
この記事の要点
- 米上院CLARITY法案の改訂草案が2026年3月24日に業界へ提示
- ステーブルコイン保有だけで得られる利回り・報酬を禁止へ
- 報酬の定義はSEC・CFTC・財務省が1年かけて策定
- 業界幹部「ホワイトハウスとの合意内容からの逸脱」と懸念
ステーブルコイン保有報酬を禁止へ、業界に動揺広がる
2026年3月24日、米上院が審議中の仮想通貨市場構造法「CLARITY(クラリティ)法案」の改訂草案が、業界関係者向けの非公開説明会で示されました。
Fox Businessの記者エレノア・テレット氏によると、草案はステーブルコインの残高保有による受動的な利回りを禁止する一方、取引や支払いなどのユーザー行動に連動した報酬のみを許可する方針を定めています。
これにより、ステーブルコインを保有するだけで得られる利息や報酬は認められず、報酬設計はユーザーのアクティビティに紐づく形へと転換される見通しです。
ただし、アクティビティ連動型報酬の具体的な定義は法案に明記されておらず、その線引きはSEC(米証券取引委員会)・CFTC(米商品先物取引委員会)・財務省が1年かけて共同で策定する規則に委ねられています。
草案を確認した業界幹部の一人は、テレット氏を通じて「今回の草案はホワイトハウスと事前に議論していた内容からの逸脱であり、”経済的同等性”の基準は曖昧で、将来の規制当局が一層厳格に解釈する可能性がある」との懸念を示しています。
NEW: New details are emerging about the latest legislative text outlining a compromise on stablecoin yield and rewards, along with early reactions from crypto industry leaders who reviewed it today.
According to an internal stakeholder email shared with me, the proposal would… https://t.co/S3BAqr5ma0
— Eleanor Terrett (@EleanorTerrett) March 24, 2026
速報:ステーブルコインの利回りや報酬に関する妥協案の法案テキストについて、新たな詳細と、本日これを確認した仮想通貨業界関係者の初期反応が明らかになりました。
関係者向けの内部メールによると、この提案では、ステーブルコインの保有に対して「直接的または間接的に」利回りを提供すること、または銀行預金に類似する形での報酬提供を禁止するとされています。この規制は、取引所やブローカーなどのデジタル資産サービス事業者およびその関連会社にも広く適用され、抜け道を防ぐ設計です。さらに、「経済的または機能的に利息と同等」とみなされる仕組みも禁止対象となります。(中略)
この草案を確認したある業界関係者は、「これまでホワイトハウスと協議されてきた内容からの転換だ」と指摘。「経済的同等性」という基準が曖昧で、将来的に規制当局によってより厳格に解釈される可能性があると懸念を示しました。また、残高や取引量に連動した報酬に制限がかかる点も、インセンティブ設計を難しくする要因だとしています。(後略)
4月末が事実上の分岐点に
妥協案はなぜ生まれたか、コインベース撤退と銀行ロビーの攻防
銀行業界が求めた「預金との分離」
ステーブルコインの利回りをめぐっては、仮想通貨プラットフォームと伝統的な銀行業界が長期にわたり対立してきました。
コインベースなどのプラットフォームは、ステーブルコイン保有への報酬をサービスの中核機能として提供してきました。一方、銀行業界は「利回り付与は実質的に預金と同等であり、既存の貯蓄商品と直接競合する」と主張し、2025年を通じて強いロビー活動を展開しています。
今回の草案はティリス上院議員とアルソブルックス上院議員がホワイトハウスの後押しのもと3月20日にまとめた妥協案であり、残高連動型の利回りを禁じることで銀行側の主張を取り入れた内容となっています。
2026年1月の旧草案が利回りを全面禁止する内容だったことを受け、コインベースのブライアン・アームストロングCEOが支持を撤回し、委員会採決が一時頓挫した経緯があります。
今回の妥協案でアクティビティ連動型の報酬が維持されたのは、旧草案への反発を受けた修正の結果であり、その許容範囲の解釈が今後の焦点となっています。
定義なき報酬ルール「1年間の規則制定期間」が生む事業リスク
テレット氏によれば、草案が定める1年間の規則制定期間は、SEC・CFTC・財務省が共同でアクティビティ連動型報酬の詳細ルールを策定するための猶予として設けられています。
この期間中、企業は明確な基準がない状態で事業運営を行う必要があります。草案ではステーブルコイン保有に対して「直接的または間接的に」利回りを提供することを禁じており、「経済的同等性」の概念を判断基準として採用しています。
この解釈次第では、取引手数料の割引やキャッシュバック型プログラムも禁止対象となる可能性があるとの懸念が業界内で広がっています。
コードや契約の精密さを前提とするデジタル資産業界にとって、こうした法的な曖昧さは事業設計の判断そのものを妨げる要素になるとの見方も示されました。
一方で、銀行業界にとっては受動的利回りの禁止が明確になったことで、既存の貯蓄商品との競合が抑制される構図となっています。規則制定までの1年間は、制度解釈と実務運用の方向性を左右する重要な期間とされています。
4月マークアップが分岐点、CLARITY法案の成立までの道筋
CLARITY法案は2025年7月に下院を超党派の支持で通過しており、仮想通貨資産の監督権限をSECとCFTCに分担させる枠組みを中核としています。
ブロックチェーン上のネイティブ資産の多くをコモディティ規制のもとに置くこの設計は、長年議論されてきた「どの規制当局が管轄するか」という問いに初めて法的な答えを与えるものとされています。
上院では今後、委員会のマークアップ(修正審議)、本会議での採決(60票が必要)、下院可決版との調整、大統領署名という複数の手続きが残されています。
ステーブルコイン利回りのほかにも、DeFi(分散型金融)の監督やマネーロンダリング対策(AML)、倫理条項をめぐる議論が並行しており、銀行業界関係者による25日の草案レビュー次第では条文修正の可能性もあります。
4月のマークアップが予定通り進むかどうかが、法案の今国会での成否を左右する分岐点となっています。
米SECが仮想通貨を5分類
ステーブルコイン規制の国際競争、米国の制度設計が問われる局面
ステーブルコインの利回りをめぐる議論は米国だけでなく、欧州や日本、シンガポールなどでも規制の在り方が模索されています。各法域で保有者報酬の取り扱いに対する解釈は分かれており、国際的な制度設計の足並みは依然として揃っていません。
アクティビティ連動型報酬の詳細ルールが1年以内にどのように策定されるかは、コインベースをはじめとする主要プラットフォームのサービス設計に直接的な影響を与えます。
CLARITY法案の成立の可否と「経済的同等性」の定義がどのように解釈されるかが、今後の仮想通貨市場における事業環境の方向性を左右する焦点となる見通しです。
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Source:エレノア・テレット氏X投稿
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用
NEW: New details are emerging about the latest legislative text outlining a compromise on stablecoin yield and rewards, along with early reactions from crypto industry leaders who reviewed it today.




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