
SBI、日本初の暗号資産ETF2種を計画
SBIホールディングスが、ビットコイン(BTC)やエックスアールピー(XRP)を組み入れた暗号資産ETF(上場投資信託)の組成を計画していることが明らかになりました。
このETFは、金融庁の認可取得後に東京証券取引所(東証)への上場が予定されており、暗号資産に対して公的な枠組みのもとで投資できる初の金融商品となる見通しです。
この計画は2025年7月31日に開催された2026年3月期第1四半期決算説明会で明らかにされました。SBIが組成を予定しているのは、国内公募投資信託「SBI Fund of 暗号資産ETFs」と、東京証券取引所に上場予定の「SBI・ビットコイン/XRP ETF」の2種類です。
前者はゴールド(金)に連動するETFと暗号資産ETFを組み合わせて運用益や分配金を得る投資信託であり、後者はビットコインやXRPなど複数の暗号資産に直接投資するETFとなっています。
SBIホールディングスは、金融当局の認可が得られ次第、これらのETFを迅速に市場へ投入する方針を示しました。この構想は、国内初の暗号資産ETF実現に向けた取り組みとして、業界内外から大きな関心を集めています。
SBIと新生銀、Circleに共同出資
SBIが仕掛ける国内初の暗号資産ETF戦略
「ゴールド×暗号資産」のハイブリッドETF
SBIホールディングスの決算説明資料によると、1つ目の「SBI Fund of 暗号資産ETFs」は、資産配分比率を「ゴールドETF:51%以上、暗号資産ETF:49%以下」に設定する方針としています。
この商品は、安定資産とされる金と、高成長が見込まれる暗号資産を組み合わせたハイブリッド型の構成となっています。
資産の大半は金価格に連動するゴールドETFに、残りはフランクリン・テンプルトン社が運用するビットコインETF(EZBC)などの海外ETFに振り分けられる設計です。
この構成により、金と暗号資産の双方からの収益を見込みつつ、価格変動リスクの分散も図る設計となっています。SBIは本商品を「金(ゴールド)&暗号資産(デジタルゴールド)」として位置づけ、デュアルアセット型の投資信託として提示しています。
ビットコインとXRPに連動するETF計画
もう1つの商品である「SBI・ビットコイン/XRP ETF」は、時価総額の大きいビットコインとXRPの2銘柄を主要投資対象とし、東京証券取引所への上場が予定されているETFです。
このETFは、暗号資産の価格変動に直接連動する仕組みを採用しており、証券市場を通じてビットコインやXRPの実勢価格に近いリターンを反映する設計となっています。
XRPは、米Ripple(リップル)社と深い提携関係にあるSBIにとって象徴的な銘柄であり、SBIがXRPをETFに組み込む構想は、国際的にも珍しい取り組みとして注目されています。
SBIが見据える制度改革と暗号資産ETFの展望
SBIの暗号資産ETF構想の背景には、現在金融庁が進めている暗号資産の法的な位置づけの見直しがあります。こうした制度改革によってETFの組成が現実味を帯びてきたことから、SBIもそれを見越した準備段階に入っていると報告されています。
決算説明資料には「当局の認可を得られ次第、暗号資産を組み入れた投資信託およびETFを組成する予定である」との記述があり、SBIの計画が法令整備を前提とした戦略に基づいていることが明確に示されました。
この動きに関しては、海外の著名なクリプト分析者Coin Bureau氏もX(旧Twitter)で好意的に言及しており、SBIのETF構想が機関投資家の参入を後押しする可能性があるとの見方が広がっています。
Japan's largest bank files for Bitcoin and XRP ETFs!
SBI Japan just filed for two ETFs:
– Crypto Asset ETF holding BTC & XRP
– Digital Gold Crypto ETF blending gold with cryptoBULLISH for BTC and XRP
pic.twitter.com/W5ETUaT9qB
— Coin Bureau (@coinbureau) August 6, 2025
日本最大の金融機関がビットコインとXRPのETFを申請!
SBIホールディングスが以下の2つのETFを申請しました:
・ビットコインとXRPを組み入れた暗号資産ETF
・金と暗号資産を組み合わせたデジタルゴールドETFBTCとXRPにとって非常にポジティブな動きです
![]()
金融庁に暗号資産税制改正を要望
国内暗号資産ETF解禁に向けた法整備と税制改革の動き
SBIホールディングスが進める暗号資産ETF計画の背景には、日本国内で進行中の規制および税制改革の動きがあります。
ETF解禁へ、金融庁が規制枠組みを本格審議
2025年6月25日、金融庁は金融審議会において「暗号資産を巡る制度のあり方」を正式に審議対象として位置づけました。
この動きは、暗号資産を資金決済法ではなく金融商品取引法(金商法)の枠組みで取り扱う方針が固まりつつあることを示しており、本格的な制度設計が始まったことを意味しています。
金商法に基づく規制が適用されれば、インサイダー取引の禁止や発行体に対する情報開示義務など、従来の証券市場と同様のルールが暗号資産市場にも導入される見通しです。
金融庁の報告書には「金商法の枠組み整備により、国内でも暗号資産ETFの提供が可能になることが期待される」との記載があり、制度改革が市場成長の原動力となる可能性が示唆されています。
雑所得から分離課税へ、税制見直しの波
税制面でも動きが活発化しています。2025年7月30日、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は、暗号資産に関する課税制度の見直しを求める要望書を金融庁に連名で提出しています。
この要望書では、現行の雑所得(最高税率55%)として課税される制度を見直し、株式譲渡益と同様の20%申告分離課税への変更や、損失の3年間繰越控除の導入など、計5項目の改正案が提示されました。
2025年度の税制改正大綱にも「投資家保護の法整備を前提に、20%分離課税への見直しを検討する」との文言が盛り込まれており、制度改正に向けた政治的な動きが一段と強まっています。
2026年度の税制改正においては、金融庁が正式に暗号資産への20%課税導入を要望する方針を示しており、今後の議論における重要な争点となる見通しです。
税制・規制改革が機関投資家の参入促進へ
こうした税負担の軽減は、国内資金を暗号資産市場へ呼び込む効果が見込まれ、規制改革の進展とあわせて、ETFなど新たな金融商品の普及を後押しする可能性があるとみられています。
JVCEAが公表した統計データによると、2025年1月末時点で国内の暗号資産市場における口座数は1,210万件を超え、預かり資産残高も約5兆円に拡大しています。こうした市場規模を踏まえ、制度面での対応が急がれています。
SBIホールディングスのETF構想も、これらの点を視野に入れた戦略的な取り組みとされており、金融市場全体の革新を後押しする動きとして位置付けられています。
SBIが推進するステーブルコイン市場戦略
さらに、暗号資産分野ではステーブルコインの流通促進に向けた規制緩和も進んでいます。SBI VCトレードは、米ドル連動型ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」を日本で初めて上場させた実績があります。
現行制度では、海外で発行されたステーブルコインの送金額が1回あたり100万円相当までに制限されています。SBIはこの制限の緩和を当局に要請し、法人間決済への本格的な導入拡大を図っています。
さらに、SBIはリップル社が発行を予定している新たなドル建てステーブルコイン「RLUSD」の年内取扱いも検討中です。日本国内での実需を見据えた事業展開を強化しています。
規制・税制改革の進展と新たな金融プロダクトの登場が重なり、日本が暗号資産分野での遅れを挽回しようとする姿勢が明確になりつつあります。今後の展開に国内外から大きな注目が集まっています。
SBI関連の注目記事はこちら
Source:SBI決算説明会
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

Japan's largest bank files for Bitcoin and XRP ETFs!





コメント