パナマ市、公共料金や税金の支払いで仮想通貨決済が可能に|全会一致で承認
パナマ市議会、仮想通貨決済を承認
パナマ市議会は2025年4月16日に、税金や公共サービスの支払いに仮想通貨(暗号資産)による決済を導入する法案を全会一致で可決しました。
これにより、パナマ市は、同国内で初めて公共料金や税金の支払いに仮想通貨を正式に導入した自治体となります。
マイヤー・ミズラチ・マタロン市長は自身のX(Twitter)で「ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)などの主要仮想通貨に加え、米ドルと連動したUSDコイン(USDC)やテザー(USDT)も利用できるようになる」と報告しています。
Panama City council has just voted in favor of becoming the first public institution of government to accept payments in Crypto.
Citizens will now be able to pay taxes, fees, tickets and permits entirely in crypto starting with BTC, ETH, USDC, USDT@APompliano @aantonop…
— Mayer Mizrachi (@Mayer) April 15, 2025
パナマ市議会は、政府の公的機関として初めて仮想通貨での支払いを受け入れることを可決しました。
今後、市民や企業は税金、手数料、違反金、各種許可申請の支払いを、ビットコイン、イーサリアム、USDコイン、テザーなどの仮想通貨で行えるようになります。
ミズラチ市長は、来週パナマ市で開かれるブロックチェーン関連会議で、地元金融機関と仮想通貨決済に関する正式契約を交わす予定です。
国家全体でも仮想通貨決済を検討
仮想通貨決済で実現する行政の効率化
今回承認された仮想通貨決済の仕組みでは、パナマ市は地元銀行のタワーバンク(Towerbank)と提携し、市民が仮想通貨で支払った金額を即座に米ドルに両替して受け取る形であることが明らかにされています。
この仕組みにより市役所は仮想通貨を直接保有する必要がなく、現行法の範囲内で新たな立法なしに制度を運用できます。
パナマの公的機関は米ドル建てでしか資金を受け取れないという制約がありますが、この自動換金システムによってその条件を満たしながら、仮想通貨での支払いを実現しています。
市当局は、新制度の導入による主なメリットとして以下の点を挙げています:
- 仮想通貨の利用は完全に選択制で、従来の支払い方法も変わらず利用可能
- 新システム導入で市の追加負担はなく、税制度も変わらない
- 市民や企業は世界のどこからでも支払いができ、納税がより簡単になる
- ブロックチェーン技術による取引記録の確認が可能となり、行政の透明性向上と業務の近代化につながる
- パナマ市が金融技術革新の先駆者となり、より効率的で市民にやさしいデジタル時代の行政を実現できる
パナマ共和国、新政権で仮想通貨法案を再審議へ
パナマ共和国全体でも仮想通貨の活用に向けた動きが進んでいます。
2025年3月には、仮想通貨決済を正式に認め、行政サービスにブロックチェーン技術を取り入れる総合的な法案が国民議会(国会)に提出されました。
過去には、2022年4月に「法案第697号」が国民議会を通過しましたが、同年6月にラウレンティノ・コルティソ大統領(当時)が「行政秩序の混乱を招く恐れ」や「マネーロンダリング対策が不十分」という理由から拒否権を行使しました。
その結果、697号法案は最高裁による審査の末、2023年7月に違憲判決を受け、廃案となりました。
2024年の選挙で政権が交代し、ホセ・ラウル・ムリーノ氏が新大統領に就任しました。ムリーノ政権が提案した新法案では、国際機関FATF(金融活動作業部会)の基準に合わせたマネーロンダリング対策が強化されています。
今後は議会と行政府の連携により、前回の法案で問題とされた課題を解決しつつ、審議が進められると見られています。
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Source:マイヤー・ミズラチ・マタロン市長X投稿
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像