
サークル社、USDCとCCTP v2をHyperliquidに統合へ
米Circle(サークル)社は2025年9月17日、分散型取引所Hyperliquid(ハイパーリキッド)上で米ドル連動型ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」のネイティブ対応とクロスチェーン転送プロトコル「CCTP v2」のローンチを発表しました。
これにより、Hyperliquid上ではブリッジ不要でUSDCを利用可能になり、USDCを12以上のブロックチェーン間でシームレスに移動できる環境が整う見通しです。
サークル社は今回のUSDC統合と併せてHyperliquidエコシステムへの出資も明らかにしており、独自トークン「HYPE」への初の投資や開発者支援プログラムの開始を通じて連携を強化する方針で、将来的にはHyperliquidのバリデーターへの参加も検討するとしています。
なお、数週間以内にはHyperliquidのコアネットワーク「HyperCore」でUSDCの直接入出金とCCTP連携も可能になる予定としています。
RWA対応の新チェーンArcを立ち上げ
ハイパーリキッドへのUSDC統合が示すCircleの戦略的意図
USDC統合の意味と背景
Circle(サークル)社は今回の提携強化を「仮想通貨経済圏におけるドルのネットワークユーティリティ構築に向けた重要な一歩」と位置付けており、USDCをHyperliquidのスマートコントラクト層「HyperEVM」に展開することで、同プラットフォームの金融アプリや取引市場でUSDCが即座に利用可能になったと説明しています。
また、HyperliquidではこれまでArbitrum経由のブリッジ型USDC(wUSDC)が流通していましたが、今回ネイティブUSDCが導入されたことで両者が併存する状況の中、近くHyperEVMとHyperCore間の直接接続(入出金)の実現も計画されています。
CCTP v2で可能になるUSDCのクロスチェーン送金
USDCがネイティブ統合された利点として、ユーザーはHyperliquidの現物・無期限取引でUSDCを証拠金や基軸通貨として利用でき、HyperEVM上の金融アプリでも高速決済や他ネットワークとの柔軟な資金移動が可能になります。
加えて、CCTP v2の実装により、Hyperliquidと他チェーン間でUSDCを安全かつ効率的に転送でき、ラップド資産を介した従来型ブリッジで発生する手数料やリスクを低減できる点も強調されています。
サークル社が強調するHyperliquid統合の重要性
サークル社は「ネイティブUSDCとCCTPにより、Hyperliquid上のユーザーや開発者は仮想通貨エコシステム全体でデジタルドルを自在に移動できるようになる。フィンテック企業やオン/オフランプ事業者も世界で最も流動性の高いデジタルドルを活用し、Hyperliquidにスムーズに統合できる」と説明しています。
加えて同社は、Hyperliquidのコアチームやコミュニティと過去数ヶ月にわたり交流を深めてきたことに触れ「Hyperliquidはコミュニティのエネルギーや創造性が非常に印象的なエコシステムだ」と述べました。
業界が注目するサークル社のUSDC展開
今回のサークル社の発表について、米大手資産運用会社VanEck(ヴァンエック)社のデジタル資産調査責任者であるマシュー・シーゲル氏も「CircleがUSDCをネイティブ対応させたことはHyperliquidにとって大きな節目であり、独立系レイヤー1としての地位を示す明確な証拠だ」と述べ、今回の統合を高く評価しました。
サークル社は今後、Hyperliquidとの長期的な協業体制を構築しつつ、さらなる投資や技術支援を通じて両社にメリットのあるエコシステムの発展を目指すとしています。
ハイリ「USDH」初期テスト開始へ
USDC統合とUSDH登場で激化するステーブルコイン競争
Hyperliquidのステーブルコイン「USDH」導入計画
今回のUSDC統合は、Hyperliquidが独自のネイティブステーブルコイン「USDH」を導入予定の時期と重なります。
Hyperliquid上では現在、約53億ドル(約7,800億円)相当のUSDCが流通しているとされ、コミュニティによるガバナンスを経て選定されたNative Markets(ネイティブ・マーケッツ)社がUSDH発行主体となることが決定されました。
ネイティブ・マーケッツは、近日中にイーサリアム上でERC-20規格のUSDHトークンを展開する予定で、その後USDHの初期発行テストフェーズに移行する計画です。
HyperliquidでのUSDC需要を狙うサークル社
このような状況を踏まえ、サークル社がHyperliquidへの関与を深める背景には、同プラットフォーム内のUSDC需要を維持する狙いがあるとも指摘されています。
仮想通貨アナリストのDeFiyst氏はX(旧Twitter)上で、サークル社の今回の動きを「Hyperliquid上のUSDC(約53億ドル)が自社発行のUSDHに置き換えられるのを防ぐための起死回生策だ」と述べました。
さらに同氏は、Hyperliquid上のUSDC残高は全USDC流通量の約7%に過ぎないものの、手数料収入ベースではサークル社の収益の12~15%に達し得るとの見解を示しています。
こうした中、今後USDHがローンチされればHyperliquid上でのステーブルコイン競争が本格化することは避けられず、USDC発行元のサークル社にとっても重要な局面となるとみられています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.63 円)
USDC関連の注目記事はこちら
Source:Circle公式ブログ
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用





コメント