イタリア中銀、金融機関にEU制裁対応の体制点検を要請。暗号資産事業者も対象に

制裁対象者の取引検知体制を点検へ

イタリア中央銀行(Banca d’Italia)が、EUおよび国内の制限的措置(経済制裁)の遵守を確保するための手続きに関する通達を9月7日に公表した。決済サービス提供者(PSP)や暗号資産サービス提供者(CASP)を含む監督対象の金融仲介業者に対し、制裁対象者に関連する口座や取引を特定するための体制を点検するよう求めている。

背景には、地政学的緊張の高まりに伴うEUの制裁措置の拡大がある。金融仲介業者は、制裁対象となる個人・団体などに関連する取引関係や取引を特定し、該当する場合には資金・経済的資源の凍結や所管当局への通報などを行う必要がある。

こうした義務への違反は従来から行政制裁の対象だったが、刑事罰も強化されている。EU指令2024/1226号を国内法化する2025年12月30日付立法政令第211号により、制裁措置の違反・回避、制裁に伴う情報提供義務の不履行、特定活動の許可条件違反などについて新たな犯罪類型が導入された。また軍需品や一部のデュアルユース品に関しては、重大な過失による一定の制裁違反も刑事罰の対象となっている。

PSPおよびCASPについては、EU規則2023/1113号(TFR recast)により、資金や暗号資産の移転に際してEUおよび国内の制限的措置を実施するための方針・手続き・内部統制を整備することが義務付けられている。

同規則に基づき、欧州銀行監督機構(EBA)は「EBA/GL/2024/15」を策定した。同ガイドラインは2025年12月30日から適用されており、イタリア銀行も2025年5月19日付Nota(通知)第52号で対応している。

ガイドラインでは、制裁対象者を特定するために使用するリストとその更新方法、照合するデータ、自動スクリーニングシステムの設定や定期的な再評価、記録の管理などについて定めている。

PSPおよびCASPは、顧客との取引関係を開始する際にスクリーニングを行うほか、新たな制限的措置を定めるEU理事会規則が採択された場合や、顧客情報が変更された場合などにも再確認する必要がある。

EBAガイドラインは、スクリーニングシステムについて、誤検知(false positive)を抑えながら制裁対象者を確実に特定できるよう調整することを求めている。

一方、取引金額を基準にスクリーニング対象から除外する最低金額の閾値は認められていない。

イタリア銀行は今回の通達で、第三者が開発・提供するものを含め、金融仲介業者が利用するシステムにこうした最低金額の閾値が設定されていないか確認するよう求めた。

また、個々の移転を実行前にスクリーニングする原則には例外がある。

即時振込(instant credit transfer)については、PSPが送金の都度、依頼人・受取人がEUによる資産凍結や資金・経済的資源の提供禁止の対象者であるかを照合するのではなく、少なくとも1日1回、および新たな措置やその変更の発効直後に顧客を確認する仕組みが採用されている。

またイタリア銀行は、制裁措置の不履行・回避リスクへの露出度が低いPSPについて、イタリア国内の資金移転でも、一定の条件のもとで即時振込と同様のスクリーニング方法を採用することを認めている。

イタリア銀行は今回、こうした例外が適用される場合を除き、PSPおよびCASPはEBAガイドライン第4.1.5項に従い、資金・暗号資産移転の依頼人・受取人のデータを確認する必要があると改めて明確化した。

参考:イタリア銀行
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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