
BINANCE,従業員の不正行為を公式謝罪
大手暗号資産取引所Binance(バイナンス)の先物取引部門である「Binance Futures」は2025年12月8日に、同社の従業員が職権を乱用してインサイダー取引に関与していた事実を認め、公式に謝罪する声明を発表しました。
発表によると、この従業員は自身の立場を悪用し、バイナンスの公式ソーシャルメディアアカウントを通じて特定のトークンに関する情報を発信することで、不当に個人的な利益を得ようとしたとされています。
今回の事案は、公正な取引環境と市場の透明性を著しく損なう行為であり、業界全体に波紋を広げています。バイナンス側は内部監査部門への通報を受けて直ちに調査を開始し、当該従業員による深刻なポリシー違反を確認したと報告しています。
Investigation of Employee Misconduct Incident
On December 7, 2025, Binance’s internal audit department received a report alleging that a Binance employee had used insider information to post on official social media and improperly obtain personal gain. We immediately launched an…
— Binance Futures (@BinanceFutures) December 8, 2025
従業員の不正行為に関する調査について
2025年12月7日、Binanceの内部監査部門は「Binanceの従業員がインサイダー情報を利用して公式ソーシャルメディアに投稿し、不当に個人的利益を得た」という報告を受けました。私たちは直ちに調査を開始し、以下の予備的な調査結果をコミュニティと共有します。
1. 予備調査の結果
調査の結果、当該従業員は12月7日 05:29(UTC)にオンチェーンで発行されたトークンに関与していたことが確認されました。さらにその1分も経たないうちに、当該従業員はBinance Futuresの公式アカウント(@BinanceFutures)を使用して、そのトークンに関連するテキストと画像をツイートしました。これらの行為は、個人的な利益のために職務上の地位を悪用したものであり、当社のポリシーおよび職業行動規範に違反するものです。2. 講じられた措置
即時停職: 当該従業員は直ちに停職処分となりました。現在はさらなる懲戒処分を保留中です。
法的責任の追及:私たちは当該従業員の居住地域における関連当局へ積極的に連絡を取っており、適用法に従って適切な法的措置を講じるため、当局と全面的に協力していきます。
事件の経緯と調査結果の報告内容
今回の事件は、2025年12月7日にBinanceの内部監査部門へ寄せられた通報によって発覚しました。通報内容は「ある従業員がインサイダー情報を利用し、公式アカウントを使って市場操作に近い行為を行っている」というものでした。
バイナンスの調査チームが ブロックチェーン 上のデータを分析したところ、当該従業員が関与したトークンは、世界協定時(UTC)の2025年12月7日05:29に発行されたばかりのものでした。
さらにそのトークンが発行されてからわずか1分以内に、Binance Futuresの公式X(旧Twitter)アカウントから、そのトークンを宣伝または示唆するような画像とテキストが投稿されていました。これは、公式アカウントの影響力を利用してトークン価格を意図的に吊り上げ、個人的な利益を得ようとした典型的な「パンプ・アンド・ダンプ」の手法であると考えられます。
バイナンスはこのような行為を「職権乱用」および「職業倫理規定への重大な違反」と断定しています。当該従業員に対しては即時の停職処分が下されており、現在は解雇を含めたさらなる厳重な処分が検討されています。
また、企業としての内部処分にとどまらず、バイナンスは法的措置にも踏み切る姿勢を鮮明にしています。バイナンス側はすでに従業員の居住地の法執行機関や規制当局に連絡を取り、刑事責任の追及を含めた法的手続きに向けて全面的に協力しているとのことです。
通報者への報奨金と今後の対応
バイナンスは今回の事件解決において、コミュニティからの情報提供が極めて重要な役割を果たしたことを強調しています。「ユーザー第一主義」を掲げる同社は、不正行為に対するゼロ・トレランス(不寛容)の方針を改めて示しました。
今回の件では公式の内部告発チャンネル(audit@binance.com)を通じて有効な情報を提供した5名の通報者に対し、合計10万ドル(約1,560万円)の報奨金が授与されることが決定しました。
バイナンスは声明の中で、Xなどのソーシャルメディア上で公開された報告についても感謝の意を表しつつも、通報者の利益保護の観点から、報奨金の対象は公式チャンネルを通じた報告に限定されると説明しています。
【報奨金の分配に関する要点】
- 報奨金総額
100,000ドル(約1,560万円) - 対象者
公式チャンネルを通じて早期に有効な情報を提供した5名の内部告発者 - 連絡方法
対象者にはメールで直接連絡が行われる - 推奨される通報手段
今後の不正に関する情報は、セキュリティとプライバシー保護のため、必ず公式の内部告発チャンネル(audit@binance.com)へ送信すること
仮想通貨業界では、取引所の従業員によるインサイダー取引が度々問題視されてきました。世界最大の取引所であるバイナンスが、今回のように迅速に事実を認め、調査結果を公開し、さらに法的措置まで明言したことは、業界の透明性向上に向けた強いメッセージとなります。
バイナンスチームは声明の最後で、「透明で健全なエコシステムを維持し、すべてのユーザーにとってより安全な取引環境を構築するために、今後も内部統制の強化とポリシーの改善に取り組む」と結んでいます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.97円)
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source:Binance Futures公式発表
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