
ナッジ、Visa加盟店でのJPYC決済サービス開始へ
ナッジ株式会社は2025年9月11日、クレジットカード「Nudge(ナッジカード)」の利用代金を日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」で支払えるサービスを、2025年10月をめどに開始すると発表しました。
これにより、世界約1億5,000万のVisa加盟店で、さまざまな買い物をJPYCで決済できるようになる見通しです。
発表によると、この取り組みは「クレジットカードの支払いをステーブルコインで行える国内初の仕組み」とされています。
具体的には、コンビニエンスストアやレストラン、オンラインサブスクリプション、公共料金など、国内外のVisa加盟店でJPYC決済が利用可能になると説明しています。
円建てステーブルコイン「JPYC」
ナッジとJPYCが推進する決済インフラ革新
ステーブルコイン市場の急拡大と制度整備
今回ナッジがJPYCによる支払いに対応した背景には、近年のステーブルコイン市場の急速な拡大があるとみられています。
世界のステーブルコイン発行残高はすでに2,500億ドル(約42兆円)を超え、オンチェーン取引量がVisaやMastercardの決済総量を上回ったとする報告も出ています。
日本においても2023年6月に改正資金決済法が施行され、ステーブルコインは暗号資産とは異なる「電子決済手段」に位置付けられました。
この制度のもとで、JPYC社は2025年8月に資金移動業者としての登録を完了しており、今秋にも国内初となる円建てステーブルコイン「JPYC」を発行する予定です。
ナッジの決済基盤が支える普及実現への道筋
日常生活でステーブルコインが広く利用されるためには「利用可能店舗の拡大」と「身近なインターフェースの整備」が不可欠とされています。
そのため、既存のクレジットカードネットワークは、その双方を満たす手段として普及を後押しするとみられています。
実際に、ナッジ社はマイクロサービス基盤による柔軟な決済システムを強みとしており、JPYC社の登録完了から約1カ月でJPYC払いへの対応を実現しました。
これにより、従来の銀行口座振替やATM支払いに加えて、ナッジカードの利用代金の返済手段として「ステーブルコイン払い」が新たに加わっています。
Polygon対応で一部ユーザー向けに先行提供
発表によると、ステーブルコイン払いの具体的な利用方法として、ユーザーはナッジ指定のウォレットアドレスにJPYCを送金することで返済できるとしています。
サービス開始当初は「Nudge NFT」保有者など一部のユーザーを対象に、Polygon(ポリゴン/POL)チェーンで提供する方針であることも報告されています。
また、将来的には対象ユーザーの拡大や対応チェーンの追加を進める計画で、JPYC以外のステーブルコインやトークン化預金への対応も視野に入れているとしています。
両社トップが語る既存インフラ活用の重要性
この取り組みに関して、ナッジの沖田貴史代表取締役は「既存インフラであるクレジットカードを活用し、オンチェーン経済と実体経済をつなぐことで、ステーブルコイン利用の幅を広げたい」と述べ、第一弾としてJPYC返済機能を迅速に提供する姿勢を示しています。
JPYC社の岡部典孝代表取締役も「クレジットカード代金をJPYCで支払えるようにするのは実現したいユースケースの一つだった。登録完了から非常に短期間で具体化できたことを嬉しく思う」と述べ、JPYCが日常の決済手段として活用される道が開かれたことの意義を強調しました。
両氏とも、今回の取り組みが金融インフラの高度化やステーブルコインの社会実装に向けた重要な一歩だとの認識を示しています。
住宅資産NFT化とJPYC決済導入
JPYCが描く日本初のステーブルコイン成長戦略
今後3年間で1兆円規模のJPYC発行を目指す
JPYC株式会社は日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行に向けた準備を進め、2025年8月に金融庁から資金移動業者(関東財務局長 第00099号)として正式に登録を受けました。
この登録は、改正資金決済法の下で国内初の円建てステーブルコイン発行の事例となります。JPYC社は今後3年間で、累計1兆円規模のJPYC発行を目標に掲げています。
その仕組みとして、JPYCは1JPYC=1円に価値が連動するデジタル通貨で、銀行預金や日本国債を裏付け資産とすることで価格の安定性と信頼性を確保し、同額の日本円への償還も可能な設計です。
また、JPYCトークンは当初、イーサリアム(Ethereum/ETH)、アバランチ(Avalanche/AVAX)、ポリゴン(Polygon/POL)の3チェーンで発行予定と発表されています。既存のJPYCプリペイド(前払式支払手段)から大幅に進化した「電子決済手段」として提供されます。
銀行・証券の参入と官民連携の広がり
さらに、国内のステーブルコインを巡る環境も、制度面と実務面の両方で活発化しています。
8月22日には、三井住友銀行とSBIホールディングス傘下の企業が、ステーブルコインの流通基盤構築に向けた共同検討を開始したと報じられました。
加えて、国民民主党の玉木雄一郎代表は8月18日、自身のX(旧Twitter)で日本円建てステーブルコインJPYCの発行承認に言及し「政策面で支援する考え」を表明しました。これにより、官民双方で円建てステーブルコイン推進への期待が高まっています。
これらの動きを背景に、今後、JPYCをはじめとするステーブルコインが実社会でどのように活用されるのかについては、金融業界や規制当局からも注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.40 円)
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Source:ナッジ発表
サムネイル:ナッジ発表より使用




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