
ジウジ・ホールディングス、最大10億ドルを仮想通貨に配分
ナスダック上場のEV充電大手Jiuzi Holdings(ジウジ・ホールディングス)は2025年9月24日、現金準備金から最大10億ドル(約1,490億円)を仮想通貨に割り当てる財務戦略を取締役会が承認したと発表しました。
この方針により、同社は保有するキャッシュの一部をビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビルドアンドビルド(BNB)といった主要な仮想通貨に投資できるようになります。
ジウジ社が保有資産を仮想通貨へシフトさせるこの動きは、EVインフラ事業を手がける企業としては異例の試みであり、注目を集めています。
なお、今回の発表はDoug Buerger(ダグ・バーガー)氏のCOO(最高執行責任者)就任直後に行われており、同社は新経営体制のもとで仮想通貨を活用した財務戦略に踏み出す形となりました。
カルダノ(ADA)財務戦略を採用
ジウジ社が打ち出すBTC・ETH・BNB中心の資産運用方針
中国EV大手ジウジの資産運用転換の狙い
ジウジ・ホールディングスは中国・杭州に本社を置き、中国新エネルギー車市場で充電インフラ事業を展開する企業です。同社は地方都市向けに高速充電器の設置を進める中、財務資産の一部を法定通貨から仮想通貨へシフトさせる大胆な決定を下しました。
今回承認された方針は、現金準備の有効活用とインフレヘッジを狙うものとみられており、CEOである李氏は「積極的な財務戦略によって長期的な株主価値を維持し、さらに向上させることを目指す」と述べています。
また、COOであるバーガー氏も「短期的な投機ではなく長期的価値の保存を重視する」と強調しており、同社が主要仮想通貨をデジタルゴールドと捉えていることがうかがえます。
ビットコイン・イーサリアム・BNB限定の投資方針
発表によると、具体的な運用にあたっては、当面はビットコイン・イーサリアム・BNBの3銘柄に限定し、最大10億ドルの範囲内で段階的に購入していく計画です。
他の銘柄への投資拡大については、社内に新設された仮想通貨リスク委員会による審議と、取締役会リスク委員会の承認を経て慎重に判断するとしています。
また、資産保全の観点から外部の信頼できるカストディアンに管理を委託し、自社では秘密鍵を保有しない体制を採用していると説明しています。
財務状況と乖離した巨額投資計画への懸念
一方で、市場からはこの「10億ドル規模」という計画に対して慎重な見方も出ています。
同社の最新の財務報告によれば、2024年10月末時点でジウジ社の現金及び現金同等物はわずか94.3万ドル(約1.4億円)に過ぎず、同年度の純損失は5,500万ドル(約82億円)に達しています。
自社資金だけでは巨額の仮想通貨購入は困難とみられ、外部資金の調達方法や実行可能性について投資家から疑問視する声もあります。
実際、発表直後のジウジ株は急激な乱高下をみせています。米市場で一時、前日比で約47%高まで急騰したものの、その後に急落し、終値ベースで33%安という極端な値動きとなったことが伝えられています。
こうしたボラティリティの高さは市場参加者の賛否両論を反映したものとみられ、歓迎する投資家がいる一方で、計画の実効性やリスクを懸念する向きもあることが浮き彫りになりました。
多国籍ビットコイン財務戦略
世界で広がる企業の仮想通貨財務戦略
上場企業に広がるビットコイン保有事例
ジウジ社のように企業が財務資産として仮想通貨を活用する動きは、2025年現在、世界的に着実な広がりを見せています。
米資産運用企業ビットワイズの報告によれば、すでに世界の上場企業70社以上が合計で約65万BTCを保有している状況で、ビットコインを自社の準備資産に組み入れる戦略は一部企業にとって重要なトレンドとなっています。
直近では、企業同士が仮想通貨保有を軸に統合する動きも見られました。
米金融サービス企業Strive(ストライブ)社は9月22日、医療機器メーカーSemler Scientific(セムラー・サイエンティフィック)社を株式交換で買収しました。両社のビットコイン準備資産を合算したことで、世界第14位の企業ビットコイン保有者が誕生しています。
また、イギリスの上場企業B HODL社は9月24日、100 BTC(1,130万ドル/17億円相当)を取得し、新たに仮想通貨準備金戦略を開始したことを発表しました。
上場企業が抱える仮想通貨評価の課題
ただし、ビットコインなどの価格上昇局面では企業価値の押上げ要因となる一方、その高い変動性ゆえに株価の乱高下や含み損リスクを抱える可能性も指摘されています。
調査会社K33リサーチの報告によると「ビットコインを保有する上場企業の約4社に1社は、自社が保有するビットコイン評価額を下回る株価で取引されている」とのデータがあり、市場は依然として暗号資産の評価に慎重な見方を示しています。
このように市場は依然として慎重な見方を示していますが、今回のジウジ社の決断は企業の仮想通貨活用拡大を象徴しており、今後の市場動向を占う試金石として注目されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.67 円)
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Source:Jiuzi Holdingsプレスリリース
サムネイル:AIによる生成画像






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