ハイパーリキッド・ポリシー・センター、EUに暗号資産の無期限先物をMiFID IIで規制するよう提言

無期限先物はMiCAではなくMiFID IIの対象とすべきと提言

オンチェーン市場に関する調査や政策提言を行うハイパーリキッド・ポリシー・センター(Hyperliquid Policy Center:HPC)が、暗号資産(仮想通貨)の無期限先物をEU(欧州連合)の金融商品規制「MiFID II」の対象とするよう欧州委員会に提言した。HPCは、欧州委員会が実施した暗号資産市場規則「MiCA」の見直しに関する意見募集への回答書を9月30日に提出した。

欧州委員会は今年5月20日、MiCAが市場や政策環境の変化に引き続き対応できているかを検討するため、同規則の見直しに関する意見募集を開始した。MiCAは、既存のEU金融規制の対象ではない暗号資産やその発行者、暗号資産サービスプロバイダー(CASP)などを対象とする規制枠組みだ。

一方、MiFID IIは株式や債券、デリバティブなどの金融商品や関連サービスを対象としている。今回の見直しでは、暗号資産を参照する無期限先物をMiCAとMiFID IIのどちらで規制すべきかも検討されている。HPCは、どちらに分類されるかによって、適用される規制や監督主体、投資家がアクセスできる範囲などが変わると説明している。

無期限先物は、あらかじめ決められた満期日がないデリバティブ商品だ。デリバティブは、原資産の価格などを基に価値が決まる金融商品を指す。無期限先物では、原資産を保有せずに価格変動による損益を得られ、必要な証拠金を維持する限りポジションを継続して保有できる。また、買いのポジションを持つ「ロング」と売りのポジションを持つ「ショート」の間では、「ファンディング」と呼ばれる資金を定期的に受け払う。この仕組みにより、無期限先物の価格を参照資産の価格に近づける。

HPCは、金融商品の分類について、その商品がどの台帳に記録されているかではなく、経済的な特徴に基づいて判断すべきとの考えを示した。この考え方に基づき、HPCは無期限先物について、標準化された現金決済型のデリバティブであり、MiFID IIが対象とする金融商品と共通する経済的特徴を持つと説明している。

またHPCは、欧州証券市場監督局(ESMA)のガイドラインが、金融商品を記録する技術自体を分類の決定要因としない考え方を示し、トークン化された無期限先物をデリバティブとして扱っている点を挙げている。そのうえでHPCは、この考え方を記録方法や参照資産を問わず無期限先物に適用するよう求めている。HPCは、新たな法律を制定するのではなく、既存のESMAガイドラインなどを明確化することで対応できると提言している。

CFD向け規制の一律適用には反対

一方、ESMAは今年2月、無期限先物などとして提供されるデリバティブについて、CFD(差金決済取引)の定義を満たす場合には既存のCFD向け規制が適用されるとの見解を示した。CFDは原資産を保有せず、原資産の価格変動による損益を得るデリバティブ商品だ。リテール顧客向けに提供される対象CFDには、レバレッジ制限やリスク警告、証拠金が一定水準を下回った場合のポジション決済、損失を預け入れた資金の範囲に限定する措置などが適用される。

これに対しHPCは、無期限先物をMiFID IIの対象とする場合でも、CFD向けに設計された規制をそのまま適用すべきではないと主張している。HPCは、CFDと無期限先物は価格変動による損益を得られる点では似ているものの、市場構造やリスクには重要な違いがあると指摘している。

HPCによると、CFDでは通常、商品を提供する事業者が価格を設定し、顧客の取引相手となる。それに対し、無期限先物では、注文板を通じて市場参加者同士が市場価格で取引し、ファンディングの算出方法もあらかじめ公開される。またHPCは、オンチェーンの注文板では取引やファンディング、清算などがパブリックブロックチェーン上に記録されると説明している。このためHPCは、こうした構造やリスクの違いを無期限先物の規制に反映するよう求めている。

具体的な規制方法としてHPCは、無期限先物のファンディングの算出方法や証拠金、ポジションの決済方法などを公開するよう提案している。また、参照価格には複数の情報源を利用することを求めている。さらに、投資家の区分に応じて段階的にアクセスを拡大する方法を支持している。

さらにHPCは、パブリックブロックチェーンの透明性を、金融規制上の透明性や記録保存に関する要件を満たす手段として認めるよう求めている。その理由としてHPCは、従来の注文板では規制によって取引前後の情報開示や注文記録、取引報告などが求められる一方、オンチェーンの注文板では注文や取引、ファンディング、清算などの情報を利用者や規制当局が直接検証できる点を挙げている。このためHPCは、すでに公開されている情報について、事業者に重複した報告を求めないよう提言している。

こうした提言の背景には、HPCが「オンチェーン金融(onchain finance)」と表現する、伝統的な金融とパブリックブロックチェーンの融合がある。HPCは、既存の規制を市場参加者が実際に果たす機能、それぞれの商品が持つリスクに応じて既存の規制を適用・調整することで、オンチェーンの商品や市場へ対応できるとの考えを示している。

 

参考:HPC
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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