米大手銀行シティグループ、ステーブルコイン発行を検討|仮想通貨市場に本腰参入か

シティCEO、ステーブルコイン発行計画を示唆

米大手銀行シティグループのジェーン・フレーザーCEOは2025年7月16日、第2四半期の決算発表後に行われた電話会議で、独自のステーブルコインを発行する計画を検討中であることを明らかにしました。

ロイターの報道によれば、フレーザー氏は「シティグループ独自のステーブルコイン発行に向けた検討を進めている」と述べた上で、特にトークン化預金(デポジットトークン)の領域を重視しているとしています。

シティグループはすでにトークン化預金の分野で積極的な取り組みを展開しており、この領域を今後の成長を支える重要な機会と捉えているとみられています。

さらにフレーザー氏は、ステーブルコインの準備金管理や仮想通貨資産のカストディ(保管・管理)サービスの提供についても、可能性を含めて検討していると述べています。

なお、同日の決算発表では、シティグループの2025年第2四半期決算が市場予想を上回り、最低でも40億ドル(約5,955億円)規模の自社株買いを実施する計画が発表されました。

この発表を受けて、同社株は一時的に2008年の金融危機以降で最も高い水準を記録しました。

シティグループが描くステーブルコイン戦略

シティグループが自社でステーブルコインの発行を検討する背景には、米国における規制環境の変化が影響していると考えられています。

銀行業界に広がる仮想通貨参入の追い風

2025年5月には、米通貨監督庁(OCC)が銀行による仮想通貨のカストディ(保管)や取引サービスの提供を正式に認可し、銀行の仮想通貨市場への参入を後押しする動きが進んでいます。

フレーザー氏も「銀行が仮想通貨領域により容易に参加できるようにする」との米政府の方針を歓迎する姿勢を示しました。

こうした規制当局の支援が、伝統的な金融機関による仮想通貨分野への参入を後押しする要因となっています。

ブロックチェーン技術で送金効率化を推進

規制の動きにあわせた形で、シティグループも自社の仮想通貨戦略をさらに強化しています。

同社は昨年から、ブロックチェーン技術を活用した「Citi Token Services」と呼ばれるサービスの試験導入を開始しました。

このサービスでは、顧客の預金をデジタルトークン化し、リアルタイムでの国際送金や資金移動に活用する取り組みを進めています。

ステーブルコイン普及の課題と可能性

一方で、ステーブルコインには現時点で解決すべき課題があるとの指摘も出ています。

クレジットカード大手Mastercard(マスターカード)の最高製品責任者であるヨーン・ランバート氏は、ステーブルコインには24時間稼働や低コストといった利点があると評価しています。ただし、日常的な決済手段としての普及には、依然として課題があるとの見解も示しました。

こうした課題を踏まえながら、シティグループは自社ステーブルコインの提供価値やユースケースについても慎重に検討を進めていると報じられています。

米欧の主要銀行が仮想通貨領域に本腰

シティグループだけでなく、他の大手銀行も仮想通貨やステーブルコイン分野参入への動きを見せ始めています。

ステーブルコイン導入を進める米銀行

米銀2位のバンク・オブ・アメリカ(Bank of America)のブライアン・モイニハンCEOは2025年初め、規制当局の承認が得られれば自社でもステーブルコインを発行する可能性があることを示唆しました。

さらに、米投資銀行大手モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOも、仮想通貨取引における自社の仲介機能の可能性について検討する意向を示しています。

米大手銀行各社の間では、独自のステーブルコインを共同で発行する構想について協議が進められていると伝えられています。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴなどが合同で米ドル建てステーブルコインを発行する可能性について協議を開始しています。

欧州の伝統銀行も仮想通貨領域に参入

こうした動きは米国にとどまらず、欧州の大手銀行でも同様の取り組みが進んでいます。

フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルは、2023年にユーロ連動型ステーブルコインを発行した実績があります。さらに、2025年6月には、同社のデジタル資産部門を通じて米ドルに連動する新たなステーブルコインを公開市場で発行する計画を発表しました。

このように、世界の主要金融機関はブロックチェーン技術や仮想通貨の導入を進め、仮想通貨市場への本格参入を加速させています。

規制当局からの信用と既存の顧客基盤を背景に、銀行が発行するステーブルコインは市場に大きな影響を与える存在として、業界内でも注目を集めています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.89 円)

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Source:ロイター報道
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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