
金融インフラを変えるブロックチェーンの未来
イギリスの大手銀行スタンダードチャータードのビル・ウィンターズCEOは2025年11月3日、香港で開催された金融イベントで、「ブロックチェーン技術がほぼすべてのグローバル取引の基盤になる」との見解を示しました。
同氏は「ブロックチェーン技術に加え、仮想通貨やステーブルコインの活用も国際金融の仕組みを再定義する可能性がある」との見方を示しています。
全取引のデジタル化へ向かう構造変革
CNBCの報道によると、ウィンターズ氏は「将来的にはすべての取引がブロックチェーン上で決済され、あらゆる形態の貨幣がデジタル化される」と述べています。
同氏はさらに「こうした大転換には官民の長年にわたる協力と試行錯誤が必要であり、金融システムの完全な配線替え(リワイヤリング)に匹敵する大規模な改革になる」と指摘しました。
スタンダードチャータード銀行はすでにデジタル資産の保管や取引プラットフォーム、資産のトークン化などブロックチェーン関連事業に積極的に乗り出している伝統的金融機関の一つとなっています。
ウィンターズ氏は、香港当局による先進的な規制整備とイノベーション推進を称賛し、ポール・チャン香港財政長官らと共に、同地域がデジタル金融を牽引している点を強調しました。
トークン化とブロックチェーンが変える決済網
スタンダードチャータードは香港の新たな規制枠組みの下で、アニモカ・ブランズや香港電訊(HKT)と提携して香港ドル連動型ステーブルコインの発行を進めています。
ウィンターズ氏は、このプロジェクトが国際貿易向けの新型デジタル決済インフラ構築における「鍵を握る一歩」になると位置付けています。
他の金融大手も同様の予測を示しており、米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは今年「最終的に全ての資産クラスがトークン化される」と発言し、米ロビンフッドのブラッド・テネフCEOも同様にトークン化の主流化は不可避との見方を示しました。
トークン化が注目される理由
香港当局が加速させるデジタル金融改革
香港当局も積極的にデジタル金融の推進に取り組んでいます。
SFC(香港証券先物委員会)は11月3日、仮想通貨取引プラットフォーム規制の緩和策を発表し、1年未満の運用実績しかない新規トークンや香港規制下のステーブルコインでもプロ投資家向けに提供可能とする方針を示しました。
またHKMA(香港金融管理局)は同日、ロードマップ「Fintech 2030」を公表し、金融システムのトークン化推進を重点項目に据えるとともに、規制サンドボックス「Ensemble」を活用してトークン化預金やデジタル資産の実証実験を開始すると表明しています。
香港で開催された同イベントのパネル討論では、HSBCの幹部が香港で発売したトークン化ゴールド商品への需要が個人投資家の間で急速に拡大し、現在では世界第3位の規模に達していることも明らかにされました。
さらに、ブラジル中央銀行とHKMAがチェーンリンク(LINK)の技術を用いて両国のデジタル通貨基盤を接続し、越境貿易取引の決済実験を完了するなど、ブロックチェーンを活用した国際金融インフラの整備も着実に進んでいます。
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Source:CNBC報道
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