米SEC、コインベース訴訟を正式に却下。トランプ政権下で方針転換
SECがコインベース訴訟を正式に却下
米証券取引委員会(SEC)が、米国最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であるコインベース(Coinbase)に対する訴訟を却下する共同和解書を2月27日に提出した。これは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の下で規制方針を転換する動きの一環であり、長期にわたる法廷闘争に終止符を打つ形となった。
SECは2023年、コインベースが同委員会の規則に違反し、証券として登録すべきとされる少なくとも13種類の暗号資産・トークンの取引を促進したとして提訴していた。
コインベースは先週、SECが訴訟を撤回する意向を示していると発表していた。
暗号資産は株式や債券とは異なり、投資契約の定義には当てはまらないとコインベースは主張していた。この立場は暗号資産業界の大多数に支持されている。米国最高裁判所の判例に基づくと、投資商品が証券に該当するかどうかの重要な判断基準は、「投資家が共通の事業に資金を投じ、利益を期待しているかどうか」である。
SECの訴訟は、コインベースの「ステーキング」プログラムも標的としていた。このプログラムは、顧客の資産を集約してブロックチェーンネットワーク上の取引を検証し、手数料を得る仕組みであり、顧客には「報酬」としてリターンが支払われる。SECは、このプログラムが同委員会に登録されるべきだったと主張していた。
SECは2023年、コインベースの競合プラットフォームであるバイナンス(Binance)に対しても訴訟していた。しかし、SECがトランプ政権下で新たに設置した暗号資産タスクフォースの影響を考慮し、SECとバイナンス双方の共同要請により、この訴訟も一時停止されている。
SECの共和党関係者らは、暗号資産に前向きな姿勢を示すポール・アトキンス(Paul Atkins)氏をトランプ大統領がSEC委員長に指名する前から、同委員会の暗号資産規制方針を全面的に見直し始めていた。
SECが暗号資産企業に対する訴訟を再検討すること、特に投資家を欺いたとされるケースではなく、SECの規則違反に関する案件を見直すことは広く予想されていた。しかし、多くの法律専門家はロイターに対し、SECは和解を模索すると考えられており、全ての未解決案件を一括で取り下げるような動きは前例のないものとして受け止められるだろうと述べた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US securities regulator files to dismiss lawsuit against Coinbase
(Reporting by Hannah Lang and Jasper Ward; Editing by Bill Berkrot)
参考:SEC
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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参照元:ニュース – あたらしい経済