今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

日銀追加緩和があっても効果は短期的! 若干ドル高・円安になったら絶好の売り場 ブログ

日銀追加緩和があっても効果は短期的! 若干ドル高・円安になったら絶好の売り場

■9月21日(水)に日銀会合とFOMC 9月21日(水)、この日が今月もっとも注目される日となっています。FOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀の金融政策決定会合が、同時開催される日です。

 決して、申し合わせて同じ日に開催されるワケではなく、日本ではその前後が敬老の日と秋分の日で祝日となっている関係から、偶然、同じ日になっているのです。

 ただ、どちらも今月の会合で、新しい金融政策が決定されるかどうかが注目されているので、結果的に9月21日(水)は非常に重要な日となりました。

■米雇用統計は、まだ市場に利上げ期待が残る結果に まずは、FOMC。

 8月26日(金)、米ワイオミング州ジャクソンホールの経済シンポジウムで、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「ここ数カ月で利上げの環境は整ってきた」という趣旨の発言をしたことで、利上げ期待が高まっていました。

 イエレンFRB議長は、これからの経済状況を見て判断することになるとも述べていたので、当然のことながら、経済指標の結果に注目が集まりました。

【参考記事】

●雇用統計後のドル/円は100円割れ!?105円!?下旬の日銀会合次第では95円の可能性も(9月1日、今井雅人)

 その中で、先週末9月2日(金)に発表された米雇用統計8月分は、注目の非農業部門雇用者数変化が前月比15.1万人の増加と、予想の18万人増加を下回ってしまいました。

 失業率や平均時給も、軒並み予想を下回る弱い数字となりました。

 ただ、前月分の数字が2万人上方修正されるなど、極端に悪いワケでもなかったので、まだ市場には利上げ期待は残ることになりました。

米雇用統計(非農業部門雇用者数変化・失業率)(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

■ISM非製造業6年ぶりの低水準! ドル/円101円台前半へ しかし、9月6日(火)に発表されたISM非製造業景況指数の8月分は51.4と、なんと6年ぶりの低水準に終わってしまい、市場に衝撃が走りました。

ISM非製造業景況指数(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

 これで一気に利上げムードが後退し、為替市場でも一気に米ドル安が進行しました。米ドル/円も一時104円台にまで上昇していましたが、101円台前半にまで戻ってしまいました。

 一目均衡表を見ると、雲の下限で頭を抑えられて、一気に下落するという綺麗な形となっています。

米ドル/円 日足(出所:ヒロセ通商)

 次に、日銀です。日銀は…
<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計後のドル/円は100円割れ!?105円!?</i> 下旬の日銀会合次第では95円の可能性も ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>雇用統計後のドル/円は100円割れ!?105円!?</i> 下旬の日銀会合次第では95円の可能性も

■注目は、9月2日(金)の米雇用統計! 9月2日(金)の米雇用統計が非常に重要になってきました。

 先週末の8月26日(金)、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長がジャクソンホールで開催された経済シンポジウムで講演し、「ここ数カ月で利上げの環境が整ってきた」という発言をしました。

 さらに、それに関連してフィッシャーFRB副議長が、「イエレン議長の発言は、9月の利上げもありうるという意味だ」というような趣旨の発言をしましたので、市場で米利上げの期待感が高まっています。また、そうした期待感を受けて、米国の金利も上昇しました。

 為替市場でも、それまではこの先、米ドル安になるという見方が強く、ポジションもドルショートに傾いている状況でしたので、その反動で米ドル高に向かっています。

 米ドル/円は、103円台半ばまで上昇してきました。

米ドル/円 4時間足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■予想値を超えれば、米ドル/円105円へ! だけど… さて、今後のことですが、イエレンFRB議長も、フィッシャーFRB副議長も「利上げペースは、経済情勢による」とも発言しています。

 そこで、重要になってくるのが、冒頭でお伝えした米雇用統計です。

米雇用統計(非農業部門雇用者変化数)(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

 9月1日(木)現在の予想値は、非農業部門雇用者変化数の前月比が18万人の増加となっています。予想値の18万人を超えてくるような結果になれば、利上げムードがさらに高まるでしょう。

 まだ市場はドルショートですので、ますます米ドルは上昇し、米ドル/円も105円程度まで上昇してくるのではないかと思っています。ただ、利上げの期待感だけではそのあたりまで上昇するのが、せいぜいではないかとも思います。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 逆に悪い結果になった場合…
イエレン講演でトレンド作る発言はない! ダル~い相場展開は長期化の可能性高い ブログ

イエレン講演でトレンド作る発言はない! ダル~い相場展開は長期化の可能性高い

■動かない? 理由は簡単、材料がないからでしょう 金融市場は完全に膠着相場に入ってきました。もはや、「夏枯れ相場」と言うだけでは説明がつかないほどの膠着です。

 今週(8月22日~)は、「お盆休み」明けとあって、市場参加者が完全に戻ってくることから、実需勢をはじめとした活発なフローが期待されていました。

 しかし、為替市場は、米ドル/円では100円を意識した中で極めて狭いレンジ取引を繰り返しているほか、日経平均にいたっては「日銀のETF(上場投資信託)買入れ」を巡る思惑が交錯してしまい、投機筋といった、本来であれば相場の仕掛け役を果たす向きも、そっぽを向いてしまって一向に動意付く兆しが見えてきません。

 理由は簡単、材料がないからでしょう。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

■ダルい相場展開は長期化する可能性あり 前回のコラムで、もし、相場が円安方向に動くとしたら、こんな要因だと説明し、さらにそれが現実のものとなる可能性は低いことも指摘しました。

【参考記事】

●3つの米ドル上昇要因、いずれもその可能性は低い。当面は米ドル売り戦略で!(8月18日、今井雅人)

 今のところ、その様子に変化はありません。逆に、リスクシナリオによる円高、あるいは株安の展開も今のところ材料難です。

 正直に申し上げて、このダルい相場展開はかなり長期化する可能性が高いと危惧をしているところです。

■米ドル/円の想定レンジは、当面99~102円程度 私自身も、米ドル/円で細かいレンジトレードを続けています。

 こういった膠着感が高まっている時というのは、レンジ設定の水準を間違えさえしなければ、意外と小銭を稼げることが多いので、割り切って、少し考えてみていただければと思います。

 私自身は、当面99~102円程度の中での小動きであるとの見通しの下に、その範囲内でのレンジトレードを続けています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 さて、材料がなかなか見つからない中で…
3つの米ドル上昇要因、いずれもその 可能性は低い。当面は米ドル売り戦略で! ブログ

3つの米ドル上昇要因、いずれもその 可能性は低い。当面は米ドル売り戦略で!

■100円を切っても一気に円高は進まない 先週8月11日(木)は、山の日の祝日で当コラムの寄稿をお休みさせていただきました。

 その前の週、8月4日(木)のコラムで、米ドル/円について、「2013年5月に103.74円まで上昇したあと約半年間、98円あたりを挟んで、上下5円程度のレンジ相場が続いたような相場展開をイメージしている」とお伝えしましたが、具体的には、大きなレンジとしては95円-105円、もう少し狭いレンジで98円-103円ぐらいのレンジで考えておきたいと思っていました。

 今回は100円を切ったからといって、一気に円高が進むという展開にはならないとも話をしておきました。その見方は、依然として維持しておきたいと思います。

【参考記事】

●日本国債市場大混乱で円金利が急上昇!米ドル/円の100円という大台に意味はない(8月4日、今井雅人)

■一時的に利上げムード高まり、米ドル/円は101円台へ 8月16日(火)、ダドリーNY連銀総裁が「9月の利上げはあり得る」と発言したほか、「市場は利上げに対して過小評価している。たとえば、米10年債利回りが1.5%というのは低過ぎる」などの見解を表明。

 また、ロックハート・アトランタ地区連銀総裁も早期利上げに前向きな発言をしていたために、一時的に利上げムードが高まって米ドル高に向かいました。

 米ドル/円も101円台を回復。一時101.169円まで上昇する動きになりました。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

■FOMC議事録を受けて、米ドル/円は99円台へ下落 しかし、翌日の8月17日(水)に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(7月26日-27日分)を見ると、ごく一部が「今すぐの利上げの必要性を表明」したものの、メンバーが総じて、「追加利上げをするにはさらに多くの指標を点検する必要があるとの見方で一致している」ことがわかりました。

 「数人は先行きの雇用ペース減速が、近い将来の利上げに反対する理由になるだろう」とも述べています。

 これによって、再び米ドル/円は100.00円を割り込み、一時、99.644円まで米ドル安・円高が進んでいます。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 しかし、先ほども申し上げたとおり…
日本国債市場大混乱で円金利が急上昇! 米ドル/円の100円という大台に意味はない ブログ

日本国債市場大混乱で円金利が急上昇! 米ドル/円の100円という大台に意味はない

■日銀が決定した3つの金融緩和強化策 日銀は、7月29日(金)のランチタイムに金融政策決定会合を終了。「金融緩和の強化について」との声明文を発表しました。

 まず、ETF(上場投資信託)買入れ額の増額(賛成7反対2)を決定。ETFについて、保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う(現行の約3.3兆円からほぼ倍増)こととしました。

 また、企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置(全員―致)として、成長支援資金供給・米ドル特則を240億ドル(約2.5兆円)に拡大する(現行の120億ドルから倍増)ことを決定。

 米ドル資金供給オペの担保となる国債の貸付け制度の新設も表明しました。

■サプライズはなく、最小限の追加緩和に留まった印象 追加緩和がETFの増額のみに留まったほか、一部で期待されていた3次元緩和以外の「サプライズ」もなく、「最小限の追加緩和」との印象は否めないものとなりました。

 市場は、7月29日(金)早朝から「相場自身がある意味壊れてしまったかのような乱高下を繰り返す」なか、105.738円の高値まで買われた直後に102.663円まで急落。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 その後は、日経平均が300円を超える下落からプラス圏まで買い戻されたこともあり、103円台後半まで下値を切り上げるといった荒い動きとなりました。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

■101円台まで売り込まれて取引終了 ただ、NY市場に入ってからは、4-6月期米GDP速報値が市場予想を大幅に下回る弱い数字となると、一気に売りが加速。米長期金利の急低下とともに、101.973円まで売り込まれて週末の取引を終えています。

米ドル/円 4時間足(再掲載)(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■8月に入り、日本国債市場が大混乱! ところが、今週(8月1日~)に入ってから、日本国債の市場が大混乱となりました。

 これまで海外のファンド勢中心に本邦勢の米ドル調達コストが上昇したことで、ベーシススワップ(※)が急拡大していたものが、日銀が米ドル特則を倍増したことを受けて、そのコストが急低下。

(※編集部注:「ベーシススワップ」とは異なる変動金利同士を交換する取引のこと。同じ通貨同士で行なわれるものと、円と米ドルなど異なる通貨間で行われるタイプのものがある)

 割安感から、かなりのロングを積み増していた向きが、一気に投げ売りに出たことで日本国債が急落。円金利も急上昇という事態になったワケです。

日本長期金利(日本10年債利回り)(出所:CQG)

 また、日銀が声明文で最後に表明した「次回の金融政策決定会合において、経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行う」ことがさまざまな憶測を呼ぶことになると、「国債買取りの限界が示されるのではないか」といった不安が国債市場に蔓延した結果だとも言えます。

 為替市場では…
一般的に日銀の決定は事前に漏れない。 追加緩和あっても効果持続は難しいとみる ブログ

一般的に日銀の決定は事前に漏れない。 追加緩和あっても効果持続は難しいとみる

■政府の経済対策は、単年でせいぜい2~3兆円規模 すべてが、明日7月29日(金)の日銀金融政策決定会合の内容次第という相場展開になってきました。

 7月10日(日)の参議院選挙終了後、さまざまな憶測で相場が乱高下しています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 最初は、建設国債を政府が発行し、それを日銀が直接買い取るのではないかという憶測が飛び交いました。また、秋の臨時国会で決定される政府の緊急経済対策に対する期待感も高まりました。

 しかし、その後、政府の経済対策に関しては、全体規模では28兆円とも言われる大きな金額となっていますが、中身を見ると、真水が6~7兆円。それも複数年かけての数字であることもわかっています。単年では、せいぜい2~3兆円程度に留まる可能性が高まっており、期待感は一気に萎んできています。

【参考記事】

●「ポケモンGO」で任天堂も日経平均もGO↑ 3.3兆円買収劇で英ポンドは買われていた(7月21日、今井雅人)

■「ヘリマネは必要なし」と黒田総裁は、ハッキリ! 日銀に関しては、7月11日(月)と12日(火)にヘリコプターベンとも呼ばれるバーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が黒田日銀総裁、安倍首相と次々と会談したことから、「ヘリマネ」という言葉が独り歩き。

 市場は、あまり確固とした根拠もないまま、期待だけを先行させて相場をはやしました。

【参考記事】

●「ヘリコプターベン」来襲で株高・円安! 「ヘリマネ政策」前提の期待先行相場続く(7月14日、今井雅人)

 その後、7月21日(木)には、黒田総裁がBBCのインタビューで、「ヘリマネは必要ないし、可能性もない」とはっきり不要であることを発言したこともあって、当初の期待感は剥落してきました。

 しかし、昨日7月27日(水)には、政府が50年国債を発行し、それをまた日銀が買い取るといった政策を検討していると一部で報じられたことをきっかけに、かなりの乱高下を演じたことは記憶に新しいところでしょう。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

■FOMCの結果からは、いつ利上げをするのかが曖昧 今週(7月25日~)は、米国でもう1つのビッグイベントであるFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。

 日本時間7月28日(木)午前3時に公表された声明文では、「雇用データは、ここ数カ月で労働力活用の一定の増加を示している」などとして、米国経済の現状認識を上方修正させました。

 また、「経済見通しの短期的なリスクは後退した」との文言を追加するなど、前回の会合からは利上げに対するハードルが低くなったことだけは確かですが、市場では「年内利上げの余地は残したものの、いつ利上げを行うかは依然として曖昧」との見方が台頭。

 米長期金利の大幅な低下という反応となりました。

米長期金利(米10年債利回り)(出所:CQG)

 市場でもその解釈について見方はかなり分かれており、結局のところ、8月に発表される7月の米雇用統計次第ということになりそうです。

 そして…
「ポケモンGO」で任天堂も日経平均もGO↑ 3.3兆円買収劇で英ポンドは買われていた ブログ

「ポケモンGO」で任天堂も日経平均もGO↑ 3.3兆円買収劇で英ポンドは買われていた

■安倍政権の緊急経済対策は20兆円規模に!? 日本の参議院選挙が終わった途端に、ファンド勢を中心に、これまでのポジションを閉める動きが加速。相場の状況が一変した様子は、前回のコラムでも紹介したところであります。

【参考記事】

●「ヘリコプターベン」来襲で株高・円安! 「ヘリマネ政策」前提の期待先行相場続く(7月14日、今井雅人)

 本日7月21日(木)の新聞報道でも、安倍政権の緊急経済対策が20兆円規模になるという記事がありました。

 実際の真水と言われる財政出動は数兆円で、残りは財政投融資や公的融資などで賄われるということですが、市場ではこれまで10兆円程度との認識であったこともあり、20兆円という規模はそれなりのインパクトがありました。

■ヘリコプターマネーには難色でも、他の方法で追加緩和も… そして、それと同時に議論されているのが、7月28日(木)~29日(金)に予定されている日銀の金融政策決定会合において、追加緩和が決定されるかどうか?です。

 先週(7月11日~)、ヘリコプターベンこと、バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が訪日し、黒田日銀総裁や安倍首相と会談しました。

 前回のコラムでは、市場でヘリコプターマネーの話題が急速に高まっていることを紹介しました。

【参考記事】

●「ヘリコプターベン」来襲で株高・円安! 「ヘリマネ政策」前提の期待先行相場続く(7月14日、今井雅人)

 私は、さすがにこれには黒田総裁も難色を示すと考えているので、実現性は低いと思っています(※)。

 しかし、それ以外においても、追加緩和の方法はいくらでもあるので、政府の経済対策とあわせて、何らかの政策決定がなされる可能性は十分にあるでしょう。

(※編集部注:本稿寄稿後、編集作業中だった7月21日(木)17時台に黒田日銀総裁が「ヘリコプターマネーの必要性も可能性もない」と発言したというニュースが流れた)

■「ポケモンGO」で任天堂株が暴騰! この他にも、今週(7月18日~)、マーケットが注目している材料が2つあります。

 1つは、任天堂の株価です。

 任天堂が米国で先行してローンチした「ポケモンGO」(※)の爆発的な人気により、株価が暴騰しています。

(※編集部注:「ポケモンGO」とは、位置情報を活用して現実世界を舞台に、ポケモン(ポケットモンスター)を捕まえたり、プレイヤー同士で交換したり、バトルしたりすることができるゲーム)

任天堂(東証一部:7974) 日足(出所:株マップ.com)

 7月20日(水)の株式市場では、東証1部全体の3割近くの売買代金を占めるなど、爆発的な人気を博しています。

 特に、海外勢からの買いが連日、続いており、これが、日本の株式市場全体の押し上げ効果となっています。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 為替市場においても、米ドル/円が日経平均の動きよりも、任天堂という一銘柄の株価の動きに、実際、左右されてしまうほどのフィーバーぶりとなっています。

 もう1つは…
「ヘリコプターベン」来襲で株高・円安! 「ヘリマネ政策」前提の期待先行相場続く ブログ

「ヘリコプターベン」来襲で株高・円安! 「ヘリマネ政策」前提の期待先行相場続く

■コラム執筆中に米ドル/円が105.749円まで急伸! 米ドル/円は、このコラムを書いている途中、なんと105.749円まで急伸しました。正直言って、ここまで相場が大きく反応するとは思っていませんでした。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

■雇用統計の結果が出たあと、ドル/円はなぜあんな動きを? さて、週末(7月10日)の参議院選挙が終わって、週明け(7月11日~)から急速に株高・円安が進行しています。

 7月8日(金)の米雇用統計では、失業率や平均時給こそ予想を下回ったものの、非農業部門雇用者数が28.7万人と市場予想の18.0万人を遥かに上回る結果となりました。

米雇用統計(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

 ところが、101.305円まで上昇した米ドル/円は、米長期金利の急低下を受けて99.99円まで急落。引けにかけては、米国株が急上昇した影響もあって、100円台半ばまで戻すという二番底を確認した形ではありましたが、単純にそれだけでは説明ができない動きとなっています。

米ドル/円 30分足(出所:ヒロセ通商)

■バーナンキの「表敬訪問」は、実は「政策協議」だった 一番の理由は、今後の政府、日銀の動きに対する期待感です。

 安倍総理は、参議院選挙が終わると、ただちに大規模な経済対策の策定を石原経済再生相に指示しました。

 週明け7月11日(月)のランチタイムには、その経済対策で「新規国債の発行を検討」することが報じられ、加えて、バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が訪日。

 黒田日銀総裁とプライベートな会合の場が設けられました。

 翌日12日(火)には、安倍総理を表向きには「表敬訪問」したわけですが、その場には浅川財務官も、菅官房長官も、そして浜田内閣官房参与も同席。

 「政策協議」の場であったことは明らかでしょう。

 バーナンキ前FRB議長といえば…
英国政治大混乱も英国株好調の不思議。 一方、円高・日本株安が続くのはなぜ? ブログ

英国政治大混乱も英国株好調の不思議。 一方、円高・日本株安が続くのはなぜ?

■英国国民投票を終え、市場関係者は神経質に 日本時間6月23日(木)~24日(金)に行われた英国民投票の結果を受けて大混乱となった金融市場も、その後は、いったん落ち着きを取り戻していました。

 しかし、今週(7月4日~)に入って、米国が独立記念日の休場明けとなった7月5日(火)から再び市場が荒れ模様になってきています。

【参考記事】

●20%近い下落! EU離脱ショックは1日で織り込まれた。もう深追いすべきではない(6月24日、今井雅人)

●英ポンドよりユーロを売りたい理由とは? ユーロ/米ドルはパリティ、対円では100円!?(6月30日、今井雅人)

 特に大きなニュースがあったわけではないのですが、市場関係者の多くが非常に神経質になっているために、ちょっとした材料にも敏感に反応してしまう状況にあるということでしょう。

■英国で不動産ファンド凍結。伊の大手銀行に不良債権… 英国では、EU(欧州連合)離脱の決定を受けて、不動産ファンドが凍結状態となっています。

 高騰しているロンドンの不動産価値が低下してしまうのでは? との懸念から、いっせいにファンド解約の動きが出てしまったことで、大手の不動産ファンドが次々と解約を停止しました。

 約50%の不動産ファンドが凍結された状況となっており、為替市場では英ポンド売りがさらに強まったと言えます。

英ポンド/米ドル 4時間足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 また、イタリアの大手モンテ・パスキ銀行の不良債権問題も再燃。イタリア政府の救済が不可避となってきている状況に陥っていることも明るみになりました。

 このように、国民投票の余波が徐々に広がっています。

■7月14日(木)にBOEが追加緩和実施へ!? BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])は、混乱を和らげるために追加金融緩和を実施する可能性を示唆しています。

 市場では、来週の7月14日(木)にもMPC(英中銀金融政策委員会)で追加緩和が実施されるとの憶測が台頭しています。

 カーニーBOE総裁も、「英ポンドは新たな水準を模索することになるだろう」との見解を表明しているほか、5日(火)の記者会見では「英ポンドの下落は輸出企業の支えになる」と発言しており、当局が英ポンド安を歓迎していることもあって、英ポンドにさらなる下落圧力がかかっています。

■英国国内は混乱しているが、株式市場は好調という不思議 しかし、株式市場は金融緩和と英ポンド安を好感して、堅調に推移しています。

 英国国内は政治的に混乱しているにもかかわらず、株式市場は好調という不思議な状況となっています。

【参考記事】

●60%上昇!? 英国のEU離脱で暴騰しそうだったCFD銘柄は本当に暴騰したのか?

英国FTSE100 日足(出所:CQG)

 それに対して、日本の株式市場は冴えません。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 元々、市況が良くなかったところに、6月に日銀が追加緩和をしなかったことが、響いた形です。

【参考記事】

●予防線を張らなかった日銀は正直、馬鹿!米ドル/円は一気に100円を狙う展開へ!(6月16日、今井雅人)

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などに株を買わせて、外国への投資を通じ、円安を演出させてきたツケが、今になって回ってきているということです。

 前回のコラムでもお話しした…
英ポンドよりユーロを売りたい理由とは? ユーロ/米ドルはパリティ、対円では100円!? ブログ

英ポンドよりユーロを売りたい理由とは? ユーロ/米ドルはパリティ、対円では100円!?

■キャメロン首相の後任選出は9月、英EU離脱は2年後 先週末(日本時間6月23日~24日)に行われた英国国民投票に対する市場の反応が、1日で激し過ぎたので、今週(6月27日~)は、その反動が起きています。

【参考記事】

●20%近い下落! EU離脱ショックは1日で織り込まれた。もう深追いすべきではない(6月24日、今井雅人)

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

 確かに、歴史的な、大変大きな出来事ではあるものの、選挙後のEU(欧州連合)サミットで、新しい英首相が選出される2016年9月まで、正式な離脱宣言ができないことが確認されたほか、実際に離脱するのは2年後ということを市場も冷静に認識したため、落ち着いてきたということです。

■市場環境はもともと厳しかった! 米利上げ期待後退も… しかし、ここから大きく戻っていくかと言えば、そうは考えていません。戻りもそれほど強くないと思っています。

 その1番の理由は、そもそも、この問題がなかったとしても、市場を取り巻く環境は厳しかったということです。

 米国では、直近の5月雇用統計で、非農業部門雇用者数が3.8万人に留まるなど、信じられないほど悪かったため、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、利上げは見送られるであろうという見方が大半となってきていました。

 年内の利上げすらできない、という見方もあります。

【参考記事】

●6月に日銀追加緩和の可能性高し!! その理由は? 追加緩和あれば円安へ!(6月9日、今井雅人)

米雇用統計(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

■日本の投資家は、損失を抱えて身動きが取れない状況 日本の景気も腰折れしてきて、アベノミクスの限界も露呈してきています。

 6月30日(木)に発表された5月の鉱工業生産も前月比マイナス2.3%と、予想のマイナス0.2%を大きく下回っています。

 日本の投資家は、かなりの損失を抱え、身動きが取れない状況となっています。どの道、円高のリスクは存在していたということです。

 米ドル/円も104円、105円と上昇していくのは至難の業でありましょう。

米ドル/円 4時間足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■ナショナリズム台頭。英国国民投票の結果は波及するかも さて、英国のEU離脱の影響を、今後どう考えれば良いでしょうか?

 すでにスコットランドがEUに残留したいとの意思を表明し、英連邦王国を離脱する可能性が出てきました。北アイルランドでも、アイルランドとの統合を希望する声が上がってきました。

 英国は、政治的にますます、不安定になるでしょう。

 一方、EU諸国も同様です。ここ数年、欧州ではナショナリズムが台頭してきています。

 英国の国民投票の結果が、欧州大陸に波及する可能性は、十分にあります。

 IMF(国際通貨基金)は…