜタイミングが 悪かった?介入がもしあれば絶好の売り場

■日経平均1万5000円、米ドル/円110円あたりまで下落 2015年末のコラムでは、2016年は日経平均が1万5000円、米ドル/円が110円あたりまで下落する可能性があるという考えをお伝えしましたが、まだ2月も半ばという時点で、すでにその水準まで下落してしまいました。

【参考記事】

●証券会社の上昇予想は話半分で読むべき。日経平均1万5000円、米ドル/円は110円も(2015年12月25日、今井雅人)

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 これほど早い時期に達成するとは予想していなかったのですが、原油先物価格の想像以上の下落を受けて、オイルマネーが急速に、世界中に投資していた資産の回収に回ってしまったほか、中国景気の急速な悪化やそれに伴う株式市場の急落などを受けて、世界的な規模での金融市場の混乱となったことが、そのおもな要因でしょう。

【参考記事】

●急激な円高は一服か。けれど2016年は強気相場にならない。1月に日銀追加緩和も…(1月7日、今井雅人)

■2月に入ってからは、売りが売りを呼ぶ悪循環に… 2016年年初からの上海株式市場の急落をきっかけとした混乱も、いったんは落ち着きを取り戻したかに思われた1月末日、黒田日銀総裁が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を決定。

 市場は当日こそ好感して、米ドル/円も一時121.691円まで急騰したのですが、2月に入ってからは逆に、連日、売りが売りを呼ぶ悪循環となってしまっています。

【参考記事】

●日銀マイナス金利導入の影響は終わり!少しレンジディールに徹する時期にきた(2月4日、今井雅人)

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■マイナス金利導入のタイミングが悪かったと思う理由 この「マイナス金利」の導入は、賛否両論出ているのですが、何せ決定のタイミングが悪かったです。

 まず1つは、市場がこれまでの「量的・質的金融緩和」の手詰まり感をかなり大きく感じ取ってしまったことでしょう。総裁は「3次元緩和」として「政策の限界はない」ことに何度も言及していますが、市場は、言われれば言われるほど、その限界を感じています。

 また、2つ目は、ドイツ銀行やクレディスイスなどをはじめとする欧州大手銀行のクレジットリスクが高まっている最中でのマイナス金利導入となってしまったことで、銀行自身の収益悪化という認識が一気に台頭。

 銀行株全般が、売り浴びせられる結果となってしまいました。

 CoCo債(偶発転換社債)などを筆頭とした、いわゆる信用力の低い「ハイ・イールド債」が市場に大量に出回ったことで、銀行の信用問題が取り沙汰されている中、最悪のタイミングだったと言えます。

 さらに、これまで下値を…
日銀マイナス金利導入の影響は終わり! 少しレンジディールに徹する時期にきた ブログ

日銀マイナス金利導入の影響は終わり! 少しレンジディールに徹する時期にきた

■日銀のマイナス金利採用の影響は一時的 1月29日(金)、日銀が動きました。黒田総裁が、ずっと否定的であったマイナス金利を採用することを決定したのです。

 前回までのコラムで、1月の追加金融緩和の可能性が以前より高くなってきていることを指摘しました。

 ただ、仮に追加の金融緩和が実施されるとしても、今回の影響は一時的なものになる、つまり、株高・円安は一時的に終わるとの見方もしていたと思います。

【参考記事】

●日銀の追加緩和あっても効果は一時的!問題は長期化…戻りはしっかり売っていく(1月21、今井雅人)

●日銀追加緩和は今回なくても近々あるか!?米ドル高相場にならないと思う理由とは?(1月28日、今井雅人)

■今回の金融緩和の影響は非常に小さかった 実際は、どうだったか?

 マイナス金利を採用した1月29日(金)こそ、大幅な円安・株高になりましたが、週が明けると(2月1日~)動きは鈍くなり、結局、反転して円高・株安が進行。

 当コラムを書いている時点では、すでに、金融緩和をする前の段階よりも株安・円高の水準となってしまいました。

 やはり、今回の金融緩和の影響は非常に小さかったということです。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

日経平均株価 日足(出所:株マップ.com)

■日銀の金融緩和も3回目で、効果が薄れた どうして、こういう動きとなっているのでしょうか? その理由は、3つあると思います。

 まず、1点目は、今回の政策変更は、安倍政権が発足して以来、3回目の金融緩和だという点です。

 言うまでもなく、こうした政策変更はサプライズ効果をもたらすことで、市場を動かすことができるというものですが、さすがに何回もやるとその効果が薄れるということです。

 2点目は、現在の日本を取り巻く環境があまり良くないということです。

 最近の中国経済の低迷と株安、それに伴うその他の新興国の景気低迷。さらには、中国の影響で原油価格が下落し、オイルマネーが世界の資本市場から資金を引き上げています。

原油価格 日足(出所:CQG)

 また、日本の企業の10-12月期の決算が軒並み悪くなり、これまで発表されている決算の平均をとっても、前年同期比6%以上の減少となっています。日銀短観を見ても、製造業、非製造業ともに先行きが大幅に悪化していますし、家計調査における消費も落ち込んでいます。

 こうした環境の悪さが、今回の動きをもたらしているということでしょう。

 3点目は、マイナス金利の効果に…