
Flare Network、XRP担保型ステーブルコイン導入へ
ブロックチェーンプラットフォームのフレアネットワーク(Flare Network/FLR)は2025年9月19日、エックスアールピー(XRP)を担保とした初のステーブルコインを同ネットワーク上で発行すると発表しました。
発表によれば、このステーブルコインは過剰担保型で設計されており、Flare上の新たなDeFiプロトコル「Enosys Loans(エノシスローン)」を通じて発行されます。
また、Enosys LoansはCollateralized Debt Position(CDP)モデルを採用しており、ユーザーはFlare上で発行されたXRP連動資産「FXRP」やFlareのラップドネイティブ通貨「wFLR」を担保にステーブルコインを発行(ミント)するとしています。
なお、近くステーキングされたXRP「stXRP」にも対応が拡大される予定で、XRP保有者はstXRPも担保として利用できるようになると説明しています。
フレアネットワーク上でXRPを活用できる初の本格的なDeFi手段となるため、この取り組みはXRPエコシステムにとって大きな節目であり、従来は送金用途が中心だったXRPのユースケース拡大につながるものとして注目を集めています。
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Flare発、XRP担保型ステーブルコインの仕組み
安定性と流動性を両立するCDP設計
公式発表によれば、今回発表されたEnosys Loans(エノシスローン)は、XRPを担保にステーブルコインを発行する初のCDPプロトコルです。
ユーザーは自身の「FXRP」(Flare上で発行されたXRP連動トークン)や「wFLR」トークンをプロトコルにロック(担保提供)することで、同等価値のステーブルコインを新たに発行(ミント)できます。
担保が裏付けとなるため、発行されたステーブルコインの価値を安定させることができ、1ドルの価格を維持するよう設計されているといいます。
ユーザーはXRPそのものを売却することなく、その価値を担保に資金を借り入れる形でステーブルコインを入手できる仕組みです。
特に清算リスクに備えるための「ステビリティプール(安定化プール)」も導入されており、ステーブルコイン保有者がプールに資金を預けることで、万一担保価値が下落した際の債務清算に充当されます。
また、プールに預けたユーザーには発行手数料や利息、清算報酬に由来する利回りを提供するとしています。
加えて、Flare独自の時系列オラクル(FTSO)とも統合されており、担保資産であるXRPやFLRの価格データを複数の独立した提供者から集約することで、価格情報の改ざん耐性と精度を高めています。
市場変動下でも維持するペッグの仕組み
発表によると、今回のステーブルコインは、著名なDeFiプロトコルLiquity(リクイティ)のバージョン2をフレンドリーフォーク(改良版)した仕組みを基盤として構築されています。
Liquityは2021年の稼働以来、数十億ドル相当の担保を預かりつつ、極度の市場変動期でもステーブルコインのペッグ(価値維持)を保ち続け、清算と安定化プール設計の堅牢性を実証してきた代表的なCDPプロトコルです。
Flareはこの実績あるモデルを導入することで、XRPやその連動資産を活用した安定した分散型流動性基盤の構築を目指すと説明しています。
Flare上では、ユーザーが任意の利率(年利)を指定して借入条件を設定できる仕組みも導入されており、低利率で借入したポジションは、万一ステーブルコインの価格が1ドルを下回った際に優先的に清算(償還)される独自の調整機能も備えています。
また、ステーキング報酬を受け取っているstXRP(Firelight社提供のXRPステーキングトークン)を担保に用いることも近日中に可能となる見通しです。
これによりXRP保有者はXRPをステーキングして得た報酬を享受しつつ、そのstXRPを担保に提供してステーブルコインを発行するという二重の資産活用を実現させています。
Flareの戦略とXRP担保型ステーブルコインの位置付け
Flare Networkは今回のXRP担保型ステーブルコイン発行の意義について「フレアが主要な仮想通貨資産であるXRPを担保とする分散型ステーブルコインの拠点となる」と位置付けています。
特に、リキッドステーキングされたXRP(stXRP)のDeFi利用が促進されることで、同ネットワークの基盤であるFアセット(他チェーン資産のFlare上でのラップド資産)エコシステムへの需要拡大や流動性向上につながると期待されています。
加えて、ステーブルコイン利用を活性化させるための「インセンティブ制度」も導入予定であることも明らかにされました。
具体的には、発行したステーブルコインを先述のステビリティプールに預けたり、Flare上の分散型取引所に流動性を提供したユーザーに対して、報酬としてFlareトークンの分配権利(rFLR)が付与される予定で、これによりユーザーの利用促進とエコシステム成長を図るとしています。
今回のXRP担保型ステーブルコインは仮想通貨担保とスマートコントラクト運用のアプローチを採用しており、Flare上で新たな分散型金融の選択肢を提供するものとなっています。
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世界の金融インフラに広がるステーブルコイン
ステーブルコイン市場では、主要通貨の価格に連動する複数の銘柄が乱立しており、総発行額は約2,900億ドル(約43兆円)規模にまで拡大しています。
ステーブルコインは価格が安定した仮想通貨(暗号資産)であり、ブロックチェーン上で即時かつ低コストの国際送金や決済が可能になるため、従来の金融システムを補完・代替する存在として導入が広がっています。
一方で、過去にはアルゴリズム型ステーブルコインの崩壊や準備金不透明性への批判といった課題も露呈してきました。そこで各国の規制当局はこうしたリスクに対処しつつ、ステーブルコインの利便性を金融システムに取り込もうとする姿勢を強めています。
現在、安定したデジタル通貨への需要に応える形で規制とイノベーションの両輪が進みつつあり、ステーブルコインは仮想通貨業界だけでなく、世界の金融インフラにおいてもその存在感を高めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.90 円)
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Source:Flare Network公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用






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