トランプ大統領、米国の暗号資産準備金に含める5銘柄公開、市場価格は急騰

米国の暗号資産準備金に含める5銘柄公開

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、米国の暗号資産(仮想通貨)準備金に含める5つの銘柄を3月2日に発表した。これにより各暗号資産の市場価格は急上昇した。

トランプ氏は、自身のSNS「トゥルーソーシャル(Truth Social)」での投稿で、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、エックスアールピー(XRP)、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)を準備金として備蓄すると述べた。同氏は1月23日、署名した暗号資産に関する大統領令により、暗号資産(仮想通貨)の新たな規制を提案し、国家的な暗号資産の準備金の創設を検討するための作業部会の設立を指示していた。ただし準備金とする暗号資産の銘柄はこれまで発表されていなかった。

この発表の1時間後、トランプ氏は「そして当然ながら、BTCとETHは他の価値ある暗号資産とともに、準備金の中心となるだろう」と付け加えた。

時価総額で世界最大の暗号資産であるBTCは、現地時間2日の午後に11%以上上昇し、94,164ドルに達した。2番目に大きいETHも約13%上昇し、2,516ドルとなった。

暗号資産データ分析企業のコインゲッコー(CoinGecko)によると、トランプ氏の発表後数時間で、暗号資産市場全体の時価総額は約10%、3,000億ドル以上上昇している。

なおXRPは、米暗号資産企業リップル(Ripple)が関わるトークンだ。ロイターによれば、リップル(Ripple)は、11月の米議会選挙において暗号資産業界を支持する候補者を後押しするため、「スーパーPAC(政治活動委員会)」を支援している。

市場の反応と専門家の見解

デジタル資産投資管理会社21シェアーズ(21Shares)の米国事業責任者であるフェデリコ・ブロカテ(Federico Brokate)氏は、「この動きは、米国政府が暗号資産経済に積極的に参加する方向へと転換する兆しだ」と述べた。また同氏は「これにより、機関投資家の参入が加速し、規制の明確化が進み、米国がデジタル資産の革新におけるリーダーシップを強化する可能性がある」と指摘した。

資産運用会社コインシェアーズ(CoinShares)のリサーチ部門責任者であるジェームズ・バターフィル(James Butterfill)氏は、ビットコイン以外の暗号資産が備蓄に含まれたことに驚いたと述べた。

「ビットコインとは異なり、これらの資産はテクノロジー投資により近いものだ」とバターフィル氏は指摘し、「今回の発表は、暗号資産技術全般に対する愛国的な姿勢を示しており、個々の資産の本質的な特性にはあまり重きを置いていないように見える」と分析した。

トランプ政権と暗号資産政策

トランプ氏は、2024年の大統領選挙において暗号資産業界からの支持を獲得し、就任後すぐにその政策を推進している。3月7日にはホワイトハウス初の暗号資産サミットを開催する予定であり、さらにトランプ氏の家族も独自の暗号資産を発行している。

前政権のジョー・バイデン(Joe Biden)氏の下では、詐欺やマネーロンダリングから投資家を守るために、規制当局が暗号資産業界への取り締まりを強化していた。

しかしトランプ政権下では、米証券取引委員会(SEC)が複数の暗号資産企業に対する調査を撤回し、米国最大の暗号資産取引所であるコインベース(Coinbase)に対する訴訟も取り下げた。

市場の動向と今後の課題

ここ数週間で暗号資産価格は急落しており、一部の主要デジタル資産はトランプ氏の選挙勝利後に見られた上昇分をほぼ全て失っている。

アナリストによると、市場が再び上昇するには、米連邦準備制度(FRB)が利下げを示唆するか、トランプ政権が明確な暗号資産規制の枠組みを提示することが必要だと考えられている。

ロイターの報道によると、スタンダードチャータード(Standard Chartered)のアナリストであるジェフ・ケンドリック(Geoff Kendrick)氏は、トランプ氏が退任する前にビットコインが50万ドルに達する可能性があると予測している。現在の最高値は109,071ドルである。

機関投資家の動きと規制の行方

米国における規制当局への提出書類によると、現在もヘッジファンドが暗号資産の主要な買い手であるが、銀行や政府系ファンドも購入を進めていることが明らかになった。

四半期ごとの報告書では、資産運用会社が2024年第4四半期に、ビットコインの現物価格に連動する米国ETFへの投資配分を拡大したことが示されている。

アナリストや法律専門家の間では、暗号資産準備金の設立に議会の承認が必要かどうかについて意見が分かれている。

一部の専門家は、外国通貨の購入や売却に利用できる米国財務省の為替安定化基金(Exchange Stabilization Fund)を通じて準備金が創設できると意見している。

トランプ氏の暗号資産専門チーム(タスクフォース)は、法執行措置で押収した暗号資産を活用し、備蓄を形成する可能性について検討していた。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Trump names cryptocurrencies in strategic reserve, sending prices up
(Reporting by Trevor Hunnicutt in West Palm Beach, Florida; Katharine Jackson in Washington and Jessica DiNapoli in New York; Editing by Bill Berkrot and Lisa Shumaker)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

関連ニュース

参照元:ニュース – あたらしい経済

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です