国連、ブロックチェーンを「究極のデジタル本人確認技術」と評価|年金基金実証で成果

国連、ブロックチェーン実証ホワイトペーパーを公開

国連合同職員年金基金(UNJSPF)と国連国際計算センター(UNICC)は、ブロックチェーン技術の実証に関する共同ホワイトペーパーを公開しました。

同ホワイトペーパーでは、UNJSPFが導入したブロックチェーン基盤の本人確認システム「デジタル証明書(DCE)」の実証結果をとりまとめ、190カ国・約7万人の年金受給者を対象とした認証プロセスの効率化を報告しています。

ホワイトペーパーによると、同機関は従来型システムの課題を指摘したうえで、ブロックチェーン技術を「究極の本人確認技術」と評価しています。

具体的には、同技術により「分散型で改ざん耐性の高い安全な認証システムを実現できること」や「異なる組織間でも相互認証が可能になること」などを優位性として挙げました。

国連実証が示す本人確認とブロックチェーンの融合

単一障害点を克服するブロックチェーン本人確認

従来のデジタル本人確認では、中央集権型システムに起因する単一障害点が課題とされています。

この課題に対し、ホワイトペーパーでは「ブロックチェーンはデータ整合性と透明性を維持しながらプライバシーを確保する分散型技術であり、不正や改ざんリスクを低減できる」と説明しています。

UNJSPFの実践例として、今回の実証では従来の紙文書による認証手続きを刷新し、ブロックチェーンを活用したデジタル証明書(DCE)に置き換えました。

さらに、システムには顔認証などの生体認証やAI、暗号技術、位置情報が組み込まれ、通信環境が限られる地域向けにオフライン認証キオスクも開発されています。

デジタル証明書がもたらす効率化と透明性

特に遠隔地やITリテラシーの低い層を想定して、包摂性を高める対策も講じられています。

これらの結果、DCE導入後は業務効率が飛躍的に向上しました。UNJSPFの報告によれば、紙ベースの手続き量は40%削減、文書保管コストは95%以上減少し、残業コストも76.5%削減されたとしています。

また、不正防止機能やデータ保護基準も強化され、国連本部および24の加盟機関を含む数千人の受給者が恩恵を受けたことも報告されています。

加えて、ホワイトペーパーでは、この仕組みを他機関に横展開する「DCEコンソーシアム」構想を紹介し、国連機関横断で標準化したデジタルID基盤の構築を提案しています。

IMFとUAEが推進するCBDCと国際金融の未来

国際通貨基金(IMF)は2025年8月に、通信環境が制約される地域でも利用可能なCBDC(中央銀行デジタル通貨)のオフライン決済技術についての調査報告書を公表し、金融包摂性の向上に向けた提案を行いました。

また、UAE(アラブ首長国連邦)は、ブロックチェーン技術を活用するCBDC「デジタル・ディルハム」を2025年第4四半期に発行予定と発表しました。同CBDCは高度なセキュリティ機能を備え、決済コスト削減やプライバシー保護を実現しつつ即時取引を可能にする設計だと報じられています。

加えて、国際決済銀行(BIS)も各国CBDCの相互接続によるクロスボーダー決済の効率化策を提唱しており、各国や国際機関はデジタル通貨やID技術の導入を進めています。

これらの動きは、ブロックチェーンを活用した金融インフラ整備が世界的に加速していることを示しており、今後の展開が注目されています。

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Source:UNJSPF・UNICC共同WP
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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