カザフスタン、仮想通貨決済の実証都市「Crypto City」構想を発表|中央アジアのハブを目指す

カザフスタン、仮想通貨決済の実証都市「CryptoCity」構想を発表|中央アジアのハブを目指す(Kazakhstan unveils CryptoCity concept for crypto payment pilot, aiming to become Central Asia’s hub)

中央アジア初、仮想通貨決済の実証都市が誕生へ

カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領は2025年5月29日、アスタナ国際フォーラム2025において、仮想通貨を実際の支払いに利用できる革新的なパイロット特区「Crypto City(クリプトシティ)」を立ち上げる計画を発表しました。

このクリプトシティは、商品・サービスの購入や不動産取引、投資などの支払いに仮想通貨を活用できるかを検証するため、政府が規制を定めて実験的に運用する特区(サンドボックス)として機能する見通しです。

トカエフ大統領は公式声明で「これによって政府はデジタル資産の規制方針を検討できるようになり、実証実験を通じて仮想通貨の商取引への広範な導入を目指す」と語っています。

仮想通貨決済が利用できる新都市「Crypto City」構想

政府・規制当局は現在、Crypto City(クリプトシティ)の設置場所として最適な候補地を検討しており、最も有望視されているのは大統領主導で開発が進められている新都市「アルタウ(Alatau)」報じられています。

アルタウはカザフスタン南東部に位置する研究・技術拠点都市で、特別経済区も設置されています。クリプトシティをここに設置することで、国内外からの投資促進や既存の研究施設・特別経済区との連携による経済活性化を図る考えです。

このクリプトシティ構想では、仮想通貨をレストランやカフェの支払い、不動産購入、各種投資の決済手段として利用することが想定されており、これにより仮想通貨の実用化が進むことで、ブロックチェーン技術の普及や関連ビジネスの拡大が期待されています。

マディエフ・デジタル開発相は「クリプトシティプロジェクトによって海外から開発者やIT人材を呼び込み、国内の経済成長を促進する狙いがある」と述べています。

また同氏は「クリプトシティの決済システムや通信インフラの整備がすでに進んでおり、仮想通貨が日常的に利用可能な決済手段として認知されるためには、法制度の整備が不可欠である」と指摘しました。

なお、カザフスタン国内では仮想通貨規制の方針について意見が割れており、国立銀行(中央銀行)が業界の自由化を支持する一方で、一部の保守派議員からは、国家による管理強化を求める意見も出ています。

カザフスタンが目指す中央アジアの仮想通貨ハブ

トカエフ大統領の発表に先立ち、同国政府は仮想通貨産業の発展に向けた取り組みを積極的に進めています。

中央銀行デジタル通貨「デジタルテンゲ」の推進

2023年2月には、カザフスタン国立銀行(NBK)と大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)が共同で中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタルテンゲ」の実証実験を開始しました。

この実験では、Binanceのブロックチェーン基盤「BNBチェーン」を用いた技術検証が行われました。

また2024年にはデジタルテンゲのパイロットプログラムが一般利用者も参加して開始され、この運用により付加価値税(VAT)の還付期間が短縮されたことも報告されています。

仮想通貨取引所の認可とマイニング規制の整備

さらに、同年10月にはBinanceの現地子会社がアスタナ国際金融センター(AIFC)から正式な運営ライセンスを取得しており、カザフスタンは中央アジアで初めて世界的な仮想通貨取引所を公的に認可した国となりました。

一方で、政府は仮想通貨マイニング産業の健全化にも取り組んでおり、2025年から国内のマイニング事業者に対してマイニングで得た仮想通貨の75%をアスタナ国際金融センター(AIFC)の認可取引所で売却する義務が新たに導入されています。

仮想通貨で中央アジアの中核を目指すカザフスタン

加えて、カニシュ・トゥレウシン第一デジタル開発副大臣は2025年5月に「すべての規制上の制約が緩和され、仮想通貨取引が全国で解禁されれば、カザフスタンは中央アジアの主要な仮想通貨ハブになり得る」との見解を示しています。

同氏は仮想通貨の合法化や適切な課税制度の導入によって、国家予算に年間数千億テンゲ規模の税収が見込まれるとも述べ、全国的な仮想通貨規制の整備、透明性の高い取引所の設置、規制に準拠した仮想通貨ATMの導入が必要だと強調しました。

世界の仮想通貨業界関係者からもカザフスタンの政策に注目が集まっており、Binanceの地域市場責任者ビシャル・サチーンドラン氏は「整備された法制度と安全で競争力の高い取引環境により、カザフスタンは地域におけるデジタル資産取引の理想的な拠点となっている」と評価しています。

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:ジョマルト・トカエフ大統領公式声明
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

コメント

タイトルとURLをコピーしました