ECBの決済システム障害受け、EU議員から「デジタルユーロ」に対する疑問噴出

「デジタルユーロ」への疑問の声

欧州中央銀行(ECB)は中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタルユーロ」発行へ向け準備を進めているが、欧州議会議員はデジタルユーロプロジェクトに懸念を示しているようだ。ロイターが3月10日に報じた。

報道によれば、議員らの疑念は2月に発生した、大口取引を処理する決済システム「ターゲット2(T2)」での障害に起因している。このシステム障害により、銀行間取引決済がほぼ丸一日行われない事態が発生した。

この事件により、ユーロ圏の全居住者が利用できる新たな決済システムであるデジタルユーロプロジェクトをECBが遂行できるのかが問われているという。

欧州議会の最大会派・欧州人民党(EPP、中道右派)のマルクス・フェルバー(Markus Ferber)氏は、「ECBが日常業務さえ円滑に遂行できないのに、どうやってデジタルユーロを運営できるのか、人々は当然疑問に思うだろう」と述べている。

これに対しECBの担当者は、デジタルユーロは、24時間365日稼働しており、毎日何百万件もの小口決済を処理している即時支払いシステムである「TIPS」に近いとした。「TIPS」は「T2」に比べ、信頼性が高く、事実としてシステムが停止した際にも軽微な遅延にとどめたという。

しかしデジタルユーロを承認する法案を可決させるには、議員による抵抗が障害となる。

欧州委員会は2023年6月にデジタルユーロ法案を提案したが、あまり進展は見られていない。

ECBのクリスティーヌ・ラガルド(Christine Largarde)総裁は、ECBが2025年10月までにデジタルユーロの準備段階を完了させる予定だと述べている。

また、デジタルユーロの準備段階を10月までに終えることを目指していることも、ECBの広報担当者が明らかにしている。

参考:ECB
画像:PIXTA

関連ニュース

参照元:ニュース – あたらしい経済

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です